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『天狗と河童と排泄主義者。そして鬼との別れ』 作者: ウナル

天狗と河童と排泄主義者。そして鬼との別れ

作品集: 6 投稿日時: 2009/10/30 12:17:39 更新日時: 2009/11/07 22:47:59
※東方Projectの二次創作作品です。
※キャラ崩壊が含まれます。
※スカトロ表現が含まれます。
※オリジナルキャラクターが主人公です。
以上の四つの項目を読んで「私は一向に構わん!」と言う方のみ進んでください。



















目の前に居並ぶ妖怪たちを見て男は息を飲んだ。
黒い羽を生やした四人の少女達。しかも、全員掛け値無しの美少女だ。すらりと伸びた白い足には高下駄のような靴をはいていて、どこか恥ずかしそうに身を寄せている。よくよく見れば男に向かい殺意にも似た視線を投げかけている。
彼女らは天狗。里の信心深い人々の間では神様として拝まることもある強力な妖怪だ。黒い羽がある所をみると鴉天狗と呼ばれる者達だろう。しかし、その天狗たちがへこへこと頭を下げて愛想笑いをしている。男からすれば吸血鬼がニンニクを食べ、太陽の代わりに満月が昇るような異常事態だった。


「これはこれは萃香様。お早いお着きで。へへへ」

「えっとあんたは……。しゃ、しゃー……、そう、射精丸」


その言葉に天狗の一人はひくひくと口の端を歪ませた。


「射命丸、射命丸文でございます萃香様。いやあ、本日はお日柄もよく、このような日に萃香様に御奉仕できるとは一同感激の極みで……」


彼女らのリーダー格なのだろう、射命丸と名乗ったその天狗はモミ手をしながら萃香の方へと近づいてくる。どうやら男の方は眼中に無いらしい。なんとも胡散臭いがここまで平身低頭されては怒る気にもなるまい。それに対して萃香は実に堂々としたものだ。あの可愛らしくも底の見えない笑みを絶やさない。まさに当然の事として天狗達の歓迎を受け止めている。
そういえば幻想郷縁起に昔妖怪の山は鬼が治めていて、天狗はその支配を受けていたという文を読んだ気がする。この前酔った萃香が言っていた「スピリタスがあれば山だって崩してみせる」という軽口が空恐ろしく思えてくる。


「……で、私どもとしましては鬼の皆様によって作られた社会システムには非常に感謝しており、今度もこの体勢を続けつつ完璧な……」

「いや、そういうのはもういいから。別にここに戻ってきてどうこうというつもりはないよ。それよりちゃっちゃと始めて欲しいねえ」

「へへぇ。そ、それでは……」


そう言って天狗達は木の上に登って行ってしまった。とはいえ、それほど高い木ではなくせいぜい3メートルくらいだろう。見上げるというにもちょっと低い。天狗達はその太い幹にスズメのように身を寄せてしゃがみ込む。


「萃香様」

「ん? なあに?」

「あの、一体何が始まるんでしょうか? 見せたいものって天狗様ですか? 一応、神様として扱われているので恐縮してしまうんですが」

「半分当たり。見せたいのはこれから。後、別に恐縮する必要は無いよ。あんたは私の同志でしょう。堂々としておけばいいのよ、堂々と。あんたがあんまりオドオドしていると私まで舐められちゃうよ」


そう言って萃香はまんまるく笑った。その様子に男は不安気な顔を返す。萃香のこの顔の後には大抵トンデモない事が起こると男は経験的に知っているのだ。もっとも知ることができるのとそれを回避できるのとはイコールではつながらないのだが。
仕方なく萃香と同じように天狗達の様子を見守ろうとして顔を上げた。途端、男が固まる。木の上に並んだ天狗達。彼女らは誰一人として下着をつけていなかったのだ。茹でたての半熟卵のようなお尻がずらりと並んび、女性の一番大切な部分も可愛らしい窄まりも全て晒している様子は圧巻だった。


