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『東方スカ娘「腹痛の無間地獄」』 作者: おたわ

東方スカ娘「腹痛の無間地獄」

作品集: 12 投稿日時: 2010/02/15 16:44:28 更新日時: 2010/02/24 03:49:34
何時の間に幻想郷に知れ渡ったのやら、静かに、熱狂的に、その新たなお祭りは行われた。
祭りの名はバレンタインデー。幻想郷には、男女関係無く好きな人にチョコレートを渡すという、若干屈折した形で広まった。
しかし、その際限無く甘い響きに、幻想郷の住民はほろ酔い状態であった。
その状態に命蓮寺の連中も例外ではない。
仏教徒である彼女らも見事にほろ酔い気分であった。



「ふふふ、聖、私、その、チュコレート、貰っちゃいました」

夕方、ほっこり笑顔で聖こと聖白蓮の元へ小走りでやって来たのは寅丸星。
若干の謙遜が見える態度で歩み寄って来たが、その手には20個程の小奇麗さに包まれた小箱が抱えられていた。この結果は十分に胸を張って良い態度であった。
そんな星に対して白蓮は、「あら」っと口に手を当て少しばかり驚いた表情をして、

「星は慈善活動をよく人里で行っていますからね、やはり皆に好かれてるのね。凄いわ」

こう言ったのだが、白蓮の手元には重そうなダンボールが置いてあり、そのダンボールの中には甘い香りのチョコレートが溢れる様に詰まっていて、星の持っているチョコの数を圧倒していた。その数は総勢100近くはいくか、その様は寺の長と言うより寺のアイドルといったところだった。

「わ、す、凄い数……」
「さすがに白蓮は人気あるね、凄いものねぇ」

その甘い匂いに釣られたのか、村紗水蜜と封獣ぬえもやって来て、

「でも、ご主人様も大したものだけどね。聖によって霞んで見えるが20個は相当のものだ」
「さすが二人は寺の1,2トップと言ったところね」

お菓子に群がる蟻の如く、ナズーリンと雲居一輪と雲山もぞろぞろと現れた。
命蓮寺のコロニーとなった箱の周りはかくして騒がしくなった。

「しかしアレだね、私達は仮にも仏教徒な訳だ。この様な事はいいのだろうかね」
「いいのですよ。
 確かに、本来バレンタインデーはキリストの聖職者、ウァレンティヌスの殉教の日とされてきましたが、
 現在は日本独特のアレンジが施され、原型など全く残っておりません。
 もはやこれは日本特有のお祭りと見てよいでしょう」
「原型が残っていない? 大嘘だね、それは。名残は今でもある。
 ご主人様の話は起源の話だ。所謂バレンタインデーはその後すぐ変わった形へと変化していき……」

仏教徒がバレンタインデーを楽しんで良いのかと異論を呈するナズーリンに対し、星が食いつく。
寺の中でも比較的知性派な主従が、お互いの知識をぶつけ合う。
この二人を除いた五人は、それぞれ地底、法界に封印されていた為、日本でバレンタインデーがこのような形で精通しているとは知らないのだが、お構いなしである。
折角の甘い雰囲気が台無しだと、一輪は呆れながら討論の行く末を見つめるのだが、白蓮はこれも祭りの楽しみ方の一つと、微笑ましそうに異論の行く末を見つめる。

その後、早々に二人の議論は意味が分からないほどの理論の飛躍を遂げ、傍聴していた5人は全くついていけなくなった。
チョコが溶けてしまいそうな熱い議論を交わしている二人はそっちのけで、こちらはとろけるような甘い会話を交わす事にしたのだった。

「でさっ、でさっ、一輪は何個貰ったのよ」
「んー、ざっと10個ってとこね」
「一輪は人里でも別嬪だと有名ですからね。流石だわ」

さて、きゃっきゃうふふと言う声が漏れてきそうな甘い会話が展開されつつあったのだが、話題を振った筈の彼女はそれを許さなかった。

「なーによ白蓮、その典型詩。面白くないわねぇ。私が白蓮だったら、
 ま、私には全く及びませんけどね、って返してやるのに」

ぬえだ。
つまらなそうな顔、嫌らしい流し眼、そして満面の笑み、表情を器用にもコロコロ変えながら白蓮に食ってかかる。

「ちょっとぬえ、姐さんに失礼でしょう!?」

食ってかかる者もいれば、援護する者もいる。一輪が目角を立て、白蓮を援護した。
ぬえがあのような態度を取る事は何時もの事で、お陰で命蓮寺では紛争が絶えない。
白蓮も一輪たちからのクレームを度々受ける為、彼女に注意を施す事もしばしばあるのだが、彼女は恒常的で聞く耳を持たない。
もっとも最近では、精神の若い者たちの喧嘩を見る事が、のんびりとした生活に刺激の一つとなって良いかもしれないと、白蓮自身も感じるようになってきたのだが。

