Deprecated : Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『山盛りライスが嫉妬する』 作者: 大車輪
*エログロ人食表現あり
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・あの、咲夜さん・・・」
「本当にすみません! 今回ばかりは私も反省してます」
「・・・・・・・・・」
「もう二度とこんなヘマはしません! ええ、神に誓っても・・・」
「ねえ、美鈴」
「は、はい!」
「問題よ。今日、魔理沙に盗まれた図書館の本は何冊だと思う?」
「さ、30冊くらいですか?」
「0冊よ。私が追い払ったから」
「よ、良かった」
「何が『良かった』よっ!?」
「ひ、ひぃぃっ! すみません!!」
「次の問題よ、美鈴。私の職業って何だか分かる?」
「メ、メイド長です」
「正解。それじゃ、あなたの職業は?
「門番です」
「で、不審者を追い払うのって誰の仕事か分かる?」
「門番・・・です」
「あなたは知らないみたいだけど、メイド長って凄く忙しいのよ。
掃除、洗濯、炊事に子守・・・
その上、門番の尻拭いまでさせられたらどうなると思う?」
「ごめんなさい! 咲夜さ・・・」
「何してた?」
「え・・・?」
「あなた、私が貴重な時間を割いて魔理沙を撃退していた時、何してたの?」
「そ、それは・・・」
「一体どこにいたのかしら? 加勢くらいしてくれてもいいと思ったんだけど」
「あ、あの・・・」
「言いなさい。あなた、仕事を放り出して何をしてた?」
「昼寝・・・してました」
「へぇ・・・・・・・・・」
「すみません! 本当にしてます! どんな罰だって甘んじて受け入れます!!!」
「言ったわね?」
「あっ・・・」
「『どんな罰でも受け入れる』のね。よく分かったわ」
「あ、その、何と言うか、勿論嘘では無いですが・・・」
「それじゃ、溜まりに溜まった仕事のストレスを思う存分、発散させて貰おうかしら?」
「で、出来れば軽めの罰で容赦して貰えると嬉しいの・・・」
「脱げ」
「は、はぁ!?」
「脱ぎなさい。今、ここで、下着まで、全部!」
「でっ、でも、ここ外じゃ・・・」
「脱げっ!!!」
「は、はいっ!!!」
・・・・・・・・・・・・
「どうしたの? 手が止まってるわよ」
「あ、あの・・・下着は勘弁して・・・」
「駄目よ。『全部』って言ったじゃない」
「そこを何とか・・・」
「駄目。全部脱ぐまで許さない」
「そんなぁ」
「さあ、早く脱ぎなさい」
「わ、分かりましたよ」
・・・・・・・・・・・・
「・・・へえ。やっぱり大きな胸してるのね」
「あ、あまり見ないで・・・」
「やっぱり普段怠けてるから、その分脂肪を溜め込んでいるのかしら?」
「咲夜さん、酷いです」
「いいから、早く脱ぐ。最後の一枚よ」
「・・・・・・・・・」
「ほら、また手が止まってる。あなた、パンツの脱ぎ方も知らないの?」
「やっぱり・・・無理です」
「・・・何ですって?」
「他の罰なら幾らでも受けます。ですから、こんな所で全裸だけは許して下さい」
「何よ? ここまで来て」
「ごめんなさい。でも、これだけは出来ません」
「どうしても?」
「はい・・・」
「へぇ、残念ね。迷惑かけたお詫びに楽しませてくれるんじゃなかったの?」
「ごめんなさい」
「本当に馬鹿ね。拒否さえしなければ全裸だけで許してやろうと思ったのに」
「えっ!? ま、待って! やっぱり脱・・・」
「もう遅いっ!!!」
「きゃああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」
「エグッ グスッ パンツ・・・返して・・・」
「あなたが悪いんだからね。あなたが素直に私の言うことを聞かないから」
「なんか・・・怖いです。咲夜さん」
「無能な部下はメイド長が直々に再教育しないといけないよね?」
「こ、来ないで・・・下さい」
「二度と怠けたり反抗したりしないように、今日から徹底的にお仕置きしないと」
「待って、待って下さい! 止めてっ!!」
「そうね。まずはこれをあなたの・・・に」
「い、嫌ぁぁぁっっっっ!!! そんな大きいのっ、挿入る訳が!!!!!!」
「うるさいっ!!!」
ズボォォォォォッッッッッッ!!!!!!
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
「はっ、夢ぇぇぇ!?」
夢だった。
私は仕事中の昼寝からガバリと飛び起きた。
念の為、周りに誰もいないのを確認して自分の股間を調べる。
汗やら何やらでグッチョリしてはいるが、乱暴されたような形跡はない。
良かった。
それにしても、何と言う夢を見るんだろう。
これは相当、重症だ。
仕事サボって昼寝する時は楽しい夢しか見ないようにしているのに。
それとも、あの夢はもしかして私が望んでいる・・・?
