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『腐った幻想の方程式』 作者: 暇簗山脈
霧雨さんは苛立っていた。
『きりさめ』という護衛艦が苛立っている訳ではない。
『霧雨魔理沙』という少女の様子がどこかおかしいのだ。
「アァァァァァァァァァァッ!!」
魔理沙は獣のような叫び声を上げながら、自宅の机の上の本やら実験器具やらを手で薙ぎ払うようにして床に突き落とした。
散らかっている家が更に散らかっていく様は、まさに現代社会の縮図と言えよう。
「グアアアアアアアアアアアッ!!」
そして少年漫画で主人公が覚醒した時にありがちな言語(?)を発しながら
自分の洋服箪笥を強引に開ける魔理沙。
その中身を見た彼女は
「ドロワがないドロワがないドロワがないドロワがないドロワがないドロワがない」
と死んだような目でブツブツと呟いた。しかも声がデカい。
「ハーイ、魔理沙ちゃん。貴方の霊夢ちゃんがやって来てあげましたよーん」
魔理沙が「ドロワがない」と繰り返し叫んでいると、噂の霊夢姉さんが魔理沙邸にやって来たのだ。
が、そんなことを気にも留めない魔理沙によって、鮮やかにスルーされた霊夢はちょっと機嫌が悪くなっていた。
引き攣る口元を抑えつつ、何か書かれている四角く白い紙を取り出す霊夢。
「それでは、『モーレツ☆ハートの人形遣い』さんからのお便りー。
えーっと、『どうも、霊夢さんお久しぶりです。いつも貴方の鮮やかな異変解決を拝見させて頂いております。
実は最近、近所に住んでいる前頭葉が扇情的な白黒いのが奇声を上げたりして、なんか色々と雰囲気がヤバいんです。
目線もまともに合わせてくれません。あれ、絶対何か乗り移ってますよね?
という訳でエクソシストの霊夢さんにお便りを寄越した次第です。キャハッ♪』
・・・というご相談でしたー。」
霊夢は白い紙に書かれている文章を読み終えると目を閉じて瞑想に耽った。
魔理沙は相変わらず奇声を発している。
「私エクソシストじゃねーし!!」
霊夢は突然キレて紙をこれでもかっていう程にバラバラに引き裂いた。
「私にどうしろって言うのよ!?これエクソシスト云々っていうかただのキチガイじゃない!!」
「余裕のない複素数に満ちる渓谷のランデブーは実に一定の値を提示するのです」
「何か言ってるし・・・ああ、もう!!」
何か閃いたのか、霊夢は魔理沙にタックルの要領で抱きつき、彼女の耳元でこう囁いた。
「いい?貴方は五歳児なのよ」
と。
「霊夢おね〜ちゃ〜ん」
「ハイハイよしよしこっち来なさい」
霊夢は神社に魔理沙を連れて戻り、何故か幼児退行していて駆け寄って来た魔理沙を縁側に座りながら抱き締めた。
「霊夢おね〜ちゃんの匂いがする〜」
「ああなんて可愛いの!ギュッ」
ギューッ。ベキバキボキゴキ。
「ギャピッ!?・・・な・・・な゛んで・・・」
「あっ」
霊夢の抱き締め(ベアハッグに近い)によって肋骨がへし折れた魔理沙は血を吐きながら意識を失った。
「み〜ちゃったみ〜ちゃった」
そこに現れたのが、人里で『見た感じ20台半ば位に見える』と噂の八雲紫だった。
「黙りなさい、むらさき」
「むらさきって・・・」
「いいからあっち行きなさい」
「ふん!隠蔽工作なんて感心しないわね」
「もういい、アンタから先にブチ犯すわ」
「や〜ん、ゆかりん犯されちゃう〜」
その時であった。
紫の首筋に黒っぽい矢が突き刺さったのは。
「うっ・・・バターン」
と言って紫はその場でバターンとうつ伏せに倒れた。
口で効果音出すなや年増って言いたいね!
