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『仮面ライダー龍騎/幻想 第2話』 作者: 神社バイト
「や、やめてください! 咲夜さんっ!」
美鈴は自分に向かって剣を突きつける咲夜をかわしながら叫び続ける。しかし、そんな言葉を聞き入れるわけもなく、咲夜、いやナイトの攻撃は続いた。
咲夜はカードを一枚抜き出して、召喚機ダークバイザーに差し込む。
『TRICK VENT』
機械音声と共に、ナイトの後ろからもう一人のナイトが現れる。姿かたち全てがそっくりで、美鈴は目を丸くした。するとそのもう一人のナイトの後ろから、またナイトが現れ、合計3人の仮面ライダーが美鈴の前で剣を構えていた。
「み、みつご?」
間の抜けた事をいっている間に、3人のナイトは美鈴に切りかかる。3人相手ではなすすべもなく、美鈴はもろに攻撃を受けて芝生の上に転がった。あまりの痛みに、立ち上がることすら出来ない。地面に這いつくばっている最中、咲夜はゆっくりと歩み寄る。
「な、なんなんですか……もう」
「これがライダーバトルよ」
咲夜は剣を振り上げて、とどめを誘うとした瞬間、パリンとガラスの割れる音がした。驚いてその方向を見ると、紅魔館の唯一窓のある部屋、厨房の窓が割られていたのだ。その破片からは、神社の巫女、博麗霊夢が苛立たしげにこちらを見て何かを叫んでいた。
「……一旦戻るわよ」
「?」
急に攻撃を止めた咲夜を不思議に思いながらも美鈴は後に続く。元の世界に戻って、先程の場所に戻ってみると、霊夢がものすごい形相で咲夜に怒鳴った。
「なんで勝手にバトル始めているのよ!」
「美鈴が新しい仮面ライダーになっちゃったから、早めに潰しておこうと思って」
「え? 美鈴が?」
霊夢は咲夜の隣にいた美鈴に目を向ける。美鈴は手に持っていたカードデッキを彼女に見せた。霊夢はため息を吐いて、頭を掻く。
「またあの隙間女は……」
「え、え、紅白もライダー?」
「ちがうわ、最近になって鏡の中にいる妖怪の存在が見えるようになったの。ただ私は鏡の世界には入れないから。その時に紫が仮面ライダーっていう鏡の中に入れるっていう機能を持つ道具を手に入れたらしくて……今いろいろと調べているのよ」
美鈴は咲夜と霊夢の二人を見る。彼女達は美鈴が契約する前からモンスターの存在を知っていた。いかんせん、自分は情報が少なすぎて何かと不利だ。そこで、美鈴は提案する。
「手伝おうか?」
「どう言う風の吹き回し?」
霊夢は怪訝な顔で答える。相変わらず妖怪は信用しないタチのようだ。それでも、諦めないで美鈴は続ける。
「私ライダーになったばっかりで、情報も少ないから……一緒にやったほうが色々分かるかなって」
「ふぅん……ま、いいけど」
「じゃあたまに神社の方に行くから」
こうして、紅美鈴の仮面ライダーとしての戦いが始まったのであった。しかし彼女は未だ知らない。この戦いが何のためにあるのか。そして、八雲紫の目的を。
数日経ってから、咲夜と美鈴は共にモンスターを狩る作業を繰り返していた。他のライダー達はまだ現れていない。
そんな中、一つの噂が里中に広まっていた。それは、香霖堂に入った者は二度と出て来れなくなる、というものだった。店主である森近霖之助さえ、行方知れずとなっている。興味を持った美鈴は、店の中に堂々と入る事にした。
「ごめんくださーい」
一応挨拶をして、店内に入る。アンティークショップのように、古びた物が棚に乱雑に並べられている。それを無視して、奥へと進む。人の気配もなく、かといってモンスターの気配もない。
店の奥に、壁にかけてある一枚の鏡が目に付いた。近づいて中を覗いてみるが、何も変化は無い。だが、次の瞬間あの金切り声が頭の中に響き渡った。鏡の中にモンスターは見えないのに、気配だけがそこにある。危険を感じて、美鈴は店を出た。すると。
「きゃあっ!」
「いたっ」
一人の女性とぶつかって美鈴は尻餅をつく。顔をあげると、紅葉色のワンピースを着た女性が、同じく尻餅をついていた。
「ああ、ごめんごめん、大丈夫?」
立ち上がって美鈴が手を伸ばす。その女性は恐る恐る手を取って、ゆっくりと立ち上がってスカート部分についたほこりを払った。
「私のほうこそごめんなさい、避け切れなくて……」
