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『支配欲』 作者: Sfinx
先達の巫女に倣い、信仰集めの傍ら妖怪退治を始めた早苗。
初めのうちは知性の低い、純粋に危険な妖怪を退治していた。
人々に感謝され、充実した日々だった。
だが、足掛け5匹目の妖怪退治に向かったときのこと。
人里の一家を襲い、怪我をさせたという妖怪を追い詰め、止めを刺そうとした、その時。
「た、助けて!命だけは助けて!!もう2度と人を襲ったりしないから!!」
その叫びを聞き、早苗は体中に電気が流れるような衝撃を受けた。
―今、この妖怪の思考全てが、私の力への恐れなのだ―
速くなる鼓動、浅く短くなる呼吸。
脳が、筋肉が、悦びに震えているのが視覚できる。
早苗は自分の口元が緩むのを感じながら、妖怪を八つ裂きにした。
早苗はその後考えた。
しかし、何故そんなに暴力的な悦びを得たのか理解できなかった。
平穏に過ごしていると身体が昂ぶる。
笑顔を見ると顔が引き攣る。
今まで感じたことのない暴力的な嗜好に、早苗は戸惑いつつも順応していった。
初めのうちは、人に礼を言われ、人間でありながら妖怪と対等になれる自分の力、神々の加護を誇りに思っていたはずだった。
しかし、段々とその誇りは、「命乞いをされる自分の姿」への優越感へと変わりゆき、暴力性・残虐性の高い妖怪を退治することより、ある程度知性がある妖怪の命乞いを見ることを妖怪退治の主軸とするようになった。
「ヒィッ!許してください許してください!!何でもします!!」
自らの指を全て切断するように命令し、その後首を切り裂いて殺した。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!やめてよ!わたしなにも…」
やかましい舌を引き抜き、羽を一枚ずつ毟り取ったあとで腹を裂いた。
「頼む、見逃してくれ!!飢え死にしそうだったんだ!!金輪際、人の畑から作物を奪ったりしない!!」
内臓を引きずり出し、全てを口に押し込んだ。
いずれの瞬間にも、早苗は恍惚を感じていた。
圧倒的な力で蹂躙し、命をも思うままに操る快感。
浮かべる涙が、激しい動悸が、引き攣る頬が。
―その全てが、私を満たしてくれる―
もはや自身の歪んだ自尊心を、早苗は歪みとは考えなかった。
そして、早苗の殺した妖怪の数が3桁に達しようとしていた頃。
ひたすら妖怪を殺すことしか考えていないような早苗の姿が恐ろしく、諏訪子は早苗を呼び出した。
説教の一つや二つで元に戻るとは思えないが、自分が心配しているということを早苗に知ってほしかったのだ。
居間に早苗を呼び、自身は正座して待っていた。
そして早苗が現れた。
「早苗、ちょっとそこに座って。」
目前の座布団を指差し、早苗をそこに座らせた。
はずだった。
早苗は突如包丁を取り出し、諏訪子の腹に突き刺した。
―どうして? ねえ、早苗―
それは声にならず、口内の血が泡を立てただけだった。
「■■■■■■■■■■」
早苗が何かを叫んだようだったが、それはとても人語と呼べるものでは無かった。
「どうしたの!?」
早苗の叫びを聞きつけ、神奈子が慌ててやって来た。
その時の彼女の衝撃は、筆舌に尽くし難い。
返り血に濡れながら、泣いているような、笑っているような表情で立ち尽くす早苗。
口から血の泡を吹きながら血まみれで倒れている諏訪子。
最愛の家族である2人の姿を目にして、まず神奈子は大声で叫んだ。
そして―――
「■■■■■■」
諏訪子は永遠亭に運ばれ、一命は取り留めたものの、意識不明の状態にあった。
神奈子は早苗を殺すこともできず、勘当という形で早苗を神社から遠ざけることにした。
よって、今の早苗は2柱の加護も無く、妖怪に出会えば間違いなく殺されてしまう状況であった。
しかし彼女は人里に逃げ込んだりもせず、まだ妖怪を殺そうとしているようだった。
いや、諏訪子を殺そうとした以上、もはや妖怪とそれ以外との区別などできていないのかもしれない。
髪の毛には艶もなく、痩せ細った身体で、それでも彼女は。
血走った目で、何かを探していた。
「■■■■■■」
これで何度目だろうか。
辺りに早苗の叫びが木霊する。
木々のざわめきに混じってなお、その声は広く響いた。
一匹の妖怪が彼女を見つけた。
知性も無く、力も弱い。
そんな低級妖怪だが、今の早苗では勝てる筈も無い。
瞬く間に襲われ、身体に喰いつかれた。
妖怪の咀嚼音を聴きながら、彼女は思った。
―何故、誰も解ってくれないのでしょう。
右腕が無くなった。
―ほら。今だって。
左腕が無くなった。
―この妖怪は、
右足が無くなった。
―私のことを。
左足が無くなった。
「■■■■■■■■■■」
―アリガトウゴザイマス―
そして、早苗が無くなった。
支配欲って怖いですね。
こう、「あの人のハートは私のもの」みたいな少女漫画あるじゃないですか。
そんなお話です。
それにしても、ウンジャマ・ラミーはどうやったらクールが取れるんでしょうか。
ストーリーは頑張ってクリアしましたが、全部グッドで終わりでした。
ケイティのデザインがハピツリと被って怖いゲームですね、あれ。
Sfinx
- 作品情報
- 作品集:
- 7
- 投稿日時:
- 2009/12/01 16:13:03
- 更新日時:
- 2009/12/03 23:20:44
- 分類
- ちょっとかわいそうな早苗
- でもやっぱり許早苗
まさかそういった連中も返り討ちに……絶対に許早苗
つーか包丁にやられる神様(笑)
絵板で管理人さんが言っていたので、
あまり不用意に自分の年齢をアピールするのはやめたほうがいいですよ
そのほうが波風が立たないので。
でももうちょっとオチに説明欲しい。
大学はたいてい前後期制だからこの時期は試験ないしね
中間ある大学もあるけど気が回らない人もいるから
ということは・・・
みたいな感じで年齢推測されて痛くもない腹探られるのも(実際はわからんけど)よくないしね
早苗さんはいつも通りですね
良いサンパイです
不用意な発言、申し訳ありませんでした。
今は修正できないんですが、できるようになったらすぐに直します。
早苗だけじゃなく、なまじ力を持って幻想郷へ行けば、今の人間は例外なくこうなるかもとか思ってしまった・・・
それが力の源になって上級妖怪も手が出せなくなったと解釈
しかし、倒された妖怪たちの呪詛の声が早苗の精神を蝕んでいったんやな
「絶対に許早苗…」
畑泥棒とか驚かしてくるといった被害がメインだったんだろうな。