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『プラクティス・モード』 作者: コメごん
ちょっと長いかもしれないです。
が、SS好きが集まるところなんで問題ないと判断し、分割せずに出します。
暇つぶしにでも読んでいただけたらありがたいです。
守矢神社の東風谷早苗は信仰集めに奔走していたが、人間の信者だけでは限界を感じ
最近では天狗や河童などの妖怪もそのターゲットに考えていた。
「今日は河の上流に住んでいる河童たちに布教活動をしてきます」
神奈子たちにそういうと早苗は布教道具を持って神社から飛び立った。
河童たちは妖怪の中では人との関わりが強く、天狗などよりも楽に接することができそうだ。
そう考えていた早苗は、河童の集落では確かに彼らと接するのに問題はなかったが、
しかし宗教を必要としている空気ではなかった。
神の奇跡に頼るくらいなら、自分たちの作った道具で困難を乗り切る、
というのが彼らの基本スタンスのようであった。
当ての外れた早苗は、何の気なしに集落からやや孤立した場所にある工房へと足を運んだ。
そこに住んでいた河童は「にとり」というらしく、初めは警戒しているようであったが、
早苗が外の世界の人間であることを告げると話に乗ってきた。
早苗自身、専門的な技術に関しては全くの素人であったが、身近な家電や機械について
話をするだけでもにとりは喜んで聞いてくれた。
本当は信仰集めが理由であったが、当初の目的など忘れて早苗はかなり長い時間話をしていた。
にとりの工房にはよく分からない道具が沢山あり、中には早苗の知っているテレビやゲーム機もあった。
どれもみんな一様に時代遅れのものばかりであったが、中には改造を施されているようなものも見えた。
本来の用途とはかけ離れた使われ方がされているのも多く、危なそうなものも沢山あったが
その中に早苗の目に留まる奇妙な道具が転がっていた。
それは家庭にある体重計のような形をしており、フタ付きの透明なカプセルが埋め込んであった。
さらによく見れば信号機のように青、黄、赤の三色のボタンが付いていて、
そのすぐ下には何かを入れる細い隙間がある。
「これはいったい何に使う道具なんですか?」
体重計にしては数値を表示させる目盛りや液晶が見当たらない。
「ああ、それはダメだった 失敗作だよ」
そう言うとにとりはそれを手元に寄せ、品定めするように見回した。
「簡単に言えば、生き物をコピーできるんだけど 上手く調整できないんだ」
外の世界ですらそんな技術はありえないのに、それはないだろうと早苗は思った。
早苗の表情を見て何を思ったのか、にとりは道具を実演して見せた。
「まずコピーする対象の体の一部、まあ髪の毛なんかを入れるんだ」
にとりは髪の毛を一本抜くと機械のカプセルの中に入れた。
「そしたらこの青いボタンを押す」
言いながら青いボタンを押すと、霧のようなもやが集まり
やがてにとりとそっくりなコピーができあがった。
「うわすごい!」
早苗は信じられなかった。
いくらなんでもこんなに簡単に複製が作れるわけがない。
しかしここは非常識が常識になる幻想郷であった。
「とある鬼の力を参考にさせてもらったんだけど、ごく簡単な命令しかできなくて
これでは使いものにならないんだよね」
にとりは沢山のポケットの一つからメモ帳を取り出し、サラサラと何か書き込んだ。
「まずは命令文を入力するんだ」
紙にはなにやら記号や文字が書かれていたが、早苗には理解できなかった。
その紙をボタンの下にある隙間にセットし黄色いボタンを押すと、
