愛が痛いです

えっと……はじめまして。このたび妖怪の山で哨戒役を任されました、白狼天狗の犬走 椛と申します。本日は大天狗さまからの親書とともに就任のご挨拶を申し上げにまいりました

八雲さまにおかれましてはご健康お変わりなさそうで恐惶謹言……えと、次なんだっけ……え？堅苦しいのは苦手……はぁ、そうですか……え？悩み事、ですか？

そんなに顔にでていたでしょうか？え、あ、はい…そうですか……。相談に乗ってくれるというのはとても恐れ多くもありがたく思いますが、でも暇潰しって堂々と言わないでくれるとありがたかったです

コホン……それでは……。あのですね、私の配属先の上司に射命丸 文というお方がおられるのですが……はい、多分その人で間違いは……な、なんだかお顔がこわばってますよ？え、あ…はい。わかりました、気にしません…

それでですね、先輩は…あ、その文さまへの顔見せのときにいきなり言われたんです。両手をがっしりつかまれて、「いまから私のことは先輩と呼んでください」って。そのときはとてもフレンドリーな方なのかなって思ってたんですけど。

その、先輩はよく私に目をかけてくれるんですけど、なんだか最近それが少し怖い気がしているんです……

たとえばですよ……私が仕事をしだしてからしばらくして、一緒にお風呂に入ることがありました。え？はい、先輩が一緒にお風呂に入りませんかって誘ってくれたんです。とても眺めのよい露天風呂があるからって……え？

なんでも…ない、ですか。はぁ……あ、それでですね。脱衣場で服を脱いでるときに、いきなり先輩が泣き出したんです

どうしたのかなって聞いてみたら、「袴にはフンドシでしょう！！」って私怒られちゃいました。なんだかショーツを着ていたのが気に障ったみたいで

それからは毎日フンドシ着用です。なんかちゃんとつけてるか先輩が毎日チェックするから……もし他の下着を履いてると、おやつの干し肉がおあずけなんですよ！ひどいと思いませんか？

他には……よく、先輩が仕事のないときに遊んでくれるんです。ボールとか円盤を投げたりして。え、いえ！惚気じゃないですよ！最後まで聞いてください！

それで、ですね。それが終わると汗を拭くのに手拭いを貸してくれるんですけど…洗ってお返ししますって言っても、一度も渡してくれないんです……なんか、この辺から先輩に対する目が変わってきました

それで、なにか変なところはないかな〜って目で先輩を見てると、すっごく変なところが多いことに気づいちゃって……

「私ののついでに、椛のものも洗濯しておきますよ」って私の洗濯を引き受けてくれるときの鼻息とか、お風呂に入るときの目線とか……最近は厠にいても視線を感じる気がして……自意識過剰かな、とは思うんですけど

え？　　　……せ、先輩のことですか？そりゃ、嫌いじゃありませんよ？いえ、むしろ好きの部類に入るかもしれません。右も左も分からなかった私にいろいろと教えてくださったのは事実ですし……ただ、その……先輩がちゃんと求めてくれれば私だって応える覚悟は……って、アレ？八雲さま？どこに「も〜み〜じ〜♪」うひひゃぁんっ!!

せｎ、先輩ッ!?なんでここに…「私が椛を一人にするわけがないじゃないですか。それよりも聞きましたよ！きかせてもらいましたよっ！つまり二人の間にはもう何も障害はないということと仮定してっていうか決定してもかまいませんか!?かまいませんね!!さっそく大天狗さまに祝言の報告と段取りの調整を」ままままままま、待ってください！どこから聞いてたんですか!?

「えっと……はじめまして。のあたりでしょうか」

それってはじめっからってことですか!?

「まぁ、いいじゃないですか。椛は私を受け入れる準備は万端、私は椛が欲しくてたまらない。この事実だけで丼三杯はイケますよ」

あぅ……あの「ヤるなら他所でやってよね。ウチを閨代わりにしたりなんかしたらその羽根もぐから」八雲さまっ！？おられるのなら先輩になにか「言う意味ないでしょ。貴方も悪い気はしていないみたいだし……はぁ。暇潰しにはならなかったわね」

ちょ！八雲さま、待っｔうあぁわあぁぁっぁああ！！先輩、そこ、シッポ掴んじゃらめれすぅぅぅぅぅうううう！！いきます、ちゃんとついてきますからシッポは放してくださいぃぃぃ.........