「な、な、あな……」

「どうした? 人間の里が爆散でもした?」

「な、な、なんで下着を……」

「下着? ああ。天狗っていうのはもともと下着を着けない種族なんだよ。特に鴉天狗はね」

「な、なんでですか!?」

「さあ? 空飛びながらおしっこやうんこするためじゃない? 一日中飛び回っている天狗も多いからね。なんだったら本人に聞いてみれば? それとも私が言わせようか?」

「い、いえ結構です」


人としての常識をあっさりと崩され、幻想郷の広さを知った男であった。考えてみれば人間が天狗のスカートの中をのぞくような機会はなかっただろう。天狗は飛べば突風が吹くほど足の速い妖怪だ。移動中に見る事も叶うまい。今まで神聖視していた天狗のあまりに意外な一面を見せられ、男の期待は否応なく高まる。天狗は噂好きだというが、この話を幻想郷中に広められたらどんな顔を彼女らはするのだろう。
そうこうしているうちに、射命丸はお尻を丸出しのまま萃香の方へと振り返った。


「で、では……私たち天狗の卑猥な排泄風景をご堪能下さい……」





「ふぅ! んんっ! んん〜〜っ!」
「くぅ! はあ! くぅううううん!」
「ふん! んん! ふうん!!」
「はぁはぁ……。ふぅぅうぅうん!」





射命丸の言葉を合図に彼女らは幹の上で切なげな声を上げ始めた。枝を掴む手に力がこもり、つるりとしたお尻にはニ三滴の汗が流れて落ちた。そして、彼女らの肛門がちょうど山のように膨らみ、茶色の物体が顔を出した。


「はあ! で、出る! 出ますぅぅぅっ!!」


射命丸のその言葉がまさにきっかけだった。栓が抜けたように彼女らは排泄を始めた。高名な彫刻家がその生涯を注いで作り上げたような美しき天狗の乙女。しかし、彼女らは人として最も見られてはならない行為。最大の禁忌を人間と鬼の目の前で行っている。美しい四人の天狗達の排泄姿はまさに現実離れした光景だった。




「やぁああああ! お尻痛いよぉぉぉぉぉ! さ、裂けるぅぅぅぅっ!!」
一番右側。おかっぱ黒髪の天狗はどうやら相当の溜め込んでいたようだ。太い幹のようなうんこは敏感な肛門を無理矢理押し広げ、ゴリゴリと削りながら地面へと向かう。着地した音もひどく重々しく、圧倒的な重量感だ、


「はぁぁぁぁん! くっ! は、早く切れてぇぇぇ……」
切なげに呟くのは茶色の髪を結い上げてポニーにした天狗だ。彼女はひどく長く粘着質な便らしい。ミチチ……ッ、と音をさせながらヘビのように茶色の固まりが伸びていく。どこまで伸びるのかと目が皿になるように見てしまう。


「うっ! はあっ! あんっ! ああん!」
まるで男のイチモツに犯されているかのように喘ぐのは左から二番目の天狗だ。四人の中でも目を引く白い髪の天狗で、その髪とは対照的な真っ黒なうんこを出していた。しかも水分が不足しているのか、うさぎのようなカチカチで丸いうんこを次々に産み落としている。その様子はまるで黒い卵を産んでいるようだ。


「はあ! んくぅ! んほぉおぉぉぉお!!」
そして一番左端。射命丸と名乗った天狗は四人の中で一番激しく排便をしていた。それは茶色と黒の入り混じった下痢便だった。この前相談を持ちかけられたパルスィという少女とは違い、その量からしてかなり溜め込んでいた便が下痢になってしまったようだ。もしかしたら、私たちのためにわざと下剤でも飲んだのかもしれない。蛇口を最大に捻った時のホースのように凄まじい勢いで下痢便を撒き散らし、射命丸はアヘ顔を晒しながらぴくぴくと身体を震わせた。




「鼻の下伸びてるよ。それにこっちも暴れてる」

「っ!」


萃香はそういって男の股間に触れた。萃香の言うように男のそこは痛いそうなほど膨らみ、服を押し上げていた。萃香は男の睾丸を軽く握ってやった。手加減しているとはいえ鬼の力だ。男の睾丸は縮み上がり、思わず爪先立ちになる。


