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『早苗が博麗の力を手に入れたら』 作者: 名前がありません号
博麗の力。
博麗の血筋だけが持つ力。
“空を飛ぶ程度の能力”。
その力とは何なのか、私はとても興味を持っていました。
あらゆる干渉を受けないとも言われ。
あらゆる存在から自由とも言われ。
あらゆる力を無力化するとも言われ。
その力の強大さを夢想する毎日でした。
そんな力があれば、二柱の神を助けられるのに。
そんな力があれば、守矢神社の信仰を高められるのに。
そんな力があれば、自分を見下す連中を見返せるのに。
そんな力があれば、誰もが私を羨むのに。
しかしその力を持つ、霊夢さんはぐうたらで、殆ど力を使わないんです。
私ならその力を妖怪退治と信仰の為に使うのに。
許せない。それだけの力があるのに。
許せない。そんなの宝の持ち腐れじゃない。
許せない。信仰の為に努力しない。
許せない。あの余裕が許せない。
霊夢さんが私の神社にやってきました。
どうやら神奈子様に用があるそうです。
何をしに来たのか知らないが、最近妙にやってくる気がします。
そして私に弾幕勝負を挑んでくるのです。
稽古をつけてあげるわ、と言って私をねじ伏せていくのです。
ねじ伏せられ続ける私は、霊夢さんが私を嘲笑っているように見えました。
憎い憎い憎い。
ある時、諏訪子様と神奈子様が話をしているのが聞こえたんです。
「やっぱり早苗には……」
「霊夢に任せれば……」
「あの子はどうにも……」
「もう少し……」
「それじゃあ、その方向で……」
私はショックでした。
まさか私は、霊夢さんに風祝の地位すら追いやられるのでは、という恐怖を感じました。
そう思うと私の行動は自分でも驚くほど速かったです。
私は博麗神社に向かいました。
都合よく、その日は霊夢さん以外には誰もいませんでした。
「あら、めずらしいわね。何か用?」
あなたを殺しに来ました。なんて言えませんよ。
すると霊夢さんが振り向きました。
私は事前に持ってきていた包丁を取り出します。
そして「霊夢さん」と呼びかけます。
「何よ、さn」ザクッ。
綺麗な赤が、私に降りかかります。
霊夢さんは何故、という顔をしています。
博麗霊夢の力。
それは血に宿るという話を聞きました。
なら霊夢さんの血を浴びれば。
私が博麗の力を奪い取れるのではないか、と考えました。
そう考えると私の中から、急に力が沸いてくる気がしました。
これなら、幻想郷の妖怪さんにも勝つ事が出来ます。
うふふ。
うふふふふ。
あはははははははは。
あはははははははははははははははははははははは。
はははっははははっははっははははは。
でもその前に、神奈子様と諏訪子様に報告しなければなりませんね。
うふふ。ふふふふふ。
神奈子様、諏訪子様。
私は強くなりましたよ。
なんと、博麗の力を手に入れたんです!
凄いですよね? ですよね?
あれ。何で私をそんな目で見るんですか。
何故そんな、冷たい目で見るんですか!
ああ、やっぱり。
神奈子様も諏訪子様も私が必要ないんだ。
私を風祝から引き摺り下ろして、霊夢さんを!
なんですか? 今更、命乞いですか?
違う? 何が違うんです。何も違いませんよ。
もういいです。お二人にはもう頼りません。
私を必要としない神様なんて死んじゃえばいいんです!
