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『昏い夜道に優しい歌(壱)』 作者: 狗走
「はぁ……はぁ……」
太陽も沈みきり、人でないものが幅を利かせる戌の下刻。年端もいかないその女の子はただひたすら終着点を目指して進んでいた
「うふふ。美味しそう♪」
そして、木の上から女の子を……否、獲物を睥睨する影が一つ
夜雀の歌姫、ミスティア・ローレライである
獲物は己が狙われているとも知らず、フラフラと足を前に出し続ける
ミスティアは自分の幸運に感謝していた
ただでさえ人間にありつくのは稀であるのに、それが子供だというのだ
柔らかく、そして緩やかな味を想像するとよだれが止まらなくなる
「さて……それじゃ、さっそく光を奪ってやろうっと」
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「……うた?」
突然聞こえてきた流麗な歌声に、茜は思わず聞き惚れてしまった
辺りの静寂に響くそれは、とても優しく。そして切なく胸に染み入る
だがしばらくして歌が止むと、茜は己の役割を思い出して再び歩み出すのだった
「……え?なにそれ、どうなってるの?」
歌い終わったミスティアは獲物の行動を信じられない思いで眺めていた
あの獲物は自分の歌を聞いたはずだ
なにせ立ち止まってまで聞き惚れていたのだから
ならば、いまこうしてさっきと同じように動いていることがまずありえない
突然『鳥目』になれば普通は慌てふためくはずだ
慣れない視界にパニックをおこし、そしてじわじわと弱ってきたところを捕らえる
それが彼女の補食方法だったのに、この獲物はまるで慌てた様子がない
まさか鳥目になっていない?自分の能力が効いていない?
「……確認してみよう」
ミスティアは翼を広げると、獲物と接触するために飛び立った
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ガサ、と茂みを分ける音が聞こえて茜は身を強張らせた
獣だろうか。それももし熊や猪だったらどうしよう
自分では絶対に逃げ切れないそれらでないことを祈りながら、茜はただ次の展開を待った
「…………ねぇ、ちょっといい?」
そして聞こえてきたのはとても澄んだ美声
その声を聞いて先程の歌の主だろうと直感した
「は、はい。なんですか?」
向こうから聞こえる声には警戒したような色がある
「…………こんなとこで何をやってるの」
長く沈黙した後、向こうはそう尋ねてきた
「えっと……永遠亭、というところに向かってるんです。里の母が急な病で倒れてしまって……会ったことはないんですけど、永遠亭にいる永琳という人なら助けられると、そう聞いたものですから」
話してる間、向こうからは明らかに困惑している空気が伝わってきた
「……永遠亭なら、全然違う方向よ?」
「え!?そうなんですかっ?」
なんでたろう、そう思っていると向こうが再び口を開く
「……もしかして貴方……目が見えないの?」
なぜ分かったのだろうか?しかし事実だったので頷いた
「はい、生まれた時から目は見えてなかったみたいですけど……」
「やっぱり…………はぁ、なんかやる気なくしちゃった」
向こうがやおらため息をつく
自分が何か失礼を働いてしまったのかと不安になった矢先、手を掴まれ引っ張られる
「ほらおいで。気が変わっちゃったし、永遠亭まで案内してあげるよ」
掴まれた手から、歌と同じような優しさと……ちょっぴりの悲しさが伝わってきた、そんな気がした
「あ、あの」
「うん?どうしたの?」
「茜、です」
説明が足りなかったためか、向こうはキョトンとしてしまったらしい
「…………え?」
「わたしの名前……茜っていいます」
向こうは少しのあいだ無言で……そして微笑をもらした
「クスクス……そう。私はミスティア。ミスティア・ローレライよ。みすちーでいいわ」
「は、はいっ。よろしくお願いします、みすちーさん!」
「こっちもね、茜」
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「それで……お母様の症状は?」
永遠亭の診察室。対面する茜から事情を聞いた永琳がカルテに眼を落としながら聞いた
「えっと、朝になって突然高熱を出したんです。それで...」
茜の説明を聞き終えた永琳は顎に指をあてたかと思うと、茜にここで待つように言ってどこかへいってしまう
だが、少しすると紙袋を手に彼女は戻ってきた
「はい、どうぞ。これを食後の……そうね、半刻以内に飲ませること。いいわね?」
紙袋を受け取った茜はそれを大切そうに抱き抱え、そしてようやく安心して緊張の糸が解けたのか、ぼろぼろと涙を零しだす
「あ……あり、がとっござ……うぇぇぇ」
永琳は何も言わずに茜を抱き寄せた