「この紫様は賞味期限切れだから食べない方がいいよ」
「あなたは・・・藍!!」
そう、これはこのクソ寒い時期に冬眠から抜け出して方々で迷惑をかけている紫に心底腹を立てた藍の仕業であった。
藍はこの日の為に、吹き矢セットとトリカブトの毒を取り寄せていたのだ。
「それじゃこの紫様は私が持って帰るから」
「ま、待って!ちょっと話を聞いてもらえないかしら」
「ふむ?訳ありだな。紫様の代わりに聞いてやろう」
そこで霊夢は瀕死の魔理沙を神社の布団に寝かせておいて、
魔理沙の頭がイってることなど、これまでの経緯を藍に伝えた。
「なるほど・・・そこでお前がイっちゃってる魔理沙に暗示をかけて幼児退行させて落ち着かせたは良いが、
骨まで幼児退行してて間違って骨を折っちゃって瀕死になってしまったと。」
「そういうことね。」
藍はうーんとしばらく考えていたが、おもむろに口を開いた。
「ビタミンの欠乏だな」
「違うと思うわ」
やはり当てにならないなと思う霊夢であった。
(ちなみに藍が言ったのは骨が脆くなったことについてである。お互いの理解の擦れ違いが悲劇を生むのである。)
結局日も暮れて藍も帰り、空に星が瞬くようになった頃。
苦悶の表情で眠る魔理沙を眺めつつ、霊夢は境内の掃除をしていた。
「ん〜、寒いわね〜・・・懐も・・・想い出も・・・」
霊夢は切なく独りごちていた。
その頃、守矢神社の境内では謎の宴が行われようとしていた。
チェーンソーを携えた神奈子。
諦めきった表情をして地面に正座している早苗。
そして神妙な面持ちでそれを見つめる諏訪子。
「さあ今日もやろうか」
「じゃあ頼んだよ、早苗」
「はい。逝って参ります」
神奈子がチェーンソーのリコイルスタータを引っ張ると、エンジンが作動した。
三人の緊張が高まる瞬間である。
「天に滅せい!早苗ェ!」
「あぎゃっ、ぎゃっ、がっ、ぎゃっ、げっ」
「グロ画像とかイケる」
チェーンソーの歯が早苗の首を捉え、辺り一面に鮮血を飛び散らせて食い込んでいく。
早苗はエイリアンみたいな悲鳴を上げていたが、すぐに首ボロンした。
どうでもよくないんだけど、バイオ4の日本版は首ボロンシーンがカットされていて泣いた。
「キックオフ!!」
と諏訪子は叫んだかと思うと、ボロンした首を神奈子に蹴ってパスした。
空中高く舞うそれを、神奈子は必殺のボレーシュートで見事蹴り返し、首は飛んでいって見えなくなった。
「「ゴール!!」」
と叫びながら頭のおかしい神様たちは両手を広げて境内を走り回っていた。
近所にこんなのいたら怖いよね。
霊夢がそろそろ掃除を切り上げようとしていた時、何やらこっちに向かってくる飛翔物体が確認できた。
『向かってくるものは受け止める(スペカ戦以外は)』が座右の銘の霊夢はそれを受け止めてしまった。
「ゴフォーッ!これ以外と重くて痛い!!」
多分それの衝撃で肋骨が折れたのだろう。幻想郷は肋骨に弱いのだ。
「ていうか何よこれ・・・こ、これは!」
緑色の神。変な髪飾り。そしてちょっとムカつくドヤ顔に血まみれの切断面。
紛れもなく、これは早苗の生首である。霊夢は服にベッタリと血が付いているのを見て、ビビって落としてしまった。
「あいたっ!受け止めたのに何で落とすんですか」
「喋ってるし・・・もう嫌この幻想」
早苗の生首がなんと喋っているではないか。
「受け止めたついでに守矢神社まで送ってくれませんか?あのアホ神共、こんな所に蹴り飛ばしやがりまして・・・」
「蹴り飛ばすとか・・・しかも生首持って送ってくれとか・・・ありえない・・・グロいし・・・」
「何か奢りますよ」
「仕方ないわね」
そして守矢神社に辿り着いた霊夢と、早苗の生首。略して早首。
霊夢は色々なことに振り回されたため、背後に忍び寄る影に気付くのに後れを取ってしまった。
「貰ったあ!」
「ギュヘッ、エッ、ギギギギ」
霊夢も神奈子のチェーンソーの毒牙にかかっていく。
凄い勢いで出血する霊夢。そして首ボロン。
「ちょ、ちょっと何すんのよ!・・・って私も生首になってるし」
「これが奇跡の力です」
「奇跡で何でもできると思ったら大間違いよ!っていうか奇跡は何度も起きたら奇跡って言わないのよこのクズ共!」
「まあ落ち着きな霊夢。頭おかしい人に見えるぞ」
「首がない時点で人に見えないわよ!」
喋る生首×2。
そう、これが産廃名物『リアルゆっくり』である。
「これどうしてくれんのよ!私化け物巫女として生きていかなきゃいけない訳!?」
「いや、でも体動かせますよ。」
「あ、本当だ」
首のない体は意志のまま動かせるらしい。凄い奇跡だ。
「でも逆に化け物度UPしてるんだけど・・・」
「切断面に首をくっつければ大丈夫ですよ」
「プラモデルみたいね・・・」
その後、霊夢と早苗は自分の体を動かしてなんとか首をくっつけた。
「なんか首がグラグラする・・・」
「しばらく安静にしとかないとまた落ちますよ?」