「そして私にも失礼ね」
「まぁ、まぁ、落ち着いて。冗談だよ」

珍しくぬえが一歩引いた。
一輪は不服そうに腕を組むのだが、白蓮が仕方なさそうな顔でにこりとしている姿を見て、ばつが悪そうながらも落ち着きを取り戻した。

さて、先程から騒がしい中、一人沈んだ表情をしているのは村紗水蜜だったが、ぬえが彼女のその変容に気付くと、まるで新しい玩具を見つけた子供のように、にんまりと笑った。

「うふふ、ムラサは何個貰ったのかしら?」
「あぇ!?」

まさか自分が問われると思っていなかった村紗は思わず素っ頓狂な声を上げ、辺りをギョロりと見回した。
妙に甲高い声を発してしまった事で、まず少し赤面し、今度は周りの意識が自分に集まっている事に気付いて、また少し頬の赤を強めた。
そして、僅かなタイムログを置き、ごくりと唾を飲んだ後、

「え、あー、あー、こ、こういうのは、質問する前に自分から、そう、自分から言うべきなんじゃないの?」

ぬえに柄杓を向けつつ、こう言って退けた。
明らかに上手く呂律が回っておらず、なんらかの動揺を隠せていない様子なのだが、本人は至って平静を保てている気なのである。笑ってはいけない。彼女は純粋なのだ。

「うっ、くくく……」
「えっ、えっ?」
しかしここでの忠告が聞き入られる筈もなく、ぬえは村紗の余りにもな態度に薄ら笑ってしまった。
一輪がキッとぬえを睨むのだが、時は既に遅し。村紗は「なに、なに?」といった表情で周りの顔色をキョロキョロと窺っている。

「うふふ、皆、久しぶりの甘味に口元が緩くなっているのよ。それで、ぬえは何個貰ったのかしら」

ここで白蓮のフォローが入り、せっかく面白くなってきたのに、と言わんばかりにおちょぼ口をするぬえだったが、少し経つと、なにか妙案を思いついたようなハッとした表情をした。
ぬえの思いつく案には大抵碌なものがない。その不吉な表情を見てしまった一輪は、また善からぬ事を企んでるな、と思わざるを得ないのだった。

「私はね、10個、そう、10個ね。ま、妥当な数だったよ」
「えぇっ!? 嘘、嘘、10個も!?」
「なによ、私がそんな貰ってたらおかしいとでも言うの? それとも、なに不都合な事で起きるとか……」
「い、いや、なんでも……そうかぁ、10個、かぁ……」

ぬえの返答が予想外だったのか、村紗は驚き、しかして再び項垂れた。
だが、気のせいか、その驚き方は異様なまでに大きく、その後の落ち込み方も異様なまでに深く見える。
異様に異様を重ねた村紗の反応を見て、ぬえは何がおかしいのだかくすりと笑った。

「ささっ、私は言ったわよ。今度はムラサの番だね。どうやら皆は貰ったみたいだけど、ムラサはどうだかなぁ」

くすりと笑った次はにやにや笑ってこういった。笑い方一つにしても色々なバリエーションがあり、実に表情豊かな小娘である。
一方、村紗はぬえに再び貰った数の話題を振られて、分かりやすく一歩後ずさる。
そして、口に握りこぶしを当て、こほんと、これまた分かりやすく咳払いをして、

「そ、そうだなぁ、私もぬえや一輪と同じで、えっと、10個ってところ、かなぁ」

と言い、頭を掻きながら、ハハハと少し渇いた笑い声を出す。

「へぇ、奇遇ねぇ。3人とも10個貰うなんて」
「ふふっ、3人とも仲が良いのね」

見ていられなくなったか、すかさず一輪と白蓮がフォローに回る。
その際、二人は丁度ぬえと村紗の中間におり、村紗からはぬえが、ぬえからは村紗が見えなくなっていて、いかにもぬえから村紗を守るように、または、ぬえにこれ以上ちょっかいをかけるなと警告するような体勢をとっていた。
しかしその程度で屈するぬえではない、戻りかけた平穏な空気をぶち壊すこの一言、


