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『わたしのまりさ』 作者: 名前がありません号
「ね、ねぇ、本当にやるの?」
「なによ、今更抜けるの? 私は構わないわよ」
「そ、そうじゃないけどさ……流石に不味くない? もし霊夢にばれでもしたら」
「心配しなくても、その辺りの根回しはやっているわ。貴方が心配する事ではなくてよ」
「そうよ。それでも抜けるなら私は止めないけど、貴方にはあげないわよ」
「……う、わ、わかったよ。でも、約束は守ってくれるんだろうね?」
「ええ、保障するわ。この件に関して私は嘘はつかないわ」
「さぁ、はじめましょう」
「うわああああああああああああああああああ!!!!」
魔理沙は、ベッドから落っこちて目が覚めた。
「まったく嫌な夢を見たぜ」
私はパジャマを着替えて、朝食を食べ終えてからそう、つぶやいた。
とりあえず、研究用の本を片付いていない部屋から漁って、読み耽る。
どうも記憶が曖昧だ。昨日までの記憶がぼんやりとしか思い出せない。
「あー、昨日宴会で飲みすぎたのかね……何か頭痛もするし」
ガンガンとする頭痛を抱えながら、二日酔いの薬を探し出して、飲む。
少し味が変わっている気がしたけど、まぁ、大丈夫だろう。
しばらくして頭痛が落ち着いて、外に出ようと箒を探したが、箒が見つからない。
しょうがないので、箒無しで外に出る事にする。
個人的モチベーションが下がった。が、魔法の森を真面目に歩いて出るのは面倒臭いので仕方ない。
飛んでみて気付いたのだが、昨日と今日で幻想郷の様子が変わったような気がする。
見た目が変化したわけじゃない。雰囲気が変わったというべきか。
こう、もやもやとしたものが溜まっている。何だ、この、感覚。
ふと真下を見ると、ルーミアが人間を食っていた。
かわいそうに。私はその人間を見る事無く、博霊神社を目指した。
「おーい、霊夢。遊びに来たぜー」
いつもなら神社には、あの暇巫女が居るはずなのだが、まったく見かけない。
手入れはされているようなので、霊夢が死んだとかそういう事ではないようだが。
襖が少し開いている。こっそり覗き見ると、中に人が居る。
外来人だろう。霊夢と同じ巫女服を着ている。綺麗な金髪の少女が寝息を立てている。
少し悪戯してやろうか、と思ったところで肩を引っ張られた。
「なにしてるのよ」
「ああ、れ、霊夢。居たのか。いやぁ、居ないと思って、つい、な?」
「つい、じゃないわよ。全く。で、何か用?」
「ああ、そうだ。昨日、宴会とかやったか?」
「? ええ、やったわよ。それが何か?」
「いやぁ、昨日の記憶がさっぱり抜け落ちててな」
「どうせ飲みすぎでぶっ倒れたんでしょ」
霊夢は苦笑しながら、境内の掃除を始める。
「用は終わった? なら、今日は帰って頂戴。やることがあるから」
「あの外来人か?」
「ええ、こっちに残りたいと言っているから、人里に案内してあげないといけないでしょ?」
「なんなら私がやってもいいぜ」
「あんたの乱暴な運転じゃ、案内どころじゃないわよ」
「へへ、違いない」
そんな会話を終えて、私は神社を後にする。
「そういえば、私の箒を見なかったか?」
「え? いや、見てないけど……」
「そっか。うーん、何処に置いていったんだ?」
霊夢は神社に戻っていった。
大方、あの外来人を人里に送るんだろう。
とりあえず、箒を探さないと。
このままじゃ、格好がつかないぜ。
次に私は、にとりの工房に向かうことにした。
あいつとは最近仲良くしてるし、もしかしたら私の箒を回収してくれているかもしれない。
ついでに余計な改造をしてるかもしれないが。
「おーい、にとり」
「!? ま、魔理沙か。脅かさないでくれよぉ」
「勝手に驚いておいて、その言い草はどうなんだよ」
「あ、ああ、ごめん。ちょっと立て込んでてさ」
「それで私の箒を知らないか?」
「箒? いや、知らないけど……」
「そうか。それじゃ、他所を回るかね」
そして、飛び立とうとする瞬間、
「ま、魔理沙!」
「ん? なんだ?」
「い、いや、何でもない」
何か不安な顔をするにとり。
少し挙動不振だが、今は箒が先決だ。
紅魔館の図書館に向かう。
いつも反応する美鈴が、まったくのノーリアクションだった。
珍しい事もあるもんだ。
図書館に行く途中で、一人のメイドにぶつかった。
「お、すまないな。大丈夫か?」
「あ、は、はい、大丈夫、です」
そういって、メイドは足早に去っていった。
金髪のメイド。髪に隠れて顔が良く見えなかった。
そういえば、霊夢のところの外来人も金髪だったな。
幻想郷で今金髪がブーム! んなわけないか。
図書館に入ると、相変わらずの気だるい表情でパチュリーが出迎えた。
「! 何しに来たのかしら。本なら貸さないわよ」
「ああ、それはまた今度な。箒を見てないか?」
「借りる気満々ね。箒なら知らないわ。小悪魔、あなた箒を見ていない?」
「いえ、私も見ておりません」
「そうか、本当に何処いっちまったんだろうなぁ」
ここも空振りか。
やれやれ、どうする?
