Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『東方下痢娘「パチュリー イン ザ プール」』 作者: 泥田んぼ

東方下痢娘「パチュリー イン ザ プール」

作品集: 7 投稿日時: 2009/11/17 16:10:23 更新日時: 2009/11/18 01:10:23
★注意事項〜
東方下痢娘 スカ 自慰 百合 パチュアリ へたれ(主に書いてる奴が) 緩いギャグ風味




























 よく言われる事だが、紅魔館の内部は外観に比べて広く感じられる。
 元々の構造(人間が建てた時の)が入り組んでいるのと、パチュリーの魔法によってスペースが拡張されているためだ。

 出入り口は正面玄関と厨房の勝手口のみ。
 窓も少ない造りなので、道に迷ったら窓から出ればいいじゃない、という方法も使えない。
 なら壁を叩き壊していけばいつか外に出るだろ。そう、宴会中に言って広間を飛び出て行った酔いどれ鬼の萃香はそのまま行方不明になり、三週間後に開かれた別の宴会中に「同じ広間の」壁をぶち破って現れた。ここ三週間どうされていたのですか、と意気込んで聞く射命丸のインタビューに、萃香はただ「饅頭怖い饅頭怖い」と呟くのみだったという。

 だから初めて紅魔館を訪れた者はよく道に迷う。初めてじゃなくても迷う。
 雇われたての妖精メイドが餓死寸前で発見される事が週に七回ほどあるし、熟年(?)の妖精メイドがトイレを見つけられずに泣き出す姿も同じ頻度で見られる。
 そんなわけで霊夢は紅魔館を訪れた時は玄関を入っても勝手に歩かずに、屋敷内ガイド専門の妖精メイドが案内してくれるのについて行くようにしている(それでもたまにガイドが道に迷うのだが)。

 案内される先もほぼ毎回違う。
 大きな広間とか、柱廊とか。レミリアの自室に通されたことも何回かある。
 ――だがトイレに案内されたのは初めてだった。

 部屋の大きさはいつも通される広間とほぼ同じ大きさ。
 部屋の扉から真っ赤な絨毯が敷かれ、両脇にズラリと妖精メイドが並んでいるのも同じ。
 ただし、部屋の奥の一段高くなったスペースに鎮座ましましているのは豪奢な飾りの玉座ではなく、豪奢な飾りの便座であった。
 館の主は、薄い部屋着に下半身裸で今日も元気にふんぞり返っていらっしゃった。
「…………」
「あらいらっしゃい霊夢。はしたない恰好で失礼するわ……どうしたの? 変な顔して」
「そうしたのはコッチの台詞よ……。いつからあんたはトイレ妖怪になったわけ?」
「失礼ね。せめてハカセって言って」
 呆れ顔の霊夢に、レミリアは憮然として答えた。
 『ズッコケ三人組の幻想入り』、20××年発売に向けて誰か書いて(那須先生ゴメンナサイ)。

「これには深いわけがあるのよ」
「臭いわけの間違いじゃないの」
「その表現はあながち間違いでもないわ……あ、臭うかしら? 一応、香を焚きこんでるんだけど」
「だからってカレーの香りはないと思うわ」
「カレー、好きなのよ。甘口に限るけど」
 拳を握って言うレミリア。
 バカである。
 霊夢はハァとため息を吐いて言った。
「あんたが好きならいいけどね……。とりあえず今だけ別の香りにしてくれると助かるわ。お昼食べてきたばっかりなの」


 ††††††††††††††††††††††††††††


「で、どうしてこうなった」
 別室の移り、机を挟んで向かい合ってから改めて霊夢は尋ねた。
 ちなみに霊夢は普通の椅子だが、レミリアは相変わらず便器(ただしクッション張りの豪華な)である。
「端的に言えば、食中毒よ」
「食中毒」
「主な症状は下痢ね」
「下痢」
「そう下痢。それもかなり強烈な、ね。もう便意が止まらなくって。最初の日なんてトイレで立って座っての記憶しかないわよ。ドロワーズをを上げる暇もなかったくらい」
「だからこんな部屋でそんなカッコしてるわけ」
 下半身ノーバリヤー、オン便器。
 カリスマもあったもんじゃない。
「けっこう楽でいいのよ。よかったら霊夢もお揃いにならない」
「お断りだ」
 恥ずかしすぎるペアルックである。

「しかし吸血鬼でも食中毒にかかるのねぇ。ゾンビの血でも吸ったの?」
「動く屍は幻想郷に来てから見てないわ。いたとしても吸いたくはないわね。食中毒の原因はキノコよ」
 キノコか。
 キノコというと……、
「魔理沙ね」
「魔理沙よ」
 二人は頷きあった。

「『旨いキノコを山ほど見つけたんだ』なんて美味い話、アイツが持ってくるわけないと思ったんだけどね………………霊夢、面白かったら笑っていいのよ」
「残念だけど全然上手いコト言えてないから」
「……まあちょっと不審には思ったんだけどフランが喜ぶものだから咲夜に料理させたのよ」
「で、集団食中毒と」
「夕餉を一緒にした私とフラン、パチュリー、そして料理を作って味見をした咲夜がね」
「そう言えば珍しくメイド長の姿が見えないと思ったらそういうコト?」
「ええ。最初は例え食中毒でもお傍にいます、って言ってくれてたんだけど……」
「だけど?」
「傍にいる間に下痢になってもいいようにってオムツ穿いてたんだけど、それが、パァン、って」
「パァン……」
 早苗さんもビックリである。
「さすがにこれ以上は咲夜の名誉の為に言えないわ……」
 もう十分すぎる言っていると思うが。