紙を飲み込んですぐ下の隙間から出てきた。
「これでコピーがジャンプをするはず…」
すると言われたとおりコピーにとりは延々とジャンプし始めた。
「これはすごいじゃないですか!」
「うーん、そうでもないんだ…
ちょっと難しい命令になると、ものすごい量の複雑な文章を書かないといけない」
どうやら右を向け、とか左手を上げろ、などという単純な命令以外は実現が困難らしい。
「最初は色々試して遊んでたんだけど、すぐに飽きちゃった」
そういったにとりは赤いボタン押す。
どうやらこれがリセットボタンらしく、コピーにとりはすぐに霧散した。
このとき早苗は考えた。
この機械にはまともなOSが組み込まれていないのだと。
にとりは間違いなく天才だが、人付き合いをしない。
もっと多くの人と接すれば沢山のヒントを得られるだろうに、自分で悪い環境を作ってしまっている。
早苗にはこの道具を改良するアテがあった。
「にとりさん この道具を貸してくれませんか? やってみたいことがあります」
「え? うん、まあいいけど どうせすぐに飽きると思うよ」
あっさりと了承するにとりは作った道具にあまり関心がないようだった。
ついでにと、マニュアルと製品仕様書も渡してくれた。
機械の製作が上手くいった時に量産できるよう書いておいたらしい。
だが早苗にはさっぱり内容がわからなかった。
信仰集めに来た早苗であったが、河童脅威のメカニズムに興奮し、それどころではなかった。
コピー人間、いやコピー人形と言ったほうが正しいのだろう。
人形といえば、その筋の専門家が魔法の森に住んでいたはずである。
早苗は機械を手に人形遣いの住む森へと飛んでいった。
魔理沙という白黒の魔法使いとの交流もあった早苗は、
彼女の友人である人形遣いのアリスとも面識があった。
アリスの家は幻想郷に来た当初、魔理沙にいろいろな場所を案内してもらったときに教えてもらった。
アポなしで訪問するのは失礼だと思ったが、そもそもどうやって連絡を取ればいいのかわからない。
それに早苗はテンションが上がっており、アリスの家に到着すると何の躊躇もなくドアを叩いた。
「アリスさーん! 守矢神社の東風谷早苗です!」
そう言うと家の中でガタガタと物音がする。
どうやら運良くアリスは在宅だったようだ。
ゆっくりとドアが開くと、そっと外の様子をうかがいつつ家主が顔を見せる。
「あら、早苗じゃない あなたが来るなんて珍しいわね
でも宗教のお誘いだったら遠慮するわ」
「いや、今日はそういうことではなくて…」
アリスは早苗が両手に抱えている道具を不思議そうな目で見ると、とりあえず早苗を中に入れた。
「それは何かしら?」
当然早苗の持っている奇妙な道具が気になるアリス。
早苗は、その道具がにとりから借りたもので、生き物のコピーが作れることと使い方を説明した。
「なかなか面白そうね」
説明のために早苗は自分のコピーをアリスに見せると、道具の問題点について話した。
「こういう分野であれば、アリスさんが詳しいだろうと思ってたずねてきました」
アリスは自身の目標として完全自立人形の完成を目指していた。
人形は単なる入れ物であって、重要なのはその中に組み込む命令部分であり、
常日頃から様々なプログラムを人形に組み込んでは実験していた。
「一応、マニュアルとかも頂いたんですが、さっぱりわからなくて」
そういってアリスに冊子を渡すと彼女はパラパラとめくっていった。
凄まじい速さで目が動いているようで、どうやら文章を読む早さは半端ではないらしい。
「うーん…命令の自由度が高い反面、複雑な構文を山ほど組み込まないとだめみたいね」