「本当は貰ってないんでしょ!?」


この瞬間、空気は凍った。
この言葉が比喩とは思えない。長い沈黙、ギリギリまで張りつめた空間、更に妖怪達は一動きもせず、それは瞬きすらもしない徹底ぶりで、まるで人形のようであり、まさに一つの風景を切り取って急速に冷凍したような様であったのだ。

確かに、本当は貰っていないというのは誰から見ても一目瞭然。なぜって、あの慌てぶりだ。嘘をつくのが下手にも程がある。
しかしながら、本人がバレてないと思っている以上、彼女のプライド、名にかけて気付いてない振りを隠し通してやるものである。嘘を初めについた彼女に否はあるかもしれないが、周りがこれほどの数を貰っている状況では、自分は一つも貰っていないと告白するのにどうしても躊躇いを感じてしまうものだろう。ぬえに、この外道めが、という言葉を送ると共に、村紗には同情する他ない。                   

さて、この灰色の風景に色を再び彩らせたのは誰になるか。
長い10分ほど――体感時間は10分であったが、実時間は30秒程度に過ぎない――の静寂を破ったのは、凍った空気を作りだした張本人、ぬえだった。

「ちょ、ちょっと、なによう、皆が言いあぐねていた事を言ってあげただけでしょう?」

その声により、急速にこの空間は彩っていった。
その中で色を上手く取り戻せずにいたのは村紗だった。先程のセリフにより、自分の嘘が皆にバレバレだった上で、更に一輪と白蓮の二人に気を遣わせていた自分の失態に漸く気が付いたからか、フルフルと肩を震わせ、口をだらしなく広げて、今にも泣いてしまいそうな顔で呆然と立ちつくしていた。

「ああああああもおおおおおお!! ぬえ、あんたって奴は本当に……!」
「い、いや、だって、本当の事でしょう? 私、私は悪くないもん!」

一輪が雲山に指示を出し威嚇をさせる。肝玉が座ったぬえも流石にこれには恐れをなしたか、自分は悪くないと必死に手を振り主張する。

ぬえに対して怒り心頭な一輪に比べ、白蓮は冷静だった。強い義心を背負い、まず村紗を落ち着かせねばと考えた。
そして、白蓮は村紗にゆっくりと歩み寄ると、優しい笑みを浮かべ、村紗の頭を数回、溶けてしまいそうなほど優しく撫でた。そして短い二人の合間を更に縮め、村紗の体を、その柔らかな自らの身体で、母のように優しく包んだ。
包まれた村紗は、鉄のよう硬直した体が、じんわりとほぐれていくのが自分でも分かった。白蓮の優しさが体中に染み渡る。心拍数も落ち着き、体の震えも止まり、まさに魔法のような包容力。冷たい幽霊の体が温かさに包まれていく。村紗は一生このままでいたいと感じるほど、白蓮の優しい施しをしかと受けた。
しかしその温もりの絶頂はたった一声で、いとも簡単に崩れた。

「ところでムラサ、なんでチョコを貰えなかったか分かる?」
「あ、ちょ、反省してないの!?」

白蓮の優しい魔法によって一度は収まりかけたムラサの震えをぶり返させたのは、ぬえの話題を蒸し返す軽率な一言だった。
これには流石の白蓮も苦い顔をした。雲山の威嚇のおまけ付きで叱ってやったから、流石にこれ以上はムラサに手は出さないだろうという一輪の見解も見事に外れる事となった。

「え……あ、あうぅ、な、なんで、どうして、私は貰えないの……?」

怖いもの見たさか、興味本位か、村紗はそっと白蓮の抱擁を払って、震えた声で事の真相をぬえに尋ねた。

「そりゃ簡単。ムラサ、私とよく食料買い出しに人里へ行ってるでしょ?」
「正確には、仕事をサボる為の名実で勝手にムラサに付いて行ってるだけね」
「うるさいなぁ一輪。ま、それはともかくよ。
 そん時、私がよくちょっかい出すじゃん? ムラサが怒って碇を投げるじゃん? 避けるじゃん? 店に当たるじゃん? 潰れるじゃん? ほら、店の人に嫌われて、里の皆にも嫌われる」
「うぇ?」

転々と進む話に理解が追い付かなかったか、村紗があどけない声を出した。
そして視線を上に上げ、少しばかし物思いに更けたかと思うと、漸く理解が落ち着いたか、キッと鋭い視線を上からぬえに移した。

「も、ももも、もし、もしかして! 私が貰えなかった理由って……ぬえ……」

わなわなと震えながら人差し指をぬえに向ける。
するとぬえは満面の笑みで、

「うん!」

ギィン!