となると後は、香霖堂か。
「どうして? 一体誰が……」
パチュリーは、飛び立った魔理沙を窓から見つめて、そう呟いた。
流石に紅魔館から香霖堂までは、それなりに距離があり、少し疲れた。
少し木陰で休憩をしていると、子供達が居た。
慧音もいる。青空教室とかいう奴だろうか。
そんな子供達の中で、金髪の髪の子供に目がいった。
人里の人間でも金髪の子供は珍しい気がするのだが。
本当に、金髪ブームなんだろうか。そんな馬鹿な。
休憩を終えて、私は香霖堂に到着した。
相変わらず、ごちゃごちゃとした店先だ。私が言うななんて言葉は聞こえない。
何かガチャガチャと音が漏れてきている。
僅かに開いた扉から、音が漏れているようだ。
こっそり覗いてみると、そこには。
私そっくりの少女と香霖が、その、性交していた。
こんな真昼間から、やるなよと顔を覆いながら私は、聞こえてくる言葉に耳を傾ける。
「はぁ、はぁ、いい、いいよぅ、香霖」
「……」
香霖は特に反応しない。
しかし、少女の方は声までそっくりとは恐れ入る。
「なぁ、香霖。少しは動いて欲しいよ……」
「……はぁ」
「そんな、溜息付かないで、あっ、ああ! いい、そこ、もっと突いて!」
何処か退屈そうな、物足りなさそうな顔で少女を突き上げる香霖。
何か複雑な気分なのは、何でなんだ。
「ねぇ、何が不満なんだ?」
「……全部だよ。やっぱりこんな事はするべきじゃなかった」
「今更後悔されてもさぁ、どうせ、魔理沙は戻ってこないよ?」
「……分かっているさ。そんな事ぐらい」
「だから、私を買ってくれたんだろ?」
は? 私が、戻ってこない?
どういうことだ。まるで状況が読めない。
そういえば、にとりとパチュリーが驚いたような顔をしていた。
それと関係があるのか?
私は香霖堂の扉を開ける。突然の来客に、少女と香霖は驚愕していた。
「……ま、魔理沙、なのか?」
「まさか! 生きてるはずない!」
「香霖、今回のは見なかったことにしてやるぜ。おい、其処のお嬢さん。ちょっと説明してもらうぜ」
私は、私そっくりの少女に詰め寄る。
顔も、体つきも、服装も、声もそっくり。ただ心だけは少し違う。
「な、どうして本物がいるんだ!?」
「聞き捨てなら無いな。本物ってどういうことだ?」
「そ、それは……」
「ああ、無理に言わなくてもいいぜ。ただし、言わないなら容赦はしないぜ。今とっても機嫌が悪いからな」
「ひぃ! は、話すわよ。私は―――貴方のクローンなのよ」
「クローン? クローンってなんだ?」
「簡単に言うと、貴方のコピー人間って事よ、は、離して、首が……」
「何で私のクローンがいるんだよ」
「し、知らない! 私はそんな情報持ってない! だから、離して、ぇ」
そして私のクローンという女は気絶した。
少しやりすぎたかもしれないが、別にかまいやしない。
「魔理沙、僕は……」
「ああ、いいぜ。男だもんな、そんな事もあるんだろ。でも……」
―――ちょっと残念だぜ。
私は心でそう呟いて、香霖堂を後にした。
私はにとりの工房に向かった。
私を見たとき、一番驚いていたのはあいつだった。
きっと何か知っているはずだ。
「おーい。にとり、いるか?」
ドンドンと扉を叩く。
反応が無い。留守みたいだ。
ふとドアノブに手をかけると、扉が開いた。
戸締りはしっかりしていけよ。
部屋は少し暗かったが、部屋のおおよそは見て取れた。
其処にはたくさんの魔理沙の姿をした「人型」があった。
髪型・体系・顔にいたるまで様々なバリエーションの、魔理沙がある。
「信じたくはなかったが、どうやら本当らしいな」
「だれっ!?」
後ろから誰かの叫ぶ声が聞こえる。
いうまでもない。にとりだ。
「私だよ。随分、悪趣味になったんだな、にとり」
「ま、魔理沙!? なんで私の工房にいるの!?」
「むしろ質問させろ。これはなんだ。私そっくりのこいつらはなんだ!」
「うっ! そ、それは……」
「私のクローンなんだろ。これ全部」
「な、何で知ってるの!?」
「それより私の質問に答えろ」