「そうなんですか…上手く動かせれば弾幕勝負の練習相手に困らなくなると思ったんですが…」
人形遣いの彼女の手に負えないようであれば、さすがに諦めるしかないだろう。
だがアリスの表情は妙にうれしそうであった。
「これを一週間ほど貸してくれないかしら?」
「えっと、うーん……はい、大丈夫ですよ」
もらったわけではないのでまた貸しになってしまうが、にとりの様子からして大丈夫だろう。
どうせにとりだって自分の手に負える代物ではないのだ。
早苗は急に押しかけてきたことに一言謝罪すると、今度来る日時を約束しその日は神社へ帰った。
アリスは早苗が帰った後もマニュアルを読みふけり、あれこれとメモを取っていた。
たまには普段関わっている分野から多少ズレた方面の研究をやるのも悪くはない。
そう思っていたアリスだったが、やればやるほど深みにはまり、
本業の人形作りは一時休業することになった。
日を追うごとにコピーアリスは複雑な命令をこなすようになり、遊びに来た魔理沙を驚かせた。
そして早苗が約束をした日がやってきた。
家には約束どおりアリスがおり、すぐに中へ案内されたが、少々やつれた顔をしていた。
「大丈夫ですか? 大分お疲れのようですが…」
心配した早苗がそういうと
「久しぶりに徹夜して研究しちゃったからね」
そういうアリスは確かに疲れているものの、早苗に会うため風呂には入っていたのか
石鹸の良い香りが漂っていた。
「日常動作から弾幕遊びまで一通りの動きができるよう、命令の基礎部分から組みなおしたわ」
部屋を見るとあちこちに手書きのメモが貼ってあり、
磨耗して使えなくなったペン先がいくつも捨ててあった。
あまり人の家を観察するのは失礼かと思ったが、
ドアの隙間から奥の寝室で誰かが寝ているのが見えた。
が、それに気づいたのかアリスはすぐさま立ち上がると、
お茶を用意すると言い、台所へ行くついでと見せかけてドアを閉めてしまった。
誰が寝ていたのか気にかかるが、あの様子からしてあまり詮索しないほうがいいだろう。
道具の研究を依頼した手前もあるし、早苗は一切考えないことにした。
早苗にお茶を出したアリスは、机から自筆のマニュアルを持ってくると早苗に渡した。
「できるだけ簡潔にまとめたんだけど、それでわかるかしら」
マニュアルを適当にめくってみると文章が少なく、
大半はイラストによる説明で構成されており、早苗でも理解しやすいレベルまで落とされていた。
「ここまで丁寧に仕上げてくれるなんて、何かお礼をしなくては…」
早苗としては、弾幕勝負の練習相手に不足しなければそれでいいと思っていた。
「いいのよ、私自身今回のことで色々と勉強できることは多かったし、それに…」
そこまで言いかけて急に思い出したかのように口が止まるアリス。
やはり何かを隠しているらしく、ばつが悪そうに目線をそらした。
「どうにも難しそうだと思っていましたがアリスさんのマニュアルがあればどうにかなりそうです」
空気を読んだ早苗は早口にそう言うとマニュアルを手に立ち上がった。
どうもこの場はさっさと退散したほうが互いにとって都合がよさそうであった。
「ではアリスさんも徹夜疲れがあるようですし、今日のところはこれで帰ります」
「あらそう? もっとゆっくりしていってもいいけど、疲れているといえばそんな気もしなくはないわ」
アリスはコピーメカを早苗に渡すと一瞬何かに気がついた。
彼女の目は機械の赤いリセットボタンを見ている。
「えっと…早苗?…にとりがどこに住んでいるか教えていただけないかしら?」
守矢神社に戻った早苗はさっそくマニュアルを開いてみた。