「・・・アンタら、いつもこんなことやってんの?」
「はい。ここの神様のせいで。W杯ごっこと称してやっています」
「まあ、早苗怒らないでくれ」
「怒ってません。失望しています」
神奈子はちょっと傷ついた。
「ところで、魔理沙さんの頭が湧いてるって聞いたんですが」
「うん」
早苗の耳にも届いていたのであろうか、彼女は霊夢に魔理沙のことを尋ねてきた。
霊夢が返事をすると傍にいた神奈子は驚愕の表情を浮かべた。
「何?奴もあの病気にかかったのか」
「知ってるの神奈子!?」
「それはな、『ドロワ病』って言ってな・・・ドロワがないと気が狂うんだ」
「また変な病気を・・・」
「多分魔理沙の家もドロワがなくなったんだろう。犯人は・・・天魔しかいるまい」
天魔とは天狗の大ボスである。給料日前にも関わらず、飲みに行こうと誘うので部下には若干不評である。
「そう言えば私のドロワもパンティになってたわ」
「そう。天魔はかなり強行なパンティ推進派だからね。私が言って話をつけてきてあげよう」
「マジで!?助かるわ〜」
「良かったですね霊夢さん」
「うん、それはいいんだけど、アンタらのせいで貧血気味なのがアレね」
「私もです」
あれだけ血を流せば当然である。
「貧血とか、お前ら現代女性か!」
神奈子は嫌なツッコミをしてから天魔のもとへ飛んでいった。
霊夢と早苗は割と傷ついた。
「いや〜、二人ともなんか色々とゴメンね〜」
「あ、諏訪子様」
賽銭箱の上にはいつの間にやら諏訪子が座っていた。
「一体いつからそこにいたんですか?」
「いや・・・ずっといたけど」
「気付きませんでした」
諏訪子は結構傷ついた。
「あ、そういえば早苗、何か奢りなさいよ」
「覚えてたんですか」
「私が意地汚いみたいなニュアンスで言うんじゃないわよ!」
霊夢が早苗のテンプルを勢いのまま殴ると、くっつきかけていた首がまた落っこちた。
「ちょ・・・霊夢さん勘弁してくださいよ」
「まあ霊夢落ち着いてよ、ほら飴をあげよう」
諏訪子はそう言って帽子の目玉を千切り取ると霊夢に手渡した。
「これ舐めろって言うの・・・」
「とっくの間に義眼だよ」
「帽子の目玉が本物だったら引くわよ・・・何これ両生類の砂糖漬けみたいな味がする」
諏訪子はかなり傷ついた。
妖怪の山では、神奈子が天魔と対談していた。
「早苗のパンティあげるから皆のドロワ戻したげて」
「OK^q^」
対談終了。
その後、博麗神社に戻って来た霊夢は、ドロワを返却すためにあちこちを飛び回っている天狗の大群を見た。
「すまねっす」と言って神社にもドロワを返しに来た天狗(恐らく下っ端なのだろう)の背中は哀愁に満ちていて、霊夢は切ない気持になった。
「フフ、これにて一件らくちゃ・・・」
「クロージング・ザ・ボーダー!!」
※『クロージング・ザ・ボーダー』とは紫のスキマが開ききる前に、強引に閉じる博麗奥義である。
ちなみに日本語訳すると『境界の封鎖』になるのだが、
エキサイト翻訳で試した所、『国境を封鎖します』になった。エキサイトさんパネェっす!
「おのれぇぇぇぇぇ霊夢ぅぅぅぅぅぅぅ」
「今アンタが出なけりゃとりあえず綺麗に収まるのよ!」
そう言って霊夢はスキマを閉じてしまった。
「れ・・・霊夢・・・」
「魔理沙!気がついたの!?」
「ああ・・・長い・・・永い夢を見ていたよ」
ちょっと感動的な方向に持っていこうとしているこのSS。
ちなみに魔理沙の履いているドロワはさっき天狗が返却したものであり、
ということは霊夢のドロワであり、履き変えさせたのも霊夢でありウフフ
「なあ霊夢」
「何?」
二人は縁側に腰かけていた。
満点の星空であった。
「なぜこんなにも脇腹が痛いんだ?」
「肋骨折れてるからよ」
「そうか・・・」
「私も折れてるわ」
「何でお前も・・・」
「首もまだ繋がっていないし」
霊夢は繋がりかけていた首をまた取って魔理沙に見せつけた。
魔理沙の悲鳴が轟いて本当に良い夜だった。
さーなさーなさな風祝♪
外の国から殺ーって来たー♪
さーなさーなさな緑髪♪
何かを♪間違う♪女の子♪
――完――
橙ソー・・・
ごめんこれが言いたかっただけ
暇簗山脈
- 作品情報
- 作品集:
- 8
- 投稿日時:
- 2009/12/06 11:29:55
- 更新日時:
- 2009/12/06 20:39:53
- 分類
- チェーンソーと言われたので
しかし頭部でサッカーとは神奈子様本格派ですね
>空に星が
こんな文地霊殿委託〜今年の夏までに読んだら一瞬戸惑っただろうな
今となっちゃ数秒混乱するが
鴉×虎的な意味で
奇跡「ドクター・スランプ」ですか(笑)
…数日後
霊夢「なじむ 実に!なじむぞ フハハハハハ フフフフフ フハフハフハフハ 」
うわぁなんか猛烈に殺意が。600回ぐらい死ね。
無駄に規制かけすぎて迫力が落ちてたし。
まぁ、コードを使って規制外しましたけどねww
いやん、バレてる(はあと