「まさか! そんな事、ある訳がない!」
「えっ? 何が?」
「あっ、咲夜さん?」
不覚だ。
いつからいたのか、すぐ傍に咲夜さんが立っていた。
寝起きでなければ気配ですぐに分かるのに。
いや、あんな夢の後じゃなければ。
「あなたひょっとして、また居眠りしてたんじゃないの?」
「ち、違います。寝てなんていませんよ(今は)」
「そう? だったらいいけど。でもあなた、最近緩みすぎよ」
「は、はぁ」
「この前だって魔理沙に気付けずに素通りさせちゃうし」
「ごめんなさい」
「本当に、あなたがしっかりしてくれないと私が困るのよ」
夢の中でも、現実でも私は咲夜さんにお説教される。
だけど今、目の前にいる彼女はさっきの夢ほど怖くは感じない。
何故なら・・・
「昼間はお嬢様も眠っているし、パチュリー様もいつも体調がいいとは限らない。
私は魔理沙だけに構ってられないし、小悪魔や妖精メイド達は力不足。
その上、門番がザルだったら誰が・・・って美鈴、聞いてるの!?」
「あっ、はいっ、聞いてます!!」
「本当かしらね?」
ごめんなさい、嘘です。
今はミニスカートから伸びる、咲夜さんの白くて健康的な太股に気を取られている。
柔らかそうで、それでいて程よく締まっていて、肌触りは滑々していそうで、溜まらない。
たまに風が吹けばスカートが持ち上がり、その下の白い布まで見えて目に毒だ。
それに、こう見えて私は結構鼻の利く妖怪である。
こうして傍にいれば、彼女の臭いを全て嗅いでしまう事になる。
シャンプーの臭い、石鹸の臭い、少しだけ汗の臭い。
人間で言えば髪に、首筋に、胸に、尻に、足の裏に・・・顔を押し付けているようなものだ。
「まあ、いいか。今日はヘマした訳じゃないしね」
いつの間にかお説教は終わっていた。
上の空の私に呆れながらも、解放してくれたらしい。
喜ぶところなんだろうけど、もう少しだけこうしていたかった気もする。
それから咲夜さんは振り返って館へ戻っていく。
その一連の動作には一切のブレがない。
正中線を地面と垂直に保ったまま、堂々と、優雅に立ち去る後姿。
武道に精通した私でも惚れ込んでしまう。
本当に、絵になる女性だ。
「ああ。そう言えば、美鈴?」
「え、何ですか?」
やはり振り返る姿も美しい。
そんな彼女はこう言った。
「今夜の晩御飯だけど、何がいいと思う?」
「晩御飯ですか?」
「そうよ。今朝、お嬢様が珍しいものが食べたいって」
「そうですか」
「お願い。少し多めに作って、あなたにも差し入れてあげるから」
「それなら・・・私の食べたいものでいいですか?」
「ええ、いいわよ。何が食べたい?」
「私が一番食べたいのは・・・」
「食べたいのは?」
「・・・・・・・・・」
「美鈴?」
「・・・・・・エビチリがいいです」
「あら、やっぱり中華?」
「は、はい! それも、すっごく辛いのがいいです!」
「分かったわ。思いっきり辛くするから期待してね」
今度こそ本当に咲夜さんは立ち去った。
それを見届けて、私は守衛室に駆け込む。
お説教の後に早速職務放棄という事になるが、今はとても仕事なんて出来そうにない。
私は嘘をついたんだ。
本当の気持ちを言えなかった。
守衛室の隅っこに、私用の大きな炊飯器がある。
開ける。
良かった、朝に炊いたご飯はまだ十分残っていた。
半狂乱になりながら、しゃもじで丼にご飯を盛る。
正にタワー。
漫画の様な山盛りにして、食卓に置き、箸を片手に取る。
汁物も漬物さえもない。
あるのはそびえ立つ白米だけ。
それと、私の頭の中に咲夜さんの、声、臭い、笑顔、身体。
手を合わせて下さい。いただきます。
〜ここから妄想〜
「美鈴、いつもお仕事お疲れ様。今日は私が美味しいご飯を作ってあげるね」
守衛室の台所に彼女がいた。
この咲夜さんは現実より少し私に優しい。
そして、私の事を愛している。
「わあ、ありがとうございます!」
「食べたいもの、ある? あなたの食べたいものなら、何でもいいわよ」
「何でも、ですか?」
「うん。何でも」
これは私の妄想なので。
私は自信に満ち溢れた声で、ハッキリと言うのだ。
「だったら私、咲夜さんが食べたいです!」
「え? 私!?」
咲夜さんは一瞬だけ、戸惑うような仕草を見せた。
でもその後、頬を赤く染めながら言った。
「本当に、私なんかでいいの?」
いじらしくて、本当に可愛い。
今すぐ食べてしまいたい。
「はい! 私、咲夜さんが食べたいです」
「でも、あまり美味しくないかも知れないわよ?」
「いいえ、絶対に美味しい筈です。だって、私は咲夜さんが大好きなんですから」
「そう、それじゃあ・・・」
シュル、シュルル・・・スルッ、バサッ
彼女が服を脱ぎ出した。
エプロン、メイド服、そして下着まで全て脱ぎ捨て、全裸になる。
そして一糸纏わぬ姿で、微笑みながらこう言ったのだ。
「ねえ、私のどこが食べたい?」
「咲夜さん、綺麗・・・それに、美味しそう」
驚いた。こんな気持ちは初めてだ。
まるで美術館に飾られた美しい絵画でも見ているような。
それでいて、肉屋のウインドウに並んだ霜降りのステーキ肉でも見ているかのような。
感動と食欲。同時に来ない筈のものが同時に来た。
私の心も身体も、激しく揺さぶられる。
それは咲夜さんが私の恋人で、私のご馳走だからなんだ。
「あの、でしたらここを・・・」
軽く掌で包み込むようにして彼女の乳房に触れる。
優しく触っているつもりだったが、咲夜さんの口から小さく艶やかな声が漏れた。
「やっぱり柔らかい。ここがいいです」
「美鈴みたいに大きくはないけどね」
「だけど、形はいいと思います」
「ありがとう。でも、これだけじゃ足りないでしょ?」
「はい。もっと咲夜さんの色々なとこ、食べたいです」
どこにしようか?