それによると、コピーには目覚し機能や弾幕戦闘などの早苗が欲しかった能力。
ペロペロキャンディを舐める機能、干した布団を叩く機能など、意味の分からないものまで沢山あった。
とりあえず自分のコピーを作成し、弾幕戦闘のプログラムを読み込ませてみた。
コピー早苗はオリジナルの放つ弾幕と全く同じ動きを再現してみせ、早苗は自分の姿を
文字通り客観的に見ることができ、とても勉強になった。
自分をビデオに録画するのとはまた違った収穫があり、
これはアリスに頼んでみた甲斐があったと改めて彼女に感謝した。
どうせなら自分のコピーではなく他人のコピーも使ってみよう。
そう考えるのはとても自然な成り行きだった。
「何やってるの?早苗〜」
弾幕勝負でもやっているのかと諏訪子が神社の中から出てくる。
早苗は一つ悪戯を思いつくとすぐさまコピーを消去した。
「諏訪子様じゃないですか、今弾幕勝負の練習をしていたところです」
「そうなんだ…でも今早苗が二人いたような…」
きょろきょろと辺りを見回す諏訪子。
「諏訪子様、髪がボサボサになっていますよ、今直してあげましょう」
懐からクシを取り出すと諏訪子の変な帽子を取り、髪をとかしてやる早苗。
上手い具合に毛が一本抜けてくれた。
「はい、できました……そろそろおやつにしましょう
お茶とお菓子を用意するので、手洗いうがいをして待っていてください」
「わーい! おやつおやつー!」
トタトタと家の中に駆け込み手を洗いにいく諏訪子。
その隙に諏訪子の髪の毛を機械に入れ、コピーを誕生させる。
命令は…「 オリジナル と 距離 を 保つ 2 メートル 」
そう入力するとコピー諏訪子はオリジナルの諏訪子を補足し接近していった。
それを物陰からこっそりと観察する早苗。
手洗いうがいが終わった諏訪子はスカートで水気を拭くと後ろを振り返った。
「うわ!?」
真後ろには自分そっくりのコピー諏訪子が立っていた。
思わず後ろへ下がり距離を取るが、下がった分無表情のコピーが近づいてくる。
「な…何だよお前は!」
その問いかけにコピーは無言。
事情を知らない諏訪子には不気味な事この上なかった。
恐怖心からやはり後ろへ下がってしまうが、コピーは同じく距離をつめてくる。
本能的に逃げたほうが良いと判断した諏訪子は一目散に逃げ出した。
だがコピーは逃げた分だけ追いかけてくる。
「うわー!? 何だ何だ何なんだよバカー!ついて来るなよー!」
怒っているような恐がっているような声色で後ろを振り返りながら罵声を浴びせる。
(クフフ、これは面白いおもちゃが手に入りました…)
かなり本気で涙目になっている諏訪子をゆがんだ笑みを浮かべた早苗が観察している。
しばらく神社の周りをグルグルと走り回っていた諏訪子だったが…
「も、もう許さないぞ偽者め……成敗してやる!」
このままでは埒が明かないと判断した諏訪子は逃げるのを止め、コピーを睨みつけた。
足元に落ちていた木の棒をつかむと気合の一声とともに偽者に襲い掛かった。
「うぇい!」
だが、偽者はあっさりと後退し諏訪子の攻撃を回避した。
正確にはたまたま後ろに下がって避けたのだが…
「む、なかなかの身のこなし…只者ではないと見えるね」
隠れている早苗は笑いをこらえるのに必死であった。
「なら今度は本気で行くよー!」
上段に構えた諏訪子はそのまま偽者に突進して行った。
体は諏訪子に向かい合ったままの状態で後ろ走りをする偽者はかなり奇妙であった。
「くっ、逃げるか! 待て待てーい!」
そのまま神社の敷地から外れ、どんどんと山奥へと入ってゆく。
偽者は木や枝に体をぶつけながらも距離を保ちつつバックで走っていった。
