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『超高齢者戦隊ババレンジャー【第6話】(後編)』 作者: どっかのメンヘラ

超高齢者戦隊ババレンジャー【第6話】(後編)

作品集: 5 投稿日時: 2009/10/25 18:59:12 更新日時: 2009/10/26 07:48:00
超高齢者戦隊ババレンジャー第6話・遭遇!悪の帝王現る!(後編)



「永琳、魔理沙の調子はどうなの?」
「脊椎は薬である程度治ったけど、後遺症が残るかもしれないわ。右足は残念だけどひざから下は切断することになってしまうわね。」
ここは博麗神社の一室、霊夢の寝室だ。そこにいたのは全身を包帯でグルグル巻きにされてぴくりともせずに布団に横たわる魔理沙と霊夢、異変を知らせに駆けつけたババレンジャーの5人と萃香と魅魔、そして魔界の創造神である神綺がいた。
「魔理沙さん・・・魔理沙さん・・・。」
さめざめと泣く白蓮を幽々子が慰めた。
魔理沙は生きていた。神綺がすんでのところで魔理沙を救い出したのだ。魔理沙は大怪我をしたものの奇跡的に生還した。
「ううぅ・・アリスちゃん・・ひっぐ・・・アリスちゃんどうしてこんなことを・・・・ぐす・・。ママは何を間違えてしまったの?」
「神綺さん・・・落ち着いてよ・・・悪いのはあんたじゃないんだから・・・。」
泣きじゃくる神綺を魅魔が慰めている。
「信じられないわ・・・アリスがこの幻想郷を支配しようとしているなんて・・・・。」
霊夢は信じられないという顔で魔理沙を見ていた。
「なんて言うことかしら・・・まさかアリスがそんなことを考えていたなんて・・・ずっと仲間だと思っていたのに・・・。」
紫がつぶやいた。
そのとき、今まで意識が無かった魔理沙がもぞもぞと動き始めた。
「う・・・ううぅ・・・アリス・・・なんでだよ・・・アリス・・・。」
「魔理沙?大丈夫?」
霊夢が魔理沙の顔を覗く。
「うぅ・・・アリス・・・やめろ・・・バカな考えは・・・捨ててくれ・・・・。」
「魔理沙・・・私は霊夢よ。大丈夫?魔理沙。どうしよう永琳、魔理沙が変だわ。」
「まだ意識が戻ったばかりだから判断力がおかしくなってるだけだわ。一時的なものだから安心して。」
「ううぅ・・・ああ・・・霊夢・・・お願いだ・・・お願いだからアリスを止めて・・・あいつを止めないと・・・うううぅぅ。」
「魔理沙!無理しないで!必ずアリスは私たちが止めるわ!だから安心して!」
「霊夢!私たちも一緒に行くわ!アリスを止めましょう!魅魔さんは魔理沙をお願い!」
紫が言った。ババレンジャーたちがうなづいた。萃香や霊夢、魅魔も無言でうなづいた。
「待って!」
いきなり神綺が叫んだ。
「私が・・・私がすべての尻拭いをするわ・・・。私にすべて任せて!」
「神綺さん!アンタ本気か!?」
魅魔が驚いたように言った。
「道を踏み誤った自分の子供にお仕置きをするのは親の義務でしょう?アリスは私が創造した私の娘ですもの。たとえ私がおなかを痛めて生んだ子供でなくても、私の娘であることは間違いないわ。」
「神綺さん・・・。」
神綺はもう泣いてはいなかった。
「魔理沙さん、皆さん。家の娘がご迷惑をおかけしました。私はあの子と刺し違えてでも止める覚悟です。もう皆さんに生きてお会いすることも出来ないかもしれません。それでは。」
そういうと、神綺は飛び立っていった。
「ううぅ・・・アリス・・・アリス・・・お願いだ・・・目をさまして・・・。」
8人は小さくなってゆく神綺をずっと見続けていた。誰一人として、言葉を発さなかった。悪夢のような現実にうなされる魔理沙を除いて。


