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『魔理沙とアリスの焼死体』 作者: 藤原海軍中将

魔理沙とアリスの焼死体

作品集: 9 投稿日時: 2010/01/07 12:07:45 更新日時: 2010/02/09 16:29:25
変わらぬ日常。
霧雨魔理沙は身体を起こし、背伸びをする。
「実に気持ちのいい朝だ」彼女は朝食のキノコをほおばる。
このキノコは彼女自身が栽培したもので、起きぬけには最適の味だった。
魔理沙はその味を噛み締めると、パジャマを脱ぎ捨て、普段着に着替え始めた。

白黒のお気に入りの服だ。
「やはり魔法使いはこうでないといけないな」
彼女は勝手にそういうものであるという持論を持っているので、
いちいち自分がそういう格好をする事についての疑問は持たなかった。

「さーて、天狗の新聞でも流し読みするかな」彼女は椅子から降り、
玄関のドアを開けて、自分のポストを覗いた。
しかし、そのポストの中には――――――











大 量 の 髪 の 毛 が ね じ 込 ま れ て い た





「ッ!?」余りにも突然の事に思わずポストの蓋を閉めてしまう。
魔理沙はそのままポストの中身を確認せず、家のドアを引きあけた。
ギィ……という音と共に彼女は自分の家に駆け込む。
見たくも無いものを見てしまった……いや、彼女は振り返れなかったのだ。
『後ろから発される禍々しい気』を心のどこかで感じて…………。

魔理沙は勢い良く自分の家のドアを閉めると、しっかりと鍵をかけた。
普段は鍵をかけない彼女であるが、今回ばかりは様子が違った。
息は切れ、胸は苦しい。それに、頭痛もする。
気を抜くと、このまま胃の中の物を逆流してしまいそうだった。
「一体、なんだったんだあれは……」魔理沙はつぶやく。
しかし、それに答えるものは誰もいない。人形は何も喋らないからだ。

彼女は窓の外の風景が広がっているのを見て、すぐさまカーテンを閉めた。
魔理沙は別に家から見える風景が嫌いなわけではない。
むしろ、眺めがとても良い様に造られているのであるが、すぐさま閉めた。
まるで『外の様子が見たくないかのような』行動であった。

魔理沙は実験などに良く使う愛用の机の上で頭を抱えていた。
「どうして……『あいつ』の『髪の毛』が……!!」
彼女は先ほどのポストの事を思い出していたのだ。
それは金色で一本あたりの長さはそれほどでもない。
つまりはロングヘアーではないのは確かであるが、それが問題なのであった。
幻想郷に髪が金色のヤツは沢山……少なくとも20はいる。
もちろん自分もそのうちの一人に入っているのだが……あの髪は……
『明らかに自分のものではない』というのは確かであるといって良かった。

となると誰だ?
彼女の頭の中には今までに出会った数あまたの妖怪たちが浮かぶ。
どれをとっても金髪だし、何かをやらかした心当たりもある。
しかし、魔理沙の頭の中では、答えは一つと決まっていた。
「あいつだ……あいつしかいない……」
魔理沙は胸に湧き上がる疑問を抑えて、見たくも無いような家の外へ飛び出した。

外では……雨が降り始めていた…………。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



魔理沙は土を掘り返す。
掘って掘って、雨をすってグズグズになった土を掘り起こす。
そうとなった泥は魔理沙のお気に入りの服に跳ね、汚れたシミを作る。
しかし、彼女はなりふり構っていられなかった。
服が汚れてぐちゃぐちゃになる事よりも、恐ろしいことが脳裏にあったからだ。
彼女の導き出した…………たった一つの…………自分が出した結論。
それが外れていたならば、彼女は多少嫌な気分にはなるだろうが、気持ちよく眠れる。
しかし、もしその『当たり』を引いてしまった場合は、眼も当てられない事となる。
だが、身体はその『霧雨魔理沙の考え』に向かって動き始めている。
まるで長年のカンがそうであると動いているかのように、身体は動き続けた。

魔理沙は雨も強まり、土砂降りとなっているというのに、それをやめなかった。
それから数分もしたのち……彼女はある『真実』へとたどり着いた。

彼女の予感は的中していた。
彼女の言っていることは正しかった。
彼女の最も良くない方向に事は進んでいた。

「無い……やはり無い………………!!」彼女はスコップを放り投げる。
音を立てて滑っていったスコップであるが、激しい雨音にかき消された。
魔理沙はその場から駆け出した。その場から一刻も離れたかった。
相変わらず背中には『何者かの嫌な視線が突き刺さる』
もう魔理沙の心の中には、恐怖しか存在しえないのであった。



