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『人生美味礼讃』 作者: 窓月詩明
「さあ召し上がれ、アリス」
魔理沙のその言葉を受けて、アリスは目の前の食事を食べ始めた。
今日のメニューは、なんだか良くわからないほど鮮やかなキノコと、
山菜の炒め物である。
見た目はともかく、味は魔理沙本人が「自分で自信がある」と言うレベルまで、
味見してまで作っているため、非常に美味である。
アリスは、高速で食べ終え手を合わせた。
「ごちそうさま」
「お粗末さまだぜ」
「魔理沙は、本当に料理が上手ね」
「アリス、私とお前で決めた料理の七十二ヶ条覚えてるか」
「覚えてるわ。『料理がおいしいと思ったらおいしい料理で返す』ね」
魔理沙は、帽子を上げてアリスへと微笑みかけた。
「ああ、その通りだ。明日は任せたぜ、アリス」
「ええ、任せておきなさい」
アリスは、そう言って家へと帰っていった。
「うーん、今日のは少し味付けが薄いんじゃないか、アリス」
魔理沙は、アリスの出した和風ポトフを食べながら言った。
その表情には、少し残念と言った風な感情が混ざっていた。
アリスは、ため息を付きながら言う。
「ちょっと失敗しちゃったみたいね」
「おっとアリス、料理の七十二ヶ条だ」
「えーっと……『料理に失敗は無い。どの料理にも誇りを持て』だったっけ」
「ああその通り。明日は私の番だ。
あさってのお前の料理、楽しみにしてるぜアリス」
「魔理沙……。私頑張る!」
アリスは、魔理沙の優しい言葉に涙を流しながら決意をした。
「ねえ魔理沙、どうやったらこんなに美味しい料理が出来るの?」
「料理の七十二ヶ条『おいしさは自分の中にあると思え』。
だけど、強いて言うならば……」
「強いて言うならば何なの?」
「愛だ」
「愛……」
「そう、料理は素材も大事だが最終的には愛だ。
シンプルなおにぎり一個でも、愛情があるならばそいつにとっては
滅茶苦茶美味しい料理と化す。しかし愛情がなければその料理はただの生ゴミだ」
そう熱弁する魔理沙の背景には炎のオーラが出ていた。
アリスは、そのオーラに感化され自らの中で何かが固まっていくのを感じていた。
「おいしい素材……愛情……」
薄暗い部屋の中で、アリスは自らの最高傑作とならん「料理」を作っていた。
「アリスー、私だ」
魔理沙はそう言うと、アリスの家をドアをノックもせずに開けた。
魔理沙が家に入ると、既にテーブルの上には料理の準備が出来ていた。
どうやら、肉料理のフルコースのようだった。
そして、そのテーブルの奥側の席には、アリスが一糸纏わぬ姿で座していた。
魔理沙は、少し違和感を覚えてアリスの体を良く眺めてみる。
なんと、彼女の首から下は人形と化していた。
「魔理沙、いらっしゃい。
ついに完成させたわよ、最高の料理をね。
私から魔理沙への愛情で2倍。
魔理沙から私への愛情で2倍。
さらにいつもの3倍の量で、12倍の美味しさのアリス特製ディナーよ!
私の肉をふんだんに使った料理、召し上がれ!
まずはこの腿肉のステーキ……」
「アリス、いい加減にしろ!」
魔理沙が何も言わないのをいいことに、アリスは話を続けようとした。
しかし、魔理沙はそれを怒号で制した。
「アリス……」
魔理沙は、帽子を脱いで顔を上げる。
「料理の七十二ヶ条」
「『食べてもらう前の料理の味は語るな』だったわね。
少し私も興奮しすぎたわ」
「ああ、その通りだアリス。
しかし、お前は遂にたどり着いたんだな、究極の料理に……」
「ええ……魔理沙」
魔理沙は、一瞬沈黙すると、笑顔になって手を合わせて言った
「いただきます!」
こんばんは、窓月詩明と申します。
ばいす氏の数多のSSに憧れて私もいつか料理ネタでやってみたい!と思っていたので、
アリプロの「人生美味礼讃」のような明るいグロテスクに仕上げてみました。
でも、グロテスク分は余り無いですね。
私もアリスのレバーをぺろぺろしたいです。
窓月詩明
- 作品情報
- 作品集:
- 8
- 投稿日時:
- 2009/12/08 13:57:06
- 更新日時:
- 2009/12/09 00:07:56
- 分類
- マリアリ
- 料理
とりあえず明るいグロテスクは素敵だと思いました。
じゃあ次の材料は魔理沙ですね分かります^^
対象のために自分を犠牲するなど、本来の愛の用度を思えば浅ましいにもほどがある。
まあ、それ以前に人間ってそこまでうまくはないけどね