「ぬおぉぉう!」

突然、至近距離から碇がぬえに襲いかかる。無論、怒り狂ったムラサが投げたものである。
それを、ぬえは咄嗟に持っていた槍で碇をはじき返した。流石に勘の鋭いものだ。

「ふぅー、危ない危ない。流石にそんな至近距離じゃ避けきれないからね。いやぁ、槍、持っといてよかったよ」

ゴンッ

「うがぁ!」

今度は鈍い音が寺に響いた。
並の反射神経では反応できないほどの更なる至近距離で、白蓮の拳がぬえの頭部に炸裂したのだ。

「い゛、い゛だだだだぁ……」
「はい、喧嘩は止めて、そろそろ夕飯の準備でもしましょうね」

白蓮はやめたやめたと言わんばかりに、パンパンと手を叩くと、頭を両手で痛そうに押さえて蹲るぬえの首の襟を掴み、引っ張って何処かへ連れ去ろうと引きずる。

「まってまって! 他にもあるんだよ!
 たとえば、さっき私が10個貰ったっていうのは、ムラサに本当の事を告白させ辛くする嘘で……あがぁ!」

懲りず言葉を続けるぬえに更なる征伐が加わる。

「ぐぐぐ、あ、でも私、一応2個は貰ったんだよね。だから結局ムラサだけが貰っていないという事実に変わりはな……ひぎぃ!」

最後の最後まで懲りなかったぬえもここまで。
白蓮の手によって粛清され、ああああぁぁぁぁ、という情けない声を残し、長い廊下の闇の彼方へと引きずり込まれていった。

「はぁ、しつこい奴だったわね……それはそうと、ムラサ、大丈夫……?」
「……あ、うん、へい、き」

どうやら大丈夫ではなさそうだ。

その澄んだ目には怒り、悲しみ、呆れ、戸惑い、様々な感情を詰め合わせた様な、深く満ちた蒼がゆらゆらと揺れていた。その蒼はお世辞にも綺麗とは言い難く、色々な蒼が混じり合っており混沌としていた。

「ム、ムラ……」
「……ああぁぁぁああぁああああぁああああ! ぬえのばかぁああぁあぁああああぁああああ!!」

村紗は心配そうに伸ばしてきた一輪の手を振り払い、目にも止まらぬ速さで廊下を走り、ぬえ同様深い闇の中へと消えていった。

「むむむ……ぬえの奴、また面倒な事しれかしてくれたわね」

一輪は分かっていた。こういう時になると大抵自分が仲人を取り、両者の機嫌を取らねばならぬ事を。
今回はぬえがいきなりキレだしたりしないだろうか、村紗が愚痴を何時間も私に言い聞かしたりしないだろうか、星が変に干渉してきて裂け目を広げないだろうか。
未来を何通りも頭でシミュレーションして、碌な事が一つもない事に気付き、憂鬱な気分が入り混じった溜息を深く吐くのであった。



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「ううう、なんて可哀相なムラサ……」

そんな先程までの異様な光景を廊下の影で見ていた少女がいた。
最近よく命蓮寺に悪さをしに来る事で、寺の住民の専らの頭痛の種になっているという多々良小傘である。
おろろとハンカチで目尻を押さえ、オーバーに涙を拭う演技をする。
これは、大物の妖怪になるにはまず一つ一つの動作から大物らしく振舞わなくてはならないという、彼女の謎の心得からである。

さて、今日も寺の皆へ恐怖を与えに――客観的に見れば幼児の悪戯のようなものである――小傘は命蓮寺へやって来たのだったが、彼女には少々ショックの大きい非道な光景を目にしてしまった。なにを隠そう、今まさに彼女の目の前では、ぬえによる村紗の公開処刑を行われていたのである。
ぬえが悪魔の様な笑顔で村紗を恐怖のどん底に陥れる光景――少なくとも彼女にはそう見えた――を見てしまった彼女は恐怖で足が震えた。しかしそれと同時に、村紗に対する見るに忍びない念が浮かんできた。

「そうだ、私がムラサ宛にチョコを送ったら喜ぶんじゃないかしら」

幸い、小傘の手元には5個のチョコレートがあった。手に入れた経由は寺の住民とは違い、自ら頼み込んで手に入れたものである。
これも本来のバレンタインデーとは形式が違うのだが、日本とは違う、幻想郷流という事であろう。