改めて彼女の全身をくまなく見た。
首筋、二の腕、脇腹、尻、太股、ふくらはぎ・・・
どこを見ても美しくて、そして美味しそうだ。
本当にため息が出る。
そして何よりも嬉しいことは、彼女がこの身体を私にくれたこと。
やっぱり、全部食べてあげたい。
彼女を独り占めしたい。
「もう決まった?」
「は、はい。それじゃ、ここ」
「お腹?」
「いえ、肝臓です」
「レバーね。臭味の強い部位だから、しっかり血抜きしないと」
次に指定したのは彼女の内臓だった。
彼女の外側だけじゃなく、内側まで味わいたい。
私はそう考えていた。
「それと、ここも」
「ぅ・・・ん・・・」
彼女を正面から抱きながら、その尻と太股を弄る。
肌の滑らかさも、弾力も、想像した通りだった。
「凄いなぁ。触ってるだけで気持ちいい。絶対に食べたいです」
「ぁんっ・・・ここはステーキが・・・くぅ・・・いいよね?」
撫で回していると、どんどんお腹が減っていく。
それでも私は咲夜さんの柔らかい感触を楽しんでいた。
例え空腹で倒れそうになっても、暫くは手を離したくは無い。
「ね、ねえ。もう、いいかな? 準備とか、結構あるし」
やがて彼女がそう言った。
もういい加減、調理を始めたいのだろう。
だけど私には咲夜さんの身体で、まだ食べてみたいところがある。
恥ずかしいけど・・・これは妄想なので、思い切ってお願いしてみた。
「ひぃっ!? 待って、美鈴! そこは・・・やぁ・・・ぁっ」
私の指が股下に潜り込み、彼女の秘裂をなぞっていた。
「ちょ、ちょっと! くぅぅん! やめてっ!! おねが・・・あぁぁぁっ!!」
スリットに沿って前後に行ったり来たり。
小さな、固い突起を突き、尿道口を撫で上げ、膣口を擦り回す。
「あっあぁぁっ! 本当に・・・ぅんっ! 許しっ、ひぃあぁぁっ・・・めいり・・・いいぃっ!」
一往復ごとに咲夜さんの身体は軽く痙攣する。
喘ぎ声はもう悲鳴に近くなって来た。
その声は私の耳を通り、胃や腸に届き、お腹を更に縮こまらせる。
「咲夜さん、私の指で感じてくれているんですね。嬉しい・・・」
指先がだんだんと湿ってきた。
彼女の全身を汗が流れ落ちる。
強くなった咲夜さんの臭いを鼻から吸い込んで、私の消化器系は戦慄いた。
「うぅ・・・あっ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
遂に彼女の身体は果てを迎え、大きく脈打つ。
そして糸の切れた操り人形の如く床へ崩れ落ちてしまった。
「はぁっ・・・はぁ・・・美鈴の、馬鹿・・・」
「咲夜さん。今のところも、食べたいです」
「今のって、私の・・・?」
「はい。咲夜さんの一番可愛いところ、そこも美味しそうです」
「美鈴、あなたって意外とグルメなのね」
彼女は照れ隠しに笑って見せた。
「それじゃ、さばくわね」
「大丈夫ですか? 咲夜さん?」
「うん。いつもやっている事だから、大丈夫」
「ですけど・・・」
とうとう咲夜さんによる咲夜さんの調理が始まった。
これから彼女の肉は、彼女自身の手によって食材に変えられるのだ。
まずは乳房。大きな肉切り包丁が取り出されていた。
「くぅっ・・・! 痛っ!」
「咲夜さん! やっぱり・・・」
「大丈夫よ。ごめんなさい、今すぐ作るからね」
刃が少し肉に食い込んだだけでポタポタと血が滴る。
まだまだ始まりに過ぎないのに、咲夜さんは凄く苦しそう。
「美鈴はお腹減ってるんだから、早くしないとね」
彼女はそう言った後、大きく息を吸い込んで、歯を思い切り食い縛って、
ズッ! ズッ! ズズズッ!!! ブチ!! ブチブチッ!!!