「今は自室で休ませてるの。ひっきりなしに波が来るものだからトイレとベッドを往復する毎日らしいけど」
「あんたもそうなの?」
「人間の咲夜よりかは丈夫だから頻度はそうでもないけどね。それでも回数が多いから美鈴にちょっとトイレを改造させてみたってわけ」
 広間を改造したんじゃなくて、トイレを改造したのか……。
 我がままお嬢様はやる事がデカイ。
「アレ。そう言えば門番は無事だったの?」
「美鈴には普段コッペパンしか与えてないからね」
「…………」
 不憫である。
 というかあまり他人事ではない気もする。ふとした事で湧く親近感。
 もし神社に遊びに来る事があったら羊羹をちょっぴり厚めに切ってやろうと思う霊夢であった。

「フランは元々地下の部屋にここの十倍くらいおっきなトイレが設置してあったからそっちに引きこもってるわ」
「引きこもってるって……」
「あの子、495年のうち50年くらいトイレに引きこもり経験あるのよ」
「50年」
 下天に内に比べればゆめまぼろしレベルかもしれないが、その間ずっと引きこもりとはさすが吸血鬼と言ったところか。
 ただしトイレに引きこもり。
「家具も揃ってるし、オマケで魔理沙も放り込んどいたしそれなりに楽しくやってるでしょ」
「え、魔理沙も?」
「紅魔館の主に毒を持ったんだから当然の罰よね」
 トイレに禁固。
 ……もう、元のままの友人とは会えない気がする霊夢であった。

「パチュリーは?」
「パチェは解毒薬作るって図書館に籠ったわ。けどやっぱり食中毒のはずだし、おまけに体力ないからなぁ」
「友人なのに冷たいのね」
「小悪魔も付いてるし大丈夫よ。とは言え脱水症状で干からびてないといいけど」
「図書館なら換気もいいでしょうし立派なミイラになるわね」
「お湯に浸けたら戻るかしら?」
「ワカメじゃあるまいし」

 ふと、レミリアの口が止まった。
 勘のいい霊夢は立ち上がって言った。
「そんな状態じゃお茶も期待できないわね。そろそろおいとまするわ」
「悪いわね。咲夜が治ったらお茶会に招待するわ」
「期待してる。じゃあね」
「じゃあね……、あ、ちょっと待って」
「なに?」
 モジモジしながらレミリアが言った。
「見ていく?」
「お断りだ」


 ††††††††††††††††††††††††††††


 さて、図書館である。
 パチュリー・ノーレッジはベッドの上で干からびかけていた。

「…………死ぬ」
 脱水症状である。

 地下大図書館の真ん中。
 普段はテーブルセットが置かれているそこに特別に運び込まれたベッドで、パチュリーはうつ伏せに倒れ伏していた。
 紫色のネグリジェタイプの寝巻姿だったが、今はレミリアと同様にお尻を出している。
 白いお尻の穴の周りが赤く腫れていて、そこに小悪魔が綿棒でポンポンとパウダーを振っていた。

「だいじょうぶですか〜?」
「うう…………なんでこんな赤ん坊事に……」
 レミリアや魔理沙、増してやアリスなんかには絶対見られたくない光景だ。
「パチュリー様ってお肌弱いですから仕方ないですよ〜」
 心なしか楽しそうにパウダーを振りながら小悪魔が慰めた。

「それに白くて奇麗ですよ〜。赤い色がとっても映えますね〜」
 ポンポン。
「これほど自分の体力のなさを恨んだ事はないわ……」
「押し倒しやすくていいと思いますけど〜」
 ポンポン。
「体力強化の魔法でも勉強しようかしら……」
「この前のUFO騒ぎの人がそういう魔法得意らしいですよ〜。精力増強もお手の物とか〜」
 ポンポン。
「魔理沙め…………今度会ったら小麦小屋に叩きこんで粉まみれにした後に火種を放り込んでやるんだから……」
「過激ですね〜。どうせなら白濁まみれくらいで許して差し上げたらどうですか〜」
 ポンポン。
「レミィもレミィよ……。ろくに種類も調べもしないで料理させるなんて……」
「レミリア様は血とワイン以外は特に味に興味がないようですからね〜。ヘタレのくせにリバ可雑食ですし〜」
 さわさわ。
「とても暗殺王国の出身だとは思えないわ……咲夜だってなんで前もって毒性を聞きに来るとかしなかったのかしら……」
「妹様に急かされたかららしいですよ〜。幼女の上目づかいで〜」
 すりすり。
「…………小悪魔」
「はい〜?」
 すりすり。
「さっきからナニをやっているのかしら?」
「パチュリー様のお尻があまりにも白くてスベスベなので思わず頬ずりをブメギャっ」
 パチュリーは全力で尻に頬ずりずりずりずりしている小悪魔の頭をカニばさみの要領で足で捕まえるとクルンと捻り力を込めた。
 側頭部を圧迫するとともに頸部を締め上げる、文科系にあるまじき力業である。
「グッ、けほっ。ぱちゅ、リーさまそれマジでちょっと死にます天国見えます……ああ、柔らかなふくらはぎと太ももに挟まれて別の意味でも天国が……っ」
 変態小悪魔ヘヴン状態。
 窒息に苦しみながら喋るのをやめない。
「ぬををほっぺたにお尻がピトって直ですよじかあああパウダーと香水に隠された微かに香る汗と腸液のにほひがっががっがが」
 駄目だこいつ……。早くなんとかしないと。
 もう少し首を捻ってくださるとパチュリー様の薄い茂みががが視界に入るんですけどぉぉぉぃぃとか叫んでる使い魔を見て、いっそこのまま冥土送りにした方が世のため人のため、あと自分の安全のためかなと思うパチュリーであった。
 しかし、
「く、コホ、ケホっ」
 パチュリーは急に咳き込んだ。
 一瞬前まで桃色空間に没入していた小悪魔が慌てて水差しを取り上げる。
「ああほら言わんこっちゃないですよ、はい、お水です」
「ごほ、……っ、悪いわ、ね……」
 礼を言いながらコップを受け取ろうと手を伸ばしたパチュリー。
 しかしその手は空を切り、見るとそこには口に水を溜めて唇を突き出し待ち構えている小悪魔がいた。
 むちゅー。
 むきゅー。

