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『狂気の証明』 作者: ダネ
ここは紅魔館、その地下牢。
「私は、狂っているの?」
そこに居るのは、悪魔の妹フランドール・スカーレット。
「みんなは、私のことをそう言ってるけど、」
彼女は、長い間、ここに閉じ込められていた。
「私は、狂ってなんかない。」
今まで誰にも知られることのなかった存在。
「いろんな本を読んだけど、狂ってる奴なんてのは、いつも訳のわからないこと言ってる奴ばかりだったわ。」
そんな彼女も、紅霧異変を期に少しばかりの外を手に入れた。
「だから私は、狂ってなんかない。」
姉や、その友人、そして多くのメイドたち。それらは、ずっと自分が夢見ていた光景だった。
彼女は外を手に入れた。が、それは望んでいた光景とは少し違っていた。
姉は、相変わらず冷たかった。
その隣に居たメイドは、とても怖い目で彼女を見ていた。
姉の友人は、彼女のことなど気にも留めなかった。
メイド妖精たちは、彼女に近づこうともしなかった。
ここに何度か遊びに来た巫女や人間の魔法使いも、彼女が話しかけたときは、どこかよそよそしい態度だった。
だが、彼女はそれくらいではめげなかった。
みんなだって、いつかはわかってくれる。そう信じていた。
「だって私は、狂ってなんかないかんだから。」
そして彼女に、転機が訪れた。
彼女はずいぶん驚いたが、ここに、ただの人間が出入りすることがあるようになっていた。
もっとも、ただの人間といっても、人里で有名な役者だったり、詩人だったり、武芸家だったりと、姉が興味を持って招き入れた者たちだが。
門番が気さくで、親しみやすい、ということも理由の一つらしい。
とにかく、今まで生の人間すら見たことのなかった彼女にとっては、何の力も無いただの人間は非常に珍しいものだった。
そんな中、一人の人間が、彼女の目にとまった。
その人間は、奇術師だという。
魔力も持たない人間が目の前で起こす「魔法」に、彼女は非常に魅入っていた。
また、自分の技をこれほど楽しんでくれる彼女に、その奇術師も快く話しかけたのだった。
それからも、その奇術師は何度もこの館を訪れた。そのたび彼女とも親しくなっていった。
別に誰も咎めるようなことはなかった。奇術師のほうも、訪れるたびさらに磨いた技を披露していたのだった。
彼女の目には、その人間がとても輝いてみえた。
ある日、彼女は一緒に散歩に行こう、と誘われた。
周りの目が、若干穏やかになってきたかな?と、思ってきた頃だった。
彼女にとって、牢屋の外に出ることが夢なら、館の外に出るのは夢のその先の光景だった。
まだ見たことの無い、いろんな人々や風景、それらにふれることが出来る。想像しただけで、喜びが隠せなかった。
姉はまだ渋っていたが、客人の頼みということもあって、外出を許すこととなった。
外に出るとき、彼女は門番の顔を覗いて見たが、奇術師の方を見、そして彼女を見たとき、とても驚いていた。
なんたって、紅魔館の秘蔵っ娘が外に出たのだから。彼女はそう思った。今の光景は自分にだって信じられないくらいだった。
これまではずっと、狭く暗い部屋に居たのに、今では自分に優しくしてくれる人が居て、紅魔館のみんなもだんだん優しくなって、自分もこうして外に出れて…
「やっぱり、私は狂ってなんかなかったんだ。」
彼女は、そう確信した。彼女には、世界が輝いてみえた。
歩いている道、周りの木々、ここからも見える大きな湖、そして、隣を歩いてくれる人。すべてが輝いていた。
その光が、一つ、彼女の手へとこぼれていった。
とても綺麗だった。とても美しかった。
だから、
それを、
彼女は、
気がついたときは、彼女の世界は赤色だった。
道が、木が、湖さえが赤く見えた。
そんな赤の中心に、彼女は立っていた。
途端、ものすごい力で吹き飛ばされる。
「だから、嫌だったのよ。」
声が聞こえる。しかしほとんど耳に入らなかった。
「こんなことをして、勝手に人間に手を出してはいけないのに、」
それまで自分が立っていた赤の中心にもう一人。あの人間が、あった。
そして彼女は、姉は赤くないんだな、と思った。
「それなのにお前はっ!!」
一撃。彼女の意識はそこで途切れた。
地下牢の扉が開かれる。
たまらず彼女は叫んだ。
「あの人は、あの人はどうなったのっ?私、壊してない!!壊してないから!!ほんの少し、さわっただけで…」
「黙れっ!!」
頬を殴られた。黙らされる。
「人間なんて、もろいのよ。私たちとは違ってね。お前はそんなこともわからなかったようだけど。私も失敗だったわ。あんな人間に」
「教えて!!あの人はどうなったの?」
鋭い目で睨まれるが、彼女は引かなかった。そのことがどうしても知りたかった。
「ああ、あの人間なら、死んだわ。」
淡々と、答えは返ってきた。
「これからは、お前をここから出すなんてことはしないわ。」
さらに一発、殴られる。
もう、痛みは感じなかった。
ただ一人になった暗い部屋で、彼女はつぶやく。
「私は、狂っていたの?」
誰も答えるものはいなかった。
だが、彼女はもう、わかっていた。
前から構想だけは考えていたやつです。
フランって気がふれてるって言われるけどどの辺が?
って思ってたので、妄想してみました。
*前の作品、編集中に消しちゃいました。(間違えて削除押しちゃった)
どのみち、次の作品投稿のついでに勝手ながらこれ消しますって内容だったんですけどね。
というのも、どうも前の作品内に、自分が文書くときの根幹にあったものみたいなのが何個か見えてたので。(自分でも気付かなかったんですけどね)
新ネタ考えてたときに、これって前言ってたことじゃん、みたいになっちゃったわけです。
まあ、当初の目的は達成したわけで…とか、そんなこと書いてました。
ダネ
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2009/11/28 19:55:11
- 更新日時:
- 2009/11/29 04:55:11
- 分類
- フランドール
- オリキャラでます
あくまで両方の意味でだけど