「くぅ〜〜〜っ、うぐっぁぁぁぁぁぁああああああ、ぎいぃ〜〜〜〜〜いいいぁぁぁっっっっっ!!」
・・・ボトリ
「はぁっ・・・! はあぁぁっ・・・! グスッ ヒィッグ はあぁぅっ・・・グスッ」
一気に片乳房を切り取ってしまった。
「ほら、まずは1つよ」
そのお椀型の肉を手に取って誇らしげに微笑む彼女。
だけど目には涙が滲んでいるし、もう片方の手が傷口を庇っている。
その姿は本当に痛々しい。
差し出された肉片を手に取ってみた。
大きさの割りにずしりと重い。
彼女の、一部なんだ。彼女が、私にくれた。
大事にしなくては。大事に食べなくては。
そう思った。
「後はもう片方と、肝臓と脚とお尻、それに性器、だったよね?」
彼女は再び包丁を手に取る。
そして戸惑うことなく、更にもう一つの乳房も切り落とした。
彼女の口から今度は絶叫が・・・
〜妄想中断〜
ここで箸が止まった。
白米が不味くなったからだ。
そりゃそうだ。
私は咲夜さんの苦しんでいるところが見たい訳では決して無い。
ただ、咲夜さんが好き。好きだから食べたい。
それだけのこと。
もっと幸せな、美味しい方向へシフトチェンジしよう。
目の前の山盛りご飯は、まだまだ半分は残っている。
〜妄想再開〜
「出来たわよ」
「え!? 出来たって、たった今始めたばかりじゃ?」
「馬鹿ね、私の能力を忘れたの?」
いつの間にか(きっと時間停止中に)料理は全て完成していた。
始めから時間を止めなかったのは、私をヒヤヒヤさせようとしただけだろう。
つくづく、罪な女性だ。
そんな彼女は今、腰から下と両胸を無くした姿で私の目の前にいる。
本当なら人間にとっては致命傷だ。
だけど、包帯による止血と永遠亭製の生命維持装置のお陰でまだ生きていられる。
少し苦しそうではあるものの、私とお話出来るくらいの余裕はあるようだ。
私はそれが嬉しい。
まだ彼女が生きている内に「美味しい」って言ってあげられるから。
「出来上がったのは、全部食卓に置いてあるからね。だから、連れてってよ。美鈴」
足がないから食卓に行けないと、仕草で説明する彼女。
一人で食卓まで行けないのなら、どうやって料理をそこまで運んだのかは謎だ。
だけど甘えた目でこちらを見る彼女の前では、そんな疑問は瑣末な事だった。
「はい、喜んで」
傷口に触れないように、ゆっくりと咲夜さんを抱え上げる。
かなり軽くなった。それに小さい。
さっきまでは私と同じくらいの背丈だったのに、今はまるで子供みたいだ。
抱っこした腕の中で、私の顔をじっと見上げている様子も含めて。
「これが今日のご馳走、『咲夜尽くし』よ」
「わあ、凄い!」
食卓に来た私達を、テーブル一杯の料理達が迎えてくれた。
部屋中に充満する美味しそうな臭い。
この全てに咲夜さんが使われているのかと思うと、感動のあまり泣いてしまいそうになる。
「お腹空いているだろうから沢山作ったけど、幾らなんでも多すぎたかしら?」
「そ、そんな事無いですよ! 全部食べさせて下さい」
「うん、温かい内に召し上がれ」
まず咲夜さんを席に付かせて、私はその反対側の席に座った。
「いただきます」
まずは何から食べよう?
やっぱり、最初はサラダからだよね。
冷しゃぶサラダだろうか?
キュウリやネギ等の野菜の上にボイルされた肉、それに胡麻ダレベースのドレッシングがかけられている。
バンバンジーサラダにも近いかも知れない。
でも箸で摘もうとした時、そのサラダの正体が分かった。
「あれ? この肉、ひょっとして・・・」
すると少し恥ずかしそうに、咲夜さんは言った。
「そうよ。『十六夜咲夜の女の子サラダ』、どうかしら?」
そうか、これは咲夜さんの性器の肉だったんだ。
早速、食べてみる。
美味しい!
