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『食べたくなかった。』 作者: risye
一人の外来人が大きな穴に落ちた。その穴は地底に続く大穴だった。
「あ…やば…」
男は「死んでしまう」と諦めていた、男は落ちていく。
「…!」
男の落下が止まった。
体が勢い良く弾む。まるでピンと張った布の上で飛び跳ねたかのように弾み続けている。
男は周りを見る。まるで自分が落ちてくるのを予測してたかのように張られたこの網は誰が作ったのだろうか。
「やれやれ…まさかあの穴に落っこちてくる阿呆が居るとは…糸で網を作っといて正解だったよ。」
どこからか声がしてその方向に振り返ると黒いリボンで後ろ髪を結った金髪の少女が
「あ、ありがとう。この網が無かったら俺は死んでいた。ありがとう、」
「…どういたしまして。人間。でも…」
男が礼を言って今すぐにでも上に登ろうと思って体を動かそうとすると動かなかった。
「!?、この……糸が…粘着いて…」
「あはは、ごめんごめん。蜘蛛の糸だから少し粘つくかぁー、ま。ここであんたが落っこちてきたのも何かの縁。少し自己紹介でもしようじゃないか。私はヤマメ、黒谷ヤマメ。ヤマメでいいよ、」
「じゃあヤマメ、少し話しよう。妖怪は長生きだから俺なんかの名前なんてすぐ忘れちまうだろ。名乗る必要はないかな。」
「あ、そうかい…ま、私はいつでもここで網張ってるからまた落ちてきても助けてあげるよ。ほら、上まで送ってあげるよ。短い間だったけどお前さんと話できたのは良かった。また…来るわけないか…」
「来るよ。また、俺は行く当てがないから宿を探せなかったらいつでもここに降りてくる。だからその時にまた話しようや。ヤマメ。」
予想の斜め上だった。男はもうここに来ないかと思っていたがヤマメに会いにいくためにわざわざこの穴に落ちてくると言うのだ。
「わ、私はその…蜘蛛の妖怪だし…」
「女じゃん。妖怪でも男女あるんだろ、じゃあヤマメは女の子だ。」
「ば…馬鹿!」
男はヤマメに引っ張られ地上に戻ってこれた。
「ありがとう。ヤマメ、じゃ、また来るよ。」
「そうかい。ま、期待しないで待っているよ。」
男はヤマメに手を振りながら人里に食と職を探しに行った。
……男は毎日毎日地底の大穴に落ちてきた。
ヤマメも最初は驚いたがじきに男が降りてくるのが当たり前になってきた。
男は人里での愚痴や苦労話をヤマメに聞かせたり、二人で世間話をしたりと毎日楽しい生活だった。
最初は男との会話に何も感じなかったヤマメだが、月日を重ねるうちに男とあって話するのに若干の恥じらいを感じていた。
その恥じらいはいつしかどんどん大きくなっていった。
男と出会ってからそれなりの時間が経つ。
そして生命の芽吹きの季節、春
数多の生命が生まれるこの季節、ヤマメも例外無く新たな命を作ることを無意識のうちに望む季節。
簡単にいうと発情期ということなのだが。
「ん…あぁ…なんで今年は…こんなにも…キツいの…?」
ヤマメはこの季節に悩まされてはいない方だった。自制がたまに効かなくなるだけであるで一人横穴に閉じこもっていれば問題はない
……が『今』はそんなことはできない。もしここを離れてしまうと今日も降りてくるであろう男を受け止めることが出来なるなるからだ。もし今日網を張らないで一人篭ってしまうと地底の薄暗い地面に赤い化粧をぶちまけてしまうだろう。
そうヤマメは今日も男を受け止めて、男と世間話をして、男を何事もなく地上に帰さないといけないのだ。
「うぅ…大丈夫、自制は効くはず…いや、絶対理性を保って…んぁっ!」
男が来ると思ってしまうと体の高揚感が止まらない。
「『何事もなく』今日を過ごさなきゃ…」
ヤマメはそう決意し今日も後先考えずに落ちてくる男の為に大穴に網を張った。
「よ、ヤマメ。」
「あぁ…今日も来たのかい・・・全く懲りない…ねぇ…」
ヤマメは平常を保っているつもりでも沢山の汗、うっすらと紅に染めた頬、荒い呼吸。
それを見て平常だと誰が思うだろうか。男も例外なくそう思った。
「大丈夫…か?ヤマメ。」
「う、うんっ!」
「そうか…でさ今日人里の寺子屋の先生がさ…」
「…」
ヤマメは今すぐにでも体の高揚感を抑えていたが。男と隣り合って会話しているうちに体のあちこちがどんどん熱くなり、最終的には男にもたれかかる形でぐったりと倒れた。
