今日は一年に一回(あるかないか)の幻想郷の有力者会議の日である。
有力者と言ってもどこからどこまでが有力者なのか定義が曖昧なので年々出席者が増え、
会議が長引いて鬱陶しいという問題点も指摘されている。皆早く家に帰りたいのである。
そしてこの日、とある発言からまさか悲劇が起こるとは誰が予想したであろうか。(産廃の皆は予想できるね!)
「なんか紫の冬眠設定って無かったことになってない?」
「は?」
レミリア・スカーレットさんが八雲紫さんに対し爆弾発言をした。
一気に場の空気が凍りつく。例えるなら静まった授業中にいきなり独り言が出てしまったあの時の空気。
「誰が島民よ!」
「いや、違うでしょ・・・それ原住民みたいじゃない・・・」
紫は年のせいか、痛恨のボケをかましてしまった。
隣にいた藍は「介護が必要な年齢かッ!!」と叫んだので血を吐くまで蹴られた。
「で、何が冬眠設定ですって?そんなの知らないですわよ」
「うん、シラを切るつもりね。そこでだ、私の『日光が弱点』っていう設定も忘れてくれたらなぁ、って・・・」
場の空気がまた凍りついた。
「ねぇ、その『設定』っていうメタっぽい発言は止めてくれない?」
「嫌だね。私の要求を聞き入れてくれたら考えてもいい」
「じゃあ多数決で」
哀れなるレミリアちゃんの『日光が弱点』っていう設定無かったことにするという議案に対し、
結果 反対 42
賛成 1 ←もちろんレミリア
三世 1 ←ルパン
「なんでルパンいるん!?」
「幻影よ」
レミリアの純朴な疑問は紫の言葉(大人の事情)によって掻き消された。
「まあこれで全会ほぼ一致で反対ということに・・・」
「認めないわ」
「なんですって」
「このレミリア・スカーレットが認めないというのだ、老害共!」
その時、神奈子が「レミリアざまあ(笑)」と野次を飛ばした。
決して『老害共』と言われてムカついたからではない。
「なんですって・・・」
「レミリアざまあ(笑)」
「くっ・・・」
次々とレミリアを中傷する野次が跋扈していく。
決して(略)
「レミリアざまあ(笑)」
「やめんか!」
「レミリアざまあ(笑)」
「このっ・・・」
「全世界テクノブレイク(笑)」
「かっけえ」
「レミリアざまあ(笑)」
・
・
・
・
・
一時間後
「まさか一時間も『レミリアざまあ(笑)』コールされるとは思わなかった!
この怒りは甚だしいものである!よって我々は和平的な解決は望まない!
武力をもって我々の要求を押し進めることに決定した!さいなら!」
とレミリアは演説して出て行ってしまった。
残された会場の皆にはヤレヤレ感が漂っていた。
翌日。
「実際どうすればいいのよ・・・」
「知らない」
レミリアは図書館にいた。
友人のパッチェさんに助言でも貰おうかと思っていたのだが冷たくあしらわれて地味に凹んでいた。
「戦争なのよこれは!アンタも巻き込まれるのよ!」
「え〜迷惑」
「・・・(絶句)」
「わかったわかった、だから腕をそんなに強く掴まないで・・・いや、ちょっとマジで痛・・・ホンギャアアアーッ!」
あまりにも強く握りすぎたのでパチュリーの左腕がへし折れてしまったのだ。
握撃程の威力がなかっただけマシだろう。
「で、どうすればいい?」
「・・・歌?」
「・・・(絶句)」
「わかった、だから瞳孔開きながら押し黙るのやめて、怖いから」
まあ歌で戦争は解決しませんよね(笑)
「で、どうしよう?」
「・・・魔女の経験から言わせてもらうけど人員不足ね。相手との数が違いすぎる」
「じゃあ人員補充?」
「誰を補充するのかが問題だわ」
「妖精?」
「妖精とか使えないじゃない」
「じゃあ・・・」
「言っておくけど、紅魔館と組むような勢力はいないわよ」
「・・・(絶句)」
「貴方それ好きね・・・わかった、手を打ってあげるわ。一人しか心当たりないけど」
「一人でも十分さ、我が友よ」
「いや、嬉しいからってハグとかいいから。背骨デストロイするから」
二時間後、博麗神社。
魔理沙が霊夢に昨日の出来事についての新聞を見せているようだ。
新聞には『紅魔館が対立!生理によるイライラが原因か!?』という見出しが躍っている。
