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『The game 1-1』 作者: 名前がありません号
0.
その行為に及ぶ事によって発生する被害の危険性を理解するものは、
その行為に罰則を設けて対処する。
場合によっては死を与える事で抑止力とする場合もある。
あるいは死ぬまで永遠に、閉じ込め続ける事もある。
しかしその行為を止める事は不可能である。
何故か。
殺人とは万人に公平に与えられた行為だからである。
責任を負う覚悟か、誰にも自身だと特定されない自信があるならば、
殺人という行為そのものを止める手段は存在しないのだ。
だから、これから起こる事も、きっと誰にも止める事は出来ない。
博麗の巫女にも、大妖怪達にも。
誰にも、止められないのだ。
1.
朝早くから、人里に甲高い悲鳴が響いた。
慧音らが向かった安宿には、アリス・マーガトロイドが部屋で首を吊った状態で見つかった。
首にはたくさんに束ねられた細い糸が強く首を締め付けられていた。
アリスの人形は魔法の糸によって、操られている為、この糸は何者かが持ち込んだ物だろう。
彼女が死んだのは、人里の一角にある安宿であった。
何故アリスがこのような場所に泊まったのかは不明だが、その宿の一室にて首を吊った状態で見つかった。
現在は死体は、ベッドの上に寝かせた状態にしてある。
「しかし……」
何者の仕業だろうか。慧音は考える。
アリス・マーガトロイド自体はこれといって人間とも妖怪とも悪い関係ではない。
良い関係でもなかったが、本来魔法使いとは内向的である為、さほど不思議ではない。魔理沙が特別なだけだ。
「店主。本当に人は来なかったんだな?」
「へ、へぇ。来ていません。そ、そのアリスっていう方もてっきり人間かと……」
「そうか……」
みすぼらしい格好の安宿の主がそういった。
無理も無い。アリスの格好や姿は人間と大差が無い。
事実慧音にしてみても、「私は半獣だ」と告白するまで皆、人間だと思っていたのだから。
さらに妖怪とはいっても、魔法使いという種族は身体的には人間と余り極端に差があるわけではない。
平均的な男性並の身体能力はあるかもしれないが、精々その程度である。
知に重きを置く為、身体能力は置いてきぼりになるのだ。
慧音は獣との混血である為、身体能力は人間と妖怪の中間の位置にある。
話がそれた。
ともあれ、アリスが何者かに殺された。
すると戸を二度叩いてから、里の男が現れた。
「慧音さま。永琳様が到着されました」
「わかった。通してくれ」
慧音にそう言われると、男は「こちらへ」と永琳と鈴仙を通した。
赤と青が半々の特徴的な服の上に白衣を纏った姿の永琳と、
いつもの黒いブレザーとスカートの鈴仙が入ってくる。
二人は死体に手を合わせてから、永琳は言う。
「状況を説明して」
「第一発見者は、この宿の主だ。アリスの泊まっていた部屋の扉が半開きになっていたので、中を覗いたら……というわけだ」
「アリスは其処の柱に、首に糸を巻きつけられた状態だった。恐らく死因はこれに違いない」
「部屋は特に荒らされた様子はなかった。物盗りではないだろう」
慧音は淡々と説明をする。
慧音自身、動揺はあったが自分がしっかりしなければ、という意思から冷静になっていた。
慧音の説明を聞きながら、永琳も慧音の言う通りだろう、と結論づける。
「確かに。死因は絞殺で間違いないわね。妖怪とはいえ、人間に近い彼女なら首を絞めても充分に殺せるでしょう」
「詳しくはもっと調査が必要だと思うけど、まぁその辺は貴方達の領分ね」
「死体について調べるけども、問題は無いかしら」
永琳は慧音に対して、そう質問した。
「彼女には悪いが事態が事態だ。頼む」
「わかったわ。鈴仙、血液のサンプルを取っておいて」
「はい」
そういうと、鈴仙が死体の動脈から注射器を用意して血を抜く。
そして一通りの処置を済ませた後、やってきた兎達によって、アリスの死体が運ばれていく。
「すまないな、永琳。手間をかける」
「別に構わないわよ。姫が少しはしゃぎすぎていらっしゃるけど」
「そちらも大変だな。………これで六件目か」
慧音は、俯きながらそう言った。
そう、これで六度目の人里内での殺人事件なのだ。
2.