グシャッ、ドバチャッ。
お二人がいけないんですよ。
私を、私を風祝から引き摺り下ろそうとするから。
私が、私が博麗の力を手に入れたんですから。
喜ぶべきじゃないですか。
あの働かない巫女よりも、私は働いて見せますよ。
あははははははは。
あはははは。
あはは。
あは。
とりあえず、この死体を片付けましょうか。
人里に降りると、皆さん私を信仰してくださいます。
早苗様、早苗様だなんて。照れちゃいますね。
すると慧音さんがやってきました。
少し話があるそうです。
そして慧音さんの家に向かいます。
慧音さんの性格通りに片付いた部屋の中で、慧音さんが言いました。
「博麗霊夢が死んだそうだ」
「そうなのですか?」
「ああ、包丁で心臓を何回も突かれていたらしい」
「それは残忍ですね」
「お前がやったんじゃないのか?」
「え? どうして?」
「博麗神社から飛び立つお前を見た奴がいるんだ」
「そうなのですか」
「で、お前の仕業なのか?」
「はい。でも慧音さんなら、話さないですよね?」
「何?」
そういって慧音さんが身構えます。
「下手な事はしないほうが身の為ですよ。貴女には口止めを頼みましょう」
「誰がそんな事を!」
「人里の身寄りの無い子供たちがいましたよね。今どうしているのでしょうか」
「……お前!? そこまで堕ちたか!」
「子供たちには“まだ”何もしていません、もう分かりますよね?」
「くそっ!」
慧音さんは拳を握り締めながら、ぐっと耐えることしか出来ないみたいです。
いつも話が長くて鬱陶しいんです、この人。
半獣の分際で、人間様と一緒に生きているだけでもおこがましいのに。
妖怪だったら真っ先に始末しているのに。
ああいう中途半端な奴は面倒くさいですね。
そうだ、あれも始末できるようにしてしまえばいいんですよ。
あはははははは。
射命丸文さんを呼びつけました。
「なんですか、事件を起こさないほうの巫女sぶべら」
「その言葉は不問にします。貴女にしてもらいたい事があります。それはですね……」
「なっ、それを私にしろと!? 嫌です、清く正しい文々。新聞の名をぎゃああああああ!!」
「うっさいですねぇ、その羽引き千切りますよ? 大体清くも正しくもないでしょ? 馬鹿じゃないんですか?」
「あぎぃぃぃぃ!! ま、まってください! やります! やりますからぁぁぁぁ!!」
「わかればいいんですよ、それじゃやってくださいね。そうそう万が一の為に」
「あぐぅ!!」
私は、背中に短刀で文字を刻みました。
命令に従わないものには、印を刻んで、命令に背いたら激痛を発するようにするといいそうです。
痛そうですが、私には痛くも痒くもないので関係がありません。てへ。
これでうざい慧音さんともおさらばです。
その数日後、慧音さんの悪評を書きつらねた新聞に、私の言葉が加わり、
慧音さんは処刑されました。
清々しますね、常識人ぶってる化け物さんには。
妖怪なんて皆死ねばいいのに。
死ねばいいんですよ。あはは。
ある日、霧雨魔理沙さんが訪れました。
「霊夢を殺したのか?」
突然そんな事を聞いてくるのです。
「何故そんな事を?」
「何故じゃない。私がお前が神社から出て行くのを目撃したからだ」
「ああ、貴女だったんですね」
「で、どうなんだ。お前がやったのか?」
「ええ」
すると魔理沙さんは素早く八卦炉を構えます。
「何で霊夢を殺した」
「だってねたましいじゃないですか。あれだけの力を使わないなんて」
「そんな事のために霊夢を……!」
「そんな事の為? ええ。だって霊夢さんの力はすばらしいじゃないですか。有効利用しない手はありませんよ」
「早苗ぇぇぇぇぇ!!!」
そして私に向けて、お得意のマスタースパークを放ちます。
しかし今の私には無力です。
私の眼前には二重結界が張られているのですから。
「な、何でお前がその結界を!?」
「分かりませんか? 私は霊夢さんの力を吸収したんです」
「そ、そんなはず……」
「つまり私が博麗の巫女なんです。貴女は私に逆らいましたね? 魔理沙さん、貴女を退治してあげましょう」
「や、やめろ………」
「泥棒鼠に掛ける情けはありませんよね?」
ズシャッ。
そしてその後、私は紅魔館、永遠亭、地霊殿、妖怪の山、白蓮寺を襲撃し、妖怪とそれに恭順する者達を一人残らず始末しました。
残る妖怪はただ一人。
八雲紫のみです。
私は守矢神社で待ち続けました。
位置が分からないので、あちらから出てくるのを窺います。
そして彼女は現れました。
導師服を着た金髪の女性。間違いなく八雲紫でした。
「やっと来ましたか。もう貴方一人です。観念してもらいますよ」
紫さんは驚く事もなく、こう言いました。
「よくやってくれた。感謝するわ」
「え?」