「アリス…………あいつの『死体』が消えている!」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






「ねえ魔理沙、動く死体って知っている?」
「どうしたアリス、藪から棒に」魔理沙は出された紅茶をすする。
アリスは引きつった笑みを浮かべて、彼女へ語りかけた。
「私の夢は自動人形を作ること……つまりは意思の無いものを動かすのね」
「ああ、そうだな。今更どうしたんだ。」クッキーを齧りながら答える。
「ならば、動く死体は意思があるのかしら?」
「う〜ん、そういうのは詳しくないが、無いんじゃないのかな」
「私もそう考えたのよ、だから……実験してみたいの」
魔理沙はアリスに対して恐怖を覚えた。それほどまでに嫌な笑みを自分に見せ付けたのだ。
こういう時のアリスは基本的にマッドだから何されるかわからない……
もしかすると『材料』にされるかもしれない……彼女は八卦炉を握り締めた。
「そう強張らないで、別に貴方を材料にしようとは思っていないわ」
アリスからは嫌な笑みは消え去り、魔理沙も胸をなでおろした。
「だから、貴方には少し『手伝ってほしいの』」

魔理沙は、視界がぐにゃり、と曲がるのを感じていた。
「アリス……仕込んだな…………」言葉尻はもうろれつが回っていない。
ほっとしたのが余計にきたのであろう。彼女はその場で倒れこんでしまった。
アリスは魔理沙が倒れこんだのを確認した後、ニヤリと笑った。




(それからの記憶は所々覚えている)

(ヤツは私を使って村人の『死体』を掘り起こさせた)

(恐らく見つかるのを嫌ってだろうな。あいつはそういう奴だ)

(数体ほど掘り起こしたが、どれも損傷が激しく、実験には適さなかったみたいだ)

(更なる『新鮮な死体』を求めて、私に指示をしていたが、途中で私が洗脳を解除して、アリスを攻撃した)


そこまでは覚えている。
しかし、肝心なのはそこからの部分なのだ。
ヤツはその後、私の魔砲(マスタースパーク)の直撃を貰い、身体が真っ黒に焼け焦げた。
火力無視でぶっ放したから、流石に息はしていなく、呼吸も止まっていた。間違いなく死んでいる。
「私をこんな目に合わせた罰だ」とその頃は思ってあそこに『埋めた』のだが、
『その死体が消えている』というのは一体どういうことだ?

事態は自分が考えているよりよほど深刻なようだ。
何故『私が埋めた』アリスの死体が『消えている』のか…………そこが分からない。
やつの実験を誰かが盗み聞きしていてどこかの誰かが実験している?
しかし、自分がアリスの家へ行った時は誰もついてこなかったし、
ついてこれなくともいいスキマ妖怪なんかはそもそもそんな周りくいどい事をせずに、
その存在自体を『どこからか』連れて来るに違いないからだ。

考えても考えても結論は出なかった。
何故なられっきとした証拠が存在しなかったからだ。
幻想郷に住む者たちなら基本的に『何でも出来てしまう』為に、
誰が犯人だと、決め付けるにはまだそれは早すぎたのだ。
そうこうしているうちに魔理沙は自分の家に着いた。

雨は…………依然強まっていた…………。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






魔理沙は、まず家が異様な雰囲気に包まれているのに気づいた。
長年のカンが、傲慢な吸血鬼よりも、亡霊姫よりも遥かに危険だと知らせていた。
間違いなくここに入るのは危険だ。己の身に何か不幸が降りかかる。
しかし、彼女は家への一歩を踏み出した。全てを解決させるために。

踏み出した瞬間、ポストの異変に魔理沙は気づいた。
ポストの受け取り口から『何かの血が滴っている』のである。
しかし、彼女はそれを頭の中で見なかったことにした。
こんな事で怯えているようでは、これから先に起こる事に対処できないからだ。
ポストには何かに食いちぎられ、グズグズに腐っている腕の切断面が見え隠れしていた。

魔理沙はドアを開けようとするが……腕を止める。
『二階の窓』から『視線』を感じるのだ…………まるで怨むような。

二階を見上げてはいけない。
絶対に見上げてはいけない。

それを見た瞬間、私の中で何かが壊れるだろう。それは確実だ。
もしかするともう『それ』は私の背後に忍び寄っているのかもしれない。
相変わらず背中からは嫌な視線がべったりと張り付いている。
振り向いてみようか?といった思考が一瞬湧いた。
そういえば、この視線を感じてから、私は一度も振り向いてはいない。
わたし、霧雨魔理沙は分かっているのだ『振り向くと死ぬ』と。
しかし、もしそれをしなかったために死ぬ可能性も否定できない。
だが現状では、振り返らない事が得策なのだ。

魔理沙は、二つの視線を感じながらも、自宅のドアを開けた。
「熱ッ……」ドアは現在雨が降っているというのに『鉄板』のように熱く、熱せられていた。
しかし、これは幻覚だと言い聞かせながら、彼女は己の家に進みこみドアを閉めた。

「おかしいな……ここまで暗いとは…………」
電気は全て点けて家を出たはずだったが、全て消えており暗闇に包まれていた。
それに、なにやら物の配置も変わっているような気もする……この半刻もしない間に何が……
嫌な汗が体を流れる。身体がまるで石になったようだ。
ここから動くなとシグナルを出している。八卦炉を握るこぶしがぬめる。
しかし、魔理沙は部屋の蒐集物を掻き分けながら、進んでゆく。
それから少しして、彼女がパチュリーから借りた本を机から払ったときであった。


ミシッ


「………………今の音は…………?」魔理沙の表情が強張る。
本が落ちたならもっと大きい音がする。ネズミにしては重量感がありすぎる。
そもそもうちはツチノコ以外何も飼っていないし、そのツチノコも見当たらない。
となると『何が動いているのだろうか』………………?