「よく……頑張ったわね」
茜はただひたすらに泣き続く。服にどれだけ涙が染み込もうと、彼女の境遇を思えば開く口などありようか
突然倒れたという茜の母親。そして妖怪の蔓延る竹林に来たのが彼女一人だという事実は、そのまま母親以外の親族がいないことを如実にしめしていた
頼れる者は母しかおらず、その母を思って一心に行動した少女の心にかせられたプレッシャーはいかほどなものだったのだろう
永きを生きすぎた永琳にはもはや想像するに難いことだが……それでも、茜を抱きしめたいと。この娘をちゃんと泣かせてあげたいと、そう思う程には情が残っていたらしい
どれほどそうしていたか……やがて永琳から離れた茜は恥ずかしそうにはにかむと、一礼して退出していった
残された永琳の手には膨らんだ巾着が一つ。茜が有事にそなえてお小遣を貯めていたものだという
おそらく、薬代には遠く及ばないだろう。茜から聞く母親の症状から、永琳はそれが遠い昔に聞いた難解な病気であると判断した
感染はしないが治ることがない。それが当時の医者による診断だったそうだ
だが現在それにあたったのは『月の頭脳』とまで褒めたたえられた八意永琳その人。彼女にかかれば薬は簡単に調合出来た……出来、はした・・・のだが、その材料はそれこそ一つの家族が1年は遊んで暮らせるだけの価値を持っていた
「ふふ。いくら採算度外視だからって、大赤字もいいところよ永琳?」
いつから見ていたのか……全てを把握しているらしい永遠亭の姫は廊下から姿を表した
「そこは私のポケットマネーからで勘弁してもらえますか、姫様」
肩越しに言った永琳の言葉に、輝夜は微笑む
「あら、それじゃあもう一つは私が払おうかしら?」
永琳はちょっと眼を丸くして…優しい笑みを浮かべる
「あら、とっくにバレていましたか」
「わからいでか。私の先生は誰だと思ってるのかしら」
二人はくすり、と笑いあう
「……それは、失礼をいたしました」
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「みすちーさん?どこですか?」
永遠亭から出て来た茜は声をあげてミスティアを呼ぶ
「……そんな大声出さなくても聞こえてるわよ」
茜はえへへ、と笑うと抱えていた薬を掲げて見せた
「あの、見て下さいっ。ちゃんとお薬もらえましたよ!」
「そう…なんだ。良かったじゃない」
そう言うとミスティアは茜の腕をとって歩きはじめた
「さぁ行きましょう。疲れてるだろうけど、茜のお母さんに早くお薬のませてあげなくちゃね」
「は、はいっ」
そう返した茜の足取りは、来る時に比べてとても軽やかだった
しばらく進むと里についたことを知らされる
茜は口頭で道順を教えミスティアの先導のもと、自宅への帰還を果たした
時刻は寅の下刻(午前6時くらい)に近付いていて、すでに空も白みはじめている
「……ここまで来れば、もう私は必要ないよね?」
ミスティアは帰宅すると同時に母親の介護をしだした茜をみてそう判断し、出ていこうとした
だが、目敏く(耳敏く?)それを察した茜
「あ…みすちーさん!」
「……なに?そろそろ私も帰りたいんだけど」
不機嫌そうに言うのはポーズ
そもそも彼女は野良の妖怪なのだ
夜が明けてきたこの時間帯、誰に見咎められてもおかしくはない
そうしてよからぬ噂が立つのを心配してのことだったのだが……視覚を持たない分、他のことには敏感な茜は全て分かっていたのだろう。小さく笑みを洩らす
「はい、それはとても感謝しています。だから、母が元気になったら……その、お礼をさせてほしいんです」
関わりあいになるのを避けようとしているのにこの子は……そう苛立つミスティアだが、彼女は気付いていない
己が妖怪だと名乗ればそれだけでいいのだと。そうすれば絶対に茜は追及してこないということに
「それに……」
そうして茜は恥ずかしそうにもじもじとする
「……なに?」
「また……聞かせてほしいんです。……みすちーさんの歌……」
体が強張ったのはいかなる理由だったのか
「……それくらい、なら……いいけど」
ぎこちなくそう返しながら、ミスティアは内心首を傾げた
「ホントですかっ……やったぁ…」
「…………私は、竹林にいるけど……くるなら、お昼にしなさいよ……」
そう言うと、今度こそミスティアは茜の前から姿を消したのだった
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「こない……か」
あれから数日。ミスティアは竹の先に座りながら呆としていた
途中ルーミアやチルノがやってきたが、遊びに混ざる気にもならずお引き取り願った
茜は来ない。だが、考えてみれば当然のことだった。
いくら眼が見えないとはいえ、周りと交友がないわけではないだろう
ならばミスティア・ローレライという人物が里に住む子供かどうかも捜せばすぐ…に……?