「くっそう!小指の先も見つからない!ふざけんじゃないわよおおお!!!」
そういってアリスは近くの木を殴りつけた。魔理沙の破片を探すためアリスはまた爆心地に戻ってきていた。破片が無ければ魔力を増強出来ない。
「おかしいわね・・・いくら粉々にしたからって破片すら見つからないなんて。」
アリスは背後に気配を感じて振り返った。はるか遠くの空からポツリと一つの影が飛んできた。神綺だ。
「アリスちゃん、おひさしぶり。」
地面に着地した神綺はいつものようにアリスに笑顔を見せた。
「ああ!ママ!久しぶりね。元気だった?」
アリスもいつものように返した。
「ずいぶんぴりぴりしてるみたいだけど何が見つからないの?」
神綺はアリスになるべく普通を装い言った。さきほどはあんなことを言っていたがいざアリスに会うとやはり信じられなかった。自分の娘がそんな事するはずが無い。心のどこかでそう思ってた。
「それがね、いま黒魔法の生贄にしようと思ってお友達の魔理沙を吹っ飛ばして殺したんだけど破片が見つからないのよ。あれが無いと黒魔法の増強が出来ないわ。ママも探してくれる?」
アリスは何一つ悪びれる様子も無く普段と同じ様子で言った。
「・・・アリスちゃん、それは本気で言ってるの。」
「何言ってるのよママ、私和冗談でそんなこと言わないわ。ちょっと魔法使って呼び出し・・・!!」
アリスがとっさに後ろに手をかざす。そこに弾幕が叩き込まれた。神綺は六枚の羽を展開させていた。
「・・・ママ、どうして魔理沙みたいなふざけたまねをするの?」
「アリスちゃん。魔理沙さんは生きている、そして今魔理沙さんはここにはいないわ。ママが安全なところへ運んだの。魔理沙さんはそこで治療を受けているわ。」
「ふーん・・・ママったらそういうことするんだ。」
アリスは右手に魔力を集中させはじめた。右手に禍々しい黒い煙が渦を巻き、中心が紫色に光り始めた。
「最期に聞くけど、何で私の邪魔をしたの?実の娘でしょ?助けるのが普通じゃない?」
神綺はアリスを見つめながら言った。
「アリスちゃん・・・あなたは重大な過ちを犯してしまったわ。そして今も侵そうとしているし、これからも侵し続けようとしている。アリスちゃん、この愚行をやめるつもりが無いのなら、ママはあなたを殺す。そしてママも死ぬわ。ママと一緒にあの世でちゃんと罪を償いなさい。」
アリスは少しだけ微笑んだ。
「言いたいことはそれだけ?じゃあ私も言うわ。私の言うことをきいてくれないママなんて大っ嫌い。悪いけど一人で死んでね。ママ。」
アリスの手からビームが発射された。


