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『超特急で陥落』 作者: 極楽

超特急で陥落

作品集: 5 投稿日時: 2009/10/27 09:24:51 更新日時: 2009/10/27 18:51:23
今日も今日とて、ミスティアは歌う。
夜雀の妖艶な歌声は、魔法の森の瘴気の中に溶け込んで、妖怪たちを呼び寄せていた。
それは小さな百鬼夜行。
人間の恐怖そのものを体現したかのような妖怪たちは、歌に導かれ人間を襲い、血肉を喰らうのだ。
だが、この話にはほとんど関係がなかった。

「ブラックナーイ♪ イッノーラーイ♪ あ、いらっしゃい!」
「よっ、みすちー。串揚げとお酒ね」
「はーい」

暢気なミスティアの歌声に引かれ、ヤツメウナギの屋台に客がやってきた。
一番に暖簾をくぐったのは常連客の小鬼、伊吹萃香。
萃香は刺股のような、大きな二本の角を揺らして、よいしょと長椅子に座る。
まるで親に連れられて居酒屋に入った、子供のようだった。
ミスティアは手馴れた動作で、突き出しと酒をカウンターに置く。
萃香は貝の佃煮を摘みながらぐいぐいと酒をやり、あっという間に飲み干した。
子供のように見えても、萃香は酒豪なのだ。

「ふぃー」

酒を飲んで一息ついた萃香が、安堵のため息を漏らした。
一杯飲んで人心地ついたという感じだろうか。
アルコール依存症の気がある萃香は、八分の楽しみと、二分の義務感から酒を飲んでいる。
あと百年もすれば、この割合も変わっているだろう。
ミスティアはもう一杯、萃香のコップに注いでやった。

「ありがと」

ミスティアは笑顔で頷く。
萃香がどのくらい酒を求めているのかも、今では聞かずとも判る。
物覚えの悪いミスティアだったが、何度も萃香の注文を聞いているうちに、体が萃香の要求を覚えこんでいた。
わざわざ注文を聞かなくても、雰囲気で判断できるのだ。
萃香もそれが嬉しかった。
萃香は酒を飲みながら、椅子の間で足をぶらぶらさせて、鰻が出来上がるのを待った。
足にあわせて前後に揺れる角が、二人分のスペースを取っているため、少し邪魔である。
萃香曰く、縦に小さいから、その分横にスペースを取っているらしい。
しかし、幼子のような外見をしているが、萃香は強力な鬼。
態度の大きさは鬼という種族の自負心から来るものだ。
よほど気骨のあるものでなければ、萃香に意見することなど不可能だろう。
勿論、ミスティアも慣れるまでは、怯えながら接客していた。
もっとも、距離感がわかった今では、気の良い常連客だった。

萃香が酒を飲んでいる間、ミスティアは鰻を焼く。
あらかじめ蒸してあった鰻を網の上に乗せて炙ると、油が滴りじうじうと小気味の良い音が響いた。
ミスティアは鰻を焼きながら歌う。
真夜中に響く歌声は、誰も知らない歌詞を歌う。
透き通った声と、少しの切なさを持った声色は、夜雀の屋台の位置を知らせるのだ。
それは、屋台に訪れた客が強制的に聞かされるアカペラである。

「良い声だね」

萃香の言葉に、ミスティアは嬉しそうに目を細める。
ぱたぱたと団扇で炭に空気を送りながら、一層強く声を出した。
歌うことが好きなミスティアは、自分の声を褒められることが何よりも嬉しい。
ミスティアはご機嫌に歌いながら、焼きあがった鰻を萃香に出した。

「来た来た、いただきまーす」

香ばしいタレの匂いが鼻腔をくすぐる。
萃香はたまらずかぶりついた。
柔らかい鰻の肉は、噛むとタレが染み出して、ほろほろと崩れていく。
甘いタレと染み出した油の味覚が合わさって、深い旨味が口の中に広がった。
それを飲み込んだとき、喉を落ちる満足感は、何とも言えないものだった。

「くぅー、やっぱりみすちーの鰻は堪んないね」
「えへへ」

ミスティアは照れ笑いを浮かべながら、次の鰻を焼いていた。
そして歌う。
客から話し掛けられるまで、あるいは話したそうな表情をしていないときは、ミスティアは歌うのだ。
夜盲を引き起こす歌声が、森の中に染み込んでいった。