「いや、この見出しどうなの」
「知らん。私が聞きたい」
「・・・まあ、私は中立だから関係ないし」
「そうだな、私も中立だから・・・最初は様子見で、弱った勢力から金を奪えばいいんだぜ」
「魔理沙、貴方のそんな小賢しい所が好きよ」
「ハッハッハ、人間は小賢しいのが長所だからなぁ!!」
「ハッハッハ」
「何が小賢しいって?」
「ぱ、パチュリー・・・それに咲夜と美鈴も・・・」
二人が大笑いしていると、いつの間にかパチュリーと咲夜と美鈴がそこに立っていた。
「この神社ではレイプ禁止よ、一応」
とりあえず霊夢は、このレイプが起こりそうな雰囲気に対し忠告をしておいた。
巫女の感がなせる技である。
「私達が用があるのはそこの白黒よ」
「おのれ、エスパー○田の刺客め」
「いや、意味分からないから・・・咲夜、美鈴、連れて行きなさい」
「うわ〜拉致される〜霊夢助けて〜(汗)」
「緊張感が足りないわ(笑)」
二人に腕を掴まれて引きずられていく様は
さながら憲兵に引きずられていく捕虜のようであった。
1時間後、図書館。
無理やり連れてこられた魔理沙とパチュリーだけがこの場に残されていた。
「何で私がこんな所に来なきゃいけないんだ」
「本の借り賃よ」
「けっちくせえ、性的プレイがお望みか」
「なんとでもいいなさい。貴方を連れてきたのは紅魔館と組んでもらうため」
「まさか、新聞で書かれてた揉め事か!?」
「うん」
「命がいくつあっても足りねーよ!バーカ!」
「でも拒否したら毎晩が大変よ」
「ギャッ、レミリア!?」
図書館には二人しかいないと思っていたが、どうやらレミリアが魔理沙の後ろでスタンバイしていたようだ。
あ、あとニヤニヤ顔の小悪魔もいたわサーセン。
「なんで後ろから出てくるんだよ」
「演出?」
「いらないから」
「・・・(唖然)」
「やめろ、怒るな怒るな」
「レミィ怒らせると腕折られるわよ」
「マジか・・・うわっ、よく見たらパチュリーの腕があらぬ方向に曲がってる・・・」
「で、どうすんの?」
レミリアが紅い瞳で魔理沙を直視しながら問うた。
「わかった・・・お前らと組んでやるぜ・・・」
「よく言った!これでお前も晴れて紅魔館の一員ね!」
紅魔霧雨同盟結成の瞬間である。
「なんか無理やり眷属にさせられそうなんだけど」
「諦めなさい。それじゃ私は寝るから。あ、この戦いが終わるまで館で泊っていくといいわ」
レミリアはそう言って去っていった。
「なあ、『毎晩が大変よ』ってどういう意味なんだ?」
「そういう意味よ」
「そういう意味なのか!?」
そして夜中。
レミリアが起きている時間帯なので、早速作戦会議が図書館で行われた。
この場にいるのはレミリア、パチュリー、咲夜、そして魔理沙である。あ、小悪魔もいる・・・
「早速だけど、戦争とはどうするものなのかしら?」
レミリアが第一声に魔理沙に訪ねた。
「戦争は物量だぜ」
「生々しいわね・・・」
「具体的に言うと、爆撃が有効だな」
「うひょー、言うことがどこぞの病弱魔女と違うわー」
パチュリーは不貞腐れていたが、それに反比例して小悪魔のニヤニヤ顔は加速していった。
「で、爆撃に何を用いるかだが・・・」
「爆弾なんてないわよ、幻想郷だもの」
「やっぱりか・・・」
「ゲロぶちまければいいんじゃない?」
「誰がやるんだよそれ・・・」
そして場が凍った。
レミリアは場を凍らせるのが得意なようだ。
「じゃあ毛虫で」
「お前さっきから発想が酷いぞ!仮にも貴族なんだろう!?」
「じゃあゴキ○リ」
「それは致死量だ、やめろ。咲夜、なんか言ってやってくれ」
「・・・古生代のゴ○ブリは30センチぐらいあったらしいわよ」
「おい、やめろ」
想像してしまったパチュリーは『致死量ッ!!』と叫んで気絶した。
小悪魔が引きずっていった。
「じゃあ魔界から爆弾買っとくわ」
「え?お前そんなコネあったん?」
「舐めないで頂戴な。さて、じゃあ地図で確認よ」
レミリアは懐から30センチメートル四方の小さな地図を取り出した。
「この地図ありえないだろ!幻想郷水資源に富みすぎだろ!