最初に殺されたのは、八百屋の店主だった。
全身をみじん切りにされて死んでいた。
最初に発見した店主の妻は精神的ショックから、永遠亭に療養中だが回復の兆しは無い。
二度目は花屋の店主だ。
土に埋められていた。
背中には無数に穴が開けられ、其処に花の球根を植えていた。
その特異さから、風見幽香が犯人に上げられたが、
花屋の娘の主張から、幽香ではないと言う結果となった。
幽香は怯える花屋の娘を抱きながら、「犯人をただでは済まさない」と言っていた。
三度目は釣り人の山さんと呼ばれていた初老の男性だ。
天井に両手両足を切断された状態で吊り下げられていた。
四度目は農家に厄介になっていた外来人の青年。
死体を発見した畑には、彼の首と鎌が一緒に置かれていた。
五度目は人里の妖怪ハンターの男性だ。
全身にお札を貼り付けられた状態で発見された。
札も彼の身体も、血塗れだった。
そして六度目。
アリス・マーガトロイド。
既に里の人々からは、恐怖の余り外出を控える者が増え、里の活気は無い。
これまでの犯行時刻は全てランダムで、昼夜を問わず行われている。
おまけに犯人は妖怪ではない可能性もある、という指摘がされており、
それがさらに人里の人々の恐怖を煽った。
守矢神社の面々もこの問題に対処する為、協力を申し出てくれている。
しかし一向に犯人は捕まらない。
さらには人里内部で犯人探しまで始まり、それによって喧嘩事になったりと、
今人里は混乱状態にあった。
『人里は安全である』という神話は崩壊しつつあった。
3.
永遠亭の研究所で早速、採取した血液サンプルを機械に入れる。
しばらくすると、機械が血液中に含まれる成分を表示していく。
その成分の中に気になる成分が含まれている事に気付いた。
「師匠、この科学物質は……」
「睡眠薬ね。眠らせた後に絞殺したって所かしら」
「ですね」
別におかしくはない。アリスは妖怪だ。薬で確実に殺せなかった時の為に、首を絞めて殺すのはおかしなことではない。
しかし、何か見落としている気がするのだ。重要なものを。
それが出てこない。何かが突っかかっている事は間違いないのだが。
そして研究所を出た瞬間に、爆発音が響いた。
煙の元は確か、アリスの死体のある部屋だ。
永琳と鈴仙が急いで向かった場所には、爆発に巻き込まれたであろう兎達が、
痛みにうめいていた。他のウサギたちは消火活動に当たっている。
被害を受けた応急処置をしていた兎の一人に永琳が問う。
「一体何があったの?」
「わ、わかりません……突然、凄い音がして見にきたら、この有様で……」
部屋からは黒煙が吹き出ている。
恐らく中は火の海だろう。中のアリスの死体は、真っ黒に焦げているだろう。
「一体誰がこんな事を……」
鈴仙がつぶやく。
これも人里で殺人事件を起こしている犯人の仕業なのだろうか。
この後、永遠亭の兎達にも話を聞いたが、誰も不審な者は見かけていないと言っていた。
火を消し止めた後、処置室に入ったが、やはりアリスの死体は見るも無残な状態になっていた。
今後の検証はこれで出来なくなったわけだ。
すると輝夜が戻ってきた。あちこちボロボロなところをみると、また妹紅とやりあっていたようだ。
「あら、永琳。珍しく実験でも失敗したのかしら」
「こんな掃除の手間のかかる失敗なんてしませんよ、姫」
「そうよね。で、何かあったのかしら」
永琳は輝夜に、処置室の爆発について説明する。
「というわけでして、姫は永遠亭方面から出て行く人影など見かけませんでしたか?」
「わからないわねぇ。妹紅とやりあっているのに夢中だったもの」
「そうですか……」
「ねぇ。それよりも、これは誰の仕業なのかしら。例の人里の殺人鬼かしら?」
「さぁ、そこまでは」
「そう。それじゃあ私は部屋に戻ってるわ」
それじゃあね、と手を振って、自分の部屋に戻っていく輝夜。
永琳はやれやれといった表情である。
「大丈夫ですか、師匠」
「大丈夫よ。心労の種が消えないのが問題だけど」
輝夜は、人里を騒がす殺人鬼にえらく御執心の様子である。
永琳からしてみれば、たまったものではないのだが、
輝夜の性格上飽きるまでは、しばしこの状況が続くだろう。
輝夜には困ったものだ。これは妹紅との遊びではないと言うのに。
4.