店を開けてから一時間、ぽつぽつと客足が増えていく。
全員妖怪である。
妖怪たちは他愛もないことを話しながら、ミスティアの料理を食べていた。
今日も好調ね、とミスティアは思う。
声は通っているし、喉の調子も良い。
何より歌声にほどよく艶がのっていた。

ミスティアは屋台に立つとき、自分だけの秘密を持っていた。
着物の下に隠されているのは、香霖堂で買った秘密のマシーン。
ミスティアの秘部には二穴バイブが差し込まれ、クリトリスにはローターをテープで止めて貼り付けてあった。
振動を弱にしているため、客は調理器具から出る音だと思っている。
幻想郷では電動自慰装置の存在が一般的ではないため、誰も気づくことはなかった。

ウィィィィ、ヴヴヴヴヴ……。

体を動かすたび、中で蠢くバイブが敏感な部分を擦り、頭がとろけそうな快感を伝えてくる。
クリトリスに与えられる振動は、一定の快感を持続的に感じさせる。
ミスティアの脳は常に脳内麻薬を垂れ流し、その快感が艶となり、歌声に乗った。
聞いた者を引き付ける歌声の秘密は、ミスティアの快感の喘ぎだった。
気持ち良い事が大好きなミスティアは、屋台に立つ間も自慰器具を手放さない。
始めのうちは羞恥心もあり、腰砕けになって料理もままならなかったが、精神力で肉体の反応を押さえつけ、
浮遊の術を組み合わせるとこで、スムーズな作業を可能にしていた。
最小限の動きで客の要望に応えるため、食器の配置も抜かりない。
ただ、足元に置かれた炭を取るときだけ、差し込まれたバイブが深く暴れ、
ミスティアに激しい快感を伝えた。
このときばかりはミスティアも、屋台の影で快感に顔をゆがめ、必死に声をガマンしていた。
しかし、客に隠れてイケナイことをしているという心が、激しい陶酔感をもたらすのだ。
堪らない背徳感と劣情であった。

ミスティアがこの試みを始めてから、客足も伸びている。
焼鳥撲滅運動のために始めた屋台は目的を達成する日も近い。
しとどに濡れそぼった秘部を太腿ではさみながら、ミスティアはご機嫌で歌っていた。

           ***

深夜の三時を越えた辺りだろうか、見慣れない客が来た。
緑の髪に蛇の飾りを巻きつけた、巫女っぽい少女だった。

「ハーイウェーイスター♪ いらっしゃい!」
「こ、こんばんは」

青と白の服を着た少女、東風谷早苗は、長椅子の端にちょこんと座った。
周囲の喧騒にどぎまぎしながら、小さな声で注文する。

「あの、串揚げをいただけますか」
「ん? ごめんね、もう一度お願い」
「く、串揚げをください! それと、お酒を……」
「はーい」

ミスティアは元気良く返事をする。
早苗は恥ずかしそうにうつむいてしまった。
屋台に来るのは初めてなのだろうか、周りの酔っ払いたちに絡まれて、初々しい仕草で慌てている。
ミスティアは客たちをたしなめながら、早苗に酒をついでやる。
酒を受け取ったとき、早苗は驚きの表情を浮かべ、ぽかんとミスティアを見つめていた。
妖怪に出される酒が珍しいのかと、ミスティアは思った。

二時間後。
夜も更け始め、べろんべろんに酔っ払った客が帰っていく。
最後に残った早苗は、赤ら顔で皿に残った鰻を突付いて、ふらふらと揺れていた。
あまり酒が得意ではないのだろうか、数杯で早苗は限界のようだった。

「ムリに飲まなくていいよ」

気遣うミスティアの言葉に、早苗はうんと頷いた。
早苗は何か話したいのか、しばらく逡巡したあと、ミスティアに声を掛ける。

「あの、店主さん?」
「みすちーでいいよ。どうしたの?」
「えと、じゃあみすちーさん、その……」

早苗はモジモジと赤ら顔でミスティアを見る。
恥らう乙女のような仕草に、ミスティアは不覚にも可愛いと思ってしまった。
早苗は、視線を合わせられないのか、時々目をそらしていた。