「さて、どれがいいかしら……」

とりあえず5つのチョコを目の前に並べてみた。

山の上の神社の巫女を訪ねて貰ったチョコ。
その神社へ案内して貰う際に天狗から貰ったチョコ。
麓の貧相な神社に居た白黒から貰ったチョコ。
永遠亭の姫から貰ったチョコ。
ファンサービスという名目で配られていた幽霊楽団から貰ったチョコ。

「どれを渡せばいいのかな。やっぱり私が渡してあげる側なんだから、一番貧相なのでいいよね」

どれも小奇麗に包まれていて、美味しそうな見た目に関しては甲乙つけ難かった。
しかし、甲乙つける懸念材料はそれだけではない。大きさの問題もある。
一つ一つの大小を手で合わせて比べ合わせる。

やっぱりサービスで貰ったチョコが一番小さいみたいなのかな、でもあのお姫様から貰ったチョコも小さいなあ。それも装飾がイマイチだし……一番大きいチョコは早苗から貰ったチョコだ。それに飾り付けも可愛いや。

うーん、うーんと険しい顔で唸る。
そして、そのような様々な思考を巡らせた末に出た結論を高らかに宣言した。

「決めた! 姫から貰ったチョコよ! なんか小さくてちんけだけど、これでいいよね」

若干の妥協を踏まえながらも、永遠亭の姫――輝夜から貰ったチョコレートを渡す事にした。

渡すチョコを決めたはいいもの、この計画、問題がある。ムラサにチョコを渡す方法だ。無論、直接渡すなどは以ての外。男から女に渡すから意味があるのだ。
なんとかして、小傘は自分が作ったという事を隠蔽しつつ渡す必要がある。
顎に手をあて首を掲げ、いかにも悩んでますよー、といったポーズをとり、小傘は自身の小さな頭を捻り捻くり回した。
見れば近くに、紙切れが落ちていた。しめた! と小傘は思った。
小傘は懐から万年筆を取りだすと、サラサラと文字を綴りだした。

そして10分ばかし経った後、小傘はにっと口元を歪ませて、

「できたー!!」

と叫んだ。

「たった一人の為にここまでやってあげるだなんて、私はなんていい子なのかしら! 将来極楽街道間違いなしね!」

良く分からない自画自賛を交えながら、とてとてっと廊下を小走りで移動して行く。
やがて廊下の曲がり道で、既に議論をストップさせて和気藹藹と話している星とナズーリンの主従コンビを見つけると、

「こ、これ、これ! ムラサに届く筈のチョコレート! 誰からかは知らないけど、寺の前に落ちてたから……はいっ」

小包を手渡した。
いきなりの事でぽかんとした顔をしている二人を置いて、小傘はまた、命蓮寺の入り口に繋がる廊下を目掛けて走り出した。
走り去って行く彼女のその顔は、何故だか、凄くニコニコとしていたように見えた

何がなんやら分からない二人だったが、箱の裏側を見ると一枚の紙がペタリと張ってあり、紙には汚く読み辛い拙劣な文章が長々と綴られていた。
その内容も悲惨たるもので、ただ適当に、好きや愛してるといった言葉を羅列したような面白くない文章であり、誤字脱字は当たり前。更には文の入りがムラサへ、ではなくムフサへ、というわざとではないかと思われる程のベタな間違いをやらかしていた。
文の最後には『妖怪より』とだけ書かれていて、いよいよおかしいぞ、何かの悪戯ではないかと二人も勘ぐり始めた。
ふと、その紙の裏を見てみると、今度は逆に達筆な文字が綴られており、その内容を見ると、星は、どうも心当たりがあるぞ、と眉を顰めた。
そして、少しの慮りの末、顰めた顔をハッとさせた。

「これは、私が先程落としたメモ書きではありませんか!」
「ん? ご主人様のメモ書き? ああ、確かに筆跡はそれっぽいが、何故こんな幼稚な文章が?」

二人共、また思考の海に入りこんだ。目を瞑り、おでこの手を当て、うーんと唸る。
すると今度は二人同時にピコンとハッとしたような表情をして、拳で手のひらを叩いた。
そして二人は顔を見合わせ、何を思ったかにこりとほほ笑んだ。その笑みは非常に丸くて優して、とてもではないが直視できない輝きを放っていた。