女性は深々と頭を下げる。慣れない事をされた美鈴は対応に困り、慌てて手を振って顔をあげさせた。
「ああいいって、気にしないで」
「そうですか? よかった」
女性は胸に手を当てて安堵する。髪の毛には紅葉の髪飾りが揺れていた。美鈴がそれに目をやると、気がついて補足する。
「あ、私、秋静葉と申します。まぁ名前の通り秋の神様です」
「へぇ……神様、ねぇ」
美鈴はまじまじと女性、秋静葉の姿を眺めた。スレンダーで物腰も柔らか、以前会った山の巫女に憑いていた神のほうとはまるで逆だ。静葉は美鈴の後ろにある香霖堂を覗き込んで、再び視線を戻す。
「ここに何か用が?」
「いや、ここに来た人が帰ってこなくなるって聞いたから、ちょっと興味本位で」
「気をつけてくださいね、最近失踪事件とか多くて物騒ですから。では」
静葉はまたぺこり、とお辞儀をしてどこかへ飛び立ってしまった。美鈴はそれを見送ってから、首をかしげる。先程のモンスターの気配はどこへいってしまったのか。もうすでに香霖堂に気配はなくなっている。美鈴は仕方なく、再び紅魔館に戻った。
美鈴が帰ってきた時、紅魔館の入り口には一枚の手紙が置かれていた。拾い上げてひっくり返してみると、あて先は自分になっていた。開いて中身を読んでみると、ただ一文だけ、「自分の知っているライダーと関係者の名前を書いて香霖堂のテーブルに置け 八雲紫」と書かれていた。そして、もう一枚の手紙には自分で書く用の白紙が一枚。
「……?」
美鈴はなぜこんな事をするのだろうと思いながら、手紙を書いて再び香霖堂へと向かう。
部屋の中にある小さなカウンターテーブルの上に、手紙を置いて、店を出る。すると、再び静葉が目の前に現れた。少し心配そうな顔で、美鈴を見つめる。
「ここは危険だって、前にも言ったじゃないですか」
「あー、ごめん」
「あーごめん、じゃないですよう」
まったく、といった様子で静葉はため息をついた。世話焼きなのはまるでどこぞのメイド長のようだ、と美鈴は苦笑する。静葉はその様子を見て怪訝な顔をする。
「何が可笑しいんです?」
「ああごめんごめん、思い出し笑い」
静葉は少しむっとしたように美鈴を睨みつける。人が心配している最中にいきなり思い出し笑いされたら誰だって不快になるだろう。
美鈴は何度か適当に謝ってから、門番の仕事へと戻っていった。残された静葉は、ふと香霖堂を見つめる。誰もいないはずなのに、どことなく不気味な雰囲気が漂っていた。まるで、この店の奥に魔物が住んでいるかのように。
「じゃあ、今日もちょっと散策に行ってくるわ」
「私も行きます」
「ダメ、仕事しなさい」
咲夜は再び手鏡を持って紅魔館の門を出る。取り残された美鈴はため息を吐きながら門に寄りかかった。しかし鍵を閉め忘れていたので、そのままひっくり返って頭を打った。
それはともかくとして、咲夜は以前から気になっていた香霖堂へと向かう。その道の最中には、前回から残っている水溜りがやたら多くて、細心の注意を払わなければならなかった。一つ一つ水溜りを確認しては遠回りをして道を進むため、中々目的地にたどり着かない。最近気付いたそうなのだがミラーモンスターには外の世界の理が全て無効になる。つまり、彼女が時を止めてもミラーモンスターは普通に動き回れる、ということだ。
そんな時、一つの水溜りから緑色の目が二つ、咲夜を見つめていた。彼女がそれに気がついたとき、その目の主、山吹色の蟹が水溜りから飛び出す。
「あぶなっ」
咲夜は間一髪しゃがんでそれを避けきった。が、飛び去っていった蟹の方面を見ると、その鋭い爪で大木を一本切り倒していた。逃げる間もなく、咲夜の上に大木は覆い被さった。
一方の博麗神社。霊夢はミラーワールドに関する書物を集めていた。鏡に存在する妖怪や、それに対する対処方法、関連がありそうなものならかったぱしから蔵から拾ってくる。4週目をしたとき、入り口には静葉が立っていた。
「おや、秋の神。どうしたのかしら」
「ミラーワールドについてお探しでしたよね」
「え、なんでそれを?」
「では……私とご同行願いたいと思います」
静葉が指を一振りすると、オレンジ色の粉のような物が霊夢の体を取り巻く。驚き一瞬で吸ってしまった霊夢は、すぐさま力を失って地面に膝をついた。そのまま地面に顔が落ちそうに鳴ったところで、静葉は彼女を抱きかかえる。