魔理沙の脳裏には最終結論は出ていた。
しかし、それを認めたくなかった。否定したかったのだ。
だが、こうなってしまっては、認める他無いのかもしれない。
だがしかし、この結論へ行くのはまだ早すぎる、魔理沙はその考えを奥へ押し戻した。
「今の音……『見に行くべきかどうか』……………」
一応、彼女には八卦炉がある。その辺の雑魚妖怪なら、一瞬で消し飛ばせるだろう。
しかし、それは万全の体制で撃った場合だ。
『暗闇から』『いきなり』襲い掛かられた場合は、何も出来ずに死ぬ可能性がある。

行くべきか………………
行かぬべきか………………
魔理沙は決断を強いられていた。

しかし――――――
『バシャァッ!』魔理沙の両手に、おびただしい量の血液が降り注いだのだ。
余りの出来事にパニック状態になり、思考が回らなくなる。
上から落ちてきた血液は、食い殺された人間の肉片だったのだ。
両手に乗っかった眼球を見て、彼女はさらにパニック状態になったのだ。
「うわああああああああああああっ!!」
つい、両手に持っていた八卦炉をどこかへ手放してしまう。
(しまった!!)彼女が気づいたとき既に遅し、八卦炉はこの暗闇の中では発見できない。
魔理沙は涙ながらにそのあたりを探すが、探しても探しても蒐集品のやまに埋もれ、
先ほどの肉片を掴んでしまい、嘔吐するだけの結果となってしまった。



ミシ………ミシ………………



何かが近づいてくる音がする。
魔理沙は吐瀉物と涙でよく見えないが、とりあえず回りの棒を掴み、構える。
それは武器と呼ぶには頼りないが、無いよりはマシだった。
相手はこちらに気がついたのか、徐々にゆっくりとこちらへ進んでくる。
「二階のヤツか………!? 冗談じゃない!! 窓から逃げ……」


魔理沙はふと、窓の外を見てしまった。

彼女は、窓の外を見てしまった。

彼女は、見るべきではなかった。
あれほど見ないように努力していたというのに見てしまった。
魔理沙が朝から感じていた後ろからの視線の正体…………


それは無数の『動く死体』だったのだ。






「う、うわぁああああああああああああああっっ!!!」
余りの光景に、思わず後ずさるが、魔理沙はあることを忘れていた。
もう、それは見上げるまでの距離にまで来ていた事をすっかり忘れていたのだ。









そう、先ほどからゆっくりと近づいている存在………




















『アリス』のことを


























おまえの うしろは ほんものか?
うしろの うしろは ほんものか?
藤原海軍中将
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2010/01/07 12:07:45
更新日時:
2010/02/09 16:29:25
分類
藤原さん
は出てこない
魔理沙
アリス
動く焼死体
1. 名無し ■2010/01/07 21:42:40
想像してみよう。

動く死体が全て、今まで産廃で死んでいったアリス達だと。
2. 名無し ■2010/01/07 21:59:27
読み進めてたらいきなり動画があって吹いた
3. 名無し ■2010/01/07 22:04:37
やめて焼死体やめて
4. 名無し ■2010/01/07 22:29:37
自分も部屋で何か踏んづけたぞ?と思ったらそれがGでうぎゃああぁぁあぁぁあぁ…!ってなったことがあります
ゾンビ怖い蟲やめて
5. ばいす ■2010/01/07 23:02:36
文章がジョジョみたいですね
6. ■2010/01/07 23:19:23
BGMあるといいね。
あぁ怖い。後ろ振り向きたくない。でも振り向        あ
7. 名無し ■2010/01/08 16:09:37
>>1氏
じょ、冗談じゃ…!!

ゾンビ怖い
8. 名無し ■2010/01/09 00:19:22
35またなんてかけるからだ……
9. 名無し ■2010/01/09 01:17:06
こんなのアリすか
10. 名無し ■2010/01/09 09:22:44
12ドア懐かしいな
11. 名無し ■2010/01/09 17:07:59
ゾンビ=35また抹殺の会メンバー
12. おたわ ■2010/01/09 19:50:27
音楽と得体の知れない恐怖感が調和しててゾクゾクするな
13. 名無し ■2010/01/09 20:15:23
連レスすまんが、ここから中将氏の続編に続くと思うと……
14. 名無し ■2010/01/11 14:08:19
この画像なんだっけ?どこかのフラッシュゲームで見たことが・・・
15. ざわ ■2010/02/27 14:25:38
やめろこーゆーの
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