代わりの償い

この話は幻想郷だったものでの生活の関連作品（？）です


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それはある日の出来事だった。
幻想郷で核爆発が発生し平和だった生活に終止符が打たれた。

しばらく経ってから、人々は核爆発が起こった原因を調査する事にした。

しかし爆発前のように資料も記録も何もなく調査は進まず一旦打ち切りになりかけた時、とある一人の協力によって人為的な物だった分かり犯人を捕縛した。
それがとある一人による計画だったとも知らずに――







集落の外れにある倉庫、その中には今回の事件の犯人とされている人物が拘束されていた。
黒髪の長髪に緑色の髪留め、背中には羽が生えていて右手には制御棒がついている地獄鴉の霊烏路空だ。

彼女は何度も自分はやっていないと訴えてきた。
しかし一度も聞いてもらえず、五月蝿いという理由で殴られたり蹴られたりもした。


そして今日、お空が盗み聞きした話によれば今日大衆の前で処刑されてしまうらしい。
大衆の前で疑惑を晴らすことが出来ればなんとかなるかもしれないと最後の望みに賭けていた。


そんな事を考えているうちに男が２人、倉庫内にやって来た。
どうやら時間らしい。

お空は１人の男に髪を掴まれ顔を上げさせられる。
その男は目つきがとてつもなく怖かった。人の目とは思えない。お空は男と向き合いたくなかった。
しかしお空は髪を掴まれて顔を動かすことが出来なかった。

この１人の男に集中していたのかもう１人の男はポケットから大きな石が沢山包まれた布を取り出した。
これで殴るのだろうとお空は考えていた。
しかし考えていた事は外れた。

男はお空の口に無理矢理入れようとしてきたのだ。
包みが大きすぎてお空の口には入りきらず涙を流しながら苦しんだ。吐き気もした。

ある程度入ると男２人はお空の片腕を持ち上げて倉庫から引きずり出していった。




お空は集落の中央を連れて行かれる最中に様々な人々に罵声を浴びせられた。
自分がしていない事を弁明したくても口に石の包みが詰め込まれているために弁明する事が出来ない。
動くことも出来ず、沢山の罵声を浴びせられ続けたお空は泣くことしか出来なかった。


気がついた時には集落の中央にいた。顔を上げ辺りを見回すと沢山の観衆と死刑台、その周囲に何人かの人間が居た。

その中の１人にお空は見覚えがあった。
の髪に青と白の腋出し巫女服、守矢神社の巫女東風谷早苗だ。

観衆の声で何を話しているかは聞こえなかったが、彼女なら助けてくれるかもしれないとお空は期待した。

早苗と話していた人が気がついたのかお空の方へと歩いていく。
お空の真ん前までやって来た早苗、目は少し怖かった。
何か嫌な予感がしてたまらなかった。


そう思った時、お空は早苗に思いっきり腹を蹴られていた。
お空が蹴られてたと同時に観衆から歓声の声が上がる。
そして早苗は大声で語り始めた。


「皆さん！！ 幻想郷は核爆発により多くの命を失いました！！ 今でも沢山の人が被害に苦しんでいます！！
それなのに犯人は核の被害に苦しまずに何事も無かったかの様に普通に生きています！！！
私は見たことがあります！！ 核爆発が起こる前に、この犯人が核の力を使っているのを！！ この犯人はかつての博霊の巫女の様に核の力を特殊能力として使えるのです！！！！
これ以上にない証拠です、幻想郷には核兵器などありませんし、核爆発を起こせるのはこの犯人１人だけなのです！！
犯人に死を！！！！」

話が終わった瞬間、観衆から処刑コールがもの凄い声で上がった。
殺せ殺せと皆気がおかしくなっている。


お空は余りの恐ろしさに意識がどこかに飛んでいってしまったようで口を半開きのまま瞬きもせずにボーっとしている。

お空は気づかない内に死刑台へと連れて行かれ、中央の柱に縛りつけられるまで意識が飛んでいた。

気がついた時、早苗が手に銀色の何かを持ってお空にゆっくりと近付いて行く。
一体どうしたらいいんだろう。
いやどうしようもない。
いや、何か方法はあるはずだ。


そんな事を考えているうちに早苗は銀色の何かをお空に向けた。
先端は尖っておらず大きな穴が開いているだけで、どうやって殺すんだろう、
刺して殺すのは無理だろうと考えた直後、お空はこの世の人では無くなった。






お空を葬った直後、早苗は気持ち悪い笑みを浮かべて計画の成功を笑って喜んだ。


周りでは真実を知らない人々が、狂った様に喜びの声を上げていた――