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『舟幽霊は毘沙門天に恋をする その2』 作者: かるは
【星side】
私――寅丸星が目を覚ました時、既に日が西の山の向こう側へと沈んでいました。
周囲は薄闇に包まれていて、数十分も経てば、完全な夜の帳がこの空を包むのでしょう。
上体を起こしながら周囲を見回すと、そこは聖輦船の甲板。
船が空を切る度に、甲板の上を冷たい風が吹き抜けています。
「…………んっ…………寝ていた、みたい……ですね……」
「ああ。見事にぐっすりだったな、ご主人」
「その相手を嘲り笑う様な口調は、ナズーリンですか?」
「御名答さ。流石はご主人だ」
「私を『ご主人』なんて呼ぶのは、この船の乗員でナズーリンだけですからね。
ぬえの歓迎会は、終わったのですか?」
「主賓のぬえが酔い潰れてしまってね。一輪が看病をしている状態さ」
「了解です。大体は分かりました」
背後から掛けられた声の主、ナズーリンから状況を聞ききながら、私は傍らに横たわる舟幽霊――村紗水蜜の寝顔を覗き見る。
「………………すぅ……んっ…………」
安心し切った様な表情で、ムラサは安らかに眠っている状態。
そんなムラサの寝姿は……少女らしい、愛らしい姿と表現するのが適切なのでしょう。
「ご主人、もし私がこの空間にとってお邪魔なら、奥に退こうか?」
「んっ? 別に、私は邪魔になんて思っては」
「『可愛いムラサの寝姿を、もう少し見ていたい』って顔をしているぞ?
その場合、私の存在はこの空間において邪魔な物だと判断が出来るのだがね」
どうやら、ナズーリンは場を察して、この場を去ろうかと言ってくれている様子。
日頃から皮肉屋で何処か相手を見下している様なナズーリンですが、こう言う時には気を利かせてくれる子でもあります。
まあ確かに……ムラサと一緒に居たいとは思うわけですが……
「ご主人、人の好意は素直に受け取るべきだと思うよ」
「鼠の好意もですか」
「ああ。鼠だろうが人だろうが、好意に対しては素直であるべきさ」
「……ではナズーリン、もう少しだけ、ムラサと二人きりで居させて下さい」
「ああ、分かった。夜風に当たり過ぎると身体に毒だから、程々にな」
ナズーリンの身体はその場でふわりと宙に浮くと、光に包まれて何処かへと消えてしまいました。
ああして気を利かせてくれたからには、もう少しだけこの場を楽しまないと……ですよね。
傍らで気持ち良さそうに眠っているムラサを起こさない様に気を付けながら、再び仰向けになって甲板の上で眠る事にしました。
私ではムラサに触れる事が出来ないから。
だからせめて、こうして隣で寝顔を見る事が出来る場所で、二人きりになりたいと思います。
「…………んっ……………………」
ムラサの身体がぴくりと震えました。
夜風が吹き荒れる甲板の上――舟幽霊と言えども、やはり寒さは感じるのでしょうか。
キュトッロに半そで姿のムラサなら、私よりも寒さには弱いのかもしれません。
こんな時、私の上着でも掛けてあげれば良いのですが……残念ながら、ムラサの身体にはそれは意味を成しません。
私が仮に上着を掛けてあげたとしても、それらは全てムラサの身体を透過してしまうのだから。
こんな何気ない時であっても、愛おしい相手に触れる事が出来ないと言うのはやはり……距離を感じてしまいます。
「……せめて、温かいお茶でも用意しておきましょうか。
聖輦船の備品の湯飲みに注いでおけば、ムラサの身体もお茶を受け入れる事が出来ますしね。
えーと、お茶の葉は――」
瞬間、立ち上がろうとした私の背後でカタンと何かがぶつかる音が響きました。
空から石でも降って来たのかと思ってそちらに目を遣ると、お盆の上の一対の湯飲みの中に、湯気の立つお茶が注がれています。
湯のみの下に敷かれた紙には、汚い走り書きで数行のメッセージ。
『どうせご主人の事だ、風がきつくなればムラサ船長の為にお茶でも注ごうと思って立ち上がるのだろう。
良いからそこで一緒に居てあげ給え。茶は私が用意するから。
――ナズーリンより』
と書かれていました。
どうやら、ナズーリンに行動を読まれていた様です。
「やれやれ……本当に、素直ではないのに優しいんだから……」
ナズーリンの優しさを享受しながら、私は湯飲みを一つ取りました。
ほうじ茶独特の香ばしさが、私の鼻孔を軽くくすぐっています。
お茶だけでなく、容器の方も温めてくれているのはナズーリンなりの心遣いなのでしょうか。