「んー?」
「その、みすちーさん。それって、もしかして……」

早苗が指差し、ボソリと呟いた言葉が、ミスティアは青ざめさせた。
誰にも気づかれていない自分の恥ずかしい秘密が、言葉となって出てきたのだ。
肉壷がキュンと疼く。

「どっ、どーしていきなり、そんなこと言うのかな? かか勘違いじゃないかなっ?」

焦ったミスティアはしどろもどろに弁解する。
早苗が言った言葉は、自慰器具の名称だった。
まさか新顔の人間に指摘されるとは。
早苗はうつむいて真っ赤になっている。
ミスティアはあわあわと慌て、よくわからないことを言った。
閻魔の説教が悪い、傍若無人な紅白の巫女のせいだ、良い歌でしょ、明日は雨かなぁ、鰻食べる?
しばらくうつむいていた早苗は、巫女という言葉を聴いたとき、何かを決心したように顔を上げた。
もう照れていない。
強い意志を持った益荒男のように、凛々しい顔立ちをしていた。

「いえ、やはり間違いありません。みすちーさんはオナニーしています!」
「んなっ!?」

ミスティアは目をグルグルとさせて、早苗の顔を見た。
これはまずい。とてもヤバイ事態だった。
いつもは快感を与えてくれる股間の機械が、このときばかりはどこかに消えて欲しかった。

「そそそんなことないよ!」
「うん……うん! 道を失ったものは、正しく導かれねばならないと、神奈子さまは仰っていました。
みすちーさんのことは、私が正しく導きます」

ミスティアの言葉を、早苗はもう聞いていなかった。
自分の中で問答して、自分の中で解決している。
早苗は一度思いつめたら、よほどの事がない限りそれを曲げない性格だったのだ。

「いいですか? 私はその行為を責めたりしません。貴女の信仰が、きっとそうさせているのでしょう」
「はぁ!?」
「ただ、料理を作るときに、オナニーはいただけません。食欲と性欲は大事なものですが、
きちんと分けなくてはいけないのです」
「……あーそうね」

ミスティアは、とりあえず同意しておいた。
突然饒舌に語り始めた早苗が、少し怖い。
早苗は大仰な身振り手振りを加えながら、さらに熱弁する。

「だから私が、みすちーさんを導くのです。いいですか、これからは絶頂を感じたとき、私の姿を思い出してください」
「ぶっ!」

ミスティアは噴き出した。
目の前の人間が何を言っているのか判らない。
正確には、この巫女っぽい少女は、イカレているのではないのかと思っていた。

「あんた大丈夫? 飲みすぎてない?」
「平気です。さぁ、快感を私に捧げるのです。その強い気持ちは現人神の私を通して信仰心となり、
みすちーさんを良い方向に導くでしょう。ああ、これが布教活動というものなのですね、神奈子さま!」
「ちょっと、いいかげんにしなよ!」

自分を置き去りにして進む早苗に、さすがにミスティアも憤った。
自慰がばれたのはマズかったが、たかが人間にこんなことを言われる筋合いはない。
ミスティアは鋭い爪をきらめかせ、早苗をにらみつけた。

「怒るよ」
「あれれ、もしかして怒ってますか?」
「そう言ったでしょ!」
「それは残念です。ですが、私の言葉は間違いではありません。天狗たちもきちんと聞いてくださいました」
「う」

天狗という言葉に、ミスティアは言葉を詰まらせた。
早苗は無意識にミスティアを脅迫しているのだ。
天狗たちは報道好きだ。万が一自慰行為がばれたら、恐るべき脚色をされて、幻想郷中に広まるだろう。
怒りが急速に萎えていく。
代わりに恐怖感が広がった。
すでに自分は、絡め取られてしまったのだと、ミスティアは気がついた。
股間で蠢くバイブが、細い快感を脳に伝えてきた。

「うう……」

悔しそうに唇を噛むミスティアの仕草に、早苗は勝利の手ごたえを感じた。
そして、調子に乗った。

「だいたいねぇ、気づかれないと思ったの? 貴女のその声、その仕草、すぐに何をしてるか判ったわよ」
「……」
「ね、本当はいつか、誰かに言ってほしかったんでしょ? 淫乱な本性を、見せ付けたかったんでしょう?」
「そっ、そんなことない! ……よ」
「ウソばっかり」

