幻想郷だったもの

ここは博霊神社。そこはかつて花が咲き乱れ、宴会場としてたくさんの人も妖怪も集まっていた幻想郷の中心と言っても良い場所だった。
しかし穏やかさは全く残っておらず、木は殆どが折れ残っている木も花を咲かすことは無くなった。
神社前の石段は跡形も無く荒れ、石段としての役割を果たしていない。
全くお金の入っていない賽銭箱は、面影も残さずに破壊されている。
神社本殿は面影は残っているものの、床から雑草が生え襖は無くなっていて、
徐々に崩れ始めていて建造物として使うことは出来ないであろう――

これが今の博霊神社の姿だった……






妖精の湖の近くに建つ紅魔館。そこは幻想郷に霧の異変をもたらした、立派な屋敷だった。
しかし今は門番が見張っていた門は跡形も無く破壊され庭の花は完全に無くなっていた。
屋敷内は、いつも掃除されていただろう廊下は物が散らかっており、
巨大図書館には本が一冊も残っていなかった。
所々ドアも吹き飛んでいて、窓ガラスは全て割れて破片が少し残っている程度だった。
屋敷の主の部屋はベッドが残っているのみで、天井には穴が出来ている。
地下室はホコリが積もっているぐらいだ。

かつての頃とは変わり果ててしまった紅魔館。
当日の立派さが戻ることは無いだろう……




幻想郷に暮らす普通の人間が集まる人里。
ここは市場が出来、祭りがあり、集会が開かれ、と様々な施設も集まっていた。
外界からのアイディアを参考に長屋という集合住宅地や、銭湯という風呂屋も作られ、これからも発展していくであろうものが窺えた。
しかし今では家々は崩壊し、市場の屋台があった跡が残るのみで、長屋は家と家の仕切りが壊され、銭湯はタイルがいくつも剥がれ落ちていた。壁には大きな穴が出来ていて、そこから外が丸見えになっている状態で使い物にはならなかった。

たくさんの人間で繁栄をしていたであろう人里は、今では人の住まない廃墟と化していた。




竹林の奥深くに存在する永遠亭。
当時は医療機関として、研究機関として存在していたが、今では爆発の影響で多くの有毒薬品が漏れ出している。

永遠亭周辺には毒の影響で突然変異した、地球には存在するはずのない生物が住んでいる。
突然変異した生物たちのリーダーであろう生物の首にはニンジンのネックレスがついていた。

今の永遠亭は謎の生物発生と放射能のポケットにより幻想郷で最も危険な地域となっている。





魔法の森は魔女が住んでいるとして有名な森だったが、今では木々のほとんどが無くなって森とは言えないレベルである。
それに加え幻想郷内では放射能のポケットが一番多い地域となっている。

森の中の開けた場所にぽつんと看板が立っており、それには「アリス・マーガトロイド宅」と書かれているが、辺りには建物が建っている跡もない。
おそらく家ごと爆発の影響で全て吹き飛ばされたものだと思われる。








ここは幻想郷。かつては平和に暮らす人間と妖怪の姿があった。
しかし今生き残った極少ない人間が生活している地獄となっている。