途中、帽子や服があちこちに引っかかり、背中を中心に体も服もボロボロになっていく。
「うーん…そのファイティングスピリットや見事!」
走りながら感心する諏訪子だが突如偽者が姿を消した。
「あっ!」
偽者は断崖絶壁から足を滑らせ谷底へと落ちていった。
その姿は必死に諏訪子に近づこうとしているようだったが、空を飛ぶ能力まではないようだった。
谷を流れる川に体を叩きつけられた偽者はそのまま浮かんではこなかった…
「そ、そんな…」
なんとも後味の悪い結末。
諏訪子自身、偽者とは追いかけっこをしていただけで
別に偽者が攻撃してきたわけではなかった。
なぜ自分と同じ姿なのかは謎だったが、一緒に走り回って遊ぶのはそれなりに楽しかったのだ。
(どうしよう、何かとても悪質な悪戯になってしまったみたいです…)
真相を言うべきかどうか悩んだ早苗であったが、また新しいコピーを作成して
その健在ぶりを見せてやればよいのだ。
そう前向きに考えた早苗は、たった今諏訪子を見つけたようなフリをしながら神社まで一緒に戻った。
諏訪子はとても暗い表情のまま、おやつも夕飯にもほとんど手をつけることはなかった…
その姿を見て、ホイホイと無神経にもう一体作るのは早苗も気が引けた。
諏訪子の一件依頼、コピーメカを使う気が起きなくなってしまった早苗であったが、
日が経つにつれ、諏訪子もあれはただの幻だったのだと納得したようで笑顔も見せるようになっていた。
それにより気持ちの整理がついた早苗は
諏訪子たちの見えない山奥にて、一人修行を続けることにした。
目標はやはり博麗の巫女、霊夢。
彼女の髪の毛は宴会の日の準備を手伝う際、案外簡単に手に入った。
職業柄、霊夢は一日に何度も水浴びをして身を清めていたため、
その隙に鏡の置いてある部屋を探して入手した。
自分のコピーを作ったように髪の毛をセットし、コピー霊夢を作る。
弾幕戦闘では早苗が見た霊夢の技しか再生できなかったが、それでも十分参考にはなった。
何度も同じ技を延々とやらせるなど、本人には頼めないだろう。
コピー霊夢との修行を始めて一週間ほど。
あくまで早苗の見た記憶の霊夢ではあったが、動きの癖や穴が指摘できるようになり、
単純な個々の動きであれば、それに対応した反撃も行えるようになっていった。
コピー霊夢と一通りのメニューをこなした早苗は、今までずっと気になっていたことがあった。
真面目な彼女はやりたくてもできなかったこと…
早苗は周囲に人がいないことを確認するとコピー霊夢のほっぺたをつまんだ。
そのまま上下に引っ張る。
コピー霊夢は無表情のまま早苗の狼藉に耐える。
(ふふふ、あの霊夢さんがこんなことをされて何の抵抗も出来ないなんて…)
冷静になれば実にバカらしい行為であったが、やはり早苗は子供であった。
コピーの鼻の穴に指を突っ込み、ぐいぐいと押し込んでみる。
端正な霊夢の顔がブタのように変形する。
(クフフフフ……これは実に間抜けな顔です!)
だんだんとエスカレートしていった早苗は、コピーを四つんばいにさせるとその上に座り込んだ。
「いやあ、いい座り心地じゃないですか霊夢さん!」
当然無言のままでいるコピー霊夢。
次第に胸の鼓動が激しくなってきた早苗は、
そのまま霊夢のスカートをめくるとドロワーズを丸出しにさせた。
「オラ! 何とか言ったらどうなんです!?」
ピシャリと霊夢の尻を引っぱたくとケラケラと笑った。
もうここまでやってしまえば後は勢いに任せるのみである。
さらにドロワーズを脱がせると、先ほど引っぱたいた手のあとが赤く浮き上がっていた。
なかなか良い形をしているものだと
ニヤつきながら手でサラサラとした感触を楽しむ早苗。