にまにまと笑う早苗。
ミスティアの声は、尻すぼみに小さくなっていく。
早苗の言葉に納得している自分がいた。
拒絶の意思よりも、肯定する意思のほうが強い。
確かにミスティアの心は、もっと注目されたいと求めていた。
もっともっと淫靡な声を響かせて、客たちを虜にしたかった。

「私、私は……」
「自分の本性を隠したい気持ちは判ります。だから私にだけ、それを捧げてください。私を信仰してください」

早苗は聖母のような表情で、ミスティアに囁きかけた。

「それがお互い、幸せになれるのです」

耳に忍び込む心地よい誘惑。
恐怖と不安と機械的な快楽の狭間にいたミスティアは、判りやすい逃げ道にすがりつきたかった。
相手は噂に聞く、強大な力を背にした山の上の現人神。
人間の脅迫に屈服する屈辱よりも、自分の恥部をさらけ出される恐怖が勝ってくる。
しかし、ミスティアとて妖怪の端くれ。
無条件に屈服するなど、夜雀としての矜持が許さなかった。
スペルカードだ、とミスティアは考えた。
スペルカード戦に持ち込んで勝利すれば、今日のことを隠匿することができるのだ。

「おもてンでろ!」

ミスティアは怒ったように高く叫び、屋台の表に走った。
早苗を睨みつけ、爪を出して威嚇する。

「言うこと聞かせたかったら、私と勝負よ!」
「……いいでしょう。私のスペルで信仰を刻み込んであげます」
「言わせ!」

思い通りの展開だった。
後はこの人間を負かせば良いだけである。
あまりに弱かったら、食ってしまうのもいいかもしれないと、ミスティアは考えた。
ミスティアは高らかに、スペルカードを宣言した。
黒い霧があふれ出し、早苗の周りを闇が包みこむ。
一切の光を遮断する夜盲スペル、イルスタードダイブ。
このスペルに視界を奪われた獲物は、ミスティアの攻撃が何処から来るのか理解できず、一方的に狩られるのだ。

「ふん、あんたは私の体に触れることも出来ず、切り刻まれて死ぬのよ!」

ミスティアが挑発の台詞を吐く。
怒った相手は注意力が散漫になり、回避に劣る。
ミスティアの爪が、鋭く光った。
意識の中に見える早苗は、ただ立ち尽くしているようだった。

「行くぞぉ!」

残像を引き起こすミスティアの滑らかな動きが、早苗を円形に取り囲む。
闇の中を蠢く気配は、早苗の意識を分散させ、攻撃の方向を読ませない。
ミスティアには、スペルの中にいる早苗の僅かな動きまで、感じられるのだ。

「あはっ、あんたの動きがすべて判るよ」

四方八方からミスティアの声が聞こえる。
早苗は身構えながら、攻撃の発生源を探っていた。
持てる神経を総動員して、ミスティアの動きを予想する。
早苗は予想した動きの位置に、弾幕を放った。
二重のクロスを描いた粒状弾が闇の中に吸い込まれる。
早苗は確かにミスティアの本体を狙い打ったはずだ。
しかし、弾幕は残像に吸い込まれ消えていった。

「ハズレ」
「ぐっ!」

風切り音がした直後、早苗の背後から襲った爪が、背中を切り裂いた。
浅く肉をえぐられた五筋の傷口から、熱い血が垂れる。
早苗は予想外の攻撃に驚き、顔をしかめていた。

「そんな……」
「次は何処がいいかなぁ」

闇の中をミスティアが動く。
残忍な狩人はその本性を現し、脆弱な人間を引き裂こうとしていた。
早苗は再び直立すると、瞳を閉じた。
まるで覚悟を決めた死刑囚のようであった。

「あはは、動きも読めないで、どう戦うの? 今のあんたはただの人形よ」

侮蔑を含んだミスティアの言葉にも、早苗は動揺しない。
瞳を閉じ精神を集中させ、辺りを取り囲む気配をただ探っているようだった。

「死ねェ!」

心臓を掴み出さんと、ミスティアの爪が薙ぐ。
完璧なタイミング。
それは確かに、早苗を切り裂いたはずだった。
しかし、渾身の力を込めた斬撃は、無人の空間を削いだだけだった。