神綺は地上を離れ、上空に飛び立った。そして渾身の弾幕を放つ。
アリスの半径50メートルが一瞬にして吹き飛んで炎と煙と轟音を上げた。
その炎と煙の中から高速で飛び出たアリスがこちらへ向かって飛んできた。
「はっはっは!ママ!何よあの子供だましみたいなの!癇癪玉なんかで私は死なないわよ!!」
そしてアリスは両手に魔力を集中させて神綺に殴りかかった。神綺は両手を交差させてそれを防ぐ。
「おらっ!おらっ!おらっ!おらっ!おらっ!おらっ!おらっ!どうしたのっ!反撃もっ!出来ないのっ!?」
無慈悲に左右の手をたたきつけるアリス。神綺の服の袖は破けて跡形も無くなり、腕の皮膚と筋肉は裂けて骨が顔をのぞかせているところもあった。
「でかい口叩いてたっ!割にはっ!あまちゃんねええっ!!ねえママああぁ!!!!」
アリスの叩き落すような打撃にはじかれ、地面に墜落した神綺。
「喰らええええ!」
アリスが神綺に向かって何発ものビームを打ち込む。しかし神綺はそれをよけながら飛んできた。アリスに向かって何十何百もの弾幕を打ち込んだ。しかしアリスはそれを腕の一振りで消し飛ばした。
「へなちょこ!!!くたばれ!!!」
弾幕もろともアリスの腕から発せられた衝撃波で吹き飛ばされた神綺。地面に自分の弾幕もろともたたきつけられた。跳ね返った弾幕で神綺の周囲100メートルは瞬時に火の海になった。
燃え盛る焼け野原の真ん中に降り立ったアリスに、またしても弾幕が束になって飛んできた。
右手でそれを吸収し、また右手を振り、波動で目の前の炎をかき消した。
炎の向こうにはぼろぼろになった神綺がいた。羽はすべて折れ曲がりもう使い物にならなくなっている。体中が傷だらけになり、服は血と土埃で汚れ引き裂かれもはや肌を隠すという本来の機能は果たしていなかった。
「ママ!まだそんなに反抗する力が残ってるのね?さすが私のママね!ママもそんなに私の生贄になりたいのね?!うれしいわママ!」
アリスは歓喜の声をあげた。
「アリスちゃん・・・お願い・・・こんなことはもうやめて・・・お願いだから・・・目を覚まして・・・。」
炎の中をよろよろとアリスに近づいてゆく神綺。
「まだ言ってるの!?いい加減にしなさいよ!!」
アリスは神綺に駆け寄ると、神綺の頬に拳をめり込ませた。
「ごぶっ!」
焼けた地面に倒れこむ神綺。
「このっ!ザコがっ!いい加減っ!死になさいよっ!私のっ!ために働くかっ!死ぬかっ!どっちかにしなさいよっ!!」
神綺の腹を踏みつけ続けるアリス。神綺は鼻と口から血を流し、ごほっ!ごほっ!っと言い続けた。
アリスは神綺の首をつかむと、片手で締め上げ始めた。
「さあ、これからあなたを殺してあげるわ。最期に言いたいことはなんかある?」
神綺の目からぼろぼろと涙がこぼれ始めた。神綺の口から漏れ出すように声がした。
「アリスちゃん・・・ごめんね・・・守ってあげられなくてごめんね・・・救ってあげられなくてごめんね・・・ダメなお母さんでごめんね・・・。」
アリスは笑みを浮かべた。
「言いたいことはそれだけ?いいわ。じゃあダメなママを今から殺してあげるね。今度はもう少しましな母親に生まれることね。」
アリスは手に少しずつ力を込めてゆく。
神綺の頭の中に、魔界でのアリスと過ごした日々がよみがえる。一緒に原っぱで追いかけっこをしたりおままごとをした。アリスに花の冠を作ってあげたらとても喜んでいたっけ。
アリスの誕生日に一緒にケーキを作った。真っ黒にこげちゃって一緒に周りの焦げをスプーンで削ったっけ。
アリスとお風呂で背中を流し合ったこと。アリスと同じベッドで横になり本を読んであげたこと。アリスと一緒に魔法の勉強をしたこと。いろいろな思い出が一度によみがえってきた。
でももう過ぎ去ってしまったこと、もうすべてが帰ってこない。アリスを改心させることも。自分もろともその人生に終止符を打たせることも出来なかった。自分が心から愛した娘に殺されるならある意味本望かもしれない。燃え盛る炎の中、自分の心の中のアリスとともに、このアリスに殺されよう。それも悪くないかもしれない。
「バイバイ、ママ。おとなしく成仏してね。」
神綺は目を閉じた。
「・・・?!」
アリスの目の前が、いきなり白い光に覆われた。そしてアリスは吹き飛ばされた。地面にたたきつけられたアリス。起き上がると、そこには誰もいなかった・・・ただ、誰かのちぎれた右腕が落ちていた。
「・・・まさか!」
自分の腕を見るアリス。肘から先が無い。腕がちぎれて、そこからおびただしい量の血が流れ出ていた。
「いやああああああ!!!!!」
絶叫するアリス。
アリスの体、地面、そしてちぎれたアリスの腕に水滴が落ち、頭上で雷鳴が鳴った、あたりは段々と暗くなっていった。
「くそおおおお!!!!夢子おおおお!!!!てめえかああああ!!!!!!!出てこい!!!ぶっ殺す!!!ぶっ殺してやるうううううううう!!!!!!」
燃え盛る炎と大雨の中で、アリスの咆哮はいつまでも響き続けた。