しかも地霊殿が地上にあるし・・・咲夜なんか言ってやってくれよ」
「・・・そういえば魔理沙、貴方が泊る部屋って私の部屋なのよ」←死亡フラグ
「えっ・・・」
翌日の正午。
レミリアが珍しく起きて、テラスで紅茶を飲んでいる所に咲夜と魔理沙がいた。
「あれ二人とも何でそんなにケガしてるの」
「流血プレイとかありえないだろ・・・」
「え、咲夜それ本当なの?」
「はい」
「・・・(驚愕)」
「そういえばお嬢様、魔界から小包で爆弾が届けられました」
「小包で爆弾って・・・」
魔理沙はもうツッコミ切れないようだ。
「よし、作戦通り決行よ!」
「え、誰がやるんですか?」
「妖精に決まってんじゃない。私達は館の死守よ」
「・・・まあ、妖精は死にませんからね」
「こいつら鬼だ」
魔理沙は改めて紅魔館の恐ろしさを実感した。
BGM 〜渡る世間は鬼ばかり〜
3時間ほど前、魔界にて、
金髪のメイドが何やら急いでいる様子で、神綺の部屋に入っていった。
「どうしたの夢子ちゃん」
「神綺様、紅魔館から爆弾の注文です」
「あー、そういえば幻想郷で内戦が起こっているとか・・・」
「それですね」
「いやー、儲かってたまらんわね戦争は」
「あれ、でもアリス巻き込まれますよ、確実に」
産廃的に。
「アリス・・・え、だ、誰?」
(この人も老いたな・・・)
「何か言った?」
「い、いえ」
「いえーい」
「い、いえーい」
正午、マヨヒガ。
「ねー藍」
「はい」
「具体的に私達何かしなければいけないんじゃない?」
「それよりも紫様」
「何よ」
「尻尾をもぎ取られる夢を見てしまいました。よって今日は何も致しません、残念ながら」
「何が残念ながらよこのクソ狐!」
藍は尻尾がもぎ取れるまで殴られた。
「はぁ〜もうどうでもいいか」
「ちわーす!射命丸でーす!」
「靴脱いで入ってこいや」
「これはすみません!」
(うざっ・・・)
文がいきなり訪問してきた。
ていうかマヨヒガって場所特定できないのにどうやって来たのだろう。流石天狗汚い。
あと、紫はミニスカートが似合う世代が嫌いだ。(若いから)
「はいっ!靴脱いできました!」
「で、何の用?」
「いや、アンケートに回答して貰おうと。ドロワとパンティの是非についてですね・・・」
「それ誰の企画?」
「天魔様です」
「はぁ〜・・・貴方達まさか何もやってないの?」
「もしかしてこの前のレミリアが大暴れしたアレですか?」
「それよ」
「いや、天狗勢と河童勢、山の上の神社は何もしてないっす(笑)」
「はぁ〜」
「ため息が年を感じさせますね」
文は口を滑らせたので喋れなくなるまで○された。
「ったく、どいつもこいつも・・・」
その時、紫の目の前で閃光が走ったかと思うと、彼女の体は轟音とともに吹っ飛ばされていた。
「あいたた・・・一体何が・・・」
紫が四つん這いになったまま辺りを見回すと住居の一部が吹っ飛んでいた。
そう、レミリア達の攻撃が始まったのである。
レミリア達の作戦はこうだ。
@妖精に爆弾(30sが限界)を持たせます
A当然、嫌がります
Bクッキーで釣ります(作るのは咲夜です)
Cあとは妖精に目的地で爆弾を投下させればOK!