「…………腹、パンて……みぞおち、はいって」
「おかげで最後の体力も尽きたわ……」
 自分で注いだ水を飲み、ようやく一息ついたパチュリーは枕に突っ伏した。
 いい加減、ボケに突っ込む体力も気力もない。
 ……割と貞操の危機かもしれないが、それを気にするのも疲れるほどだ。

「……レミィには解毒剤作るって言っちゃったけどこんな状態じゃいい加減作業もできないわね」
「あ、私が試しに作ったものでよければここに……」
「媚薬とかもういいから。これ以上体動かしたら死ぬから」
 割と本気で。

「…………あまり頼りたくないのだけれど、永遠亭に頼もうかしら」
「月の薬師さんのトコですか?」
「そ。魔法使いとしてのプライドがちょっと邪魔してたんだけど……」
 魔法使いと薬屋は起源が同じとされる。異職同業。互いにのシマを食い合う関係。
 だものでパチュリーは永遠亭に対しちょっとしたライバル意識を持っていたのだが、
「……そうも贅沢言ってられる状況じゃないみたい」
 お腹がキリキリ痛むし。

「それもそうですね。私もいい加減我慢の限界ですし」
「我慢?」
「だって毎日毎日パチュリー様のお尻を拝めるのは嬉しいですけどいっつもお預けなんですもん。今日は我慢できずに頬ずりしちゃいましたけど出来る事ならトイレになんて行かせずにこの口で毎日吸いだして差し上げたい……あ、ごめんなさい、本音出ちゃいました」
「あなたの性格とそういう目で見られてるのは知ってたけど、改めて聞くとダメージが倍増ね……なんで使い魔の契約しちゃったんだろ……」
「あ、いえこんなワタクシですがちゃんと役にも立ちますよ! ほら、召喚術とか。ドドーン!」
「……………………あまり聞きたくないけどその蠢く触手の群れは何かしら……」
 なんか煙とか汁とか吹きだしてるんですが。
「これはですね〜魔界の顎口虫の一種で本来はドラゴンとかの胃腸壁に寄生してるんです。消化器官が退化してて予めある程度分解されている食物しか食べられないんですけど、お尻に差しておくと排泄物を食べてくれるんですよ。クセになる人続出の人気商品です!」
 自信満々に説明する小悪魔。
 心なしか、新作のクッキーの味を説明していた時より生き生きしている。
「あ、おしっこの穴用もありますよ」
 ……生き生きとしている。

「もういいからとっととその粗末なものしまってお使い行ってきて……」
「お代はどうします〜?」
 基本的に紅魔館にはお金がない。必要ないからである。
 レミリアはお嬢様なのでお金を払うという感覚がない。香霖堂でもツケである。
「魔法の一つや二つ払うからってゴリ押ししといて」
「そんなんで大丈夫ですかね」
「ダメだって言われたらあんたが体で払ってらっしゃい」
「ヒドっ! それが愛する使い魔に対する仕打ちですか。こんなに……こんなに尽くしてるのに……!!」
「こんなに尽くしてくれてる使い魔さん、あなたがくれた安眠枕、妙な香草が仕込んであったんだけど効能聞きたい?」
「さーて出発の準備してきますね」
 逃げた。


 ††††††††††††††††††††††††††††


 少々不安ではあるが、小悪魔もお使いくらいは無難に(悪だくみせず)こなすだろう。
 とはいえ小悪魔がいなくなってしまうのは少し心細い。
 三分に一回腹痛の波が来て十分に一回お尻の腫れを抑えるパウダーを振らなければいけなくて三十分に一回はトイレに行かなければいけない。
 立って歩くとそれだけで体力が削られるので、なんとか飛んでいくしかないだろう。
 気力が持てば。
 ……トイレに行く途中で力尽きて落下、そのまま脱糞なんて事態になったらもう死ぬしかない。

「一人くらい妖精メイドでも呼ぼうかしら……」
 役に立つかは分からないけど。
 そんな事を考えていると、図書館の扉がノックされ、一人の妖精メイドが顔を出した。
「あのー。すいませーん」
「はいはーい」
 小悪魔が応対する。
 妖精が何やら二言三言交わしている。小声でパチュリーからはあまり聞きとれない。
 『……――が…………て』『――……? ああ! ハイハイハイ…………じゃ…………てください』
 妖精メイドは帰って行き、そして小悪魔が何やら満面の笑みで戻ってきた。
「…………悪い知らせの予感しかしないのはなぜかしら」
「えー。いい知らせですよー」
 ニコニコ。
「来客なら帰ってもらって……今は誰とも会える状態じゃないから」
「いえ、パチュリー様のお客様じゃなくて。私がちょっとお呼びしたので」
「あ、そう」
 誰だろう。
 湖の氷精とその友達とかだろうか。
「でもなんでこんな時に……」
「それはですね、先ほども申し上げましたがパチュリー様の麗しきホワイトヒップを毎朝毎昼毎晩10分おきの24時間体制で眼福に預からせて頂けるのは無上の喜びなのですがいつもお預け、オカズにする暇もなくて死にそうだったので、ちょっと私が休ませて頂けるようにパチュリー様の面倒をみる助っ人をですね、ある方にお願いしたわけです。順番が逆になっちゃいましたけど、これで私がいない間も安心ですよパチュリー様」
 動機はともかく、看護を頼める相手がいるのは嬉しい。
 パチュリーはちょっとだけ小悪魔を見直した。
「もしかして永遠亭? それとも河童か天狗かしら」
 河童の一族には先祖伝来の妙薬が伝わっているというし、天狗は妖怪の中でも最も高度に洗練された社会構造を持っている、当然医療担当もいるだろう(紅魔館も集団としては相当優秀な部類だが、治りが早かったりすぐ再生したりするので医療班は存在しない)。
「イエ、それがですねぇ……」

