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『腹の虫』 作者: 名前がありません号
ルーミアは久々のご馳走にありついていた。
でっぷりと肉のついた男だ。
すこし油っぽかったが、味は悪くない。
男は足を食われた段階で、ショック死していた。
「おいしいおいしい。お肉おいしいよぉ」
ルーミアはおいしそうに、肉を食らい満腹になるまで食べて、夜の闇に消えていった。
残された死骸は野犬が残らず食べてしまった。
ルーミアはあの太った男を食べた後から、強い空腹感に襲われるようになった。
人間が食べたい。とにかくにんげんがたべたい。
それだけが、ルーミアの頭の中を支配していた。
ルーミアは道行く人間を襲っては食っていった。
それ自体はいつもと変わらない。
ただそのペースは日に日に速くなっていった。
行為もどんどん大胆になり、徐々に人里にまで死臭が漂いかねないほど、
人里の近くでさえ、人間を襲うようになっていった。
食べれば食べるほど、自分の力が増していく事をルーミアは感じていた。
とても高揚感を感じる。気分がいい。
「そこまでです!」
現れたのは、最近やってきた、山の巫女だ。東風谷早苗と言ったか。
巫女ではないとか言ってた覚えがあるが、違いが分からないのでどうでもいいと、ルーミアは思った。
最近、良く暴れてるとの噂らしい。
こういう人間は暴れさせると、私たちには害にしかならない。
軽く捻ってしまおう。
ルーミアは黒い闇を、早苗にぶつける。
といっても、前が見えなくなる程度だ。
しかし、早苗は闇に囲まれて困惑しているのか、何もしてこない。
つまらないなぁ、とルーミアは思いながら、適当に魔力弾を作って、闇に放り込んだ。
すると「ぐぇっ」という声と共に、闇から早苗が落ちていった。
そのまま地面に叩きつけられ、早苗は無残な姿を地上に晒していた。
ざまぁないわね、とルーミアは思いながら早苗の死体を食った。
そして野犬が残りの死骸を食べつくして、何も残らなかった。
ルーミアは久しぶりに、リグル達に会いにいった。
彼女らは湖のほとりに集まっていた。
「おーい、リグルー」
「あ、ルー……ミア? どうしたの?」
リグル達がルーミアを驚いたような目で見ている。
「え、何か変?」
「変っていうか、何か、その」
「ルーミア、太ったんじゃないの?」
口篭るリグルを余所に、チルノがはっきりとそう言った。
「え、そう、かな?」
「だって、前見たときそんなにお腹出てなかったじゃん!」
「チルノちゃん!」
「いたっ! 何よ、本当のこと言っただけじゃん!」
「言っていい事と悪い事があるでしょ! でも、どうしたの?」
改めてルーミアは自分の身体を見る。
腕や足は変わりないが、お腹がぽっこりと出ていた。
今まで人間を食べてきたが、こんな風になったことはなかったのに。
「うー、ちょっとお腹減ってきたなぁ、それじゃあまたね」
「そんなお腹してまだ食べてたら、豚になっちゃうよ!」
「チルノちゃん!」
ルーミアを煽るチルノに、大妖精の手刀が入る。
いい角度に入ったため、チルノの首が変な方向に曲がる。
そんな状態でもヘラヘラ笑っているチルノが、とても滑稽だった。
ぐうぐうとお腹はなっている。
早く食べたい、はやくたべたい。
しばらく飛びながら、獲物を探すが、人里は妖怪の襲撃を恐れて警戒状態になっていて、とても近づけない。
外に出ないようにという貼り紙までされていて、外を出歩く人間は期待できそうにない。
お腹と背中がくっついて死にそうな、そんな時、一人の少女がやってきた。
「あら、ルーミアじゃない。なにやってるの?」
「うーうー。おなかへったよー」
「あらそうなの。ちょうどいいわ。私の家にいらっしゃい。ご馳走してあげるわ」
「うーうー。ほんとうなの?」
「本当よ、嘘なんかつかないわ」
そういって、アリスはルーミアの手を取る。
ぽっこりと膨らんだお腹は見ないことにした。
アリスはルーミアを自分の家に連れて行くと、早速台所に向かう。
しかしルーミアはもう我慢が効かなくなっていた。
―ぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐうぐう
耳障りなほどに鳴き喚くお腹が、たべたいたべたいとルーミアに命令する。
そしてルーミアは堪え切れずついに、アリスの頭にかじりついた。
アリスは何が起こったか分からないまま、ルーミアに頭を丸ごとかじりつかれた。
引力にしたがって、アリスの身体が地面にたたきつけられる。
倒れたアリスを、ルーミアは髪も皮も骨も噛み切って、砕いて、その奥の綺麗な脳味噌にかぶりつく。
脳味噌はぷるぷるとしていて、その食感がルーミアに幸福感を与えてくれる。
貪るように食いちぎり、上半身を食べた辺りでお腹は鳴らなくなった。
ふぅ、と一息つくと、ルーミアはそのままアリスの家を出て行った。
アリスを食べ終えて、ルーミアは自分のお腹を見る。
また一段を膨らんでいる。まるで妊婦のようであった。
奇妙なのはお腹ばかり膨らんで、腕や足にはそのままなのだ。
何かおかしいのかも、と思い、永遠亭に足を運ぶことにした。
永遠亭への道のりは辛かった。
お腹が重くて、いつものようなスピードが出なかったのだ。
おまけに何度も何度も迷っていて、身体への負担は増すばかりだ。
「うううううう」
「おや、アンタは妖怪の……って、どうしたんだ、その腹」
「ううう?」
その姿には見覚えがあった。藤原妹紅。
以前、竹林を散歩していたら、同じ姿の人間と別の人間が殺し合いをしていたのを、ルーミアは思い出した。
「ううう、永遠亭はどこなのー?」
「永遠亭に行きたいのか。ついてきなよ。いつもは人間だけだが今回は特別だ」
「ううう、ありがとうー」
本来なら妖怪を連れて行く気はないが、ルーミアの苦しみ方や腹を見ると、普通ではない。
妖怪といえど、苦しんでいる輩を放っておくのは、あまり気分のいいものではなかったから、仕方ない。
永遠亭にはさほど、問題も無く到着した。
それじゃ、と妹紅は竹林の奥に消えていった。
そして永遠亭の門を潜ると、鈴仙が出てきた。
「珍しいのが来たわねって、何そのお腹。どうしたの?」
「ううー、くるしいー、くるしいー」
「あなた、師匠に報告しにいってきて! 大丈夫、助かるからね」
鈴仙は近くを通りかかった兎に命令をして、
汗が滲んできたルーミアの額の汗を拭く。
鈴仙が見たときには、妊婦のようなお腹はさらに肥大化を続けていた。
「鈴仙? どうしたの、その子!?」
「てゐ? 担架を持ってきて!」
「う、うん!」
てゐも事態を見て、即座に動く。
その後担架を持ってきて、鈴仙とてゐの二人がかりでルーミアを持ち上げる。
しかし担架にようやく乗せるのがやっとなほどに重くなっていた。
この重さは尋常ではなかった。
治療室に担ぎ込まれたルーミアを見て、永琳は驚愕した。
これはなんだ、と。
永琳の診療所には、肥満の患者もやってくる。
緊急ともなれば妊婦なども請け負う。
だがこれは今までに無いほどに、肥大化した腹であった。
一刻も早く治療しなければならない。
ルーミアに麻酔を打ち、眠らせる。
そして腹を切る為、メスを取り、ルーミアの腹に刃を入れた瞬間だ。
ルーミアはぱっちりと目を見開いて、悲鳴を上げたのだ。
麻酔は効いていたはずなのに、と鈴仙は驚く。
ルーミアは激しく暴れて、メスを入れるどころではなくなった。
薬を打とうにも何の病気かも分からない。
腹がここまで肥大化する病気など、永琳は聞いた事が無い。
ひとしきりルーミアは暴れるが、やがて糸が切れたように動かなくなった。
腹も少しずつ、小さくなっていった。
鈴仙が脈を取る。首を横に振る鈴仙。
ルーミアは死んでしまっていた。
死んだルーミアの身体を鈴仙と永琳は解剖した。
腹の中には、虫がいた。
見たことの無い種類の虫だった。
その虫からは妖力が感じられる。
ルーミアの腹からは、二匹の虫が見つかった。
「師匠、これは一体……」
「恐らくこれが原因のようね」
ピンセットで虫を摘む。
虫は永琳の想像よりもずっと小さかった。
虫はぐうぐうと鳴いている。
「これは妖怪……なんでしょうか?」
「妖怪のようなもの、と言うべきかしらね」
「しかし何故ルーミアはこのような虫を?」
「さぁ。彼女は誰彼構わず襲っていたと聞くから、人間についている寄生虫か何かを食べたのかもしれないわね」
「はぁ……」
二人がそう話し合う。
サンプルとして二匹の虫を実験室に持っていったが、数時間後に死滅した。
「永琳〜、お腹が減ったわ。お昼にしましょう」
「姫、お腹を鳴らしては、はしたないですよ」
「お腹がなるんだから、しょうがないじゃない」
ちなみにルーミアの死因はショック死。
名前がありません号
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2009/11/29 06:20:01
- 更新日時:
- 2009/11/29 15:29:08
- 分類
- ルーミア
- ナニコレ
- グロ描写はあるのかこれ
恐ろしい虫が沢山いるな
パチュリーなんかは既にやられてるかもしれん
お腹膨らんだルーミア見てみたい。