「……んぅ…………? お茶のにおい……」
「やや、起こしてしまいましたか」
「ふぁっ、星……おはよー……」
「はい、おはようございます。もうすぐ日が暮れてしまいますけどね」
目元を軽く擦りながら、ムラサが上体を起こして私の隣に並びます。
私はお盆の上からもう一つの湯飲みを取ると、それをムラサに渡します。
一瞬、ムラサはピクリと身体を強張らせて――けれども、その湯飲みが聖輦船の備品である事を確認すると、笑顔になって受け取ってくれました。
湯飲みを渡すほんの一瞬だけ、湯飲みを掴む指先に、湯飲みの重さとは異なる感覚が伝わります。
その感覚は、ムラサが湯飲みを掴んだ感覚――なのでしょう。
指と指が重なってもお互いを感じる事が出来ないと言うのに、こうしてお茶を渡す時には感じる事が出来る。
何かを間に介していないと、お互いの存在を感じる事が出来ない。
本当に、不便な物です。
けれども――
「しょ、星……? えっと、離してくれないと、お茶が飲めないよ?」
「あ、ああ! ごめんなさい!」
もう少しだけ、ムラサの存在を感じていたいとも思うのですが……それでお茶が冷めてしまっては、ナズーリンにも申し訳が立ちません。
私は慌てて指を離し、湯飲みをムラサに委ねました。
ムラサの存在を感じられなくなるのがほんの少しだけ名残惜しいのですが……まあ、しょうがない。
「ふぅー……ふぅー…………」
「熱いお茶は苦手でしたっけ?」
「んー……苦手じゃないんだけど……私って船幽霊だから、アツアツよりはちょっとぬるいお茶の方が好きかもしれない。
ほら、幽霊ってひんやりしている物だから」
ずずー、とお茶を飲むムラサの隣で、私も同じくお茶を頂きました。
ナズーリンの淹れてくれたお茶の温かさが、幻想郷の夜空の寒さを和らげてくれます。
ほうじ茶と言うのは、玉露や煎茶と比べるとあまり高級な部類ではありませんが……ムラサと一緒に飲めるのなら、私にとっては何よりも美味しいお茶です。
「星は温かい方が好きなの?」
「うーん……蕎麦は温かい方が好きですけど……」
『温かい方が好き』と言われた瞬間、ムラサの表情に僅かに陰りが差しました。
やはり、自信の存在がひやりとしているから、気にしているのでしょうか……
「……でも、冷たいのも好きですよ?」
「本当? 本当に、本当?」
「ええ、嘘は吐きません。………………何かを無くした時以外は……多分…………」
「それなら……私も、温かいお茶を好きになろうかな」
「ん――ふわっ!?」
「えいっ!」
コツン! とムラサの湯飲みが私の湯飲みにぶつかりました。
ほんの一瞬だけ、ムラサの喜びの感情が、湯飲みを介して伝わった気がします。
空中にふわりと浮いた私の湯飲みは、甲板に落下――する事はなく、ムラサの手の中へ。
「な、何を急にっ」
不意に湯飲みを奪われた事で、少しばかり私は焦ってしまいます。
一方のムラサはと言うと、手の平に収まった湯飲みを二度、三度と覗き込むと――
その湯飲みに口を付けて、お茶をコクンコクンと飲んでいて――
「む、ムラサ……? お茶なら自分のが」
何事かと思い、ムラサの手から湯飲みを奪い返そうとしたのですが、
「…………星の味がした」
上目遣いのムラサの言葉で、思考が停止してしまいます。
微妙な照れ笑いでそんな事を言われると……こちらとしても、固まってしまうわけで……
「……!? な、何をいきなりっ――」
「…………」
俯いたままで、ムラサは最初に自分が飲んでいた湯飲みを差し出して来ます。
えっと……つまり、これは、湯飲みの交換で、でも口は付けているんだから……その……
「……私の飲んだのは、嫌い?」
「そんな事ないですっ!」
「……………………」
先程よりも長い沈黙の中、ムラサから差し出された湯飲みは湯気を立てていて……
上目遣いで頬を朱に染めたムラサを見ていると、拒絶する事なんか出来る筈もなくて……
「え、えっと……頂きます…………」
結局、私はムラサに差し出された湯飲みを手に取って、そのままぐいと飲み干してしまうのでした。
差し出された湯飲みは、舟幽霊の口付けのせいか、はたまたは夜風のせいかほんの少しだけ冷たくなっていました。
けれども、そのお茶は私の体温をかぁぁっ――……と、火照らせていて……
「……美味しかった?」
「……は、はい…………」
上目遣いのままで尋ねてくるムラサを見ていると、ますます体温が高くなってしまいそうです。
ただ、湯飲みを交換しただけだと言うのに……
既に周囲は暗闇に包まれていて、夜風が身に突き刺さる頃だと言うのに……