「これで、少しは仕事が楽になりますね」
静葉は霊夢を抱いたまま、地面を蹴って空へと飛び立った。
さらに戻って紅魔館の前では。美鈴は我慢が出来なくなり、香霖堂へと向かう。最中、倒れた大木に咲夜が挟まっているのを目撃して、慌ててそれをどかす。
しかし咲夜は感謝の言葉を述べるのではなく、美鈴の胸倉をいきなり掴んで怒鳴った。
「大木は狙って切られていたわ、あんな器用な真似、契約されたモンスターにしかできない。貴女、他の人に私がライダーだって教えたでしょう!?」
「いや、その、八雲紫が私に手紙を」
「……はぁ、言っておくけどね、八雲紫は基本的にライダーバトルに不干渉なのよ。戦いを扇動する以外には絶対手出ししないの、覚えておきなさい」
呆れながら咲夜は手を離した。美鈴はすまなそうに俯く。が、また思い出して顔をあげた。咲夜のほかにもう一人、ライダーだと事を知っている少女。
「紅白っ……!」
美鈴は神社に向かって走り出した。
「美鈴!?」
慌てて咲夜もその後を追う。距離はそう遠くなく、すぐに神社にやって来る事が出来た。美鈴は慌てて扉を開き、部屋を一つずつ回っていく。すると、どこからか再びあの耳鳴りが響いた。窓ガラスを覗いてみると、咲夜の言っていたあの蟹のモンスターがこちらを見ている。
しかし、攻撃はせず、こちらに向かって来いと言っているような仕草をしていた。
美鈴はポケットからデッキを取り出し、ガラスにかざす。ベルトが現れてから、彼女は叫んだ。
「変身!」
デッキを差込み、龍騎に変身した後、すぐにガラスの中へと飛び込む。ミラーワールド内の博麗神社を出て、蟹の後をついていく。
境内に出ると、一つの影が現れる。それは、ナイトでも、龍騎でもない新しいライダー。蟹のモンスターはそのライダーの隣に立ち、指示を待つ。
「……貴方もライダー?」
美鈴の問いにそのライダーは無言でデッキからカードを取り出し、装着されているバイザーに装填した。
『STRIKE VENT』
音声と共に現れた蟹の手のようなクローを装着し、そのライダーは美鈴に向かって突っ込んできた。間一髪のところでそれをかわすが、境内にある石畳が簡単に抉れる。もしも食らってしまったらと思うと、美鈴の背筋は凍った。
「ちょ、私はまだ聞きたいことが!」
クローを手で弾き返しながら美鈴は後ずさる。仕方なく、デッキからカードを引いてバイザーにセットした。
『GUARD VENT』
龍の胸をかたどった盾が現れて、美鈴はクローを防御する。しかし、数度攻撃されただけで盾は崩壊してしまった。その勢いで美鈴は尻餅をついてしまう。
「や、やば――!」
すでに目の前にいたライダーから攻撃を受けようとした瞬間、固い物が弾かれるような音が響いた。思わず目を瞑っていた美鈴が見てみると、そこにはあの槍のような剣、ウィングランサーを持っているナイトがいた。
ナイトはこちらをちらりと見た後、ライダーに向かって攻撃を仕掛ける。
「はぁっ!」
新たな敵にライダーは驚き、慌てて弾き返すものの吹き飛ばされてしまった。すぐに立ち上がって、木を一本なぎ倒して森の中に逃げてしまう。
それでも後を追おうとするが、すでにライダーの姿は無く、咲夜はため息を吐いて吹き飛ばされていた美鈴の方へ駆け寄る。
「ほら、立ちなさい」
「いたた……なんなんですかあいつ」
「あいつはシザース。13人のライダーの一人よ」
シザース。蟹のモンスター、ボルキャンサーと契約を交わしたライダーである。
美鈴は立ち上がり、咲夜と共に元の世界へと戻った。
「恐らく、あいつが霊夢をさらったと見ていいわ」
「殺した、ってことはないんですか?」
「相手はたぶん霊夢を人質にしていろいろ考えていると思う。だからここに私達が来るのも分かっていたみたいだし」
美鈴は顎に手を当てて霊夢の行方を考える。人質をとるに最適な場所、誰にも見つけられず、誰も入ってこないような場所。
「香霖堂……」
「……なるほど、確かにあそこでは行方不明事件があるから人は寄り付かないわね。そうなると、犯人はやはり森近霖之助か。まぁ、行ってみましょう」
二人は香霖堂へと向かう。扉を開けてみると、以前と変わらず人の気配は無い。どこかに霊夢を入れておくことが出来るような物がないか二人は店内を散策した。