「こ、これは、アリスと、パチュリーに頼まれて……わ、私は反対したんだよ! 本当だよ!」
にとりは必死に私は悪くないの一点張りだ。
すると、部屋の奥で眠っていた「まりさ」が起き上がってきた。
その「まりさ」は裸で、香霖と同じものを股間につけていた。
「あ……」
「あいしてるぜにとりあいしてるぜにとりあいしてるぜにとり」
情状酌量の余地は無かった。
「あぎぃぃぃぃ!!! いたい! やめて、魔理沙ぁぁぁぁぁ!!」
「五月蝿い!! こんな悪趣味なモノで自慰なんてして、ふざけてるのか!」
「いあああああ!! ごめんなさい! ごべんなざいいいいい!!!!」
私は、怒りに任せてにとりを殴る。
自分と同じ姿の奴が香霖と性交して、自分と同じ姿の奴がにとりの自慰の為に使われている。
私は、私自身を踏みにじられた気がして、腸が煮えくり返るほどの怒りをにとりにぶつけた。
にとりは、顔をぼこぼこにされ、歯を折られ、まともに喋れないくらい殴られても、
ひたすら謝罪を繰り返した。
しかし私は、自分は悪くないと言わんばかりの眼差しが気に入らなくて、
結局、にとりが気絶するまで殴り続けた。
私は紅魔館に飛び込んだ。
美鈴は迎撃に来なかった。
紅魔館に侵入しても、咲夜は愚か妖精メイドさえ出てこない。
不気味な気配を感じながらも、私は図書館に足を踏み入れる。
「パチュリー! どこだ! どこにいる!!」
「だ、誰ですか、あなたは!」
「パチュリーは何処だ! 言え! 言え!!」
「あぐぅ、く、くるしい……」
私は怒りのあまり、メイドの「まりさ」の首を締め上げていた。
怒りに身を任せて、何もかも壊したくなる。
「そ、そちらの、禁書庫の、方に」
「そっちだな!」
「は、はい、あぐ!」
私はメイドの「まりさ」を投げ飛ばして、禁書庫に向かう。
禁書庫の扉を開けると、呑気にパチュリーは本を読んでいた。
「パチュリー!」
「ま、魔理沙、何よ、息を切らして、いぎぃ!!」
「私のクローンなんか作って、何を企んでるんだ!!」
「あ、あが、ま、まって、ぐぎぃ、がぁ、く、ぐるぢぃ……」
「言えよ! 何でクローンなんか作ったんだよ!!」
「あ、ありずに、だ、だのまれで、あががが、わ、わだぢば、ぎょうりょぐぢだだげぇ」
「じゃあ、あのメイドは何なんだよ!」
「あ、あれば、あ、ありずに、ぼうじゅうとぢで、もらっぎぃぃ」
パチュリーの苦しむ姿を見ても、何もすっきりしない。
私はパチュリーを本棚に投げ飛ばして、禁書庫から退出する。
「ご、ごのぉ、まりざのぶんざいでぇぇ……」
パチュリーは魔法を唱えようとした時、後ろの影が近づいてきている事に気がつく。
「え? あ、ああああああぁぁぁぁぁ!!!」
パチュリーが後ろを振り向いた時には、本棚が近づいてきていた。
投げ飛ばされた時の衝撃で、本棚が傾いてきたのだ。
パチュリーの身体能力では、到底脱出できるはずもなく、
そのままパチュリーは本棚に押しつぶされた。
アリスを探して、魔法の森に戻ってきた私は、
ようやくアリスの家を発見した。
森には何らかの魔法が掛けられていて、
発見には大分遅れてしまった。
アリスの家の扉を開けると、異様な風景が広がっていた。
あちこちに人と同じ大きさの人形がいた。
椅子に座る人形。ベッドで眠っている人形。
料理をする人形。その料理を食べる人形。
本を読む人形。植物に水をやる人形。
それらは、私に興味が無いようで、同じ事を繰り返している。
しばらく進むと地下室へ進む扉を見つけた。
この下にはアリスの魔法の研究の為の部屋がある。
結局一度も入れてもらえなかった。
扉は開いていた。入って来いという事なのか。
しばらく地下の階段を進む。
こんな風になっているとは思わなかった。
しばらく降りたところで、一つの大きな扉を見つける。
ゆっくりと扉を開くと、そこには車椅子に座ったアリスが居た。
「来てくれたわね、魔理沙」
「ああ、来たぜ。アリス」
アリスの車椅子を押しているのは、人間と同じ大きさになった上海人形だった。
上海はこちらを見ている。その宝石のような瞳からは何を考えているか分からない。