よく冷えて、シャキシャキの野菜。
濃すぎない、サッパリとした胡麻ダレ。
そして、歯ごたえのある小陰唇は噛むごとに味が染み出てくる。
更に膣肉のヒダヒダに胡麻ダレが良く絡んでいて、それで野菜を包んで食べればもうたまらない。
人食い妖怪の私でも、人間の女の性器を食べるのは初めてだ。
だけど分かる。
この調理法は間違いなく正解だ。
それも多分、100点満点。合格点なんてレベルじゃない。
咲夜さんだって、ここを料理することは今まで無かっただろう。
なのに食材の性質を的確に見定め、最善の調理法を選び、ほぼ完璧に近い料理に仕上げた。
今更ながら、彼女の才能に感服する。
暫く食べていると、コリッとした食感がした。
きっとクリトリスだ。
既に口の中に入っているそれを、名残惜しくも噛み締めた。
やがて、私は前菜を全て平らげてしまった。
「サラダは美味しかった?」
「ええ。こんなに美味しいサラダ、私は食べたことありません」
「良かった。でもそんなこと、あなたの顔を見れば分かるけど」
咲夜さんは満足そうに、そして幸せそうに微笑んだ。
勿論、私だって幸せだ。彼女の女の子がとても美味しかったから。
これだから料理って素晴らしい。
作る方も、食べる方も幸せにしてくれる。
「さあ、どんどん食べてよ。まだまだあるんだからね」
「はい。遠慮はしませんよ」
次に私の目に留まったのは、角煮とレバーの炒め物だった。
まずは角煮。
箸で持ち上げる。
ぷるるんと震えて、脂が滴り落ちた。
「凄い脂肪・・・これって咲夜さんのおっぱいですか?」
「うん。柔らかすぎるから、煮崩れしないように気を付けたの」
丸ごと口の中に放り込む。
柔らかい。いや、とろけるようだ。
さっき掌で感じた、あの柔らかさが舌の上で再現された。
そして溢れ出す濃厚な脂肪。
なのに全然しつこくない、サッパリとした脂質。
牛と魚のいいところだけを足したような、極上の脂。
更に素晴らしい事に、私を楽しませてくれるのはその肉汁だけでは無かった。
甘く仕立てられた醤油ダレも良く馴染んでいて、一緒に舌の上で踊ってくれている。
おっぱいは私も昔食べたことあるけど、あれは全然こんな感じじゃなかった。
私の料理が下手だからなのか、タレと喧嘩していた。
味がするのは表面まで。中は水っぽくて、つまらない単調な味。
でもこの角煮は、それこそ肉の中までしっかりと味が染み込んでいる。
信じられない。醤油と脂肪がこんなにも仲良く共存するなんて。
豊富に溢れ出す脂を殺すこと無く、自身も殺されること無く。
主役の咲夜さんを引き立てつつも、その存在をしっかりとアピールしている。
これは彼女の料理人としての才能のお陰なのか、それとも持って産まれた肉としての素質なのか。
分からない。
分からないけど・・・
咲夜さんが咲夜さんを料理する時、こういうことが起きるのかと思い知った。
そして次はレバー。
ニラやレンコン、ニンニクと一緒に炒められている。
ここまでこんなに美味しかったのだから、きっとこれも美味しい筈。
一口、食べる。
その私の期待は、見事に応えられた。
レバーなのに臭くない。
しっかりとした歯ごたえと共にまろやかな味が押し寄せる。
その後、やって来るほのかな心地よい苦味。
だけど嫌な、生臭い苦味じゃない。
レバーがレバーである為に、持っていなければいけない苦さ。
完全に消してしまう訳には行かなかった。
必要最小限、美味しさの為と言う使命を課せられた、残るべくして残された精鋭の味。
その脇をニラとニンニクが固める。
頼もしいパートナーを得、咲夜さんのレバーは一気に私の口の中を駆け回る。
いや、フルスロットルで胃の中まで。
そうして私の身体に熱を与える。その熱が、更に私の食欲を奮い立たせるのだ。
これぞスタミナ料理の醍醐味ではないか。
更に役者は彼らだけではない。
マイペースなレンコンはこの鉄火場でもレンコンだ。
カリカリ、シャキシャキ、ちょっとしたアクセント。
まるで「まあ、休んでいきなよ」とでも言っているかのよう。
それにショウガも入っているらしい。
他の誰とも違うやり方で、ピリリと刺激をくれる。
そしてこれは酢だろうか?
濃い目に味付けされた中にも一筋の清涼感。
暴走しがちなレバーやニンニク、ニラを抑える役割を果たしている。
こんな沢山の登場人物に支えられ、プリマドンナであるレバーは思う存分輝いていた。
「さて、それじゃいよいよ・・・」
「あ、待って美鈴。実はもう一品、作っておいたの」
「もう一品、ですか?」
「うん。サラダ作っている時に急に閃いてね。これよ」
咲夜さんが私の目の前に小鉢を差し出した。
その料理を見た瞬間、ハッとした。
それが何であるかなんて、一目で分かるからだ。
「咲夜さん、これって・・・」
「『十六夜咲夜の子袋詰め』よ。多分、不味くは無いと思うけど」
煮たせいで縮んでいるけど、間違いない。
これは彼女の、咲夜さんの子宮だ。
「いただきます」
知らぬ間に、私の手が伸びていた。
試しに箸で半分に割ってみる。
!?
