Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『みんなのアリ椅子』 作者: だにお
《霊夢の踏み台》
そう書かれた木の板を、アリスは首に提げておりました。
「んしょ」
畳にひざまづいたアリスの背中を踏み台にして、霊夢は箪笥の上のお茶菓子を取りました。
「ふう、ありがと」
アリスの背を軽く蹴って、霊夢はちゃぶ台にお菓子の入った箱を置きました。
霊夢は、ちょっと高級なお菓子が手に入ったので、誰にも取られまいと自分の手も届かないような箪笥の上に置いたのでした。
「どう致しまして」
アリスは嬉しそうな照れ笑いを浮かばせて、平然とちゃぶ台の端につきました。
「さすがアリス、やっぱり貴女は踏み台の天才ね。仕事にすれば絶対儲かるわよ」
奥の間でいそいそとお茶の用意を始めた霊夢さんは、アリスの方を見ずに言葉だけで彼女を褒めました。
アリスは、はにかんだ笑顔を隠すように、もじもじと姿勢を正しました。
「よお!」
ここで魔理沙登場である
「お?霊夢がいないと思ったらアリスじゃないか珍しいなお前がここにいるなんてまあいいや霊夢いるか?ああ居るだろうな、お前が座ってるってことは茶の用意でもしてるんだな、じゃあご相伴に預かろう」
言いたい事を一通り喋った魔理沙は、そこで、アリスの首から紐でぶら下がった板に気付きました。
「ん?
・・・
踏み台・・・?」スック、
立ち上がって、
「そぉい!」
アリスの背を踏む!
「ぎゃひ」
背中から思い切り踏み付けられ、アリスは変な声を出して前のめりに倒れました。
立ち上がり、アリスは顔を真っ赤にして叫びました。
「この魔理沙ァ!いきなり来ていきなり何するのよ!あんたはいきなり団子かァ!!!貴女は踏まなくていいのよ!今日の私は霊夢専用の踏み台なのよぉぉぉい!!!」
「うわ!・・・え?え?あ・・・な、なんか知らんが悪かった」
珍しく、アリスが大声を出したので、さすがの魔理沙もタジタジです。ひきます。
「おーい・・・お茶の用意ができたわよ〜、って、魔理沙いつの間に来たのよ」
奥の部屋から、お茶と菓子が載ったお盆を持った霊夢が現れます。そして、それを視認すると同時に、アリスが無言で素早くひざまずきます。
「今日のはちょっと珍しいお菓子でね、一人で食べるのもなんだし一緒に食べましょう」
お盆をちゃぶ台に置くと、魔理沙が水洗便所的な唾液を垂れ流し始めました。
「うわ!うまそっうまそっうまそっフヒヒご相伴うひっひっうひ」
そして霊夢は、まるで見えていないかのようにアリスの背に腰掛けました。
霊夢の体重が掛かっても、アリスの背はびくともしません。
「ふう、いい椅子」
霊夢のお尻の下に敷かれたアリスの表情は、この上なく恍惚としており、今にもとろけてしまいそうです。
そして、何事もないかのように、霊夢はお茶菓子に手を付けました。
「うっめwまじうめぇわこれw」バリボリ
「れ、霊夢・・・それ・・・」
食欲から来る唾液にまみれながらも、目の前の状況に強張っている魔理沙の顔はとてもシュールです。
「あぁこれ?いいでしょ」ナデナデ
そういって霊夢は、空いている左手でアリスの髪を撫でます。撫でる度にアリスの頭はピクピクと跳ねますが、その体は1ミリたりとも動きません。
「椅子よ」
アリスの表情は、もうこの世にいないようなほど蕩けきっており、輝いております。
「座ってみる?」
霊夢が腰を浮かせて畳の座布団に移動し、アリスの背をやたら妖艶な手つきで指差しました。
「・・・ゴクリ」
魔理沙は立ち上がり、恐る恐る、アリスの背に近づいていき・・・
トスッ・・・
座りました。
「あっはあああああああああああああああああああああああああああああああんんんんんんん!!!!!!」
