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『ボールペン』 作者: 名前がありません号
さとりが目覚めると、そこは真っ白な世界だった。
1マスを仕切るように引かれた線が、この世界の異様さを刻銘に見せつけていた。
当然、さとりはこの場所に見覚えは無い。
少なくとも地霊殿にこんな部屋は無い。
すると、目の前に見た事の無い人間が現れる。
スーツをきた、罪と書かれた袋を被った妙な人間。
「あなたの仕業ですか」
「……」
「私に話す言葉は無いという事ですか」
喋れるかすら分からないが、
袋の奥の顔は見えない。
しかし、そいつの心の中は何故か、興奮しているようにも見える。
「何が目的か分かりませんが、早く出していただけませんか」
「……」
罪袋が、白い壁を指差す。
そこだけが、切り取られたように、別の部屋の映像が映る。
そこにはお燐と空が映っている。
どうやら自分と同じ構造の部屋にいるらしい。
あちらからも見えているのか、映像に気付いたお空が、こちらに向かってくる。
すると罪袋が突然、棒状の何かを取り出す。
そして、スイッチのようなものを押す。
カチリ、という音と共にズドン、と音がした。
「なっ……」
映像に映しだされたのは、地面から生えてきた杭で、串刺しになった空の姿であった。
杭が戻っていくと、げほっ、と血を吐いたお空が地面にドサリと倒れる。
また罪袋がカチリとスイッチを押す。
ズドンと空の身体が杭に持ち上げられる。
杭の激しいピストンで、ついに宙に投げ出された空が、
地面に真っ逆さまに堕ちていく。
それに合わせて、罪袋がスイッチを押す。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
部屋から次々と杭が出てきて、地面にたたきつけられる前に、
杭に空の身体が打ち上げられる。
空は最初の一撃で既に死亡していたが、幾度も繰り返される、
杭の突き上げに空の身体はボロボロになっていた。
「やめて! やめてください!」
肉をそぎ落とされ、身体中に穴が開き、その穴から血がボタボタと地面と杭に浴びせかけられる。
そして殆ど肉片同然となったそれは、地面に叩きつけられ完全にただの肉片と化した。
「あ、ああ、空……」
お燐にも見えているのか、ガクガクと足を震わせている。
目に涙を溜めて、友人の死にただ動けないでいる。
男は棒状のスイッチを捨てると、
今度は同じ形の、しかし赤い色の棒状のスイッチを取り出す。
「や、やめ!」
さとりの必死の叫びも、罪袋は聞いていなかった。
カチリ。
ズドン。
お燐の真後ろで、杭が生えてきた。
お燐は恐怖のあまり、おしっこを垂らしていた。
そして振り向かずに、動き始めた。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
逃げ惑うお燐を追いかけるように、杭がお燐の後ろから生えてくる。
お燐は咄嗟に思いつき、空へと逃げようとする。
しかし。
カチリ。
ズドン。
杭は上からも生えてきた。
杭の衝撃でお燐の身体が地面にたたきつけられる。
げほっ、と血と今日の食事を地面にぶちまける。
しかしお燐は立ち止まれなかった。
また地面を突き破ってくる、杭が自分の真下にあることを察知したからだ。
間一髪で避けるお燐。
すると杭の発生が止まった。
ほっとしたお燐は壁にもたれかかる。
カチリ。
ズドン。
お燐は杭に身体の上半身を持っていかれた。
「そんな………」
がっくりとうなだれるさとり。
そして男は最後に胸ポケットにある棒状のスイッチを取り出す。
それを見たさとりは、理解する。
空とお燐の居た部屋とこの部屋は同じ。
3本目のスイッチ。
つまりこれは。
「や、やめなさい……」
ガタガタと震えるさとり。
このときだけは、さとりは目の前のそれの心を読みたくはなかった。
しかし読んでしまうのが、覚りのさだめ。
罪袋の心の声は、「いやです」だった。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
カチリ。
ズドン。
一定の間隔で、さとりだったものが杭に打ち上げられては、堕ちてくる。
しばらくすると、罪袋も飽きてきたのか、その棒状のスイッチをほうり捨てる。
この棒状のスイッチを外の人間はボールペンと呼んでいる。
ボールペンって杭撃ち器っぽくね?
※一部修正
名前がありません号
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2010/01/03 12:50:26
更新日時:
2010/01/03 22:54:37
分類
さとり
空
お燐
罪袋
ボールペン
グロ
ボールペン押し当てて かちっ てして、ファイル用の穴あけてたし。痛いでしょうね。
それに 何度も線をなぞっていると 紙も切れるし、
目から脳まで貫通させれば 冗談抜きで人を殺すこともできますからね。
死神罪袋…『紅い涙』に続き、不気味に いい味だしてるなぁ…
楽しいですよね、カチカチカチ
身近なアイテムで分かりやすいのも魅力的ですね。