 トントン
 扉がノックされる音。
 小悪魔の笑みがひと際大きくなった。

「こんにちわパチュリー。大丈夫」
 毛糸のケープとロングブーツ、木編みのバスケット片手に現れたのは七色の人形遣い。
 アリス・マーガトロイドだった。

『ちょっと待てぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ』(←小声)
 パチュリーは小悪魔の胸倉を掴んで揺さぶりながら(ただしアリスに聞こえないように小声で)怒鳴りつけた。
(なんでっ!? なんであの子なのよっっ!?)
(いやだって仮にもアリスさんも魔法使いですしそこら辺の人よりも医学的知識豊富ですし、何よりパチュリー様と種族が同じだから体調の具合も分かりやすいかなーと)
 正論である。
 おまけに珍しく変態性に欠けている。
(それにパチュリー様も好きな人に看病してもらえた方が嬉しいでしょ?)
(ぐ。それは確かに……じゃなくてっ)
 本音を突かれたため生まれた一瞬の隙を逃さず、小悪魔はパチュリーの拘束から逃れると早口にアリスに言った。
「じゃあアリスさん、私はちょっと永遠亭までお薬を頂きに行ってきますので後はよろしくお願いしますね。パチュリー様のお薬症状その他引き継ぎ一切合切はそこのテーブルのメモにまとめてありますんで」
「はいはい。頼まれたわ」
「ではそういう事で! いってきまーす」
 お幸せに〜とフリフリ手を振って扉の向こうに消えた。
 逃げた。


 ††††††††††††††††††††††††††††


「さて、パチュリー。体調はどう?」
 上着を脱ぎながらアリスが聞いた。
 相変わらずの無表情。
 でも今日は、その人形みたいに冷めた顔に一抹の心配の色が見えた、ような気がする。
 ベッドの上でカチコチになりながらパチュリーは答えた。
「わ、悪くはないわ。少しずつでも毒が抜けてるみたい」
「それは良かったわ」
 アリスは手早く小悪魔からのメモに目を通していく。
「原因は魔理沙のキノコですって?」
「ええ。例によって」
「例によってね。困った子よね。私も何度かやられたわ」
 クスリと笑う。
「アリスも?」
「ええ。だからどれくらい大変かも、ある程度分かっているつもりよ。遠慮なく頼って」
 持ってきたバスケットから魔法瓶とコップを取り出し、中身を注ぎ入れる。
 コポコポ。コップからは温かな湯気が立ち上った。
「はい。薬湯。体力が落ちてる体を暖めるから呑んでみて」
「あ、ありがとう……」
 言われてパチュリーは、自分の指がすっかり冷たくなっている事に気付いた。
 ありがたくいただく。
「あ、おいし……」
「胃腸は弱ってるだろうから、舌と香りで吸収されるものを持って来たわ。……熱くない? 刺激にならないよう、ぬるめにしてきたつもりなんだけど」
「うん大丈夫。猫舌の私でも普通に飲めるわ」
「よかった。食事は摂れてるの?」
「小悪魔がスープを作ってくれて……。あとは果物を少し。あまり食欲はないんだけど」
「じゃあ最低限の栄養は摂れてるわね。リンゴも持って来たんだけどこれは後にしましょうか」
「あ、今ちょっと食べたいかも……」
「そう? じゃあ剥いてあげるわ」
 アリスはナイフと皿を取ってくると、ベッドの傍の椅子に腰かけリンゴを剥き始めた。
 人形遣いの器用さもあるのだろう、リンゴの皮が切れずにスルスルとアリスの膝上に落ちて行くのを眺めながら、パチュリーは思った。
 もしかしたら自分は今、幸せかもしれない。
 下痢だけど。

「そろそろ時間ね。さ、脱いで」
 林檎も食べ終わった頃、唐突にアリスが言った。
「え」
「定期的にお尻に薬を付けなきゃいけないんでしょう。メモに書いてあったわ」
 かぶれを抑えるパウダーの事だ。
 そう言えばお尻の辺りがむずがゆいような気がするが、そんな事は銀河の向こうに放り投げる勢いでパチュリーは青ざめた。
「い、いいわよ、いいわよ。今はそんなに大した事じゃないからっ!」
 冗談ではない。
 小悪魔ならともかく、アリスにあれをやってもらうなんて。
 子供みたいにアリスに裸のお尻を向けて、あの白い指で触られて、あまつさえ穴の辺りを見られるなんて耐えられない恥ずかしすぎる死にたくなる。
「恥ずかしがらなくてもいいのよ。酷くするといけないし」
 アリスはそう言ってくれるが無理だ。想像しただけで顔からロイヤルフレアが出る。
「ムリ! てか駄目! それはちょっとそのアノあれだから……ッ」
「やっぱり、私じゃ、嫌かしら」
 そんな事はございません!!!!
 そんな傷ついたような声を出されたら、パチュリーは大人しく尻を出すしかなかった。
 性的ではない意味で。