アリスは私が見たままの容姿と声だった。
何故、車椅子に乗っているかは分からないが、私には聞かなければならない事が沢山ある。
「なんで私のクローンを作ったんだ? パチュリーやにとりまで利用して」
「皆、貴方が欲しかったからよ。私は彼女達の望みをかなえただけ」
「嘘付け。お前が他人だけの為に動くわけがないぜ」
アリスはにっこりと笑って、魔理沙を見ている。
まるで子供を見る母親のような顔だ。
「ええ。私が人形の自立化を目指していたのは知っているわね?」
「ああ、知っているぜ。それがあれなのか」
「いいえ。人形の自立化は既に完成していたわ。でもそれは膨大な数の情報を組み込んだ“式”でしかない。私が目指したのはその先よ」
「その先?」
「ええ。文字通り、人間へと成長していく人形。それを私は目指したの。その過程が貴方が見てきたクローン達よ」
「その為に、私の身体を利用したわけか!」
「そうよ。貴方が一番都合が良かったわ。身寄りを失い、もっとも人間らしい人間だった」
身勝手な物言いに、私はアリスに怒りを覚える。
しかし殴ろうという気が起きない。
「お前の都合で、私がどんな思いをしてきたか、分かっているのか!!」
「ええ、つらかったでしょう? 苦しかったでしょう? でも大丈夫。私なら貴方を受け入れられるわ」
「ふざけるな! 私は、お前なんかだいっきらいだ!」
そして怒りの余り、アリスの顔を殴ろうとした。
しかしその拳はアリスの顔の前で、止まった。
「な、なんで……」
「当然よ。貴方は私を殴れないわ。貴方は優しいもの」
「ち、違う! 私はお前が憎くて、憎くて……」
「それは嘘。こんな状態の私なら貴方は簡単に殺せるわ」
「……ッ」
そのとおりだった。
あんな状態のアリスなら直ぐにでも、魔法で殺せるはずだ。
しかし私にはそれが出来ない。
「何か小細工でもしたのか!」
「いいえ」
「嘘をつけ!」
「そうね。一つ行った事といえば、これぐらいかしら」
「何を……!?」
するとアリスは服をはだけた。
アリスの美しい白い肌を晒すと、胸には青い結晶が埋め込まれていた。
「なんだよ、その石は」
「あなたの魂を結晶化したものよ、魔理沙」
「なっ……馬鹿言うな! じゃあ私はなんだ!」
「知りたい? なら触って御覧なさい。大丈夫。何もしないから」
アリスはこっちへおいでと、私に手招きをする。
私は誘われるように、ゆっくりとした足取りでアリスに近づく。
そしてアリスの胸の石に触れる。
「んっ……」
アリスは石に触れられると、少し身体を振るわせた。
神経でつながっているらしく、アリスは私が石に触れるたびに、震えていた。
石からは手で触れていても分かるほど、激しい鼓動を感じている。
石から感じられる魔力はとても普通のものではなく、
そしてその魔力は自分の持つものと同質のものだと分かる。
「じゃあ、私は、誰なんだよ……」
「最初に言わなかったかしら? 私が最終的に目指したのは人間へと成長する人形。それがあなた」
「そんな……わたしも、クローンなのかよ……」
とたんに目の前が真っ暗になっていくような気がした。
脱力した私をアリスは優しく抱きしめた。
「いいえ。貴方は貴方よ。貴方は誰よりも魔理沙らしくて、でも魔理沙とは違う貴方になったんだもの」
アリスは私を見て、微笑んだ。
その笑顔を見たとき、私は何か救われた気がして、アリスと抱き合った。
「そう、貴方は私の魔理沙。私だけの魔理沙。ずっと、ずっと一緒よ……」
アリスは私を抱きしめながら、そうつぶやいた。
全てを愛してくれるなら、何もいらない。
愛だけは良く分からない俺であった。
名前がありません号
作品情報
作品集:
6
投稿日時:
2009/11/05 09:28:02
更新日時:
2009/11/05 18:32:10
分類
長文注意
色々足りていない
グロ成分が微妙
オチは違うから楽しめたけどね
愛は哀だね
歪んでいない愛なんて壊れやすくて仕方ない
そして、パチュリーは魔理沙にメイドをやらせる事で恨みつらみをはらしていた、って感じか
使い捨てっていいよね
捨てないけど