「す、萃香様……」

「ん。元気元気。たっぷり子種が溜まってるねえ。じゃあ、次に行こうか」

「え? 次って……」


男の疑問に答えることなく萃香は手を引っ張り山の中を進んで行ってしまった。
残された天狗達は顔を真っ赤にして枝の上にうずくまる。白い髪の天狗はボロボロと粒のような涙を流している。

「ったく、鬼の気まぐれに付き合わされる身にもなれっての!!」


萃香が見えなくなったことを確認し、射命丸は口汚く萃香を罵った。しかし、その身に残る快感にほんの少しの名残惜しさを感じていた。



◆◆◆



「ひゅい! ひやぁぁぁぁぁっ!!」


次に萃香が連れて来たのは山を流れる川だった。そして、その川につかりながら男は青い服の河童、河城にとりのアナルにその肉棒を挿入していた。萃香に言われるままにとりを抱いてしまったのだ。
彼女の方からスカートを捲り上げて誘ってきたが明らかに萃香を意識して視線を送っていたところを見ると萃香に命令されていたのは明らかだ。何でも河童も鬼の支配を受けていたらしく萃香の命令には逆らえないようだ。ぽっこりと膨らんだにとりの下腹部も萃香の差し金だろう。


「ひぃ! いっ! くぅぅぅんんぅ!!」


必死に「痛い」という言葉を我慢しているようだった。さほどほぐしてもいない状態で突っ込んだのだから痛むのは当然だ。
肛門には自分の意思で緩められる外肛門括約筋とそれができない内肛門括約筋がある。どんなに肛門の力を抜いて痛みを和らげようとしてもすぐには身体が許してくれない。できるだけ痛まないようにイチモツで肛門の浅い部分を細かく揺するがそれでもにとりの目からは涙が零れている。後の穴はおろか前の穴ですら使ったことがあるのか怪しいものだった。


「あ、あ、あ……っ! 痛い! 痛い痛い! 痛いーーーっ!!」


ようやく肉棒がにとりの奥まで突き進んだ。当然ながらアナルの奥にも空洞が続く。まるで肉棒をどこまでも吸い込んでいくような感覚は何度体験しても飽きることはない。何となく罪悪感はあるが、男の肉棒は誰も到達したことの無いにとりの直腸の奥を感じてカリが大きく膨らんでいた。しかし、その先には腸壁とは違った温かみがある。恐らくにとりの膨らんだ下腹部の中身だ。ねっとりと絡みつくそれを感じながら男はピストン運動を開始する。肉棒がスライドするたびに結合部から川の水が入り、場違いな冷たさを感じさせる。


「くぅ! はぁ……あはぅ……っ!」


にとりの声に女の色が混じり始めた。脳内が痛みを快感に変換し始めたのだ。そして、肉棒の先に熱いドロのようなものがこびつき始めた。冷たい川原の水とのコントラストの中でにとりの温かみはあまりに魅力的だった。

男はその細い両手を掴み、思いっきり腰の後まで引っ張った。激しく腰が密着し、カリが腸内を削る。マシュマロのような尻に陰毛が絡みつき、腰を包み込むように形を変える。その瞬間、にとりの中に男はザーメンを吐き出した。ドロドロとした白濁液はにとりが溜め込んだ汚物と混じり合う。肉棒の震えが収まったとき、にとりは口からよだれを垂らしながら舌を天に伸ばしていた。

先端に汚物を付けた肉棒を引き抜き、男はにとりの太ももを持ち上げる。ちょうど幼女に小便をさせる格好だ。やり手水と言う名前であることを慧音から教えてもらったばかりだ。まだうまく小便のできない生徒はこの格好で用を足させていると誇らしげに語っていた。萃香はその様子を見ながらにやにやと笑っている。


「やぁ……っ。出ちゃう、出ちゃうよぉ……」

「出せばいいじゃん。あんたの出した小便やうんこが川水に溶けて人間の口に入るんだよ。盟友さんと一緒になれていいじゃないか」

「そんなぁ……、やぁぁ……、だ、だめぇ……」


先ほどまで肉棒を咥えていた肛門はどうやっても締めようがなかった。必死に肛門を閉じようとするにとりだが、まるで誘うように蠢くだけだった。そして、どろりと白濁液が流れ出した次の瞬間、


「やぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


にとりの菊門は決壊した。水を吸ってか随分と緩い軟便が川の流れに乗り、茶色く水を染めていく。それらは川によって薄められつつも里まで流れ着き、人々の口へと入るだろう。あるいは洗濯の為に使用されるかもしれない。もしかしたら、その水で米を磨ぐかもしれない。それを想像するとにとりがガタガタと震えだした。そして、意識は現実から剥離していき、「えへへへ……」と壊れたように笑い出した。



◆◆◆



身体を洗い川岸に上がった。にとりは上着を抱えたまま細かく震えていた。男は木に背を預けたままその様子を横目で見ていた。


「ん〜。まだ行けるよね? 一回くらいじゃ治まらないだろう?」


そう言って萃香は男の肉棒に舌を這わせた。裏筋を舐め上げ亀頭の皮の間にチロチロと刺激する。いつもなら、そのまま萃香の行為を受け入れてしまうだろう。だが、男はその行為を静止した。


「なに?」

「……萃香様。何であんなことを?」

「ん? あんなこと?」

「天狗様や河童さんのことです。私も犯っといて言うのもアレですが……」

「なんだそんなこと」


こともなげに言い、萃香は男のモノを咥え込んだ。たっぷりと用意された唾液が潤滑油となり萃香の口を肉棒が滑る。


「んんふぁ、ふふぃへふぉ」

「萃香様何言ってるかわかりません。後、すごくくすぐったいです」

「ぷはっ」


肉棒から口を離し、萃香のくちびるに糸の橋が引かれた。萃香はぷりんのような頬を肉棒にすり寄せながらもう一度答えた。


「あんた、好きでしょ。こういうの」

「……………」

「天狗のときも興奮してたし、河童もたっぷり楽しんだ。普段のご褒美みたいなものよ。それとも責められる方が良かったかい? なら、これから楽しませてあげるよ」

「そんな……。彼女達だって……」

「あいつらだって楽しんださ。ねえ、にとり?」


その言葉ににとりはびくりと身を震わせた。そして、首よ折れよと言わんばかりに青い顔を何度も縦に振った。


「ほら」

「……………そんなの」


震える小さな河童の姿。そして、あの天狗達。そこにあるのはエゴに支配された従者の姿だ。きっと萃香も悪いことをしたという意識はないだろう。萃香の中ではこれは男に対する正当な報酬程度のつもりなのだ。あるいは暇つぶしだ。だが――





「そんなの排泄主義のやることじゃないですよ!!」





男はそれを許せなかった。萃香を押しのけ立ち上がる。にとりが驚いて後ずさるくらいの大きな声だった。萃香も口を半分開けてその様子を見ている。





「排泄は人に与えられた必然の快楽です! 全ての人に与えられた、逃れることの出来ない快感です! ですが、一方的に与えられたそれはただのレイプです! 尻の軽い快楽主義者になんかなるつもりはないんですよ!! 排泄主義者は、私たちはもっと気高くなければならないんです! 原初の快感を思い出してください! 子どものころ一人でトイレに入ったときを思い出してください! 萃香様がやったことはただの……っ!!」





そこから先を男は喋ることができなかった。萃香の指が男の首にかかり、木に叩きつけられたのだ。男は首をへし折られたと本気で思った。昔、乗馬中に振り落とされたときも死ぬかと思ったが、それとは比べ物にならない衝撃だった。初めて会ったときの、遥か遠い“鬼”としての萃香の姿。決して触れてはならない人外。それが男の目の前にいる。彼女はもはや萃香ではない。彼女は“妖怪”だった。それもとびきり危険な。