 ベッドにうつ伏せで、尻を向ける。
 一応、お尻と足をピッタリと閉じている。恥ずかしい最終防衛線×2は守られているはずである。
 はずであるが、恥ずかしくて泣きそうだった。
 枕に突っ伏してぐぬぬぬと呻く。
 一方のアリスは何も言わずに、さっさとパウダーを振っていった。
 ……何も言われないのも、それはそれで恥ずかしい。

「…………ごめんね、アリス」
「なんで謝るの?」
「ん、その、こんな事させちゃって……」
「……別に汚いとか思ってないわよ」
「うん。いや、そうじゃなくて……、…………」
「…………」
 会話が途切れる。
 ヤバイ。沈黙が痛い。
 私は何を言おうとしてたんだろう。
 匂いとか、大丈夫だろうか。
 最後にトイレに行ったのはいつだっけ。
 魔法で奇麗にしてあるけど、消臭の魔法なんて知らないし。
 そう言えば下痢になっていらお風呂にも入っていない。
 小悪魔に体を吹いてもらったりはしたけど汗とか臭わないだろうか。
 そう言えば小悪魔がパウダーを振る時やけにスーハースーハーしていたけどアレってなんの匂いを嗅いでたんだろう。
 もし――の匂いだったら今もしてるのかな。
 他人のお尻の匂いを嗅ぐなんて恥ずかしい事したことないからよく分からない……

 クンクン
「っっ……、アリスっ、なにしてっ……」
「大丈夫。匂わないわよ」
 お尻のすぐ傍まで近づけていた顔を離しながらアリスが言った。
 安心させるように、ニコリと笑う。
「大丈夫だから。嫌な匂いは、しないわ」
「…………うん」
 匂いが杞憂だった事と気遣ってもらえた嬉しさで、それしか言えなかった。

「そうだ。ちょっとお薬作って来たんだけど、試してみる?」
「アリスが作ったの?」
「ええ。以前、魔理沙に盛られた時の私の症状とかキノコの種類を思い出して作ってみたの。胃壁粘膜の炎症をある程度抑えられると思うわ」
「うん。ありがとう……もらう」
「OK」
 バスケットの中をがさごそ探すアリス。
 飲み薬だろうか。
 苦くないといいのだけれど。
 あ、パウダーが終わったのならお尻しまわないと……。
「はい。コレよ」
「っっっ」
 しかしアリスが取り出したのは、座薬だった。
 しかもちょっと大きい。
「永遠亭で処方されたのを見よう見真似で作って見たから、少し大きくなっちゃったんだけど」
 いやこの際大きさは我慢ししよう。
 だがそれを入れるという事はつまりお尻だけじゃなくてその穴、更に穴の中まで見られてしまうという事で。
「大丈夫。ゴム手袋するから」
 ……どこまで深く入れる気なんだろう。
「あ、でも、パチュリーがどうしてもって言うなら、『生』でもいいわよ」
「なまっ!?」
「あ、手袋をしないって意味ね。後で手をよく洗えば……」
「いや別に手袋で全然いいけど……」
「あら? でも小悪魔からもらったメモに『座薬等を挿入する場合はゴム(手袋)を使うよりも生(素手)の方がパチュリー様はお好きみたいです』……って」
 お好きじゃねぇぇぇぇ。
 確かに小悪魔に頼んだ時は生の指どころか舌まで入れられそうになったが。
「全ッ然っ、そんな事ないから!」
「そう……? じゃあコッチの『痛みが酷いようでしたら腫れた部分を唾液を良く絡ませた舌で舐めてさしあげてください。殺菌効果と消炎鎮痛作用がある……とパチュリーさまが仰っていました』っていうのは」
「それもない! やらさてないから!」
 少し顔を赤らめた訊くアリスに、パチュリーは大げさに手を振って否定する。
 確かに唾液の消毒作用について教えた事はあったけど!
 改めて小悪魔を殴ろうと思うパチュリーだった。

「じゃ、入れるわね」
「……っん、お願いします…………」
 パチュリーは枕の端をギュッと掴んだ。
 アリスの厚意は断れない。
 断れないが、断ればよかったと今更思う。
 でももう今更すぎる。
 ゴム手袋をはめたアリスの指がそっと臀部に触れ、二つの尻肉がゆっくり開かれる。
 パチュリーは恥ずかしくて尻穴をぎゅっとしぼめた…………もしかして、しぼめた様子まで見られている、のだろうか?
 パチュリーは息を止め腹筋に限界まで力を込めて動かないようにした。
 アリスの指は温かい。
 座薬は冷たい。
(ひぅっ)
 座薬の先端が尻穴に当てられた時、声が漏れてしまった。
 ゆっくりと、弾丸上の薬苞が押し込まれる。
 いつもは出すために使われる肉の襞を冷たいものがそっと逆撫でされる。
 普段とは『逆の方向』へ襞が動かされる。
 くすぐったいのと、排便時の快感に似たようなものがパチュリーのこめかみをくすぐった。
(ぅ……ふぅっ……っ)
 声を出さない。声を出さない。動かない。動かない。
 そう心で念じているが、臀部がプルプルと震えるのを抑えられない。
 ツプ
 座薬が全部中に入った。
 続けてアリスの指が入ってくる。
(……っっ。そんなに押し込まないでも……っ)
 そう思ったが、口を開けば変な悲鳴が出てしまいそうだ。
(っ…………っっ)
 いつもトイレでする時は思いもしなかったが、お尻の中の感触はすごく「分かる」。
 座薬がズっと押し込まれるのが。
 指が、そっと内襞を撫でるのが。
 アリスの指が。爪が。
 襞の一枚一枚で彼女の指を感じられる。
 アリスも、同じように襞の一枚一枚の感触を指で感じているのだろうか?
 冷たくて、くすぐったくて、でも少しだけ気持ちよくて思わずぎゅっと穴をすぼめてしまいそうで我慢している肉の襞を。
 尻の肉襞が急にぎゅっと締めあげたら、彼女は驚くだろうか?
 そんな事したら……お尻の穴で感じる変態だって思われてしまう……確実に。
 小悪魔にも黙っていたが、パチュリーはこの座薬を入れられる感触が嫌い、………………ではなかった。
 しかも今はアリスの指が、第二関節辺りまで入っている。
 入れられている。
 挿入されている。
 自分でもバカな連想だとは思うが、それだけで、その行為だけでパチュリーは昂ぶっていた。
(落ち付け。落ち付け自分っ)