「ちょ…ヤマメ!本当に大丈夫!?」
「あはは…なんかね。体中が暖かいの…もう少し。こうしたいな…」
このままじゃ男に心配をかけてしまうと思ったヤマメは男に全て話すことにした。
自分が今発情期であること、でも一人小屋に篭ると男が落ちてしまうから今日は我慢していたのだが今男と会話しているだけで体の疼きが止まらないということも・・・。
「そうか・・・そんなに辛いのか…ん〜〜〜〜…どうしたものか…」
男が考えている内にヤマメの様子が変わっていった、
「ダメ!ダメぇぇ!!もう・・・んあぁ!んあっ!!!!」
ヤマメの背中から禍々しいほどの毛を纏った虫の足が生え、口には鋭く尖った牙、顔中に散らばる残り六つの目、
「ヤマ…おぐっ、」
「……………」
ぐしゃ、ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!」
べき、べきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべきべき
「んぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぃ!!!んがっ………」
かぷっ、がぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっがぶっ
「……………ああああああああああああああああああああ!!!」
がぶっ
ごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごくごく。
「……………や、ま……め…」
ぷはぁ、
ヤマメはふっと我に返った。何故かお腹が膨れていた体の火照りも治まっている、
あの男が何か差し入れでも持ってきてくれたのだろうか、
「あれ?あの人はどこに…お礼言わなきゃね。」
気づきたくない現実はすぐそこにあった。
ヤマメの腕のなかには干したトカゲのようにからっからに干からびたあの男がいた、その瞳はどこかを見ていて、体中には牙の痕がびっしり残っていた
覚醒したヤマメは男を食べた、どこもおかしくはない。それが現実、現実なのだ。妖怪が人間を襲うのに誰もお咎めをしない。だって食べなければ死ぬのだから。
「………あっ、ああああああああああ!!!!あんたっ!!!あんたっ!!!起きてよ!!!ごめんよ、ごめんよ、私が直ぐにあんたを地上に送ってあげていれば!!なんで、なんで蜘蛛の妖怪なのよ…好きだった人を食べるなんてそんなの…嫌ああああ!!!!」
蜘蛛女は泣いた。泣き続けた、乱暴に扱えばすぐに崩れそうな男の死体を持って泣いた。
…もう、誰も地底に入れないことを心に誓った
「また私の餌食になるぐらいなら…いっそ、いっそこうすれば。」
ここは地底への入り口。
今地底の入り口には巨大な蜘蛛の巣が張ってある。誰も、誰も入れないように、
「おい、この蜘蛛の巣邪魔だぜ。焼き払うか?どうするよアリス?」
「あの化物蜘蛛め…いいわちゃちゃっと燃やしちゃって魔理沙!!温泉に行くんでしょ?」
「あたりまえだぜ。」
モノクロ服の魔法少女が右手を蜘蛛の巣に向け、その右手から、いや右手に握った何かから巨大なレーザーを放つ。
「ちょっとやりすぎたか。ドラゴンメテオぐらいやれば良かった気がするぜ。」
「はぁ、さっさと行くわよ魔理沙。」
「おうよ。」
蜘蛛の巣は焼き払われた。
ヤマメが泣きながら必死に張った蜘蛛の巣を燃やした二人は死ねばいい。
ふと、ヤマメに捕食されたいという願望から浮かんだものです。
ちゃんとしたいじめになるはずがどことなく一輪さんと同じように責めてしまいました。
お疲れ様でした。
risye
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/25 08:45:03
更新日時:
2009/10/25 17:45:03
分類
ヤマメ
とにかく魔理沙とアリスに死ねと言いたい
捕食?
死ななくても片方はあの人にもっていかれそうだ
発熱嘔吐湿疹幻覚下痢を永続したまま死ねない苦しみを味わうべきですなー
魔理沙とアリスはヤマメちゃんに酷いことしたよね
やっぱり虫な女の子は好きな男の子食べるよね。
魔法使いの二人は病死してしまえばいいと思う。