「……口が過ぎるねえ。胴体と泣き別れしたいのかい?」

「――っ、かぅ――! は――――っ」

「ん? なに? 聞こえないなあ。命乞いはしっかりしないといけないよぉ。ふーん。首元がビクビク震えてるね。怯えてるのかい?」


意識の向こう側が見え始め、下腹部の感触が無くなっていく。異様に熱い感触が最後に残った。それが失禁だと気づく余裕も男にはなかった。


「お漏らしかい? あんたのそんな姿を見るのは初めてだね」


ギラリと萃香の八重歯が光る。その細い腕のどこにこんな力があるのかわからない。必死に萃香の腕を掴むがまるで焼きを入れた鋼のような感触でぴくりとも動かせなかった。そこに布団の中で抱いた柔らかな感触は――ない。


「……殺しちゃおうかな」

「――――っ!!」


萃香の腕に力がこもる。
手首につけた鎖が滅びの音を鳴らす。
頚骨の軋む音を聞きながら、男の意識は失われた。



◆◆◆



再び男が目を覚ましたとき、そこには男を見下ろす青髪の姿があった。不安の為か眉を八の字に寄せて男をじっと見つめている。


「にとりさん……」

「気がつきましたか? ごめんなさい。何にもできなくて」


どうやら男の頭にある柔らかな感触はにとりの膝らしい。先ほど自分を犯した男にもこんな顔を見せてくれる彼女は本当に人間を好いているのだろう。河童は人を盟友だと思っている。そんな話を思い出した。それは自分の身を穢されても許せるくらいの思いなのだろうか。
そして、にとりの側には高下駄をはいた少女の姿もあった。片足で立ち、器用に足を組み頬杖をついている。確かに天狗は下着をはかないようだ。黒いスカートの中には存外毛深い女の証が見えた。


「貴方も災難ですね。あの鬼に振り回されて」

「射精丸さん……」

「射命丸です。射命丸文です。ぶち殺しますよ種馬野朗。もずの早贄みたく森のオブジェになってみます?」

「……すみません。まだ頭ははっきりしなくて」


目の前にいるのが人を撫で殺せる妖怪だと思い出し、慌てて嘘をつく。人命優先。きっと神様も許してくれる。痛む頭を起こしつつ、軽く首を振る。


「萃香様は?」

「どこかに消えてしまいました。何と言うか、霞みたいになって。何処に行ったかまでは……」

「……萃香様、一体どうしてあんな事を」

「さて? あの人は筋金入りの気分屋ですからね。ホント止めて欲しいですよね」


ふぅ、と射命丸はため息をついた。彼女も突然現れた萃香に下劣な要求を飲まされたのだ。「天狗式の排便姿を見せろ」など普段なら絶対に飲める要求ではない。だが、鬼の力を思い返されては跳ねのけられる訳がなかった。

スペルカードのルールに乗っ取った戦いならまだしも、純粋な力による戦いなら萃香は妖怪の山の勢力図を変えられる。それだけの力を鬼という種族は持っているのだ。天狗の長天魔ですら真っ向から鬼と戦うのは避ける。それに萃香と事を構えるということは彼女と付き合いのある地底の鬼達まで相手にしてしまう可能性がある。特に同じく萃香と共に山の四天王と呼ばれていた星熊勇儀は必ず駆けつけてくる。そうなれば事だ。天狗と河童の虐げられていた数百年前の妖怪の山に戻ってしまう。それだけは避けなければならなかった。


「ホント言うと貴方には感謝しているんですよ。貴方が排泄主義という“娯楽”を提供している間は、あの鬼は妙な気まぐれは起こさない。少なくとも山を崩そうとか物騒なことは考えない。おかげでしばらくは抱きまくらを抱いてゆっくり眠れたんですけどねえ。それを思えば、このくらいですんでまだ良かったのかもしれません。ね。にとりさん?」

「え、あ、はい……」


行為のときの自分の破廉恥な姿を思い出したのだろうか、にとりは顔を赤くして視線を逸らしてしまった。男も罪悪感から視線を合わせられない。だが、今はそれどころではない。男は射命丸へと顔を向けた。


