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『厄神様』 作者: 名前がありません号
それは鍵山雛がいつものように、妖怪の山の近くの森を散歩していたときの事でした。
クルクルと回っていると、厄の多そうな青年がそこにいました。
雛が人間に一言声を掛けました。
「もし、どうされたのですか」
「僕は、運が無いんだ。お金はなくすし、妖怪に襲われるし、道に迷うし。もう僕の人生は終わりなんだ」
「そうなのですか。では私が貴方についた厄を取り払いましょう」
「あ、あぁ、貴方が厄神様なのですか! お、お願いです! 僕の厄を取り払ってください!」
「わかりました、それでは貴方の厄を取り除きましょう」
雛は安請け合いだと思いながらも、目の前の人間に手を差し伸べないのは、
彼女が納得できなかったので、雛は青年の厄を取り払ってやることにしました。
青年は足に怪我をしており、雛は青年の足に自らのリボンを結びつけてやる事にしました。
「あ、ありがとうございます! 厄神様!」
「お礼はいらないわ。あとそのリボンは村に帰ったら、直ぐに捨てなさい」
「え、どうして……」
「私は厄神。厄神の持ち物なんて長く持っていてはいけないわよ」
そういって、雛は妖怪の山の方へと回転しながら、移動していきました。
青年は後を追いかけようと思いましたが、流石に妖怪の山に入る勇気はなく、
雛に言われた道をまっすぐ進みました。青年は無事に村に帰る事が出来ました。
青年は、雛に厄を払われた事で今までが嘘のように幸運に恵まれました。
しかし青年は、雛の言葉に反して、雛のリボンを持っていました。
青年はどうしてもリボンを捨てる事が出来ず、雛に返そうと思っていたのです。
ある日、村の男の一人が村のはずれの森で厄神様を見かけた、
という話を耳にすると、青年は駆け出していました。
一本のリボンを持って。
獣道を通り抜け、青年はようやく厄神様を見つけ、
声を掛けようとしました。
「厄神さm……」
しかし足元の穴に気付かずに、青年は穴に落ちてしまいました。
落下のショックで足の骨が折れた青年は、リボンを握り締めたまま穴で息絶えてしまいました。
呼ばれた声に気付いて振り向いた雛でしたが、そこには誰も居ませんでした。
近づく足音が聞こえると、雛はその場から立ち去りました。
厄神様を追いかけた青年を探していた村の人々は、
穴に落ちて死んでいた青年を見て、一様に悲しみました。
「ああ、なんてことだ……」
「おい、このリボンは……」
「厄神様の……? まさか、厄神様が?」
「むごい、まだ若いのに……」
「このままじゃ、私らまで呪われるんじゃあ……」
「お、恐ろしい……!」
「も、守矢神社の風祝様に連絡を!」
「厄神様が私らを呪おうとしておると伝えるんじゃ!」
村の男らは、守矢神社に行くと
「わしらの村を呪おうとしている厄神様を退治してくだされ!」
と言って、風祝様に連絡した。
そういうと風祝様は二つ返事で、
「私がにっくき邪神を倒して差し上げましょう」と言って、厄神様の討伐に赴きました。
そして、森で発見された厄神様を風祝様が退治なされました。
厄神様は村にさらし者にされると、村人は皆一斉に石を投げました。
流石に厄神様に直接触れる事は、村人達は厄が移ると避けていました。
「この! この!」
「何が厄を取り払うじゃ! わしらに厄をぶつけたいだけじゃろう!」
「私らは慎ましく生きてるっていうのに、呪おうとするなんて!」
「若いのをたぶらかして、呪い殺すなどと恐ろしいことを!」
「ゆるさねぇ! ゆるさねぇぞ!」
「お前なんか神様じゃねぇ! 妖怪じゃ! 妖怪じゃ!」
容赦なく村人に石をぶつけられる雛は、ただ諦観していた。
自分に近づく人は皆不幸になっていく。
だから何も欲しくはないのに。
だから何も求めないのに。
だから何も望まないのに。
でもこれが私の宿命なのね。
そう雛は思いました。
最後に風祝様がたいまつを握ると、雛の身体を燃やしました。
雛は目をつぶって、全身を炎で焼かれました。
その煙はどす黒い煙でした。
その後、村の人間達は原因不明の疫病で全員死にましたとさ。
ああ、恐ろしい恐ろしい。人間が恐ろしい。
ちなみに風祝は巫女に変換してもおk。余り意味は無いが。
名前がありません号
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2009/11/24 16:36:47
- 更新日時:
- 2009/11/25 01:36:47
- 分類
- 鍵山雛
- 短い
- 内容薄い
綺麗…
どこでも『壁』のある慕情ってのは悲恋に成っちまうもんなんすかねぇ
それを へんかん するなんて とんでもない!
ヤマメ「許せんっ!」
もしかしたら・・・・
ヤマメ「しまった・・・!」