「…………これ……」
ミスティアは考えるより早く動いていた
正確に言えばそれを聞いた瞬間に胸が高鳴り、足は座っていた竹を蹴り、頬は勝手に笑顔を作ってしまっていた
果たして、聞こえてきた『ソレ』の元には彼女がいた
不用意に近付きすぎたためか、踏み締めてしまった枝が折れて所在を明らかにしてしまった
なのでミスティアは開き直って堂々と拍手を贈ることにした
「すごいじゃない。この前一度しか歌ってないのにちゃんと覚えてるなんて」
茜は恐縮したように縮こまりながら、それでも安心したように言った
「よかった……みすちーさん、竹林のどこにいるか分からなかったから……でも、こうすればきっと見つかると思ってたんです」
「ふふ……あれからお母さんの調子はどうなの?」
「はい、もうすっかり元気になってくれました!大事をとって休んでもらってますけど、ぜんぜん大人しくしてくれなくて大変なんです」
なんて、とても嬉しそうに話すからミスティアもつい笑顔を浮かべてしまう
「あ、そうだ。コレ、このまえのお礼です」
そう言って持っていた紙包みから取り出されたのは大きなおはぎだった
「あの、手作りでもうしわけないんですけど……でも、お母さんのに近いくらい美味しくできて、あの……」
「……それじゃ、ついてきて。綺麗な水が流れる川があるんだ、そこで食べよっ」
「あ……はい!」
「ちゃんと歌も聴かせてあげるからね」
「ホントですかっ、楽しみですっ!」
手を引く方も引かれる方も、どちらも温かに彩られている
その幸せな様子はとても儚く、見るものがいればいつまで続くのかという不安を抱かせただろう…………
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ピィィィィィィィィィィィィィ.....
竹林に鳥の鳴き声…否、それに似せた笛の音が響く
ソレが耳に届いてミスティアは「やれやれ」と口に出しながら音の方向に足を向ける
それを急くように再び笛が鳴った
「もう……ちゃんと行くから少しは待ちなさいよね」
口ではそう言いながらも足早になっていることに本人は気付いているのかいないのか
とにかく。ミスティアが音をたどって進んでいくと、その先では茜が粗末な木笛を片手にたたずんでいた
ミスティアが茜のために…彼女が竹林に来た時に、それを知らせる手段として作ったものだ
上手く吹けば鳥の鳴き声のような綺麗な音が出る
前会った時にそれを渡したのだが、その日の茜は笛を吹くのに夢中で全然遊べなかったことを思い出してつい噴き出してしまう
「?…みすちーさん、ですか?」
それを聞き付けて茜が誰何の声をあげる
「そうよ。こんにちは茜」
今日は何をして遊ぼうか、そう続けようとして
「………っあか、ね?」
近付くにつれて鮮明になっていく茜の顔
珠のような肌に生々しく存在を主張する紫色の痣
それを見たミスティアの心は自分でも驚くぐらいに波立った
「茜!それ、どうしたの!?」
茜は一瞬だけビクッとして、しかしすぐになんでもないように笑う
「えへへ…実はこっちにくる途中で思いきり竹にぶつかっちゃいました」
ならば
それならば、なぜ
そんな哀しそうな表情(カオ)をするのだろう......