「すいません。射命丸さん。“娯楽”と言いましたね」


その言葉を聞いて射命丸はキョトンとした後、営業スマイルで返した。眩しいくらいの良い笑顔だった。


「失礼。気に障ったらなら訂正しますよ。信仰。いや“主義”でしたか」

「……………」

「いえいえ、いいんですよ? 信仰も思想も妄想も人それぞれ。十人十色。万国博覧会の旗印です。スカトロも切断も殺人も死姦も肉体改造も好きなだけすればいいんです。でもね、それは周りに迷惑をかけない範囲での話でしょう? そこからはみ出したいならそれなりの利益を周りに与えるべきです。それができない以上、サークル活動でしか無いんですよ。理解しましたか? 鬼の威を借る人間さん」

「……私はそんなつもりで」

「ほう? では何であの鬼と付き合っているんですか? 身体が目当て? 真性のペドフィリアですか? スカトロマニアのペドフィリアとは偏執的ですね。それとも能力ですか? 彼女の能力ほど信仰を集めるのに向いたものはありませんからね。そういえば“永遠の排泄”を目指しているとか聞きましたがそれに関係しているので?」

「……そ、それは」


男は言葉に詰まった。始めは萃香の中に“永遠の排泄”の答えを見出して呼び出した。それから成り行きで付き合い始めた。身体も重ねた。それから考えれば射命丸の言っていることは正しい。だが、それを口にしてしまうのは何故かはばかれた。
沈黙を保っていた男に首を振り、と射命丸は息を吐いた。


「ま、いいでしょう。今回の事は水に流してあげます。綺麗さっぱりね。貴方がたが妙なことをしない限り、我々天狗からは何もしませんよ。何もしなければね……」


それだけ言い、射命丸は男に手を振って風の如く去っていった。ふわりと藁のような匂いが香り、その中に男の嗅ぎ慣れた匂いも混じっていた。水に流す、なんとも皮肉気なことを言われたものだ、と男は思った。


「あ、あの……」


今まで黙っていたにとりが声をかけた。両手を身体の前に出し、上目づかいに男を見やる。


「わ、私、気にしてませんから! 最後の方とか、とっても気持ち良かったですから! だから、私も全部水に流しますから! ひゃ!? み、水に流すと言ってもそういう意味じゃなくて、えっと、とにかく気にしてません!!」


そう言ってにとりの姿が周囲に溶け込むように消えていく。夢か幻かと男が目を擦っている間にその姿はまったく見えなくなってしまった。河童の技術力は人間のそれを遥かに超えていると言うが、これもそうなのだろうか。それとも何かの能力だろうか。答える人はおらず、そして誰もいなくなった。
さらさらと流れる川の音と葉を揺らす木の葉の音。それだけだ。いつでも何処でも側にいてくれた萃香の気配も今は無い。急に何もない荒野に放り出されたような気分になってしまう。何もかもが自分の手をすり抜けてしまったようだ。


「……帰ろうかな。日が沈んだら、妖怪に出くわしそうだし」


帰りに寺子屋に寄ろうか、と男は考えていた。きっとあの気のいい半獣は話し相手になってくれるだろう。そこまで考えて、ようやく男は自分の股間が丸出しのままだと気づいた。だからだろうか、その背後に迫る影に男は気づかなかった。


「にゃーん! こんばんわ。お兄さん」


股間を急いで直していた男の背中にじゃれつくような声がかけられた。振り向くとそこには赤い髪を二つのおさげにした少女が立っていた。その頭には猫の耳が生えていて、彼女が人間ではないことを示していた。


「……っ!」


言ったそばからこれだ。男は思わず彼女から距離をおこうと飛びのくが、ちょうど伸びていた木の枝に後頭部をぶつけてしまった。


「っぅ!」

「ありゃりゃ。大丈夫? 驚かせるつもりはなかったんだけどねぇ」


言いながら彼女は小枝を折りながら男へと近づいてきた。その顔には人懐っこい笑みが浮かんでいた。しかし、その口からのぞく八重歯を男はしっかり見ていた。


「別に捕って食べたりしないさね。あたいは死体専門だしね。専門といってもネクロフィリアじゃないよ。死体は好きだし、仕事にやりがいはあるけどね」

「き、君は……」

「あたいはお燐。本名は長いから嫌いだよ。地底からの使いさ」

「ち、地底? パルスィさんや勇儀さんがいる、あの?」

「そうそうその通り。あたいは地底の中心に建つ地霊殿から来たんだよ。いやぁ、話が早くて助かるねぇ。これがお空だったら堂々巡りを30回は繰り返すところだよ。巫女なら問答無用でぶん殴られるかな? 理解が早いのは良いことだ」