同時に、溢れるような嬌声とともに魔理沙は果ててしまいました(性的な意味で)。そう、
「座り心地き゛も゛ち゛い゛ぃ゛に゛ょ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!」
ひざまづいたアリスの背中は、どんな椅子や座布団よりも、座り心地のいい椅子なのでした。
後に宇宙一の座椅子として知られることになるアリスは、今はまだ自分のその魅力に気づいていないのでした―――
・
・
・
・
・
一ヵ月後。
アリスは、霊夢の倍プッシュによって、出張座椅子サービス『みんなのアリ椅子マガトロさん』を開始しました。
心地好く、揺らがず、自分で移動して利用も安い・・・究極の座椅子少女、アリスの存在は、面倒臭がりが極端に多い幻想郷で注目の的になりました。
一日貸し切りで使えるアリスの椅子、通称アリ椅子は、瞬く間に幻想郷中の話題となり、予約殺到の超人気サービスとなりました。
ウリは、『どこでも使える高級座椅子』。
開始から一ヶ月程で、人、妖を問わず、アダルトからょうι゛ょまで、幅広い層のファンを獲得しました。
《紅魔館の皆様の座椅子》
ある時は、そう書かれた看板を首から掛けました。団体客の利用も始まったのです。
朝は、紅魔館の門番さんのでかい尻を背に載せ、居眠りのため座椅子になりました。
昼は、図書館で本の整頓にいそしむ小悪魔の休息用のベンチとなりました。
夜は、お茶会の席でレミリアお嬢様のお椅子となりました。『少し背をもたげる』というアリスの粋な計らいのお陰で、レミリアお嬢様はみんなと同じ高さの目線でお茶をお楽しみになられました。
一日の仕事が終わると、アリスはレミリアお嬢様から直々に、報酬として小さな宝石箱を手渡されました。
それはなかなかの額になるものでしたが、一日座椅子をし続けたアリスの働きに、お嬢様が敬意を表し、少しだけ奮発された報酬でございました。
まあ、それでもレミリアお嬢様の多大なる財産からなされば、ほんのお小遣程度の物だったのでございましょう。
《空の座椅子》
時には苦労もありました。例によって看板を首から掛けていましたが、仕事が始まって数分のうちに焼き切れ、消滅してしまいました。
何故かといえば、地面よりはるかな地底、赤く光る灼熱の核融合炉の中で、アリスは座椅子をしていたからです。
いつもの座椅子のポーズを、灼熱の空を飛びながら、一日中、朝から夜までずっととり続けます。
途方もない地獄です。汗もだくだくと出ますが、座る人のため、背中は根性で汗を止め続けます。
「ふうー、助かるよぉー」
融合炉での作業に一区切りをつけた烏のお空が、アリスの背に飛び乗って一休憩。
「もー、仕事場で椅子に座れるなんて夢みたいだよ!」
この核融合炉、通常の椅子は置く場所がない上、普通は消滅してしまうほどの超高温でございます。アリスは、一心に座椅子を続けます。
「あ、お茶!ありがとね!」
ずずず、とアリスの背に載せてあったお茶を啜るお空。融合炉の空気はクソみたいに熱いので、お茶も冷めるどころか下手すりゃ蒸発します。
蒸発させないため、熱線にお茶を当てないよう、自分は顔面から直接熱線に焼かれ続けます。
でも、流石はアリス。お空の感謝の気持ちを深く噛み締め、恍惚とした表情を崩すことなく、お空の座椅子を一日やり遂げました。
その夜、座椅子モードから人間モードに戻ったアリスはまさに疲労困憊、熱線によって火傷は満身創痍。
ゆっくりと、引きずるように、地霊殿の主のもとに向かいます。報酬を貰うためです。
「ありがとう、よくやってくれたわ」
地霊殿の主であるさとりは、アリスの心を読み、その苦労と苦痛を知りました。
そして、その根性に敬意を表して、報酬として握りこぶしよりも大きな宝石をアリスに与えました。
死にかけの表情を笑顔に変えて、有り難くアリスはそれを受け取りました。