これはご飯、中にご飯が入っている。
聞いた事がある。
外の世界の料理、『いかめし』
ゲソとハラワタを取り出したイカの胴体にもち米を詰めて、醤油風の出汁で炊いたもの。
これもそれと全く同じ要領で作られたのだろう。
ただし、イカを彼女の子宮に代えて。
なるほど、イカのそれとは違うが子宮にも独特の旨味がある。
これは今まで食べた、咲夜さんのどの部位にも無かった旨味。
それがまた醤油出汁と良く合うのだ。
さっきの角煮といい、咲夜さんは本当に醤油に愛されている。
いや、醤油だけじゃない。
胡麻ダレだってニラやニンニクだって、そうだ。
味噌とだってきっと素晴らしいハーモニーを奏でてくれる筈。
彼女は全ての調味料、全ての食材に祝福されて生まれてきたに違いない。
この世のあらゆる食べ物の女王、食の頂点がこの十六夜咲夜なのだ。
話を子宮に戻そう。
では、その中で炊かれたもち米はどうなっているのか?
当然旨味を全て吸い込んでいるに決まっている。
子宮、それは中に子供を宿す為の器官。
我が子を守り、育てていく為の器官。
そこで、咲夜さんの子宮はもち米を子に選んだ。
そして母の愛情、滲み出るエキスをふんだんに受け取り固い米粒は柔らかに炊き上がった。
これは他の器官には真似できない。
正に子宮にしか出来ない芸当だと言える。
そんな母子の絆に舌鼓を打っていると、中から小さな肉粒が出てきた。
ブチッと潰せば舌に襲い掛かる何重もの波状攻撃。
ほんの小さな粒なのに、信じられないほどの分厚いコク。
子袋の中には、更に同じものがもう一つ。
これは卵巣だ!
新しい生命を作り出すところだからこそ、こんなに力強い味が出せるんだ。
「ごめんね」
突然、彼女はそう呟いた。
こんなに私は感動しているのに、何を謝ることがあるのだろうか?
「え? 咲夜さん、どうして?」
「本当だったら子宮や卵巣だけじゃなくて、『子持ち咲夜』もご馳走出来たのに」
『子持ち咲夜』、つまり咲夜さんだけじゃなくて咲夜さんのお腹の中の赤ちゃんまで・・・
彼女の子だもの。きっと元気で可愛い、美味しい赤ちゃんに決まっている。
確かに、何て素敵な事だろう? だけど・・・
「だって美鈴ったら、いきなり私が食べたいなんて言うんだもの。
せめてもっと早く言ってくれれば、急いで妊娠してあげられたのに・・・」
「いいんですよ」
「だけど・・・」
「だって咲夜さんのヴァギナも子宮も卵巣も、一度も使って無かったんでしょう?
全部、私だけの為にあったみたいで・・・
咲夜さんは私に食べられる為に女の子に生まれてきたみたいで、嬉しいです!」
「・・・うん。美鈴がそう言ってくれるなら・・・私も、嬉しい」
ジュゥー、ジュゥー、ジュゥゥー
「ほら、出来たわよ」
コトッ
メインディッシュ、太股と尻のステーキだけは咲夜さんが目の前で焼いてくれた。
どうしても焼きたてを食べて欲しかったらしい。
お陰で新鮮な肉が焼かれる臭いを正面から食らう形になり、私の腹は再度唸り始めた。
ステーキと今までの料理の違い、それは殆ど肉の独壇場であること。
何度も言ってきたように、これまで咲夜さんが魅せてくれたのは他の調味料や食材との調和だ。
しかしこのステーキは違う。
精々、コショウを少しふり掛けるだけで他は何も特別な味付けはしない。
ここに来て初めて一対一の真剣勝負が始まる。
もっとも、私は何も心配なんてしていない。
彼女の食肉としての実力はもう嫌というほど思い知った。
今更、このステーキが不味くなる訳がない。
厚い信頼を持って、大いなる希望と共にかぶり付く。
これは・・・凄い!