そう言って彼女は男に手を伸ばした。病的に白い手が日の光に照らされて、まるで輝いているようだった。



「さあ、来て。地霊殿の主、さとり様がお待ちだよ。なになに猫車に乗ればひとっとびだ! 豪華な料理にお酒もどうだ! 後は当たって砕けろってね!!」



お燐と名乗った少女はくるりと身体を回転させた。いつの間にか男の周りには青白い顔をした妖精達が取り巻き、怪しげな猫車までの回廊を作っていた。


男に選択肢などあろうはずがなかった。















つづく
お久しぶりです。最近はスカトロが減ってしまいましたね。悲しいですね。なので自給自足します。

今回は萃香と男の分水嶺。ここから物語りは佳境へと入っていきます。
本当はもっと先まで書く予定だったのですが、にとりが乱入してきちゃいました。全てはチンコ紳士氏のせいです。彼(彼女?)が「お漏らしした〜」であんな素晴らしいネタを与えてくれやがったおかげです。超感謝!!

こういうシリアス(?)展開は実用性を求めている方々には嫌な顔をされるかもしれませんが、最後までお付き合いしていただけると幸いです。


PS:久々に歯医者に行きました。虫歯と言われ神経を抜きました。さらに親知らずが生えていて抜きました。しかし、その際麻酔が効きづらかったらしく三本注射されました。この痛みをネタにしたいと考えましたが、「本当にあった話(一部)」でもうネタにされてました。残念。
ウナル
http://blackmanta200.x.fc2.com/
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2009/10/30 12:17:39
更新日時:
2009/11/07 22:47:59
分類
スカトロ
伊吹萃香
射命丸文
河城にとり
オリキャラ
1. 名無し ■2009/10/30 22:33:39
会うは別れのはじめなりと申しますが、
これが理解し合えたかに見えた鬼との今生の別れとなるのでしょうか?
そして排泄主義者はどこへ行くのか?
その真の答えとは?

期待して待ちます
2. どっかのメンヘラ ■2009/10/31 12:34:23
ああ排泄主義者よどこへ行く・・・。
3. ぐう ■2009/10/31 18:34:54
最近スカがいまいち軌道に乗らないんです。
やはりお空がおしおきされるやつで力使いすぎたかなぁ。
私も実力が戻ればスカ作品の1つや2つなんて軽いもんなのに・・・・・
4. 名無し ■2009/10/31 19:01:58
すいか帰ってきてー!
5. boll ■2009/11/02 10:21:47
短編集かとおもいきやストーリーがあったとは?!うーむシリアス…
それはそうと天狗の排泄ごちそうさまでした(`・ω・´)
6. 名無し ■2009/11/02 22:47:58
スカトロ自体には全く興味ないけど続きが気になるSS
7. 名無し ■2009/11/03 08:38:10
×居を構える
○事を構える
8. 名無し ■2009/11/05 13:12:19
正論でも文に言われるとイラッと来るのはなんでだろー
9. 名無し ■2009/11/08 21:44:15
>8
人間関係を単純な取引関係のようにあげつらっているからじゃないですかね。
あと、会話の目的が実のところ「調子に乗るなよ人間風情」に終始しているところ。

それにしても鬼らしく粗暴で素敵。説教とかおとなしく聞くようなタマじゃない。
10. のび太 ■2009/12/04 21:33:25
>>9
まあ、男には正論のつもりでも、萃香様にとって詭弁に執られたんだろうな。

ちなみに鬼に向かって詭弁を言うのは嘘をつくのと同一だからね。

しかし萃香様が、ヒハルだったか、ハヒルだったか…。
「思い通りの事が現実に起こる程度の能力」を持つ某女子高生に見えるな。
11. 名無し ■2010/06/20 20:06:29
にとりはぁはぁ
12. 名無し ■2010/10/20 21:21:26
男はこれ以降RPG-7を携帯するべき。
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