 しかしパチュリーの心配は、別の要因によって的中する。
(……〜〜〜〜ッッ、こんな時にっっ)
 便意、である。
 長くお尻を外気に触れさせすぎたのだろう、アリスが来てからしばらくなかった波がついに来たのである。
 おまけに高波っぽい。
 パチュリーは思わずお尻に力を入れた。
「あ、ごめんなさい。きつかった?」
「う、ううん。だいじょうぶ……」
「十分奥まで入ったみたいだし、今抜くから」
 ズリ
 アリスの指が引き抜かれた。
 肉襞が『正常な方向』に撫でられ、それは排便時の快感をもたらした。
 『もっと欲しい』
 そんな命令が脳内で湧き起こり、一気に便意が加速する。
 でもプライドの最後の一かけらがそれを阻止しようと脳天を貫く。
 互いに反する動きが、高みへ上る。
(………………ッッ)

 アリスがドロワーズを上げてくれる。寝巻のスカートを直しながら、
「はい、これで少しは楽になるはずよ」
「あ、……ありがとう」
 礼を言うパチュリーは濡れてしまった部分をそっと隠した。


 ††††††††††††††††††††††††††††


 薬のおかげか、ちょっと楽になった。
 腹の調子が楽になると、今度は喉が渇いてきた。
「お水、もらえる?」
「はいはい。ちょっと待ってね」
 水差しに入っているのは小悪魔が調合した薬水だ。
 普通の水にブドウ糖とビタミンを混ぜ入れて吸収を良くし、口当たりを良くするためにとろみを付けた病人用飲料だ。
 昔、風邪をひいた時に小悪魔が作ってくれて、以来体調を崩した時はお世話になっている。
 小悪魔もたまには良い仕事をするのだ。
 最初に飲まされた時は媚薬が数滴入っていた危なかったが。
 そんな事を思い出していたら、不意に頭の後ろをぐわしと掴まれた。
「へ……」
 疑問を発する前に、口づけされた。
(へ……キス?)
 キス。
 口づけ。
 マウスちゅーマウスうぃずベロ。
(………………ッッッ)
 唇伝いに、薬水が流し込まれる。
 少し、いつもより塩っぽいのは、唾液のせいだろうか。アリスの。
 そう思ったら顔に火が点いた。
「ん…………」
「……ぅ…………ん」
 アリスはずっとキスを続けている。
 パチュリーが薬水を飲み干さないからだ。
(だってこれを飲んだらつまりアリスの唾液がどうたらこうたら……)
 そんな事でパチュリーの頭が一杯になっているのにおかまいなしに、アリスの舌が、パチュリーのそれに重ねられる。
 思ったより、ざらりとした。

 ビクン
 腰が反応した。
 とはいえ、快楽的な意味ではない。
 波的な意味で、である。
(〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜|%#ッ$&!?)
 痛みが腹部を襲う。
 押し出そうと動く内蔵が、お尻の筋肉を緩ませる。
 静まれ私の肛門括約筋!
 ゴクリ
 薬水とその他の液体がパチュリーの喉を滑り落ちた。

 ……どうにか危機は去った。
 グッタリしたパチュリーが訊ねる。
「……これも、小悪魔のメモに、あったの?」
「ええ。唾液と混ぜると吸収が促進されるからって……ごめんなさい、嫌だった?」
 少し顔を赤らめながらアリスが言う。
「う、ううん大丈夫。ちょっとビックリしただけだから……」
 あの野郎……悔しいでもGJ。
 ……ところで、もう一杯飲みたい、ってお願いしてもいいのだろうか。


 ††††††††††††††††††††††††††††


 ところで、水分を摂ったせいか本格的にトイレに行きたくなってきた。
「アリス……、その、私ちょっとおトイレに……」
「ん。はいはい。ちょっと待ってね」
 トイレに行きたいから肩を貸して、と言いかけたパチュリーを遮ってアリスが取り出したのは、携帯用便座だった。
 いわゆるオマルである。海老ではない。
 もう既に展開が読めていたが、あえてパチュリーは聞いた。
「……それも、小悪魔のメモにあったの?」
「え? ええ。体力を消耗しすぎてベッドから降りられない時はコレを使ってください、と」
 やっぱり殺そう。
 確かに色々と体力消耗する出来事はあったが。
「飛ぶ事は出来ないけど、歩くのはなんとかできるのよ。だから肩を貸してもらえる?」
「あ、ごめんなさい。変な気遣いしたわね」
「ううん。ありがと」
「じゃ、失礼するわよ」
「へ?」
 パチュリーはアリスに抱きあげられていた。
 いわゆる一つのお姫様だっこ。
「この方が早いわよ」
「そそそそそうかもね!」
 呂律が回っていない。
 アリスって意外と力持ちなんだなーとか。
 うをををなんか柔らかいものがーとか。
 顔! 顔が近い息が近い!!とか。
 思考は暴走フル回転しているが。
「姿勢、きつくない?」
「き、きききキツイなんてことないわよっ」
「そう? 慣れてないからちょっと乱暴になるかもしれないけど我慢してね」
 運ばれながらパチュリーは思った。
 今ならこのまま死んでもいい。