ありのままの人間の味がする。
この幻想郷を生きた、本物の人間の肉の味だ。
私がこっちに来てから美味しいと思っていた人肉は、実は美味しい人肉じゃなかったんだ。
ただの美味しい脂肪、もしくはただの柔らかい肉。
それだったら牛や豚でもいいわけで、何も人間でなくてもいい。
いや、食肉用の家畜として飼育されてる分、人肉より上かも知れない。
でも人食い妖怪の私が人間に望んでいたのは脂とか、柔らかさとか、そういうものじゃなかった。
このステーキには人間の優しさ、希望、生命、人生がそのまま味になって詰まっている。
動物如きには絶対に出せない味だ。
もしくは配給でやってくる人間共にも出来ない。
全く恥ずかしい。
日頃、人間を食べたいなんて言ってる癖に、本当の人間の味を忘れていた。
意志を持った人間の肉ってこんなに美味しかったんだ。
咲夜さんは私にそれを思い出させてくれた。
しかもそれが極上の人間、咲夜さんの肉なのだから・・・
「グス・・・ヒック・・・グスッ・・・」
「咲夜さん・・・?」
いつからだろうか? 彼女は泣いていた。
「あの! もしかして、傷口が痛いんですか?」
「えぐっ・・・違うわよ。あなたが・・・ヒック・・・そんなに美味しそうな顔をするから・・・グズッ」
「私が、ですか?」
「だって私、人間だから・・・大好きな美鈴に美味しく食べて貰うのが夢で・・・
だから、そんなに幸せそうにされたら・・・感動しちゃって・・・」
そうか、彼女が満たしてくれるのは私のお腹だけじゃない。
この人は、美味しいご飯を作ってくれるだけじゃない。
この人は、美味しいご飯になってくれるだけじゃない。
まるで私の食用女神。
私は咲夜さんが好き。
「ねえ、美鈴。わたしのこと、美味しい?」
「はい。とても美味しいです」
「他の誰よりも?」
「美味しいも、大好きも、咲夜さんが私の一番ですよ」
「私が好きなのは、美味しいから?」
「いいえ。あなたが好きだから、美味しくて、美味しいから、もっと好きになるんです」
「私も、美鈴が好きだから美味しくなれたんだと思う。ありがとうね、美鈴」
「ありがとうございます。咲夜さん」
ステーキが全て私の胃に納まって十数分後。
食卓に少し気まずい空気が漂う。
それも仕方が無いこと。
咲夜さんは脚や内臓、果ては性器に至るまで私に食べられてしまった。
自分の味を知られるなんて、年頃の少女にとっては顔から火が出るほど恥ずかしいに違いない。
そんな彼女を見ていると、なんだかこっちまで恥ずかしくなってくる。
私は意を決して、額を床に擦り付けて宣言した。
「今日は本当にありがとうございます!
さっき言ったことは嘘じゃありません。私、本当に咲夜さんのこと愛してます!」
「そんな、恥ずかしいじゃない・・・」
彼女の頬はますます赤くなった。
そして再び訪れる長い沈黙。
更にそれからおよそ数分後、今度は彼女が何かを決心した。
「・・・決めた。あのさ、もう一品だけ食べられる?」
「は、はい。咲夜さんなら幾らでもお腹に入りますよ」
「良かった。次が最後の料理だからね」
時間を止めたのか、彼女が言い終わると同時に鍋が食卓に現れた。
既に中は茹っていて、ポン酢の入った小鉢まで用意されている。
「これは、ひょっとしてしゃぶしゃぶですか?」
「正解。『十六夜咲夜の脳しゃぶ』、勿論食べてくれるよね?」
彼女は自分の頭に手をやった。
帽子を脱ぐようにして頭のてっぺんが外れ、ピンク色の脳みそが露になる。
「でも、それを食べたら咲夜さんは・・・」
死んでしまう。
あれを食べたら最後、二度と彼女に会えなくなってしまう。
「いいのよ。どうせもう長くは生きられないし。
それに私、美鈴に全部食べて貰いたい」
「そんな、いくらなんでも・・・」
「ねえ、いいでしょ? 私のこと、好きなんでしょ?」
こんな殺し文句まで言われたら、抗いようが無い。
拒否できる訳が無かった。
「分かりました。咲夜さんの生命、いただきます」
「これ、使ってね」
彼女から匙を受け取った。
普通の湯豆腐杓子で直接掬ってしまうと、網目のせいで脳が崩れてしまうかも知れない。
そこで匙で掬い、湯豆腐杓子に移してから湯に漬すことになった。
今、私のすぐ目の前に彼女の顔。
そして、外気に晒された薄桃色の脳。
頭蓋骨は丁寧に切り取られ、その下の膜も綺麗に取り払われている。
「そ・・・それじゃ、食べますよ」
「あ、でもその前に一つ約束して?」
「何ですか?」
「私が死んだ後も、残った私の身体は全部食べて欲しいんだけど」
「当然です。私一人で食べつくしますよ。誰にもやるものですか」
「うん、約束よ」
それを聞いて彼女は安心してくれたようだ。
本当に何の未練も無い、心から満たされた表情で私のことをじっと見つめていた。
私の匙が彼女の最も大事なところ、無防備になったそこに迫る。
それでもまだ、彼女は真っ直ぐ私だけを見ていた。
「あ・・・」
一杯、掬い取った。
痛みは無いだろうが、自分の脳を切り取られるのは感じたらしい。
言われた通りに杓子に移し、湯にくぐらせる。
ピンク色だった小さな大脳の欠片は、すぐに濁った白色に変わった。
それからポン酢に漬し、私の口へ。
「美味しい。流石、咲夜さんです」
味としてはアン肝に似ている。
でもアン肝より少しサッパリしている感じ。
それでいて後からじわりと味がやってくる。
蕩けるような食感はこっちの方が上だろう。
生だとプリンのように脆い脳だけど、湯に通したことで適度な固さになった。
すぐに飲み込んでしまうのは勿体無い。
口の中で溶けるまで、十分味わって食べたい。
そんな風にして一掬いずつ、ゆっくりと咲夜さんの脳を食していく。
「めいりん、美味し・・・い? 私、おいひぃよ・・・ね?」
「はい。咲夜さんの味は一生忘れませんよ」
咲夜さんの眼がとろんとしてきた。
それでも私の目を見つめてくれるので、私も彼女の顔を見つめ続けた。
「めぇりん・・・しゅきぃ・・・らいしゅきいぃぃ」
「咲夜さん、美味しいです。咲夜さん・・・」
咲夜さんの言葉がおかしくなってきた。
それでも私の名前を呼んでくれるので、私も彼女の名前を呼び続けた。
「めぇ・・・り・・・ゅきぃ・・・ぁぃし・・・てりゅぅ・・・」
「私も、咲夜さんが大好きですよ。誰よりも愛してます」
遂に咲夜さんの意識が殆ど無くなってきた。
だけどそれでも笑っているので、私も笑っていた。
ああ、美味しい。ああ、愛しい。
「ごちそうさま」
これで本当に私の夕食は終わりだ。
中身を全て吐き出し軽くなった咲夜さんの頭が、食卓の上に突っ伏していた。
私は頭の蓋を被せてやると、彼女を抱え挙げて台所に戻った。
この死体はなるべく新鮮な内に解体して保管しなければ。
私にその命までくれた彼女の為に。
これなら3日は持つだろうか?