すると、咲夜は一つの壁を発見する。最近塗られたもののようで、他の壁とは明らかに色が違っていた。近くにあった火かき棒で、壁を殴ると簡単に砕けた。その音に気がついて美鈴もやってくる。
「手伝って」
美鈴は頷いて近くにあった棒で咲夜と交互に壁を壊していった。すると、中から何かが落ちてきた。折れ曲がった、茶色のメガネ。二人は顔を見合わせて再び壁を掘り進んでいく。すると、中から今度は手が現れた。大きさから察するに、男性だ。
「あのライダーは森近霖之助じゃないの?」
「ええ、そうですよ」
ふと背後から声がかかって二人は振り返る。そこにいたのは――秋静葉だった。
「貴女……」
「いやぁ、参っちゃいますね。適度に人を襲える場所を提供して欲しいって頼んだんですけど拒否されちゃいまして」
「で、殺したの?」
「はい、でもお陰で心霊スポットのように興味本位でやってくる人がたくさんきてくれて結果オーライです」
静葉は楽しそうに笑う。美鈴は眉をひそめながら、ゆっくりと質問した。
「人間を襲ってどうするの?」
「おや、貴女はなりたてライダーですか? モンスターを食う事で自分のモンスターを強化する事も出来ますが、人を食う事でも生命エネルギーを得る事が出来るのですよ。微量ですがね」
今度は咲夜が尋ねる。
「霊夢はどこ?」
「彼女なら床の下に眠らせてあげてます。ただし、ただでは返しませんよ」
そう言って静葉はデッキを取り出す。蟹のマークが描かれていた。
「一対一、どちらかが私と戦って勝てれば、の話です」
「いいわ、私がやる。美鈴、霊夢がいる場所を探しておいて」
美鈴に命令した後、咲夜と静葉はデッキを持って店内の鏡に並ぶ。二人でカードをかざし、ベルトを装着した。
「変身!」
「変身!」
二人はデッキを装填し、ナイト、そしてシザースへと変身した。鏡の中に入ってから、二人は店の外へと出る。すぐさまナイトはカードを取り出して装填する。
『SWORD VENT』
ウィングランサーを手にして、シザースに切りかかった。しかし、シザースもすでにカードを装填しており、蟹の甲羅のような盾でそれを防ぐ。相当な硬度のようで、傷一つつかない。
さらに追い討ちをかけるようにシザースはカードを取り出して、再び装填する。
『ADVENT』
あの蟹のモンスター、ボルキャンサーがあらわれて、咲夜に攻撃を仕掛けた。慌てて剣で防御するのだが、蟹の爪でそれは弾かれてしまう。カードを装填する暇も無く、ナイトは剣の形をしたバイザーだけで戦うしかなかった。
しかし二対一では明らかに不利で、ボルキャンサーの攻撃を防いでいる最中、シザースの爪をもろに背中で浴びてしまい、咲夜は地面に突っ伏した。
「ぐっ……」
勝利を確信し、静葉はゆっくりと咲夜へと歩み寄る。
「これで、終わりですね」
「いえ、まだまだよ」
咲夜はナイトバイザーを左手に持ち替え、静葉の懐を突いた。何かが砕けた音がして、シザースはよろめく。咲夜はバイザーを杖の代わりにして立ち上がり、カードを装填した。
『FINAL VENT』
空から契約モンスター、ダークウィングが咲夜の背中に付き、黒く長いマントとなる。そして空高く舞い上がり、キックの体勢を取る。すると、マントが咲夜の体を覆い、足の先端を槍のように尖らせて、一気にシザースへと向かっていった。
『FINAL VENT』
シザースも同じカードを装填し、ジャンプをする。すると、後ろにいたボルキャンサーが彼女をバレーボールのトスをするように空高く飛ばす。
二人がキックをぶつけ合うような体勢となり、行き場を失った力が爆発を起こした。二人は吹き飛ばされて、地面に倒れる。
しかし、先に立ち上がったのはシザースのほうだった。
「てこずらせて……今楽にしてあげますよ、私の永遠の秋という願望の糧となりなさい!」
そうしてシザースがクローを振り上げた時、再び何かが砕けるような音がした。下を見てみると、黒い破片がいくつもベルトから落ちている。咲夜が起き上がり時に攻撃した際に、ベルトのデッキが砕けていたのだ。
「し、しまった、そんな事……!」
退却しようと後ずさった時、ボルキャンサーに背中をつかまれる。
「け、契約も解けて……馬鹿な、そんなこと……!」