「何!?」
「はぁぁぁぁあ!」

澄んだ声が、ミスティアの上から降ってきた。
早苗は急降下爆撃機のように天空から舞い降り、手刀を叩き降ろした。
早苗の手刀はミスティアの鼻先スレスレを通過し、服を切り裂く。
霊的な衝撃の余波だけでも、ミスティアの体はハンマーで殴られたように振動した。
ミスティアが吹き飛び、倒れた。

「うあっ! ……こ、こんなバカな」

服を裂かれたミスティアの胸から腹にかけて、赤紫の擦過傷が残っている。
ピンク色の自慰器具が、秘部で存在をあらわにしていた。
早苗は傲慢な視線を湛え、ミスティアの傍に立った。
全身から立ち上る気配は、神々しくも恐ろしいもの。

「八坂様の風祝たる私が、貴女の動きを読めないとでも思ったのですか?」
「ううう……」

ミスティアは悔しそうに唸った。
風の神の加護を受ける早苗は、ミスティアが引き起こす流れを捉え、攻撃する瞬間に上空に転移したのだ。
早苗が使ったスペルはモーゼの奇跡。
信仰心で相手の頭をかち割り、啓蒙するスペルである。
勿論、早苗は本格的に退治するつもりはなかったので、体への直撃は避けた。
服を破りミスティアの秘部をあらわにすることで、辱めようと思ったのだ。

「私の勝ちですね、みすちーさん」

早苗は済ました顔で、しかし瞳をギラギラさせながら、ミスティアに囁いた。
鬼神の息遣いが、生暖かい波動となって、ミスティアを包む。
一瞬で心を折られたミスティアは、もう、頷くことしかできなかった。

           ***

今日もミスティアの屋台が開かれる。
常連客でにぎわって、賑やかなざわめきが森の中に響いていた。
最近、屋台の常連に、一人の人間が加わった。

「こんばんは」
「……いらっしゃい」

早苗が訪れると、ミスティアは怯えた視線を送る。
ミスティアは明らかに、早苗が来るのを恐れていた。秘密を知られた恐怖感が、ゾクリと背を伝う。
しかし頭の深い部分では、早苗が来ることを求めていた。
ミスティアは教えられたとおり、イクときは早苗の顔を思い出していた。
脳裏に深く刻まれた表情は、はじめ数回に一度思い出され、やがてそのイメージは増え続け、
今では絶頂を感じるたびに早苗の顔が浮かんできた。
脳内で研ぎ澄まされていく感情は、早苗の姿イコール快感と結び付けられる。
近くで見る早苗は、それだけでミスティアに激しい陶酔感をもたらすのだ。

「今日も良い声ですね」
「……はい」

夜雀は歌う。
劣情を乗せた歌声を聞かせることで、体の中の快感は増し、一層屋台を繁盛させた。
だがその姿はもはや、早苗という鳥かごに囚われた、哀れな一匹の小鳥だった。


おわり
極楽
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/27 09:24:51
更新日時:
2009/10/27 18:51:23
分類
東風谷早苗
ミスティア・ローレライ
信仰
1. 名無し ■2009/10/27 19:28:16
なんという肉奴隷
2. 名無し ■2009/10/27 19:36:25
えろい
3. 名無し ■2009/10/27 19:52:03
鳥篭の鳥は幸せ
4. マジックフレークス ■2009/10/27 19:53:08
>>モーゼの奇跡。信仰心で相手の頭をかち割り、啓蒙するスペルである。
なんて恐ろしい。
5. 名無し ■2009/10/27 19:59:52
美味しいものが食べたい、具体的にはみすちー
6. 名無し ■2009/10/27 20:20:37
雰囲気が無駄にシリアスなのに内容がぶっちゃけくだらないww
7. 名無し ■2009/10/27 21:53:22
>信仰心で相手の頭をかち割り、啓蒙する

外の世界に居た頃からやってたら素敵。
8. 名無し ■2009/10/27 22:04:21
誰かみすちーの歌詞にツッコめよ
9. 黒崎 文太 ■2009/10/27 22:12:00
>歌詞
ディープ・パープル?
10. 名無し ■2009/10/27 22:43:48
変態!変態!
変態!変態!
11. ガンギマリ ■2009/10/27 23:10:05
リッチーはリフもキチガイっぷりも最高
12. どっかのメンヘラ ■2009/10/28 01:47:02
変態という名の淑女、現る。
13. 名無し ■2009/10/28 08:56:52
珍しくまともかと思った結果がこれだよ!
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