 結局、トイレの中の便器の所まで運ばれていった。
 便座に降ろしてもらいながらパチュリーは言った。
「ありがとう」
「じゃ、トイレの前で待ってるわね」
「あ、あの」
「なに?」
「ちょっと……離れてて、もらってもいいかしら。トイレのドアから」
 ドア付近だと、色々と音が漏れてしまう。
 前に小悪魔がトイレのドアに張り付いていた事があったので学習済みだ。
「……ああ、分かったわ」
 勘のいいアリスは、すぐに分かったという風に頷いて出て行った。
「終わったら呼んでね」

「さて……」
 アリスの足音が離れて行ったのを確認して、パチュリーはドロワーズを下した。
 実は、下痢の波は今は治まっている。
 今はむしろ……、
「う……、やっぱり濡れてる」
 座薬とキスだけでこうなるとは……と軽く自己嫌悪に陥る。
 しかし下痢になって以来、ろくにオナニーもできなかった。
 余計な体力を消耗できないのと、極力水分の対外排出を抑えるためである。
 だが、さすがにもう収まりそうにない。
 ベッドでは…………できないし(小悪魔のように露出願望はない)。

 パチュリーはそっと自分の手のひらに唾液を垂らす。
 息をふ、と吹きかければ魔法がかかり、即席ローションの出来上がり。
 丁寧に両手に馴染ませる。
 …………いつもは、豆を刺激して、膣にはちょっとだけ指を入れるだけだ。
 胸はいじらない。快感はできるだけ一か所に集中して感じたいからだ。
 けれど、今日は。
 右手の人差し指は豆に、左手の人差し指は…………後ろの穴に。

 思ったより簡単に、指先が穴に埋まった。
 意外と柔らかい。
 ローションの潤滑があるので先ほどとは少し感触が違う。
 だが快感は前以上だった。
 そのままズルズルと関節が呑みこまれていく。
 いや、違う。
 指が肉襞をこする感覚。
 それが、気持ち、良すぎて……指がどんどん奥に入って行くのだ。
 奥に入れているのだ。自分が。
「……んっ」
 根元まであっという間だった。
 もっと奥へ。奥へ入れたい。
 そう中で指を伸ばす。動かす。それが更なる快感を生む。
 やがて気付く。
 出せば、いい。
 引き抜くのもあっという間だった。
 だから快感も、一瞬だった。
「あうぅ……っ」
 思わず強く豆を押さえてしまった。
 小さな絶頂。

「……ふぅ……ぅ」
 パチュリーは指の出し入れを何度も繰り返した。
 絶頂とともに腸が緩んだのか、少しずつ波が押し寄せてくる予感がする。
 その前に、少しでも感じたい。
 腸液が出てきたのだろう、ローションと混ざって少し嫌な匂いがしてくる。
 だけどそれに構わずパチュリーは挿入を繰り返した。
 ゆっくり、ずぷずぷと、襞が反り返る感触とジワジワ来る快感楽しみながら、入れる。
 そして一瞬の快楽とともに引き抜く。ズポ、っと気の抜けた音が漏れた。

 何度も何度も繰り替えすうちに、本格的な波がやって来た。
 早くイかなければ。
 前の方をこする指にも力が入る。
 もう少し、もう少しで出てしまう。その前に……。
 そして来る、と、そう思った瞬間に、

『パチュリー?』
 不意打ちだった。
 だが、どうにか耐えた。
 声も漏らしてない。
 尻穴に突き刺したままの指がプルプル震える。
 聞かれてしまっただろうか。
 自分が、一瞬前まで垂れ流していた淫猥な音が。

『パチュリー?』
 もう一度アリスの声。
『な……、なに?』
 声を出すだけで腹が緩みそうになる。
 指で栓をした状態の穴から、少しずつ何か洩れている気がする。
 ピチョン、ピチョンと水の音。

『だいぶ長いから心配になって? 倒れたり、してない?』
 出る。出る。出る。出る。
 ――大きく息を吸って、吐いて。大丈夫って、答えないと。

『ん、うん……だいじょう、ぶ。ちょっと、波が長くて……』
 出る。出る。出る。出る。でちゃうっ。
 ――息が上手く吸えない。お腹に息を入れたら、それだけで洩れてしまいそう。

『ほんとに大丈夫? 辛く、ない?』
 でちゃう。でちゃう。でちゃう。でちゃう。
 ――前の方の指を、動かしそうになる。ううん、動かしてる。気持ちいいのが止まらない。止められない。
 ――聞こえてしまうかもしれない。いやこれだけ小さな音なら平気かもしれない。

『ん……ぅ、すこ、し、つらい、けど、だいじょぶ、よ』
 でちゃう! でちゃう! でちゃう! でちゃうっっ!
 ――だけどさすがに排便したら、その音はアリスに聞こえてしまうだろう。それだけは、できない。
 ――でも、もしここで、出してしまったら。それはどれだけ、気持ちいいのか。

『そう。ごめんなさい。辛かったら遠慮なく呼んでね。背中を擦るくらいの事は出来るから』
 そう言って、アリスの声が遠ざかって行った。

 ――守りきった。
 その安心感が引き金だった。

 お尻の中の指が、とても熱いものを感じた。
 破裂するような、嫌な音を聞いた気がした。
 前の方の指も温かくなった。
 そんな事がギリギリ考えられるだけの思考力を残して、あとは全部真っ白な濁流が脳を攫っていってしまった……。