D次に64をTVに接続します
Eマリ○カート64を本体にセットします
Fうまく起動しなかったら端子部分を優しく息で吹きかけます
G起動すればOK!四人対戦が熱いぞ!(独り暮らしの方は真似できません)
紅魔勢の爆撃作戦は成功だった。
幻想郷の各地に落とされ、千切れた腕が舞い、スカートが舞い、ドロワが舞う。
阿鼻叫喚、酒池肉林の光景が現出したのである。
ちなみにマイホームを失った妖怪達は思いっきり鬱状態になって無気力になっていた。(現代人のようですね)
その頃アリス邸では、まさに狂気の世界が展開されていた。
「どうも、アリスさん」
「いやっ、爆弾が喋ってる・・・」
「『いやっ』とか言うなや・・・こっちも仕事でやっとんのや」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
「いいよ、別に。俺な、本当は爆発したくないんですわ」
「えっ」
「でもな、爆発しない奴らは『不発弾』とか呼ばれて不良扱いされるんや」
「なるほど・・・」
「それがこの世界の掟っていうか・・・世知辛いご時世でしてな、爆弾も辛いんやわ」
「苦労してるのね・・・」
「という訳でアバヨまた逢おうぜ」
「え?」
その爆弾が爆発する光景は『世界絶景100選』に確実に選ばれる美しさであった・・・
その頃、紅魔館ではレミリアとパチュリーが高笑いしていた。
「ハハハ!作戦成功しまくって最高にハイって奴よ!」
「いや、まさか魔理沙の作戦がこんなにうまくいくとは・・・フフ」
「ところで他の連中は何してんの」
「マリカーしてるわよ」
「なん・・・だと・・・」
レミリアは虚ろな目をして図書館から出て行った。
マリカーで自分がハブられたのが気に食わないのだろう。
慌ててパチュリーもその後を追った。うおっ、その後ろに小悪魔いる!怖っ!
「ちょっとアンタら、私に隠れてマリカーって何なの?」
「うわっ、レミリアだ」
「お嬢様申し訳ございません」
「お姉様いつからそこにいたの?」
「いつからって・・・ちょっとアンタ、実の姉に向かってそれはないわ・・・」
「お遊びはそこまでよ」
「ば、ババア!」
突然隙間から現れた紫に動揺を見せる紅魔勢。
魔理沙は言ってはいけないワードを口走ったので血の涙が出るまで噛まれた。
それだけではない、様々な勢力が隙間から出てきて目を血走らせてそこにいた。(寝不足です)
「あちゃー、こりゃ逃げるしかないわね」
「それはさせないわ!」
紫がレミリアを追いかけようとした時、紅魔館の壁をブチ破って黒い巨大な影が現れた。
「お前たち、我々人類を忘れてはいまいか」
「なにこの面倒臭そうな展開」
その黒い球体には真ん中に禍々しい一つ目が付いている。
そいつが人類がどうのこうのと語りかけてきたのだからレミリアが面倒だと思ったのも頷ける。
「幻想郷を人類に奪還するために・・・横合いから思い切り殴りつける」
「ありゃりゃこりゃりゃ」
紫は超展開に若干おかしくなっていた。
レミリア達はその間に『逃☆げ☆る☆ぜ!!』ときっちり宣言して逃げ出していた。
「どうも、里香です。『飛行型戦車イビルアイ∫』がとうとう完成したのです」
「あら皆、どうしたのそんな顔して」
「れ、霊夢ッ!!なぜそんな所にッ!?」
戦車技師の里香と、霊夢が戦車(に見えない)のハッチから出てきたのだから
皆びっくりである。言っておくが里香はオリキャラじゃないぞ。
「まあ博麗は中立だって言ってたけど・・・人里の頼みぐらいやっぱ聞いてあげないといけないじゃない?」
「買収か?金か!?やっぱり金なのね!?」
紫が動揺している。裏切りは妖怪にとって致命的な精神ダメージとなるのである。
「ほら、人里が漁夫の利大作戦をしたいって言うもんだから私もついでに便乗してあげたのよ」
「ふふふ・・・この新型イビルアイには凄い機関銃(仮称)を2門搭載し、さらにイビルアイ主砲、恒例の自爆機能も搭載しているのです!」
「いや、自爆機能とかいらないじゃない」
「つけたくなるのがロマンってやつですよ・・・うん?誰ですか自爆スイッチ押したのは?コクピットが点滅してるのです」
「いや、アンタ以外に押せる人いないわよ」
「ですよね(笑)」
「ああ咲夜の仕業ね。アイツが時間止められるの忘れてたわ(笑)」
「結局こういうオチですか(笑)」
イビルアイの自爆機能は優秀だった。
紫達や、霊夢、里香、図書館に立てこもっていたレミリア達ごと紅魔館を鮮やかに吹っ飛ばした。
結局、今回の騒動はなかったことになった。うん、それが一番だよ。
最後に笑ったのは魔界勢だけだったようだ。
戦争は実際に交戦する方よりも後押しする方が得するのだ。
――完――
つーか地図の妖忌さんが気になる。
めっちゃ気になる、後ルパンどこに行った。
てめえ熱気バサラ様ディスってんのかメーン!