ボルキャンサーはシザースの首元に、大きく口を開いて食らいついた。メキメキと、何かが折れる音が響く。
「ああぁ……! ぎ、いぃっ……! だ、だれか! たずげ、で……!」
シザースという鎧も解けて、そのままの静葉が姿を現す。もうすでに右腕は食われ、とめどなく血を吐き出していた。
ミラーワールドでは神も妖怪もなく、あらゆる干渉は受けず人と同じ扱いとなる。これが、この世界でのルールだった。
「いだい゛! じぬっ、しんじゃ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁああ!」
徐々に、静葉の悲鳴は小さくなっていく。咲夜は思わずその光景から目をそらした。そして、何も聞こえなくなった後、再びボルキャンサーを見る。口元は血まみれで、今でもぼたぼたと静葉の痕跡が零れ落ちている。
ただの野良モンスターと化したボルキャンサーに、ナイトは剣を構えるがすぐに膝をついてしまう。先程の戦いで体力を消耗しすぎた所為で、上手く体が動かない。
ボルキャンサーはすぐさま次の獲物へと突進した。
「どりゃーッ!」
しかし、獲物にたどり着くことなく横へ吹き飛ばされる。そこには、美鈴が変身した龍騎が立っていた。盾を鎧のように肩に装着し、手には剣を持ち完全に武装した状態だった。
「咲夜さん大丈夫ですか?!」
「……いいから、あいつを倒して」
すでに起き上がっているボルキャンサーは再びこちらへ向かって突進を始める。
しかし美鈴は落ち着いた様子でデッキからカードを取り出し、装填した。
『FINAL VENT』
足を開き、拳を握り締める。契約した龍、ドラグレッダーが姿を現して彼女の周りを飛び回る。美鈴は宙を飛び、回転しながら蹴りの体勢を作る。すると、ドラグレッダーは火を噴いて彼女の背中を押した。
人型をしているボルキャンサーにとってドラゴンライダーキックの威力はすさまじく、当たる前から熱で欠片を残さないほどまでに消滅してしまった。
地面に着地して、龍騎は地面を強く踏んだ。
そしてボルキャンサーがいた場所から現れた生命エネルギーを食べようとしたとき、どこからかダークウィングが現れてそれを横取りしてしまった。
「あ!」
「シザース倒したのは私でしょ、これくらいないと割に合わないわ……ところで霊夢は?」
「ええ、見つけたときは眠っていました。今も多分香霖堂のカウンターで寝ているでしょう」
「そう……彼女にも気を配っておかないとね……なぜ彼女だけモンスターが見れるのか気になるし」
一方里で。
「先生さようならー」
「さよならー」
「気をつけて帰るのですよ」
寺子屋が終わり、生徒達を見送る一人の教師。
ふと、彼女の側を馬のような生き物が走り去る。しかし、それはこの世界のものではない。鏡を見て、彼女は笑った。
「ずっと狙っていたのか? 私を」
入り口にかけてある鏡に向かって、彼女はデッキをかざす。牛のマークをかたどった、そのデッキを。
「いいだろう、私の授業料は高いぞ? ……変身!」
仮面ライダーシザース(V3の曲に合わせて)
きーいろーいきいーろいー黄色いハサミのシザースぅー
シザースデッキぃ〜命のベルト〜(粉々だけどな!)
知力と欲で頭が回る
人よ、妖怪よ、妹よ〜
ハサミのうなりに血がさわぎ〜
ちからのかぎり〜 食される〜
てーきは〜 じご〜くの〜 紅魔館〜
たたーかうー せいーぎのー 仮面ライダーシザーズぅ〜
神社バイト
http://zinzyabyte.blog96.fc2.com/
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2010/01/04 07:37:34
更新日時:
2010/01/04 16:37:34
分類
仮面ライダー龍騎
蟹
蟹はスタッフこの後スタッフが美味しく頂きました
静葉さんも美味しく頂きました
東方冬の蟹祭り
蟹さんは最高です!
ちょっちグロ
静葉さんが食われる!
きっと俺以外はみんな好きな店だと思う
V3やめてww
吸血鬼は鏡に映らない……蚊帳の外ッスか、お嬢……
……何故か、シザースの喰われる回だけ、やけに鮮明に記憶にあるという。
蟹と聞くと海胆と海星を連想するのは俺だけか
次も楽しみ。
蟹かぁ……オイデュエルシロヨ……ハッ!!