「そう、なんだ。もう…心配しちゃったじゃない」
予感は、あった
だけど、茜が隠そうとするのなら
「あぅぅ、恥ずかしいですっ」
それを彼女が望むというのなら
「ふふ、あんまり心配かけないでよね!さ、それより早く遊びましょう」
だけど、見えないならば
「はい!……あれ?みすちーさん?どうかしたんですか?」
見えていないならば、少しくらい泣いたって……許して欲しい
「それじゃあ、そろそろ帰りますねっ」
そろそろ日も暮れようとするころ、茜はそう笑ってミスティアに背を向けた
「そう、それじゃあまたいつでもいらっしゃい」
応える声は穏やかに、しかしその表情は険しく厳しい
隠しようもない不安と焦燥……とても悪い予感がする
そして茜の姿が見えなくなると……ミスティアは音もなく静かに飛び立った....
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「…………………」
黄昏れ時の人間の里、そこを遥か上空から見下ろす影が一つ
視線の先には小さな小屋
茜の過ごす聖域とも呼べる場所
そしてそこを遠巻きに囲み……吐き気のするような誹謗をする、人間達
『あぁ、化け物娘がかえってきたよ……』
……やめて
『毎日妖怪のところに交わりにいってるらしいぞ……』
……違う
それは違うと……そう叫んでやりたかった
茜は何も知らないのだと、私が騙しているだけなのだと
『あぁ穢らわしい。博麗のとこにおはらいでも頼むべきじゃないのか』
やめて!やめて!やめて!
茜は何も悪くないのに!そんなふうに言ってあげな...
『でも驚きだったよな、妖怪とまぐわってんのかと思ったらまさか処女だったなんてよ』
エ?
『化け物らしくケツでやってんのかとも思ったけど、それも違ったし?』
ナニ、ソレ
ナニコイツラ、ナニイッテルノ
『そっち突っ込む時も血出て泣き叫んでたしな!ははははは』
その言葉が脳裏で意味を結んだ瞬間
「ァ………………ぅアア゛ァアァぁァァ゛ア゛あ゛ァアァァァ゛ア゛アアァァァアアアアァ゛ァ゛ア゛あア!!!!」
ミスティアの意識は崩壊した
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気が付けば誰も彼もが倒れていた
それを何の感情もなく、呆けたように眺めるミスティア
しかし、何の光も映さない瞳はゆっくりとさまよい……とある一点で動きを止めた
視線が捉えたのは数人の男達
先程茜を■したとのたまっていた輩
ふら、ふらと…まるで茜のような歩き方で足を進める
目指す先には倒れた男達
不気味なほどの静けさでミスティアは近付いてゆく
しかしその行方を遮るように一人の女性があらわれた
「待て。お前はいったい何をするつもりだ!」
鋭い眼差しで問い質す彼女の名は上白沢 慧音
里の守護者である半人半妖(ワーハクタク)
「……………」
しかしミスティアは構わず進む
その瞳は相変わらず虚で、おそらく慧音の姿を認めてすらいないだろう
慧音はギリ、と歯を食いしばると……ミスティアの眼前に剣の切っ先を突き付けた
「言え!ただでさえお前はこの里で人間を襲わないという協定を破ったんだ。これ以上に狼藉を働くと......え?」
いつの間にか慧音はミスティアではなく空を見上げていた
胸が熱く、そこから温かいものが流れていくのを体感する
視線を下向けると、そこには右手を紅く染めながら立っているミスティアの姿が
一瞬遅れて自分が彼女にやられたことのだと自覚した
「く………」
致命傷では…なさそうだ
並の人間ならいざしらず、半分とはいえ妖怪である彼女の体力はそれとは比べようもない
だが、これでもう言い逃れは出来なくなった
里の守護者たる自分にまで手を出したミスティアには、もはや破滅の道しかない
そのことを哀しく思いながら、慧音の意識は闇へと沈んでいった
「………シテ…ル……」
己の凶爪により倒れた慧音を無感動に見下ろす
そしてすぐに視線を男達に定め、再び歩み始めようとすると
「ねぇ、どこに行く気?」
どこからともなく響いた少女の声とともに、紅蓮の業火がミスティアのからだを包みこんだ
「ガィッッッッッッッ!!!!!!???」
生命を脅かす危機にミスティアの意識は覚醒、本能の命じるままに地べたを転がり回って燃える服を鎮火させる