 そしてパチュリーは気を失った。


 ††††††††††††††††††††††††††††


 目が覚めた。
「あ、起きた?」
 傍らで本を読んでいたアリスが気付いた。
「アリス? あれ、私は……なんで」
 なぜベッドに寝ているのだろう。
 確かアリスにトイレに連れて行ってもらって、それから…………、
「ごめんなさい。あの後心配になってもう一度様子を見に行ったの」
 しかしいくら呼んでも返事がないのでドアを破壊。
 トイレで気絶しているパチュリーを発見。
 どうにか抱え上げてベッドまで連れて来たのだと言う。

 ――もちろん、それだけでないのは、当のパチュリーが一番よく分かっていた。

 最悪だ。

 最低だ。

 どうしようもない。救いようがない。手遅れだ。

 『あんな事をした後』の自分の惨状は、想像を絶する。

 自慰の恰好で汚物の中に撃沈していたなんてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。

 夢の島にでも穴掘って入りたい。

 情けなくて涙が出そうだ。アリスは体調の悪い自分をこんなにも気遣ってくれているというのに。
 なのに自分は、勝手に興奮して、自慰までして…………。
 …………その上、アリスに、汚い仕事までさせて。
「ふぇ……うっ、うっ、アリ、ス……、ごめん、なさい……」
 涙目で俯く。
 ポタリ。ポタリ。
 落ちた涙が布団の上で水色の染みになる。
「だいじょうぶ」
 そんなパチュリーを、アリスはそっと抱きしめた。
「わたし、パチュリーなら、嫌じゃないわよ」


 辛い時は頼ってくれていいから。
 汚いなんて思わない。
 どんなに事でも、引き受けてあげるから。
 だから、大丈夫だから。
 泣かないで。


 そう言われて泣いた。
 多分、長いこと泣いていた。
 その間ずっとアリスが抱きしめていてくれた。
 どうにか泣きやむと、アリスが言った。
「さ、少し寝て、早く元気になって」
「……うん」

 アリスがそっと布団をかけて寝かせてくれる。
 じゃあ私は傍にいるから。
 そう言って離れようとするアリスの手を蒲団の下から捕まえて。

 ありがとうと呟いた。















 ところで小悪魔が永遠亭には行かずにハァハァしながらカメラを回していたのは言うまでもない。
やっぱり間に合わなかったよ……
遅刻ですが勢いで投稿します。

いま気付きましたが掲示板で参加表明する時に名前入れ忘れてました。
パッチェさんで騒いでた泥田んぼと申します。排水口初心者です(キリッ


スカは苦手、小まで、大はムリ! が信条でしたが
下痢を我慢するパッチェさんを想像したら妄想が止まらなくなりました。
結局まだ苦手っぽくて描写はなぁなぁで終わってる気がしますorz
でもこの企画のおかげで新しいパッチェさんの魅力に気づけた気もする(エ

言い出しっぺのぐうさん他、企画に携わられたみなさん、お疲れさまでした&ありがとうございました
それから冒頭のタイトル画像はNAさんのを描かれたものを使用させていただきました。
末尾になりましたがお礼を申し上げます。




さて、カレー食うか
泥田んぼ
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2009/11/17 16:10:23
更新日時:
2009/11/18 01:10:23
分類
東方下痢娘
スカ
自慰
百合
パチュアリ
へたれ(主に書いてる奴が)
緩いギャグ風味
キャラ崩壊
1. NA ■2009/11/18 01:43:35
あったけぇ……あったけぇ……
これ百合SSとしてもとてもいいデキだと思います
アリスさんええ娘や……
もちろん下痢と戦うぱっちゅさんの様子には興奮を禁じ得ませんでしたが!
下痢を堪える娘さんの魅力は普遍的なものだと信じてやみませんよ本当!

ちょうどそのころレミリアや咲夜さんがどうしているんだろうという妄想も広がりますね!
あー集団食中毒ネタっていいなあ……
2. 名無し ■2009/11/18 01:55:29
お、オムツ爆発ってのはあれかい?その…カエル爆弾のごとくその…

実はアリスも色情魔というアレなヨカンがしたがそんなことはなかったから安心したぜ
>自慰で汚物に撃沈
これは死ねる それでも愛してくれるアリスマジ淑女
3. 名無し ■2009/11/18 02:01:51
作者さんは初心者の皮をかぶった中級者と見た
苦手と仰るが、これだけ書ければ上等だと思う、興奮した
キャラの掛け合いも、本当にこんな感じのやり取りをしそうで
非常に楽しめた、いやはやお見事
4. nekojita ■2009/11/18 03:07:16
むしろ完全に上級者
好みのノリです
ありがとう
5. 名無し ■2009/11/18 06:33:19
甘い!このパチュうんこ甘いよ!
6. うらんふ ■2009/11/18 06:54:21
面白い!
スカとしてもですが、それ以上に登場人物みんなの絡みが面白いです〜
こあーがまたいい味出していて♪
お持ち帰りしていいですか♪
7. ぐう ■2009/11/18 08:46:34
ぱっちぇのうんうん妄想でしっかり拝ませていただきました。
てかアリスの優しさが半端ねぇ
8. 名無し ■2009/11/18 09:59:11
咲夜さんのパァン・・・だと・・・?
9. ずぎゃ ■2009/11/18 20:09:40
ああ、これでアリパチェに目覚めさせられるとは・・・子悪魔GJ。いや泥田んぼさんGJ!
甘くて苦いビターチョコを食べた後、オレンジジュースを飲んだ時の様な気分にさせて頂きました。

テンション上がってきた!
10. 名無し ■2009/11/18 23:18:32
幻想郷全体が下痢になる異変でもいい気がしてきた
11. 名無し ■2009/11/25 11:27:50
GJ。

私こういうのすき。
12. 名無し ■2010/03/05 05:54:55
実に良い話だなぁ……
それに加えてパチュアリ…
何度も読み返してしまう魅力を感じる……とにかくGJ!!
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード