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『S.T.A.L.K.E.R Fantasy Sky 第三話「竹林を巡る戦い」』 作者: 炉耶
S.T.A.L.K.E.R Fantasy Sky
第三話「竹林を巡る戦い」
さとりが前哨基地へ到着するとすでに守備部隊はほぼ壊滅していた。
基地の塔の上に避難した兎の2匹を除きほぼ全てが殺されたようだ。
塔の梯子の前で力尽きている運の悪い兎の様子も見られた。
猪の化け物共は既に塔へ何度も突撃を繰り返しており、そのたびに塔が揺れぎしぎしと悲鳴をあげていた。
早く倒さなくてはいずれ塔も倒壊させられるであろう事はわかった。
「そこのあんた助けてくれ!奴らこの塔を崩す気だ!こちらはもう残弾がなくてこのままじゃ殺される!!」
「ひぃ!く、くるなあ!早く助けてくれ!!」
「くっ……このままでは……戦闘はあまり得意ではないのですが……やるしかないですね。」
さとりは手に持ったショットガンを構え奴らのうちの一匹に向かい発砲した。
銃口から発射された6mmの散弾は化け物のうちの一匹の体を貫き瞬く間に絶命させた。
さとりが発砲して一拍置いた後、奴らは銃声に気づいてこちらへと向かってきた。
数は守備隊が倒したという事もあるのか3匹ほどだ。
猪らしく直進してくるやつを落ち着いてショットガンでしとめた。
しかしこのショットガンの装弾数は2発しかないため先ほどの一匹と合わせて2発撃ったので弾が切れたためさとりはリロードのために一度岩の陰に隠れた。
撃った弾丸を排出し弾を手で込める間に奴らは直進し岩を通り過ぎた後旋廻しこちらへと再び向かってきた。
「……猪らしく直進してくれるおかげで狙いがつけやすいわね。」
ドーンッとショットガンを発砲すると一匹が倒れた。
残すは一匹だ。さとりは若干の恐怖から手を震えさせながらも旋廻してこちらに来る猪の化け物を落ちついてアイアンサイトにおさめ発砲した。
若干狙いがそれたためか銃弾をくらった後も数歩ほど歩きやがて悲鳴をあげて力尽きた。
残りは居ないようだ。
「た、助かった……」
「あなたのおかげで命拾いしたわ!ありがとう!」
そう言うと兎達は塔を降りてこちらへと歩みよってきた。
顔は本当に嬉しそうに綻んでいる。
私は以前は嫌われ者のさとり妖怪という事もあってか純粋にここまで好意のこもった笑顔を向けられると少し照れてしまう。
ザッという音と共に彼女達は本部へと連絡を取り始めた。
「こちら第二前哨基地防衛隊、繰り返すこちら第二前哨基地防衛隊。
8名の死者を出しましたが化け物の群れからの基地の防衛に成功。
このままでは基地機能の維持は不可能と判断します、1個分隊の増援と弾薬や医薬品の補給を要請します。
それと、私達が助かったのはこの援軍の方のおかげです。どうか基地のほうでお礼を。」
「了解したわ。助かったならそれは何よりね。
そこの彼女は名前はさとり、私達の”仲間”よ。
命を助けてもらったんだから存分に感謝しておきなさい。
援軍と補給物資の件は後で本部より送るわ。ご苦労様。」
ザッ
どうやら無線が切れたようだ。
彼女達が塔の梯子を降りつつ話しかけてきた。
「ありがとう、さとり。あなたのおかげで私達は助かった。
基地の方であなたにお礼をするように連絡を入れておいたわ。
今となっては貴重な私達の名物の筍ご飯でもねだっておきなさい。」
そういって彼女は私にお礼を言ってきた。
もう1名の生き残った兎も私の方へとお礼を言ってきた。
どうやらお金をくれたらしい。PDAの私の所持金が増えているのがわかった。
※PDA
トレーダーの持ってきた通信機やレーダーや財布の役割を果たす万能な携帯電話みたいなもの。
ほぼ全員がこれを持っているのでレーダーに映ったこれの数で対人の場合はその施設に居る人数がわかる。
「私は目的のためにあなた達を助けただけよ。感謝されるほどの事なんてしてないわ。」
「たとえそれでも私達からすればあなたは命の恩人です。
それにはかわりありません。だからどうかお礼の方は受け取ってください。」
「……ありがとう。……こんな世界でもあなたみたいな人は居るものね。」
「助けられた事に対する当たり前の義務ですよ。少なくとも私達の派閥では。
……あの爆発で永遠亭は様々なものをを失いました。
調査に行き帰らなくなった指導者のてゐ様、放射能汚染やアノーマリーで死んだ多くの兎達。
いずれも失いがたいものでした。」
※アノーマリー
体を切り裂く爆風や体を容易に溶かす炎などが局所的に発生してる箇所。
危険極まりないが、探知機などにより現在ではある程度は避けれるようにはなっているが未だに新米の人間や妖怪がその餌食となる。
「私も色々失ってしまったわ……
屋敷に肉親に愛するペット達……全てかけがえのないものだったわ……」
「……あの異変は幻想郷を大きく変えてしまいました。何処も彼処も失ったものは大きすぎます。」
「……そうね。じゃあ私は本部の方に戻ろうと思うわ。」
「そうですか。もし機会があればまたこの拠点に来てください。
もし死んでいなければ飲み物くらいならだしますよ。」
「ありがとう。お互い生き延びましょうか。
今の幻想郷に神なんて居るかわからないけどあなた達が生きているように神に祈っておくわ。」
「お元気でさとり。きっとあなたにはてゐ様の幸運の加護がありますよ。
……ん?なんだ?地面が揺れて……ぶ、ブロウアウトだ!!」
「な……!またブロウアウトだと……!?
この間でかいのが起きたばっかりなのにどうなってるのよ!」
※ブロウアウト
爆発地点や付近に居る生物を吹き飛ばしたり、神経を焼ききったりする爆発。
以前はあまり発生するものではなかった。
「くそ!さとり逃げましょう!このままじゃ全員死んでしまうわ!」
「……無理よ。爆発地点の距離から見てここからじゃ逃げ切れない。」
「せっかく生き延びたのに……どうしてこんな……」
「てゐ様……私死にたくないよぉ……」
「私はこんな所で倒れるわけにはいかないのに…
私を生かすために死んだペット達のためにも死ぬわけにはいかないのに!
なんで……なんでこんなところで……!」
その後ブロウアウトの生物の神経を焦がす風が通り過ぎた。
彼女達は倒れ、私も意識が朦朧としてきた。
意識が途切れる寸前に見えたのは何処かの施設の中でシリンダーの中に漬けられたお空の姿だった。
見覚えがない上に謎の光景であったがさとりはそれを考える前に意識が途切れた。
「……さか……度目のブロウアウ……えるとは思いませんでした。
やは……女……体には……えない……」
「……ると……彼女はやはり……でしょうね……
あ……琳、彼女の意識がも……うよ。」
見たことのない黒髪の女性と永琳が何かを話している。
意識がぼーっとしていて内容はよくわからないが。
「おはよう、さとり。
自分が誰か、そして何があったか思い出せるかしら?」
頭がぼーっとしていて上手く思い出せない。
数十秒ほど考え込んでいると辛うじて思い出せてきた。
確か私は前哨基地で彼女達を助けた後ブロウアウトに巻き込まれて……
「……そうだ!彼女達は!?前哨基地の彼女達は無事なの!?」
私はブロウアウトの爆発の影響で節々が痛む体を強引に起こして言った。
私にしては珍しく声を少々荒げてしまった。
だが彼女達の安否が気になって仕方なかったのだ。
……もっとも脳内の何処かでは結果はわかっていたのかもしれないが。
「死んだわ。彼女達はブロウアウトに巻き込まれて綺麗さっぱりと、ね。
……またあなたはブロウアウトを耐えたようね。
……もっとも今回ばかりは無傷とはいかなかったようだけど。」
「……何処かに異常が?」
「そうね、あえて言うなら様々な部位ね。
神経系に対する異常、脳内の電波に異常……様々よ。
ただ一部の数値が驚異的な数値を見せたりしてるわね。
出血に対する耐性やら極度の気温に耐える体温調整……一種の進化ね、これは。
もっとも神経系の数値からしてもう一度ブロウアウトをくらえば……あなた死ぬわよ。」
「……そうですか。」
つまり自分はどうやら後がないようだ。
もう一度ブロウアウトをくらえば恐らく他の人妖と同様に神経系を焼ききられて死ぬのだろう。
「まあ、それはさておき……
あなたは約束通り私達の仲間を結果はどうあれ助けてくれた。
約束通り私達のリーダーに会わせる……といっても目の前に居るのだけどね。」
「じゃあこの方が……」
「ご明察。私がこのかつて迷いの竹林であったここにあるFantasy Sky派閥のリーダーを務めている蓬莱山輝夜よ。
といっても、まあ事実上の指揮をしているのはこの永琳なのだけどね。よろしくね、さとり。
で、あなたの目的だけど……確かこの異変の原因の解明と調査だったわね。」
「はい、私の目的はあなたの言う通りこの爆発の異変の原因解明と調査です。
私とあなた方の派閥と目的は似通ってます、どうか私をあなたの派閥へ加えてください。」
「別にこちら側としては動かせる構成員の数が増える事は嬉しいんだけど、恐らくあなたが納得出来ないと思うわ。」
「何故ですか?」
「永琳が説明した通り私達は強襲部隊や私や永琳などの一部を除き戦闘があまり得意ではないの。
だからまあ見ての通り支配地域をどんどん減らしちゃってるわけなんだけど……まあ早い話があなたが思ってるほど私達はすぐ動くことが出来ないのよ。
動けるとしてもそれはレッドフォレスト(旧魔法の森)の調査に行かせた優曇華って子が率いてる強襲部隊が帰還して竹林の地域を取り戻してからよ。
ついでに言えばその後は激しい汚染や頭を狂わす電波や化け物のとの戦闘が考えられる中心部のマヨヒガに行く以上構成員の錬度の向上や装備も整えないといけないわ。
だから恐らく話を聞いた限りペット達の恨みを晴らすためにすぐ動きたいあなたには向いてないと思うのよ。」
※強襲部隊
原作CSでも後半に出てた重装備の人たち。
この作品でもAK-74やAN-94などのアサルトライフルや高性能の防護スーツを着ているFantasy Skyの精鋭部隊。
一般の兎と違い戦闘に優れた者が揃っている。指揮官は永琳だが、永琳は立場上本拠地をあまり離れられないので、事実上の指揮は優曇華が行っている。
「……そうですか。」
「まあ私達としても可能な限りの支援はするわ。
どのみち中心部へ行くには頭を狂わす電波を止めなきゃいけないしね。」
「あなたにはFantasy Skyが動けるようになるまでここを迂闊に出れない私達のかわりに調査とかをしてほしいのよ。
無論調査の情報をくれれば報酬も出すわ。
あなたは私達の支援がある状態で自分のやりたかった異変の調査が出来る、私達は独自にマヨヒガへ行くための装備や調査を、あなたのくれる情報でより円滑に進める事が出来るわ。」
「つまり利害が一致している、と。」
(単独で動く以上危険でしょうけど……私にはゆっくりしてる暇なんてない……
まあ……支援の無い状態でやるよりはマシと考えられるわね……)
私達がそんな感じで会話を進めていると一匹の兎が報告にこの医務室に来た。
「永琳様、輝夜様、強襲部隊がただいまレッドフォレストより帰還しました。
帰還数は8名、どうやら件の情報もそれなりに集めたようです。」
「4個分隊派遣して帰還者は8名……
てっきり全滅寸前になると思っていたわ。優曇華達が思った以上に頑張ったようね。」
「8名も生存してくれたのは僥倖です。因幡、優曇華をここへ。情報の報告を聞くわ。」
「はっ!」
バタンと音を立ててドアを閉めて彼女は部屋から出て行った。
「さて、さとり。あなたを調査へ行かすためにはこの竹林を封鎖してくれているバンディッツを倒す必要があるわ。
竹林を抜けなきゃまずは調査のしようがないしね。
私達としても竹林の支配権はさっさと取り戻したい、そして今ここには先ほど言った私達が動くための要素の1つの強襲部隊が戻ってきた。
あなたならわかるわね?」
※バンディッツ
原作でも散々色々うざい事をやってくれた盗賊集団。
幻想郷の新米の人間や非戦闘員を殺したり、物を盗んだりするゴミクズ。
プレイヤーを一文無しにしたりしてくれるかわいいかわいいゴミクズなんて言えない真性のゴミクズ。
原作じゃ雑魚扱い、その辺の小学生の方が頭も良くて強いってくらいゴミクズ。
絶対こいつらのスーツ臭い、アリスシャイン。
「つまり強襲部隊と一緒に奴らに攻撃を仕掛けろ、と。」
「その通りよ。」
「師匠、姫様!レッドフォレスト調査の任よりただいま帰還しました!
調査データの方はフラッシュドライブに纏めておきました!
中にはいくつか興味深いデータが……」
「ご苦労様優曇華。
それでさっそくで悪いんだけど、ここに居るさとりと一緒にあの盗賊共の拠点を潰して欲しいのよ。」
「了か……へ?
この調査で私物凄く疲れてるんですけど……」
「聞こえないわね。今の竹林の危うさはあなたも通信で知ってるはずよ。
今取り返さなくては最悪支配権を取り戻す事が不可能になりえるわ。
奴らの拠点は偵察に行った因幡のおかげでわかっている。相手の規模はおよそ25から30人程度。
明日の夜明け前、生き残りの強襲部隊と比較的戦闘の出来る2個分隊とさとり、そして私が行くわ。」
「そ、そんな……せめて休息を……って言っても無駄ですよね……
しかし師匠も出るんですか!?
もし今の状態で師匠を万が一にでも失えば……」
「私以外に長距離で精密な狙撃をこなせる者が居るとでも?
今回の作戦は奇襲である以上迅速に、そして相手に気づかれるのが遅ければ遅いほど有利に事を運べる。
だから狙撃は必須よ。頭数を減らす上でも奴らの士気を下げる上でも、ね。」
「わかりました。このさとり……さんは信用出来るのですか?
初めて見る方ですけど……」
「えぇ、日は浅い……というか出会って間もない感じだけど信頼はおけるわ。
仲間を命がけで助けてくれた上に姫と私の目のお墨付きよ。」
「……はぁ。まあそこまで言うなら信頼しますよ。
よろしくお願いします、さとりさん。私の名前は鈴仙・優曇華院・因幡、このFantasy Skyの強襲部隊の副隊長を務めています。」
「さて……永琳、私はそろそろ研究の方に戻るとするわ。
後はお願い。明日の作戦……任せたわよ。」
「はっ、お任せください!」
「永琳、輝夜司令の言ってた研究とは?」
「……これはまだ一部の構成員にしか知らせていないけど今後のあなたの行動を考えれば教えておくべきね。
姫……いや、私達が行っている研究の1つで内容は幻想の力の復活。
つまりは弾幕や個人の持つ不死や魔法を扱う能力をたとえ一時的にでも復活させるのが目的の研究よ。
成功すればマヨヒガへの突入も容易になるはずだわ。」
「それは確かに成功すれば心強いわね。」
「でしょ。もっとも今はまだ完成の目処が立ってない研究なんだけどね……
まあ今から作戦の説明をするわよ。」
「敵はこの村の跡地を拠点として使っているわ。
夜明け前だから大半は建物の中で寝静まっていると考えて構わないわ。
先ほど偵察を送った時に確認された配置はおおよそこれ。恐らくは交代制で見張りの場所とかはあまり変わりがないはずよ。
特殊なPDAの情報を元に作ったから完全とは言えないけどおおよそはあっているはずよ。」
「やはり多いですね……」
「まあいずれは30人と戦わなくちゃいけないからこれくらいは序の口よ。
で、まあまず作戦の第一段階だけど私が付近の山でブッシュしつつ狙撃。
距離はおよそ500M程度。奴らの装備からしておそらくここが抜かれる事はないわ。」
「それで頭数をいかに減らせるかが鍵ですね。」
「ええ。だから私も可能な限り多くの敵を殺すわ。
サプレッサーをつけてるから音では気づかれないでしょうから目立たないように端の奴から撃つわ。
まあそれでも何人か倒せばすぐに敵が気づくでしょうからここからが第二段階。
敵が騒ぐと同時に北にある入口と南にある入口からこちらの一般の部隊をそれぞれの入口に1個分隊投入。
撃ちあいを始めて敵の注意が彼女達に傾いた瞬間に村を囲む壁の壊れた隙間よりあなた達の強襲部隊が突入。
上手いことクロスファイアでもしてあげなさいな。
私の狙撃は残弾が切れるまで継続するわ。念のため私の周囲には護衛の1名の構成員を配置するけど彼女は武器の都合上攻撃には参加しないわ。
狙撃を恐れて建物の中に篭る事が予想されるから作戦参加人員は手榴弾及び煙幕弾や閃光弾を携行。
建物の中に投げ込んで存分に慌てさせてやりなさい。」
「しかし相手は数が多いし本当に上手くいくんでしょうか……」
「やるしかないのよ。
戦闘経験の無いものを投入しても恐怖で錯乱されたり足手まといになったり本部の守りが薄くなる事を考えた上で可能な限りの戦力を投入したわ。
これで敗れれば私達の未来は恐らくないと考えていいわ。」
「私は何処に動けば?」
「あなたは優曇華と強襲部隊と一緒に敵の横っ腹を突いてちょうだいな。」
「師匠、彼女はあまり戦闘経験が無さそうですがよろしいのですか?」
「ええ、彼女は経験が低くてもしっかり取り乱さず行動が出来るだけ一般部隊の兎よりはよっぽど有能よ。」
「わかりました、師匠がそういうなら異論はありません。では作戦に向けて準備をしますので私はこれで。」
そう言うと彼女は部屋から出て行った。
恐らく部下に説明や何やらが色々とあるのだろう。
「さて、今回の作戦に向けてあなたも色々準備や思うところがあるだろうし、これからは作戦まで基地内で自由に過ごして構わないわ。
装備をトレーダーに渡すように言っておいたから受け取りにいっておきなさい。今回の作戦でそんな武器じゃ足手まといよ。
まあ私も色々準備や説明があるからこれで、体ももう動くでしょうしね。
……今回の作戦共に成功させましょう、さとり。」
「えぇ。絶対に成功させるわ。」
その後永琳は部屋から退出していった。
体も幾分か楽になったし装備を受け取るついでに外の空気でも吸おうと私は立ち上がった。
不安はある、だが散っていったお燐やペット達のためにも私は立ち止まってはいられない。
やらなくては、と私は気を引き締めた。
トレーダーからはAK-74という武器(……私の細腕には少々重い、アサルトライフルと呼ばれる武器のようだ。)とそれの弾薬、及び手榴弾と呼ばれる投げ物をトレーダーに使い方と共にもらった。
その他にはメディキットと呼ばれる救命品や放射能除去薬や出血を止める包帯や食料をもらった。
量の多さからして竹林を出た後の事も考えてくれているのだろう。
そうしてここに住んでいる兎と話を重ねたりしているうちに時間は夜になった。
歩いて数時間かかる事を考えればそろそろ出発の時間だろう。
強襲部隊の兎達が物々しい表情で装備の点検やブリーフィングを行っているのが見える。
みれば永琳自身も防護服と一緒に巨大な狙撃銃と呼ばれる(確か兎の話じゃSVDとか言う名前だったか)を持っていた。
永琳が作戦参加部隊へ召集をかけた。恐らくまもなく出発するのだろう。
「……私達はこれより私達の竹林を汚してくれた盗賊のバンディッツの拠点へ奇襲をかけるわ。
厳しい戦いになるとは思う。
こちらは数の不利、相手には隠れる事の出来る建物がある事に対する地の利がある。
だけど今勝って奴らを追い出さなくては奴らはどんどん外より流れ込み取り返しがつかなくなる。
全員、生ある限り最善を尽くし、死力を尽くして任務にあたれ、決して犬死するな。
いくわよ、全員生きて帰ってまた筍ご飯を皆で囲んで食べましょう。
現時刻をもって作戦を開始、敵拠点へ向かうわ。総員前進!」
永琳はパチパチと音を鳴らす焚火を背景に軽い演説を終え、前進を開始した。
作戦に参加出来ない兎達は一様に悲壮な表情を浮かべている。
不安やら自分達がいけない歯がゆさやらが色々あるのだろう。
……恐怖からか私の足が若干震える。
こんな所で死んでいたら恐らくは今後降りかかるであろう困難なんて退けられるはずがないだろう。
これが恐らく最初の大きな困難だ。
何としても乗り越えてやる。
絶対にだ。
次回「竹林の決戦」
終了時点の状態
装備品
武器:TOZ-BM16(水平2連式ショットガン。銃の一部にあの時の燐の血が付着している。半ば戒め的な感じでさとりは持っている。軽くて安価だが装弾数の少なさやショットガンならではの精度の低さがネック。威力自体はショットガンのため高い。)
Makarov PM(永琳から受け取ったハンドガン。安価で軽いが古いため精度の低さや威力の低さが欠点)
AK-74(AK-47の後継として作られたアサルトライフル。安価で性能も悪くない銃。だがさとりにはちょっと重い。)
防護スーツ:Fantasy Sky ボディーアーマー(強襲部隊の防護服と違い軽装だがある程度の銃弾と放射能汚染を防いでくれる。)
任務:竹林の支配権を取り戻す
目的:バンデイッツの殲滅及び竹林の外への調査
同行者:Fantasy Sky隊員(以下及び次回よりFS隊員)、FS強襲部隊隊員、八意永琳、鈴仙・優曇華院・因幡
精神状態:若干の不安と戦闘前特有の高揚感
どうも、少々遅れましたが三話の方終わりました。
次回で竹林編終わりかなって予定です。
リアル忙しかったりL4D2やってたりしながら書いてるので速度は今後もあまり期待はしない方がいいかなと。
前作の1.5ver程度と思って買ったL4D2が思ってたより面白かったり影響で思わずSTALKERに出てくるゾンビを走らせたくなったりしたけどどうもても世界観と合わないんで却下しました。
あの走ってくるゾンビが全部フランちゃんだったらと考えると夜も眠れません。
炉耶
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2009/11/30 09:35:20
更新日時:
2009/12/02 01:24:18
分類
さとり
永琳
優曇華
戦闘描写
グロ今回はないよ
フランちゃんちゅっちゅ
姫は物語でもそれなりに重要な立ち位置だったりします。
>2様
ダート弾は貫通力に優れるといった情報があるのでこんな描写をしてしまいました。
修正の方しておきました。
>3様
わかっていらっしゃる。
ストレロク気分を味わうためとか実銃やベスさんのカスタムモデルが好きだから使うけどゲームじゃ弱い…
そんなあの武器のフラグです。