一方、慧音はというと、こちらもまたたくさんの心労の種を抱えていた。
人里の家を一軒一軒回って、話し合いながら彼らを落ち着かせ、
苦情処理などに明け暮れる毎日だ。
寺子屋の授業に参加する者も減ってきている。
皆一様に家に閉じ篭ってしまい、重苦しい空気だけが漂ってくる。
慧音ははぁ、と溜息を吐く。
すると後ろから声がするので、振り向くと東風谷早苗がいた。
「大丈夫ですか、慧音さん」
「ああ、大丈夫だよ。少し気が滅入ってしまってね」
「あれだけ活気があった人里が、こんな風になってしまうなんて」
「しょうがないさ。犯人を捕まえない限り、この状況が続いてしまう。それだけは避けなければならないんだが……」
「お気持ち、察します。私達守矢神社も、出来る限りの協力をさせて頂きます。信仰してくださっている方々の為にも」
「ああ、助かるよ。早苗さん」
すると慧音は改めて早苗の姿を見る。
いつもの脇の寒そうな衣装に、なにやら大きな袋を背中に担いでいる。
「あの、実は」
申し訳なさそうに、早苗が言う。
ああ、なるほど。
「私の家に案内しよう。客間を用意するよ」
ありがとうございます、と早苗が言った。
慧音の庵に着くと、早苗は意外そうな顔をした。
「ん? 何かおかしいか?」
「いえ、慧音さんは里でも名の知れた方ですので、もっと良い家に住んでるかと……ああ、いえ、この家が悪いというわけでは」
「ああ、いいよ。とりあえず自分が住むのに必要な分だけだからな。一応客間はあるが、使う人間は殆ど居ないから丁度良い」
「すみません、慧音さん」
里の事件での守矢神社としての活動を二柱の神と相談した結果、早苗が人里に張り込んで、殺人犯を退治することになった。
なったまでは良かったのだが、人里に張り込む為の拠点となる住居にあてなどあるわけもなかった。
それに気付いた時には、既に人里に到着していて、どうしようかと早苗は右往左往していた。慧音はまさに助け舟であった。
「狭いところだが、しばらくはここを使ってくれ」
「はい」
早苗は袋を置くと、ふぅ、と息を吐いた。
見たところ、かなり色々入っているように見える。
「八坂様なんですよ。念には念を入れろ、という事で気付いたらこんな事に」
「はは、それだけ心配されている、と言う事じゃないのか」
「笑わないでくださいよ。私だって一人でもやっていけます」
そう早苗は言う。
確かに数年前に比べれば、成長したと言えるかもしれない。
肉体的にも精神的にも。やや方向性は誤っているようにも思えるが、それは口出しすべきではないだろう。
それはあの二柱の神の仕事だろう。
「それで、あれからどうなりましたか」
「アリス・マーガトロイドが殺されて以降は静かだ。が、返って人々は恐怖しているよ」
「そうですか……」
早苗はアリスとはそれなりに仲が良かっただけに、
アリスが殺されたと聞いた時は、悲しそうであった。
「余り気を落とすな。お前が悪いわけじゃないんだ」
「ええ……」
「そんな状態のお前に言うべきではないかもしれないが、お前に聞いておくべき事がある」
「なんでしょうか?」
慧音は言うべきか言うまいか、悩んでいたが言う事にする。
いざという時に、迷われては困るからだ。
「犯人が人間だった場合、お前は迷い無く退治できるか?」
早苗はドキッとした。
早苗が今まで相手してきたのは、妖怪や強い人間だ。
しかし今度の犯人は、ただの人間の可能性も捨てきれない。
妖怪退治は出来るが、生身のただの人間を相手にするのは、早苗は初めての経験になる。
「そ、それは……」
「もし迷うようならば、やめておいた方がいい」
「そんな!」
「犯人は既にアリスも殺しているんだ。妖怪にせよ人間にせよ只者じゃない。迷ったら殺されるだけだ」
「……」
「結論は出来るだけ早く出しておいてくれ。犯人は悠長に待ってはくれないだろうからな」
「はい……」
慧音は早苗にそういうと、自室に戻っていった。
早苗は考える。
あっちに居た頃は虐められて、人間不信に陥った事もあった。
でも、それでも殺したい程、憎んだ事はない。
いや、殺したい程憎めなかった。
憎んだら、自分がおかしくなりそうだった。
もしこの事件の犯人が妖怪でなかったとしたら。
もし人間だったとしたら。
そしてその人間を最悪、殺してしまわなければならなくなったら。
果たして私は正気を保てるのだろうか。
早苗は、自分の中の何かに、恐怖し始めていた。
ゲームを始めよう。
舞台は人里。簡単な宝探しだ。
人里中に隠してあるコインを見つけて欲しい。
コインを十枚集めたら、一つ望みをかなえてあげよう。
コインの入手方法は問わない。
ただしコインを全て奪われた場合、ペナルティが課せられる。
三回のペナルティで失格とする。
それでは幸運を祈る。
※ ※
あ、続きますよ、奥さん。
名前がありません号
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2009/12/14 16:04:00
更新日時:
2009/12/15 01:15:58
分類
慧音
永琳
早苗
グロ
1コースで5枚からOKですか?
先に別人に見つけさせてから奪ってもおとがめなしとな?
続きに期待