「神綺さん・・・遅いね。」
博麗神社ではババレンジャーたちや霊夢たちが待っていた。魔理沙は容態が落ち着いたので永遠亭に運んだ。脚は今夜鈴仙が手術をしてくれるという。
「雨が激しくなってきたわねえ、台風かしら?」
霊夢が空を見上げ、言った。
「不吉だわ・・・。」
「あ!何か飛んでくるわ!」
雨の中を、猛スピードで何かが飛んできた。」
「神綺さん!?」
段々と近づいてくる人影、しかしそれは神綺ではなかった。息を切らし、額から血を流して飛んできたのは、寅丸星だった。
「霊夢さん!霊夢さん!大変ッス!」
星は縁側に飛び込んできた。
「ああ白蓮さん!紫さん!大変ッス!命蓮寺を・・・命蓮寺をバカ十字団にのっとられたッス!みんな人質になってるッス!」
「何ですって!」
5人は立ち上がった。
「みんな・・・どうか無事でいて。」
白蓮がつぶやいた。
「みんな!いくわよ!1.2.3.・・・ウォリャッ!」
5人は神社を飛び出し、雨の中を飛んでいった。


しかし彼女たちは知らない・・・悪人たちはもはや強大すぎる危険な力を着々と手に入れつつあることを・・・!


行け!超高齢者戦隊ババレンジャー!進め!超高齢者戦隊ババレンジャー!
お空がバカ十字団につかまって監禁されていることは気にする必要はないぞ!!




超高齢者戦隊ババレンジャー
第6話                 完
またしても長編に・・・。

最近になってやっと最終回までの大まかなあらすじが決まりました。

実を言うとこれを書く寸前まで黒幕を魔理沙にしようかアリスにしようか迷ってたんですね。

正直神綺ママとの対決が書きたかったがためにアリスを黒幕にしたんですね。

手が痛くて書く速度が遅くなってきた・・・。
どっかのメンヘラ
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/25 18:59:12
更新日時:
2009/10/26 07:48:00
分類
幻想郷最凶のババァ軍団
老害
後編バトル
正面対決したのはババレンジャーじゃない
やっぱりあんまりグロくなかったよ
黒幕無双
筆者の手の調子がからっきしだよ三級品
1. 名無し ■2009/10/26 08:41:54
なんだ、またアリスか。
2. 排気ガス ■2009/10/26 11:21:05
アリスちゃん大勝利ね!
3. 名無し ■2009/10/26 12:07:00
血ヘド撒き散らす神綺様もブチギレアリスちゃんもマジかわいい

ラストで言われるまでお空がさらわれてた事を忘れてましたw
4. のび太 ■2009/10/26 12:15:23
マーガロさんとロリスって同一人物だっけ?

神埼ママさんをぬっ頃そうとするとは…

あとなにげに魅魔様が。


お空がバカルテット十字団に…。

あと文出して!
5. 名無し ■2009/10/26 21:31:25
これだからアリスは
6. ヤマコ ■2009/10/26 22:07:48
マガトロさん絶賛反抗期&新世界の神(予定)ですね。
7. 名無し ■2009/10/27 01:33:19
ババレンジャー史上最大の戦い!!
駆けろババレンジャー!吼えろババレンジャー!
目じりの小じわは正義の印ッ!!

(しかし1話から大分作風が変わったな、オイ・・・)
8. 名無し ■2009/10/27 07:25:06
脳内でアリスVS神綺の戦闘描写がドラゴンボール風になるほどの迫力だったぜ……
あと神綺さんの届かない母の愛情に胸が痛くなるばかりだった。
この回は一番好きだ
9. 中将 ■2009/10/27 17:03:53
これが母ゆえの愛か・・・・・・
神綺様の愛情が分からないなんてアリスは万死に値するな。
そして、クライマックスへ着々と近づく・・・・・
10. どっかのメンヘラ ■2009/10/28 15:41:41
>>1
そう、またなんだ。
>>3
大丈夫!作者も忘れかけてたから!
うそうそ、ちゃんと出すよ!
>>5
そんなあなたにアリスシャイン!
>>7
がんばれババレンジャー!シップ引っさげていざ発進!
作風が変わった?そんなわけ・・・あった。
>>8
親心子知らずですな
>>排気ガスさん
腕もげたけどな!
>>のび太さん
文は自分もぜひ出したいと思っている!
しかしなかなか機会がね・・・。
>>ヤマコさん
果たしてアリスは新世界の神になれるのか?!
来週に続いてたまるか!!阻止せよババレンジャー!!
>>中将さま
今こそ高らかに叫べ!「アリスシャイン!」
11. のび太 ■2009/10/30 20:38:31
しかし命蓮寺を占拠するには武器が必要だな…。
とりあえず、ルーミアはBAR(自動小銃)でリグルは戦斧と…
え?元ネタ?あの「兄姉」に決まってんじゃん
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