「あっ、椅子さんいた!待って待って!」
地上に帰る途中、アリスはお空に呼び止められ、小さな箱を手渡されました。
お空に促され、そっと蓋を開けてみると、中にはお空が集めていた、鉄屑のような、正直価値などほとんどない光り物が詰まっておりました。
でも、アリスは微笑んで、「ありがとう」と言いました。
例え価値がないものでも、気持ちの詰まった恩の報酬を、アリスは心から喜んで受け取りました。
「ありがとうございます。また使ってくださいね。」
アリスは、座椅子として、一人の人として、深々とお空にお辞儀をして感謝を示しました。
「え・・・え、えへへ・・・っ///」
照れ臭そうに、ややうつむいて笑ったお空は、ちょっと足りないお空の頭なりに、懇ろに別れの挨拶を述べ飛び去っていきました。
・
・
・
・
・
普段、あまり現金に縁がない一部の妖怪達は、アリスに代金として宝石や装飾品を渡しました。
報酬はなんでも有り難く受け取るアリスのスタイルはさらなる人気を呼び、何となくさびれていたアリスの家は、質素ながらも立派になっていきました。
しかし・・・アリスの楽しく嬉しい日々は、あっという間に過ぎ去って行きました。
・
・
・
・
・
数年後。
魔法の森にある、アリスの家はすっかり寂れてしまっていました。
《アリスの椅子》
アリスは、そう書かれた看板を首から下げ、床にひざまづいて座椅子の姿勢をとっていました。
「ふう・・・」
アリスの背に腰掛けて、深い息をつく。かちゃり、というティーカップの擦れる音が、静かなアリスの部屋に響きます。
アリスは、アリスに腰掛けていました。
事は、少し前に遡ります。
かつて幻想郷にあった、アリスの有り難みは今はもうありません。アリス一人では幻想郷全ての椅子は賄えなかったのです。
アリスに対する座椅子の予約は、人間ならば寿命がきてしまうほどの長期間待ちになってしまっていました。
そのせいで、アリスを独り占めしたいという欲望に囚われた一部の我が儘な妖怪によって、幻想郷の平和はすっかり乱れてしまいました。
しかしその後、幻想郷の平和を取り戻すために考えられた、永遠亭によるアリスのクローン化計画実行によって、アリスは幻想郷のどこにでもいる時代になってしまいました。
そして、アリスの椅子は幻想郷ではもはや、ごくごく当たり前の普通の椅子となってしまったのでした。
商売は出来なくなりましたが、今のアリスは仕事を始める前の、質素な生活を送っているそうです。それはそれで、幸せだそうです。
オリジナルのアリスは、クローンのアリスの座椅子に座りながら、かつての多忙だった日々を思い浮かべておりました。
栄光の日々の甘酸っぱいが彼女の脳裏をかすめ、
「あちっ」
アリスは熱い紅茶に舌をやけどした。
ああん!!!
アリ爆しないね?
すいませんねぇ。
アリスshine?
ええまた別の機会に。
ア「宵闇の妖怪ルーミアだな!動くな!!!」
ル「だ、だれ!?」
ア「ふふふ!私は朝日の妖怪アミールだ!」
ル「そーなのかー」
ア「そうなんですよハイ」
ル「ねえねえところでこのポーズを見てくれ。こいつを見てどう思う?」
ル「⊂=(^ω^ )===⊃」
ア「(^ω^ )←こいつに見える」
ル「聖職者がはりつけに(ry」
ア「(笑)」
だにお
- 作品情報
- 作品集:
- 10
- 投稿日時:
- 2010/01/09 13:49:50
- 更新日時:
- 2010/01/09 22:49:50
- 分類
- アリス
- 狼狐氏リスペクト
- あとがきが本編
ん………?
いい話だったぞ…
おかしいな…………
魔理沙の一言でいかに座り心地がいいか理解した
奴Mアリス可愛いよ奴Mアリス。
どうでもいいけどアミールって中東の人名っぽいですよね。