業火の主…藤原 妹紅(フジワラノモコウ)は長い銀髪を熱風にはためかせ、ミスティアの無様な様子を冷笑している
「ぁ………く、ぅ……」
ようやくミスティアが火を消し終え重い火傷にうめいていると
妹紅は無造作に彼女へ近付き
「づぁ゛っ!!!」
その頭を踏みにじる
ぐりぐりと、時間とともに圧力が増えてゆき、ミスティアの頭部を圧迫する
「ホントにびっくりよね。外れのほうで変な力を感じたから駆け付けてみたら」
そこまで言うと、ようやく足がミスティアの頭から上げられ
「里の連中はたくさん倒れてるし」
「あ、ぁああっ!」
そして、彼女の柔らかな腹に振り下ろされる
「……あと気に入らないのがさ」
そして再び上げられた脚
妹紅は全く笑わず笑顔を浮かべ
「なんで慧音が、血塗れで倒れてるのかなぁっ!?」
再びミスティアの腹を踏み潰した
「ア…ッ……!!」
蹴飛ばされた
殴られた
炙られた
体が破損しないよう、だけど痛みに壊れるよう
じっくりたっぷり念入りに
「っ……ス……」
だけどミスティアは懸念しない
己の痛みなど痛みにあらず
彼女の心を満たすのは、茜の受けたであろう痛みだけ
もう殆ど機能しない体で、それでも目指す
いっそ清々しいほど惨めに脚を動かし、震える腕を伸ばして体を引き寄せ
ズリ、ズリ
ズリ、ズリ
いまだ倒れる男達のもとへ
そんな異様な執念に妹紅も何かを感じたのか、ようやくミスティアへの暴力が止む
しかし親友を傷付けられた怒りが収まった訳でもなく、荒々しくミスティアの襟を掴んで無理矢理引っ張り起こす
「ねぇ。なんでそんなにあそこの男達に執着するの?懸想して捨てられでもした?」
ミスティアは答えない
なぜなら彼女はもう体がピクリとも動かないほどに消耗していたのだから
「…………カ……イ」
「…………?」
それが今まで動けていたのは
「……アカネ……ゴメン…サイ……」
ただひとえに、茜への想い
自分のせいで嘲笑され、傷付き、揚句の果てに穢されてしまった茜への、贖罪だった
だがそれもこれで終わり
もうミスティアの中の体力も気力も残らず尽きた
最後に一言だけ「…ゴメンナサイ…」と呟き、ミスティアはガクリとうなだれるのだった……
みなさんこんにちわこんばんわ、初めての方はわんわんおー!(U^ω^)
最近スカイプをはじめた『狗走』こと狗でございます
今回は前々から書き溜めていたみすちー小説をご堪能いただき、まことにありがとうございました
これは虐的でなく鬱的に排水なものを目指して書いたものです
なにぶん若輩の身ですので稚拙な文章が目立つと思いますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします
なお、スカイプでも気軽に声をかけてくださいね!
それでは、失礼しました〜
狗走
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2009/11/16 15:14:34
更新日時:
2009/12/09 01:58:48
分類
みすちー
純情?
いじめ
やっぱ妖怪と関わりのある人間って異端視されんのかなあ…
skypeコンタクト送ってよろしいか?
少しだけ幸せになれたのかな?
引き込まれました
もし人間の友達が出来たら狂おしいほど愛しそうだよね
期待するしかないじゃないか。
かつそれは全体のために正しい選択であるといえる。
コミュニティがある水準以上であるならば障害者を周囲が援助し保護するように社会が働くことは、
全体のために正しい選択となる。
という様な言葉を思い出しました。
弱者を救済する労力を尽くすよりも異分子として除去することが他の者の発散にもつながり、結果として社会は秩序を維持する。
社会が弱者であることが排斥に繋がらないという安心感を全員に与え、善意の共有で各々の自己満足を満たすことに繋がる。
慧音先生が“村を守る”ことと“秩序の維持”を至上命題とするならば、あるいは見て見ぬ振りをするのも正しい選択かもしれません。
ただ知らなかっただけだと思いたいですけど……。
ともかくとても感激しました。こんな素敵な文章を書きたいです。
妖怪と人間が暮らす幻想郷だからこそ、すれ違いが起こってしまう。
モニターの向こうから見ている自分に何が正しいとは言えないけど。