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『酒より美味な』 作者: 泥田んぼ
キスした時、急に唇の横を噛んできたのはアイツの方だった。
唇の端が噛み切られて、血が出た。
「痛っ」
「おや、ごめんよパルスィ」
つい、ね、と、勇儀は悪びれもせず嗤う。
無性に腹が立った。
お返しに無理やりキスし返して、その舌先を噛んでやった。
「…………ッ。……おお、痛い痛い」
「あんたが先にやってきたんでしょ」
「うん。パルスィの血は、美味しいから」
ペロリ。
口元に付いた私の血を拭う。
その仕草に、
「怖気が走るわ」
「本当さ。すっと抜ける辛口で……それでいて仄かな酸味と甘みがあって」
「あんたの血はドロッドロの甘口ね。緑色の沼底のぬめりみたいで気持ち悪い」
「おや残念。口に合わなかったかな」
「……血が旨いだなんて、犬畜生の言う事だわ」
「酒と血を好むのは鬼の性。こればっかりは、どうにもならない」
首を振り振り、杯を飲み干す。
口元からこぼれた酒が乳房の上を流れ落ちた。
「そんなに血が好きなら自分の舌噛みちぎって溢れた血で溺れ死ねばいい」
「生憎、まだ死にたくない。もっともっとパルスィの事を抱きたいから」
「あんたが気を遣っている隙に、その裸の首を絞めてやろうかしら」
「悪くないね」
できないと分かっていて、クックと嗤う。
勇儀は意地悪だ。
「でも私が死ぬとしたら、喧嘩で死ぬだろうからね」
「骨は拾わないわよ」
「パルスィの涙を一滴、死に水に貰えれば本望だよ」
「涙なんか流さないわ。手首を切った血であんたの死体を穢してやる」
「そんな事をされたら、嬉しくって生き返ってしまうかもな」
吟醸よりもよほど「クる」だろうよ。
そう言ってカカカと嗤っていたのに。
「生き返るんでしょ」
白い肌に青く浮かぶ血管の束。
そこに一筋、刃を這わす。
手首はあっけなく口を開ける。
ピチャピチャピチャ。滴り落ちる。
黒い血で染まった勇儀の身体が、再び赤い血で汚れる。
「あんたが言ったんじゃない」
生き返ると。
大きな血だまりに仰向けに寝ている。
腹に開いた大きな穴から、一番下の肋骨がはみ出ている。
左腕はどこに置いてきたのか。
「片腕あれば、わたしを抱くのに十分だって」
そう言っていたのはいつの晩だったか。
なんでそんなに安らかな顔をしている。
ああ、眠っているからか。
いい夢を見ているのか。
「なら起きなさいよ」
パルスィは勇儀の遺骸を抱きしめながら啜り泣いた。
血の上に熱い水を流しても、勇儀は生き返らなかった。
絵板がパルスィ祭りと聞いて……ううん、なんでもない。
とりあえず勇パルで勢いで書いた。
キスして唇を噛み切るのはとてもエロイと思うんだ。
泥田んぼ
- 作品情報
- 作品集:
- 9
- 投稿日時:
- 2009/12/28 18:08:55
- 更新日時:
- 2009/12/29 03:08:55
- 分類
- 水橋パルスィ
- 星熊勇儀
- 注意:百合、流血、ヤンデレ、キャラ死亡
というか趣味が合う
こういうの好き、パルスィは悲哀(悲愛?)が似合うよね
ネット環境ないからパルスィ祭見れないのが残念
死に顔は、そういうことなんだろう
by ロビン