きっとアリスも誰かのコピーを作って似たようなことをしていたのだろう。
早苗の真面目な性格が常に歯止めをかけていたが、やはりこういうことをやってみたいという願望は強く
いざそのストッパーが外れると欲望の圧力は強烈であった。
一度は霊夢の力の前に敗れ去り、プライドを傷つけられた早苗は
霊夢に対する嫉妬心と尊敬の思いが混ざり合っていた。
そんなある種憧れの存在である霊夢が、コピーとはいえ己の椅子となり地に手足をついている。
それを実感する早苗は呼吸が荒くなり、霊夢を地面に押し倒す。
相変わらず無表情な霊夢…
それが早苗には抵抗の姿勢に映って見えた。
「生意気な顔してますね…このっ!」
思い切り頬をはたくと乾いた良い音が山に響いた。
叩かれた部分は少し赤くなり、早苗の手には確かな衝撃の余韻が残った。
背中にビリビリと電気が流れるような感覚が走り、耐え切れなくなった早苗は霊夢の唇を奪った。
舌を入り込ませ霊夢の歯を、歯茎を舐めまわす。
そのまま頬へと舌を移動させ首筋、
衣服を乱暴に引き脱がすと胸の中心辺りまで舐め、サラシに引っかかる。
頭に血が上り、顔が真っ赤になった早苗の股から分泌液が染み出し下着がそれを吸収する。
「はあ…はあ…霊夢さん可愛いですぅ…」
右腕を霊夢の首の後ろへ回しながら空いた手でサラシを脱がす。
再度顔を舐めまわすようにキスをしながらわずかに盛り上がった胸の感触を確かめる。
あまりよいものを食べていない印象のせいか胸は割と固く、筋肉質であった。
体勢を変え、後ろから霊夢を体の前に抱きかかえながら
耳たぶのやわらかさを舌の上で堪能すると、半分脱がされたドロワーズの隙間に手を差し入れる。
さすがに濡れてはいなかったので何度か唾液をなすりつけ、滑りを良くさせながら割れ目をほぐす。
絶対に勝てない相手を前にしたとき、気持ちで負けないようにするには
そいつが誰かとセックスしているところを想像しろという話がある。
どんな超人的なライバルであっても所詮は人間、動物なのだとそこで納得することが出来る。
今早苗はその絶対に敵わない相手である霊夢の体を思うがままに蹂躙している。
これほど気分の良いことはない。
欲を言えば、これが本物の霊夢本人であって欲しいものだった。
ある程度滑りが良くなったことを確認すると、霊夢を仰向けに寝かせ大股を開かせる。
今目の前であの博麗霊夢が大胆な格好で股間を見せびらかしている。
「ふふ、いい眺めですよ霊夢さん…」
早苗は口の端を吊り上げ凶悪な笑みを浮かべながら、
その辺に転がっていた木の棒を霊夢の割れ目に当てる。
そしてそのまま一気に押し込む。
「このっ!」
滑りが足りないのかあまり奥へは入らない。
「淫乱が!」
強引に奥へと突っ込む。
「いつも澄ました顔しやがって!」
奥に当たる感触をつかむと引っこ抜く。
「守矢神社ナメんな!」
血でぬらぬらと光る棒をまた突っ込む。
ぶじゅぶじゅと何度も何度も出し入れする早苗。
「ぶっ殺す!絶対許さん!絶対許さん!」
内壁がズタズタに傷つき、ブクブクと泡を立てながら力任せにえぐり続ける。
次第に手ごたえがゆるくなってきたのを感じると
次は思い切り首を締め上げ、霊夢の後頭部を激しく地面へ叩きつけた。
少女の赤い大きなリボンがバサバサと地面にぶつかり土で汚れる。
さすがに息が上がり、目の前がくらくらしてくるとそのまま座り込んだ。
「はあ…はあ……」
天を仰ぎながら呼吸を整える。
そのまま足元に目を落とすと、乱暴した霊夢と視線がぶつかった。
それは相変わらず無表情だったが、早苗には
(どうしてこんなひどいことするの?)
