メリーさんスイッチ『さ』行

前回のあらすじ
八十年の歴史を持つ深漬けを食べたメリーは蓮子を病院へ送った帰りにハイチへ行った


「蓮子、メリーさんスイッチしましょ」



「あ、おばあさんの骨壷は実家に持って行ったからね」

「……あのさ」

「言っておくけど、今回は大義名分が有るのよ」

「は？」

「就職したの　この病院に」

「ああ、ナース服はコスプレではなく」

「憧れのナース」

「そういうのいいから　いや、何で就職できたの」

「どういう意味よ」

「人格に問題アリだろが」

「ぶっちゃけ院長のコネ」

「は!?」

「院長がちょっと穴を突いて」

「…………」

「私の」

「うるせぇよ」

「火星人を治さないのは何かの主義かしら」



「大義名分てどういう事よ」

「患者を癒すのが私の仕事でしょ」

「え　スイッチで？」

「ナースセンターで提案したらウケた」

「絶対色々隠して説明したろ」

「まあその辺のさじ加減は各々の判断で　ね」

「ね　じゃねーよ！」

「私もあなたに元気になって貰いたいのよ」

「何をいけしゃあしゃあと」

「押さないと看護婦長に言って隔離病棟送りだが」

「んなもん通報してやる」

「私には院長の後ろ盾が」

「わかった押すよもう　メリーさんスイッチ『さ』」



『それじゃあ、ちょっと本でも読んであげる』

（あれ、普通…？　いや……）

『スポーツ！ それｳﾝｺは今日（こんにち）のそれとはｳﾝｺ精神的な意味で少しｳﾝｺ違っていた！』

『それは、この原っｳﾝｺぱにいる子供ｳﾝｺたちにとっても例外ｳﾝｺではなかった！』



　　　　”さぶりみなるげんしょう”



「違う」

「えっ」

「意味をはき違えてる」

「うそん」

「そんでお前それ漫画読んでるし」

「小児科病棟に有ったの」

「（何だこの病院……）そんで子供ｳﾝｺは大目に見ても例外ｳﾝｺって何だよ」

「いや意味は無くって、サブリミナル現象で」

「だからサブリミナル現象じゃねえっつってんだろ！」


「次押しましょうよ　押せよ」

「…………」

「婦長さーん」

「分かったよもう！　メリーさんスイッチ『し』！」


『よいしょ…っと』

（『し』ゃがむ……？）

『〜〜〜〜！…………〜〜〜！………………』

（おい）

『…………〜〜〜〜〜〜〜〜〜！ﾊﾟｳｯ!!』

ﾙｯｿﾝ　　ﾎﾞﾄﾘ



　　　”しびんをつかう”



「ちょい、シビン見してみ」

「どうぞ」

「中に入ってるのは？」

「……ボトルシップです」

「ぶっ飛ばすぞ　どう見てもｳﾝｺじゃ」

「色合いが」

「もういい下げろ臭い」

「青菜に塩しゅん…」

「（うっざ…）でさ、『ﾊﾟｳｯ!!』って何よ」

「漫画から取り入れた掛け声だけど…　これが無いと中々出ないのよ」

「じゃあ『ﾙｯｿﾝ』って何よ」

「大海原への出航の合図よ」

「はいはい愉快な排便ですこと！」

「そんな言わんでも…　あ、次準備オッケーですよ」

「まずｳﾝｺを捨てろ　と言うかシビンをどっか持って行け」

「え？　持って行ったら蓮子が使えないわよ？」

「足は立つんだよ！」



「ふちょ…」

「あーもぅ！　メリーさんスイッチ『す』！」



『〜〜〜〜！…………〜〜〜〜〜〜〜！………………』

（ｲﾗｯ）

『〜〜〜！…ｸｯ……………〜〜〜〜〜〜〜〜！…ﾇ…』

『〜〜るォォォォォォォォ！』


ﾃﾞﾃﾞｰﾝ



　　　”すっきりする”



「ｳﾝｺ、ｱｳﾄｰ」

「おいテメェ」

「え？」

「ｳﾝｺネタでM-1に出るんか」

「一回戦敗退した」

「……　後気になったんだけど、今日は全部ｳﾝｺネタで終わらす気か？」

「何言ってんの？」

「＠あふｆｈｇぁｓんｐ＠」

「……何言ってるの？」

「ぁああああああああああああああああああああああ！　ボケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ！」

「しーっ」

「うるせぇよ！　じゃあ次は何やるんだよ！」

「何だと思う？」

「あ!?　『せ』だったら…」

「なぁに？」

「セックスは禁止な」

「えっ」

「絶対駄目　できなかったら『そ』は押さない」

「…………分かったわ　やってやるわ」

「だから、ヤっちゃ駄目なんだよ！　馬鹿！」

「ぇえ……？　もはや私が気圧されてる…」

「じゃあ行くよ!?　メリーさんスイッチ『せ』！」


『じゃあ、小児科病棟行ってに漫画返してくるわ』

（ありゃ…　行っちゃったよ）








　　　　　　”せくはらする”


「何やってんだよ!?　おい、メリーこらオイ！」





　　　　　”せいてきさーびす”


「相手子供だろオイ！　しかも何で『せ』連発してんだよ！　１つで抑えろ！」







　　　　　　”せいえきをのむ”


「エスカレートしてんじゃねーか！　微妙に時間かけんな！」






　　　　　　　　”せっくす”





「ふーっ」

「おい」

「え？」

「我慢できてねーじゃねぇか！」

「落ち着いて聞いて」

「あ？」

「考えてみれば、子供とは初めてだったの」

ﾊﾞｷｯ



「痛いよ」

「じゃあ約束だから『そ』は押さない」

「待って　聞いて」

「あ!?」

「『そ』は『そうじ』にするから　シビンの」

「本当に？」

「本当の本当」

「……分かった　絶対だよ」

「うん　信じて……」

「メリーさんスイッチ『そ』！」



『じゃあ、トイレに流してくるから』　ﾄｺﾄｺ

（やっと行ってくれた…）

『……あ、こんにちはー』

（なに廊下でｳﾝｺ持ちながら人としゃべってるんだよ！　はよ捨てろ！）

メリーさん、あの、それは……

『あ、これはえっと……　　れ、宇佐見さんがちょっと…』

え？　あの子歩いてトイレ行けるでしょ？

『それが…　折角の機会だからシビンにｳﾝｺしたいって涙ながらにきつく頼むもので……』

それって…　ちょっと普通じゃないわね……

『婦長さんに…言った方が良いんでしょうか……』

じゃあ、私から言っておくわ…　あなたから言うのは辛いでしょ？

『お…お願いします……ｸﾞｽｯ……』








　　　　”そうじをする”








―――――拝啓、蓮子様

病棟を移って一週間、少しは落ち着きましたか？

忙しくって、なかなかお手紙が書けなかった事をおわびします。

同じ病院に居るのに会いに行けないなんて、もどかしくって死んでしまいそうです。

空の見える位置にベッドを置いてあげてほしいと私から頼んでおいたので、多分その通りになっていると思います。

早く元気になって、元の笑顔を見せて下さい。

あ、院長先生からのナースコールが入ったので、そろそろ行ってきます。

元気な人ね、うふふ。

短くなっちゃったけど、また書くから待っててくださいね。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　白濁の天使　　マエリベリー＝ハーン


P.S.　ワイパーと味覇を聞き間違える事が増えました。




よくできました