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『信頼するに値しない』 作者: SANO
####紅魔館門前####
「ちわーす、宅配です。判子かサインお願いしゃーす」
「あ、はーい。サインで良いですか?」
「どうもっす。じゃ、これで」
「誰宛かなっと…あれ、咲夜さん?」
〜ある日、十六夜 咲夜の元に小さな箱が届けられた〜
####客間####
レミリアが紅茶を飲んでいると、突然美鈴がなだれ込むような勢いでやって来た。
いつものような温かな笑みなど浮かべていない。
表情は、焦り。
かなり息切れしている事から、相当急いでやって来たのが伺える。
嫌な予感しかしない
レミリアが何事かと問おうと口を開いたが、美鈴が放った言葉を聞いて、しばらく声を発するのを忘れた。
「咲夜さんが……咲夜さんが、突然消えて……どこを探しても居なくて…その…」
「…なんですって?」
レミリアが美鈴から聞いた説明はこうだ。
ついさっき、美鈴は男からプレゼントを受け取った。
プレゼントはすぐに美鈴の手によって咲夜の元に届けられた。
しかし、当の咲夜は身に覚えがないと言っていた(美鈴が最後に聞いた言葉だそうだ)
プレゼントは正方形の小さな箱。
そして2人はその場で箱を開けて中身を確認、咲夜は美鈴の前から突如消えた。
時を止めてその場を離れたのだろう。
プレゼントをその場に残して……
全く訳が分からない。
「で、これが箱の中身?」
箱の中には白い小さな紙が一枚。
だが、そこには何も書かれていない。
「はい、そのままお持ちしました。咲夜さんと一緒に箱の中身を確認したんで間違いないです」
「紙に何も書かれてないけど…呪文か何かかけてあるのかしら。美鈴、もういいから門番の仕事に戻りなさい。私がパチェに聞いてみるわ」
####図書館####
「そう、それでこれを…」
「何か分かるの?」
「レミィの推測通り、これには呪文がかけてあるわ。人間にしか書かれている文を読めないようにする、ね。簡単に解除出来るから、ちょっと待ってて」
パチュリーのおかげで、あっさりと紙に書かれた呪文が解けた。
パチュリーが浮かび上がった文字を読み上げる。
『咲夜、いつも頑張っているあなたに褒美を与えるわ。この紙と一緒に箱に入れておいたから。貴女を信頼している証として受け取ってね
レミリア・スカーレット』
「何これ?私はこんなの書いた覚えはないわ。大体箱には何も入ってないじゃない」
レミリアは紙に書かれている事の真意を理解する事が出来なかった。
「なんて事……」
パチュリーはどうやら気付いたようだ。
「これの何が問題なの?」
こんなのただのイタズラではないか。
咲夜が何故姿を消したのか益々分からない。レミリアはそれぐらいにしか考えていない。
「レミィ、良く聞いてね?この紙は確かにイタズラレベルの物よ。でもね、貴女が書いた物として彼女に届けられた。分かりやすく言うと、これには"出ていけ"と書かれているわ」
「どういう」
「良いから黙って聞いて。実際箱には紙に書かれたような褒美は入っていなかった。ここで大事なのは『レミリア・スカーレットが、箱に入ってると断言してる』事なのよ。普通は仕える者が主から何かしら褒美を貰った時、お礼を言いに行くわよね?でも実際は受け取っていない。お礼など最初から存在しないから当然。従者がいつまで経っても報告に来なかったら、主はどういう事だって言いに来るわよね?その時、咲夜は仮に『何も入ってなかった』と言ったとするわ」
『失礼ですがお嬢様、箱には何も入ってなかったのですが』
『あら?私は確かに箱に入れた筈なんだけど。主を信用しない従者なんて必要無いわ。本当は貰った褒美を隠してるんでしょう?』
「そ、そんな事っ」
「…『受け取った』と言ってもきっと」
『お嬢様、褒美はちゃんと頂きました』
『私はあの中に本当は何も詰めてなかったのよ?平気で嘘をつく従者などこの館に必要無い』
「それに、文面には"信用の証"と書かれていた。つまり…それが示す事は」
あなたを信用していない
「嘘でしょ……」
「止めとばかりに、この文字は人間にしか見えない。どうしていいか分からなくなった咲夜は、隣で一緒に見ていた美鈴を………文面を見ても何の反応も示していない美鈴を見た。そして、悟ってしまったのよ」
"ワタシハコノヤカタニヒツヨウトサレナクナッタ"
後日、咲夜の部屋からおびただしい量の精神安定剤が見つかった。
永遠亭のカルテを見ると、どうやら彼女は重度の脅迫障害を患っていたようだ。
些細な事でも人を疑ってしまい、人を信じる事が出来ない病。
外の世界に居た頃の彼女は、その能力故に迫害に近い仕打ちを受けていた。
それがトラウマとなり、薬漬けでも無い限り安眠する事すらままならない程に彼女の精神は蝕まれていたのである。
あのトリックを見破るのに最も重要である、相手を信頼すること。
そう、彼女は最初から自分の主を信頼出来ていなかったのだ。
その後も咲夜が紅魔館に戻って来る事は無かった。
そのまま消えたかのように見えた咲夜さんでしたが、実はあの有名企業「ホテル白玉楼」に就職していた。
面接では「幽霊ならいける。いや幽霊でないとダメだ」と真剣な態度で力説し、その結果見事に採用。
炊事、洗濯、家事、親父といったあらゆる作業をそつなくこなせる為、オーナーの幽々子氏も大満足の御様子である。
「今年は良い新入社員が入ったわ〜。妖夢にも見習って欲しい物ね〜」
早くも若手同士の競り合いが始まりそう!?
今後もホテル白玉楼から目が離せない!
再upです…ご迷惑をおかけしました。
コメント書いてくれてた方々
勝手に消してすいませんでした…
読んで下さりありがとうございます。
本当は、小悪魔とのハートフルストーリーを書く筈だったのに何故こうなった…
パチュリーは咲夜さんの病を知っていました。
脅迫障害とは作者が勝手に考えました、すみません。
前回コメントを下さった方々、ありがとうございました。
これからも生暖かい目で見守って頂ければ幸いです。
SANO
- 作品情報
- 作品集:
- 12
- 投稿日時:
- 2010/02/13 17:56:58
- 更新日時:
- 2010/02/14 02:56:58
- 分類
- 十六夜咲夜
しかし誰が送ったのやら。
でも面白かったです!
全く小姑みたいな奴だぜパチェは
CMは「白玉楼よ〜ん♪」ですね分かりました