とでも言いたげな表情に思えた。
一瞬どきりとうろたえた早苗だったが、すぐに嗜虐の炎が再燃し、
手近な木に霊夢の体を縛り付ける。
当然逃げ出しなどするはずもないが、こうしたほうが早苗の気分は高ぶるようだった。
「うふふ…霊夢さん、命乞いしたっていいんですよ…」
無表情の霊夢を前に棒切れを手にした早苗はにやける。
「ふふん、さすがは博麗の巫女です…その気迫だけは認めましょう…かっ!」
横っ面を一発ぶん殴る。
可愛らしい顔が衝撃に歪み、歯が数本折れて飛ぶ。
当たった頬は裂け、鼻からは血がボタボタと垂れてくる。
「ククク、いい顔になりましたね霊夢さん…ですがもう一つ、アクセントを加えてあげます、よ!」
今度は逆方向からフルスイングで殴りつける。
首が打撃の力に従いぐきりと回転し、醜いアザが作られる。
「ふうぅぅう〜〜」
棒を握り締め気合を集中させる…
「ぬぇい! でえい! どおりゃ!」
棒を力任せに霊夢の頭へ振り下ろしメチャクチャに叩き続ける。
棒が当たるたび体がビクビクと衝撃に震え、血があたりに飛び散る様は凄惨そのものだった。
体の筋肉が限界を告げると、そこには血まみれになった霊夢の体があった。
ところどころはげもできており、偽者であるとわかっていても目を背けたくなるほどであった。
汗だくになった早苗は霊夢の縄をほどいてやると、優しくその傷ついた体を抱きしめた。
「ああ、ほんとに霊夢さんってば可愛いんだから…」
そうつぶやきながら血で真っ赤になった霊夢の顔をぺろりと舐め上げる。
その日からというもの、早苗は修行そっちのけでコピー霊夢を痛めつけて遊んだ。
手足を切断してみたり、首を切り離して縄で結び、振り回してはしゃいだりした。
リセットを押せば破壊した霊夢の体は消滅するが、放っておいても腐ったりはしないので、
早苗は自分とコピー霊夢だけの思い出として残しておいた。
そんなある日の夜明け頃、なにやら裏の雨戸の方から物音が聞こえる。
風で何かが当たっているのだろうと早苗は諏訪子たちを起こさぬよう、
寝ぼけまなこで音のするほうへと向かった。
だんだんと音が近くなるにつれ、それは足音であるように思えた。
(こんな時間に人…なわけないし、たぶん妖怪で間違いないでしょう)
そう警戒した早苗は音の主に気づかれぬよう、雨戸を外から確認するよう回り込んだ。
「あれ!? 諏訪子…様?」
そこにいたのは確かに諏訪子の姿であった。
だが服はほとんどが脱げ、かろうじて残ったパンツだけが女の子としての尊厳を守っていた。
見れば体中傷だらけの状態で腕と首の骨が折れているようだった。
(あれはきっとあの時の…)
あの日崖から転落した諏訪子のコピーであったが、あれ以降も忠実に命令を守り
どうにか川に流された先から崖をよじ登るなりしてここまでたどり着いたのだろう。
「 オリジナル と 距離 を 保つ 2 メートル 」
という最初で最後のプログラム。
そのためにはあらゆる物を犠牲にして命令を最優先にしていた。
これはそういうものなのだ。
そういう道具なのだ。
しゃがめと伝えればそうするし、石で頭を割れと命令すればためらいもなくやる。
プログラムどおりに動く肉の塊なのである。
その姿を見て当たり前だと思う、それが正しいのであるが
早苗はかちかちと歯を鳴らしながら泣いていた。
指令どおりに動く人形…
魂など存在し得ないはずの道具に対し、どうしてこうも心が揺さぶられるのか。
それは早苗が幼少の頃より親しんでいたテレビアニメの世界に存在していたものであった。
その手の作品においては最終話にて、主人公とともに数え切れぬ死地をくぐり抜けてきた鋼の巨人が
満身創痍になりながらもその使命を、熱き正義の魂と共に果たし終えるのである。
コピー諏訪子は早苗の出した命令を唯一心のよりどころとして、
何日も風雨にさらされ傷つきながらもここまで戻ってきたのである。
「ごめんなさい…もういいの…もういいから……」
早苗は、ボロボロになりながらも雨戸を通り抜けようとするコピー諏訪子を抱きとめる。
だがコピーはおかまいなしに前進を続けようとする。