私の身体は、徐々に火照りに包まれてしまうのでした。
それから――お互いに俯いてしまって、何を言うべきなのかが分からなくなってしまって、時間だけが徐々に過ぎて行きました。
自分の鼓動が早まっているのが、嫌でも分かってしまいます。
そんな沈黙を破ったのは、ムラサの消え入る様な一言でした。
「…………………………湯飲み越しなんかじゃなくて…………本物の…………キスが…………したいな…………」
帽子のつばと前髪に隠れているムラサの表情は、こちらからでは見えません。
けれども、甲板の床板にぽつりぽつりと落ちている滴はムラサの気持ちを私に伝えてくれました。
私は……何かを介さないとムラサを感じられない現状を、不便であれ、不幸ではないと考えていました。
けれども、それではムラサは満足してくれない。
何かを介してお互いの存在を感じれば感じる程に、『触れ合えない』と言う事実が重く圧し掛かる。
湯飲みを交換して、お互いの存在を感じれば感じる程に、直接触れ合えないのだと言う事実を痛感してしまう。
「……………………………………ムラサ…………ごめん………………」
気が付けば、ムラサを抱き締める様に腕を伸ばしていました。
けれども、私の指先は……腕は、ムラサの存在を感じてはいない。
昼間にムラサに触れたなら、指先にほんの僅かな冷たさが感じられると言うのに……夜の冷たさが、それすらも掻き消してしまう。
ただ、私の腕は空虚な空間を包んでいるだけ。
けれども、私に出来る事はこれしか無いから……
だからせめて、夜風がムラサに当たらない様に護ってあげよう。
せめて、ムラサが泣き止むまでは――
連続投下出来ました。かるはです
とりあえずその2、今回は星視点からのストーリーとなりました
触れ合えない恋愛って切ないですよね……間に物を挟めば相手を感じられるってのが尚の事切ないです
そして産廃創想話スレがまさかの2スレ目へ
本当におめでたい物です。
絵板では小傘ちゃん改造絵を描いて下さった方もおられた様で、もはや感謝の気持ちを表現し切れません
水星好きが増えると嬉いなー
(以下チラ裏)
小傘ちゃんと爛れた性生活を送りたい
目が覚めると、まずは同じベッドの中で子猫の様に丸まっている小傘ちゃんの唇を軽く撫でて起こしてあげるんだ
悪戯をされてくすぐったそうな、けれどもどこか気持ち良さそうな表情で起きた小傘ちゃんをそっと抱き締めてから一日が始まる
当然、小傘ちゃんは邪魔な衣服なんて身に纏っては――ああそうだった。誕生日プレゼントで買ってあげた首輪だけが、小傘ちゃんの衣装なんだった
未成熟な、固さの残った胸の先の突起を指先で弄ぶ度に、小傘ちゃんの表情は熱っぽさと興奮の色に染め上げられて行く
なだらかな肩も、膨らみの小さな胸も、すべすべしたおなかも、何時の間にか自己主張をしている性器も、手の平に馴染むお尻も、小傘ちゃんの全ては俺の物なんだ
さぁ、小傘ちゃん。次は俺を気持ち良くしてくれる
その、小傘ちゃんのワレメの真上で自己主張をしているそのおちんちんで寝起きの俺を力任せに貫いてくれ
獣の様に、津波の様に、力任せに、理性なんかドブの底に捨ててしまえばそれで良いんだ
この身が裂けようが構わない。小傘ちゃんに引き裂かれるのなら、それはもう本望なんだ!
良いよ、小傘ちゃん……本当に可愛い
ふふふっ、何時見ても可愛い仮性包茎のおちんちんだね……先端からぷっくりと我慢汁が溢れているなんて、朝からエッチなんだね……
ああ小傘ちゃん……君は本当に、可愛いフタナリ美少女だよ…………タマをきゅぅぅっと指先で摘むと、君は切なそうに叫ぶんだよね
仮性包茎の小傘ちゃんの皮を指先で弄くる度に、君は甘い声で鳴いてくれるんだね
小傘ちゃん……ああ、小傘ちゃん…………
喉が渇いたから、君の精液が飲みたいよ
かるは
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/16 18:39:44
更新日時:
2009/10/17 03:39:44
分類
寅丸星
ムラサ船長
相変わらず人は死にません
やはりエロはありません
何処を探してもグロはありません
もしかすると産廃に相応しくないかもしれません
浄化されそうだったけどチラ裏で気分がすこぶる良くなった、ふしぎ!!
チラ裏ってレベル(ry
俺の星蓮船ジャスティスはこれだけだ!!!!
かるは愛してる!!!
これを読めば水星好き増えるよ絶対!!
ああもうこの二人愛しすぎるvv