いや、あんなに美味しいのだもの。
明日にも全て平らげてしまうかも知れない。
少なくとも、それまで他の料理なんて一切口には入らないだろう。
ただ、首から上は切り取って大事に保管しておこう。
中を洗って食器かお弁当箱にするつもりだ。
そうすれば、これからずっと咲夜さんと一緒にご飯を食べられる。
すると咲夜さんで満杯になったお腹の中から、こんな声が聞こえてきた。
「めーりん、だいすき!」
私はその声に応えて、自分のお腹をさする。
咲夜さんが私の中に溶けていった。
〜妄想終了〜
「う・・・ん・・・?」
目が覚めた私は、自分が丼の中で熟睡していたことに気が付いた。
顔中が飯粒だらけだ。
「もしかして私、ご飯を食べながら寝てた?」
どうやらそうらしい。
外はすっかり暗い。丸半日サボってたなんて、咲夜さんにバレたら大目玉だ。
ところで、あれだけあった白米はすっかり無くなっていた。
食べ終わってから寝たのか、それとも寝ながら食べていたのか?
どちらにしろ、食事中に寝るなんて異常だ。
咲夜さんをおかずにご飯を食べるのは、もう止めにしよう。
でも、それにしてもいい夢だった。
正夢だったら本当にいいのに。
現実の咲夜さんは、私に食べられてくれないだろう。
私が誰よりもあの人を美味しく食べてあげられるのに。
骨まで残さず全て・・・
コンコン
「美鈴、ここにいるの?」
「え、あ、はい! 何でしょう?」
咲夜さんだ。こんなタイミングで彼女がやって来た。
「持ち場にいないと思ったら、休憩中だったのね?」
「え、ええ。そんなところです」
「昼間に言ってた差し入れ持って来たんだけど、もしかしてご飯はもう済ませちゃった?」
「だ、大丈夫ですよ! 今、食べ始めたばかりですから!」
本当はあんな山盛りの白米を食べつくした後、今まで寝ていたのだ。
お腹が減っている訳がない。
だけど、どうしても咲夜さんの作った料理を食べたい気持ちになっていた。
「そう? だったらこれ、食べてね」
「ありがとうございます。・・・って、これは?」
昼間、私が食べたいと言ったのは確かにエビチリの筈だ。
だけど差し入れの中身はグラタンだった。
どうしてだろう?
「ごめんなさい。実はお嬢様が『辛いものは嫌だ』なんて言うから」
「お嬢様が・・・?」
「ええ。お嬢様の我侭も困ったものよね。買い物の後だったのに」
「そう・・・ですか」
「約束のものじゃないけど、もし良かったら食べてくれる?」
「はい。いただきます」
胃が重い。
折角貰ったグラタンなのに一口食べただけで食卓に放置していた。
そうだ。
美味しく食べて貰えることなんて、咲夜さんには関係ない。
彼女が食べて欲しいのは、ただ一人。お嬢様しかいない。
咲夜さんの血も肉も、心も命も、全てがお嬢様のものなんだ。
例えお嬢様が『不味い』と言っても。
どんなに私が愛していても。
私なんかには一口だってくれやしない。
その夜、私は昼間の夢の続きを。
咲夜さんにお仕置きされるのを。
せめて彼女に滅茶苦茶に犯されるのを想像して・・・
その・・・一人で・・・
生命維持装置だとか、色々と都合のいい部分はありますがそれは妄想だからです
大車輪
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2010/02/04 12:05:23
更新日時:
2010/02/04 21:05:23
分類
美咲
重すぎる……。
あれ、なんか腹減ってきた…
こいつにはブレーキがないのか
妖怪が人間を愛したら結局こうなるんだろう
あとどんぶり飯。