指の先を噛み千切り、自らの血でその傷ついた小さな体に印を描くとふわりと霧になって消えた…
少しの間黙り込んでいた早苗だったが、その足でいつもの場所へと闇の中を走った。
10数体は転がっていたコピー霊夢の残骸を一箇所に集めた早苗は、それに火をつけて焼いた。
そんな手間をかけずともリセットボタンを押せば一瞬で消え去るのだが、
早苗はあえて霊夢の姿をしたものを燃やし、その瞳に焼き付けておきたかった。
やがて日が昇り始める頃、黒焦げになった体に土をかけてやり、
そこでようやくリセットボタンを押した。
(ごめんなさい…)
と、言葉には出さなかったが早苗は遊び道具にしてしまったコピー霊夢たちに謝罪した。
人の形をしたものには魂が宿るという。
早苗も幼い頃よりの人形を捨てなければならなくなったときには特別な思いを感じた。
見た目が霊夢ということで歪んだ感情をぶつけてしまったが、コピー霊夢に罪などなかった。
己の未熟さを深く反省した早苗は、もう二度とこの道具を使うまいと心に決めた。
神社に戻った早苗は神奈子からは夜中に出かけたことをきつく叱られはしたが、
どこへ行っていたのかは何故か聞かれなかった。
その日のうちに早苗はにとりのところまで行き、コピーメカを返却した。
「どうだい? やっぱりすぐに飽きただろう」
「…ええ、私にはクロガネの魂がありますから」
宴会のときにでもまた会いましょうと言い、後ろを振り返るとアリスがいた。
彼女の手にはあの道具と同じものがあった。
「私も…そろそろ横道から戻ることにしたわ…」
早苗は今回の件で人形と人間の差がよく分からなくなった。
おそらく科学が進歩すれば入れ物としての人間は複製できるのだろう。
その複製に自立して動き出すような高度な命令さえ組み込めば人間と変わりないものになる。
果たしてこうやって誕生した存在は人間と呼べるのだろうか。
人と人との交わりによって生まれた純粋な人間と、それを基にして生まれた人工人間。
物理的な入れ物は同じである両者の間には、プログラムの作成元の違いという点しかない。
ここまで考えて早苗は思考を閉じた。
それを考えるのは自分の仕事ではないし、自分には他にやるべき仕事と立場がある。
そう結論付けた早苗は、次の信仰集めの場として天狗の山を候補に描いていた。
初投稿になります。
とりあえず一番描きたいネタを真ん中に置いて、それに頭とお尻を付け足して
どうにかそれっぽい形にする方法で書いてみました。
ネタは作品名の通り、緋想天とかの練習モードです。
好きなキャラをボコボコに叩いてたらテンション上がってきて思いつきました。
本当は早苗さんが、暴走した不死身のコピーに逆襲されるお話でしたが、
調整してるうちに変形してました。
ネタ思いついては書いて、筆が止まると放置して、また書いての繰り返しなんで
あちこち変なところがありますが、お互い有意義な暇つぶしになることを願って書いていきたいです。
コメごん
作品情報
作品集:
10
投稿日時:
2010/01/22 15:57:44
更新日時:
2010/01/23 00:57:44
分類
早苗
霊夢
にとり
アリス
諏訪子
ゲームシステムネタ
むしろした方がいいんだろうな、人として
こんな場所に来といてなんだが
話の最初と後のほうで文が微妙に違うのは書いた日が違うからかな?
書き上げた後、時間があるなら投稿前に一度自分で読むといいですよ。
別にそんなことはなかったぜ
長さも気にならないくらい面白かったです
平和(?)に終わってほっとした
新たな教訓を得て早苗とアリスは少し成長したことでしょう
純粋な好意ではないでしょうが、敵意や憎悪だけってわけでもない。
どっちにしろ、早苗の霊夢に対する感情は屈折してますねぇw
その辺が妙に可笑しくて、殺伐としきれてないところがツボでしたww
歪んだ愛情に気付き、罪と向かい合うってのも中々にステキな物ですねえ
アリスや早苗は今後一生をかけて己の行いを悔いる事になるのでしょうし、それもまた一興
こういうシステムを使うとき、また前とは違うに気持ちになりそうだなぁ。
深〜イイ
これが初投稿ってすごいね