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『みすちー美味しいです(^p^)』 作者: 螺旋

みすちー美味しいです(^p^)

作品集: 10 投稿日時: 2010/01/11 03:58:35 更新日時: 2010/01/11 12:58:35
一人の男が夜道を歩いていました。空は満天の星空で、少し欠けた満月の光が煌々と道を照らしていました。
男の歩幅は短めで、その分地面を叩くリズムが早めでした。
足早に道を行く男の耳に、どこか淫靡な感じのする旋律が聞こえました。
実はその旋律は先程から夜道に響いていたので、聞こえたというよりは気付いた、というのが正しいでしょう。旋律は小さく、男の足音に併せるように奏でられていたので男は気付かなかったのです。
男がそれに気付いたのは、旋律が大きくなり、リズムをかえたからでした。足を止めると足音に掻き消されていたのか、音がさらに大きくなりました。
どこから鳴っているのだろう、そう思った男は辺りを見回しますが、闇に阻まれてよく見えません。
旋律は彼を包むように四方八方から流れてきます。
それにあわせて男の視界が闇に呑まれていきました。男が空を見上げると、星や月の光が徐々に小さく、薄くなり、次々と消えていきます。
闇が広がっているのではなく、自分の視界が光を捕えられなくなっているのだ。
そう考えるのと同時に男の左胸から血まみれの手が生えました。




ミスティア・ローレライはご機嫌だった。
太い枝の上に座り、獲物の血潮に唇を染めていく。
半分程が食い散らかされた人間の雄の体。めぼしい臓器等はだいたい食べ尽くし、あとは硬い筋肉や骨のあまりの部分が残るだけだ。
ちぎり取った二の腕の硬い筋肉に歯を立て、繊維をひきちぎる音をたてながら咀嚼する。あまり美味しくはない。ミスティアが好きなのは女子供の軟らかい肉だった。雄は脂肪が少なくて硬いのだ。女子供に勝るのは局部を食べると精力がつくくらいだが、ミスティアはあまり興味がない。
久しぶりの人間の肉を食しながらそんなことを考えていたミスティアの眼に、再び夜道を行く影が映った。
女として成熟していない、少女と呼べる年齢の人間だ。
ついている。夜道に人間が、それも一夜に二人もいて、そのうちの一人は美味しそうな少女だ。
ミスティアは雄の死体を放り出し、空に舞い上がる。
すっ、と息を吸い、吐き、再び吸う。ゆっくりと吐き出される息には音が乗っていた。
初めはゆっくりと、少しずつテンポをあげていく。
普段は旋律をある程度聞かせるために相手の足音に忍ばせるように歌うのだが、今のミスティアははやく獲物を襲いたい一心で歌っていた。結果として少女が周囲を見回しはじめた。まだほとんど視界を奪うことは出来ていないが、足を止めることができれば十分だ。視界を奪うまでもなく、非力な少女がミスティアに抵抗する術はない。襲われる前に逃げられなければミスティアの狩りは成功したも同然。
ミスティアは少女の後ろに降り立ち、鋭い爪を構えた。



少女の細い指を三本纏めて食いちぎる。ぐちゃ、と脂肪がつぶれる音がした。あまり味はない、よくいえばあっさりした、悪くいうならば無味乾燥。調味料が欲しくなる。塩をかけるだけで大分違うのに。
ぷっ、と骨を地面に吐き、本体に繋がったままの白い腕を掴む。あまり脂肪はついていないそこに軽く歯を立てると心地よい弾力が帰ってくる。ここはあとで焼いて食べようか。
着物に手をかけ、引きちぎるように左右に開くと未だ完全に膨らんではいない千房があらわになる。月明かりに照らされて、血が通わなくなったこともあるのか、真珠のように白く輝くそこを、まずは舌で舐めてみた。うっすらと浮いた汗の塩味が調度よいアクセントになりそうだ。
両腕に体を抱き上げ、胸部を口元に近づける。硬くなった頂上の赤い点を弄ぶように舌の上で転がす。軽く噛めばこりこりとした感触が返ってくる。
噛みちぎろうと犬歯を肉に埋めたとき、背後から誰かを呼ぶ声がきこえた。
「先に行かないでくださいよ」
「だって美味しそうな鳴き声が聞こえたんだもの」
「はぁ……私にはなにも聞こえませんでしたけど。というか、美味しそうな鳴き声ってどんな声ですか」
「そうね……毎晩、妖夢が布団の中であげているような声かしら」
「なっ、なんっ……! と、ところでなんですかその雀は」
「美味しそうでしょう? ここで捌いて持って帰りましょう」
「私の剣は包丁じゃありません。それに、落ちているものを食べてはいけません」
「あら、落ちてたんじゃなくて落としたのよ」
「どちらでも結構ですから、屋敷に帰ってご飯を食べましょう!」


放置されたミスティアの死体はカラスや獣に啄まれて骨になり、やがて土に消えましたとさ。


幽々子様の腹の音、諸行無常の響きあり。
螺旋
作品情報
作品集:
10
投稿日時:
2010/01/11 03:58:35
更新日時:
2010/01/11 12:58:35
分類
色々と習作
カニバ
みすちー
オチてねぇ
1. 名無し ■2010/01/11 15:53:20
死にかけのみすちーがムチャムチャされる所も読みたかったなぁ
ちんちん
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