「全ては私のシナリオ通り。そして貴女の役目もおしまいよ」
「何を、言ってるん、ですか?」
「まだ分かっていないのね。あなたは私の駒でしかなかったの」
「貴女は幻想郷中の力ある者達を皆殺しにしてくれたわ。これで幻想郷は休眠する事が出来る」
「休眠……!?」
「今、幻想郷にはたくさんの人間と共に、個人の意思が流れ込んでいるわ。妬み、憎しみ、怒り、悲しみ。たくさんの感情が渦巻いているわ」
「この意思が幻想郷を満たしてしまえば、いつか幻想郷でかつてない皆殺しが発生してしまうわ。そして幻想郷が失われてしまう」
「そこで私は考えたわ。皆殺しになる前に、皆殺しにしてしまえばいい、とね」
「そんな、私は利用されただけ……?」
「貴女は良くやってくれたわ。コンプレックスと感情に流されやすい典型的な人間ですもの」
「適当に力をくれてやれば、幻想郷の妖怪を駆逐するぐらいたやすいものだとね」
「私は幻想郷を誰よりも愛しているわ。だから幻想郷に害をなす物は妖怪でも人間でも関係なく滅する」
「彼らの都合で幻想郷をつぶされては叶わないわ」
「貴女は、貴女は霊夢さん達を愛していなかったのですか!?」
「殺したあなたが言えた事? しょうがないでしょ」
「私が一番愛しているのは幻想郷。彼女らはその下にいるの」
「どれか一つしか選べないなら、一番優先順位の高いものを選ぶ。違う?」
「それに貴方達、守矢と天狗は始末する積りだったわ。あのまま行けば貴方達は外の人間と同じ道を歩むもの」
「そんな事を私が許すと思って? 許すわけ無いじゃない。だから貴女に引導を渡してもらったのよ」
「そんな、そんな、そんな、そんな……!?」
早苗は脱力した。
全ての力が抜けていくような感覚を覚える。
「今の貴女はただの人間。何も出来ないただの人間。それじゃあ冬眠前に私のお腹を満たして頂戴?」
「え、い、いや、イやぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「たすけてぇ!! かなこさまぁぁっぁぁl!!!1 すわこさまぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!」
早苗は汗と小便を垂らしながら、その場からはしって逃げようとする。
しかし距離が開かない。八雲紫は歩いているというのに。
それがたまらなく早苗の恐怖を煽った。
そして足をくじいて、こける早苗。
八雲紫は早苗の右足を掴むと、スッとスキマを引き、そして閉じる。
重力の法則で早苗の身体が落ちる。右足だけを除いて。
「イぎゃがあああああああああ!!!!」
「どう? 綺麗に切れているでしょう? スキマにはこういう使い方もあるのよ」
そして、その右足を八雲紫は歯を立てて、噛り付く。
その様を早苗は歯をガタガタと震わせて見ていた。
「次は左足、右手、左手、後は踊り食いでもいいかしらね、うふふ」
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
早苗は脳内の想像力を最大限働かせて、その意識を閉じた。
ぶつん
何かこういうどうしようもない感情を吐き出したくなる癖が治らない。
名前がありません号
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2009/12/07 07:56:04
更新日時:
2009/12/07 17:22:30
分類
早苗
慧音の痛みはこんなものじゃなかったんだから思い知ればいいよ!
やっぱり早苗さんは小物が似合う
どうせ近いうちに誰か人間に退治でもされるんだろう
でも早苗ざまあwww
残るは憎まれ役の幕引きだ...
かと思った
>>1
まぁ仮にも命かけて作ったわけだしね。
>>2
スッキリしていただきありがとうございます。
>>3
この場合、早苗がアレだったと言うのもありますが、紫は頭脳派ですよね。
>>4
慧音と妹紅で一つ書こうかと思います。
>>5
ざまぁ。しかし明日はわが身。恐ろしい。
>>6
中立的であるけど、絶対友好的にはならない霊夢。
まぁ彼女の区分だと紫でさえ、ただの妖怪なのかも。
>>7
妖怪は人を襲うし、人は妖怪を退治する。
基本的な関係ですが、幻想郷でもそこまで退治退治言ってるのは早苗ぐらいな気が。
人里の妖怪ハンターはまだか!
>>8
精神的に殺したんだよ! だよ!
何も考えてなかったわけじゃないよ! よ!
>>9
ざまぁ。
博麗の力については余り具体的にされていないですが、
そうなると霊夢が死んだ後の博麗の巫女は別の能力になるのかな。
>>10
その台詞は魔理沙当てだと思う。
早苗には「やはり弱者は信用できんな……」で充分。
そんな偏見に満ちた私。