「さ、ムラサに渡しに行きましょうか」
「ああ、そうだね」



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「えええええ! 本当!?」

二人がムラサを訪ねようと思っていた時には既に夕食の準備がされていて、皆の目の前でチョコを渡す事となった。
貰えるという見込みを全くしていなかった村紗は手を上げて喜んだ。

「ええ、本当です」
「ほら、これだ」

足踏みをして待ちきれない、といった様子の村紗を見て、二人は簡単な言葉を述べるのみにした。
ナズーリンがそっとチョコの包みを持った右手を伸ばすと、村紗はひったくる様な勢いで包みをぶんどった。

やはりまず先に目がいったのはその包みに付いていた手紙だ。
星とナズーリンが真剣な表情で手紙を読む村紗を不安そうに見つめる。

「わあ、嬉しい! わざわざ手紙まで付けてくれるなんて! それに、大好きだなんて……ふふっ」

どうやら二人の不安は杞憂に終わったようだ。ホッと胸を撫で下ろす。

「なんだい、1個貰ったくらいで嬉しそうに」
「嬉しいものは嬉しいの、それにあなただって2個しか貰ってないでしょう?」

貰えた数が0と1でここまで心の余裕に差がでるものなのか。
村紗はぬえの誹謗をさっとかわした。これにはぬえも苦い顔でムッとするしかなかった。
一方、一輪はご機嫌そうな村紗を見て、今回の揉め事は早々に終わってくれたと、また別の意味で嬉しく思うのだった。

こういう場面でも性格は出るもの、もしぬえであったらビリビリと包みを惨たらしく破いてしまいそうな場面であったが、村紗は落ち着いて綺麗に包みを開いていった。
そうして漸くご対面となったチョコ、先程の拙劣な手紙とは打って変わり、小奇麗に長方形の面をした小さなチョコレートが3つ並べられていて、思わず、わあぁ、という感嘆の声を漏らした。

「聖! 聖! 食事前なのでしょうけど、だけど、ですが、食べてしまってもよろしいのでいいのでしょうかね!」

興奮の為か、日本語として体を成していない言葉ではあるが、白蓮にチョコレートを食べてよいかという趣の言葉を投げかける。

「ええ、いいですよ。見る限り量もそこまで多くはないし、大丈夫でしょう」

白蓮はほっこり笑顔で許可を降ろした。
その瞬間、村紗の顔がパァッとさらに明るさを増し、

「ありがとうございます! 頂きます!」

言葉を発し終わったとほぼ同時に甘いチョコレートに齧り付いた。
小傘が持っていた中では一番ちんけなものだったとはいえ、その味は舌の肥えた永遠亭の姫の折り紙付きで、苦みと甘みがほどよく調和した絶品はあっと言う間に村紗の胃の中へと消えていった。

「あぁ、おいし……ってあれ? もうない? ぬえ、私のチョコ、勝手に取ったりしてないよね?」
「あんながっついてるムラサからチョコを奪う余裕なんてなかったわよ」

ぬえがむすっとした表情で机に顎を当てつつ、気だるそうに答えた。せっかく村紗を弄って遊ぶ計画をたてたのに、慮外の出来事で台無しになった為であろうか。一輪や星も自分の事のようにムラサと共に喜んでいる姿を見て、逆に彼女は強いフラフトレーションを感じるのであった。

「ふんっ、他人の喜びを一緒になって喜ぶなんて、みーんな、つまらない事してるよ」
「私は、他人の不幸を喜ぶ君の方がよっぽどつまらない事をしていると思うのだけどね」
「なによ、ナズーリンもムラサが喜んでいると自分も嬉しくなるっていうの? よくあなたが言ってるけど、それこそばっかみたいね」
「はいはい、そこまでよ」

白蓮のその一言で寺の食堂は静まり返った。
普段、のほほんとしている白蓮だが、彼女の言葉には魔法のような不思議なカリスマ――本当に簡単な暗示魔法を使っているという噂も――があるのだ。
しかし、この静けさも、『いただきます』という魔法の言葉を一つ呟けば直ぐに破れる事であろう。
何故なら、その言葉は楽しい夕食の始まりを告げるものだからである。



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――座禅の時間

命蓮寺では朝食後と夕食後の一日2回、30分の座禅の時間が設けられている。
食事の後は気が抜ける為、主に調心を目的とされ行われているらしい。
座禅の際には結跏趺坐と呼ばれる座法をとる。足の甲を交差させ、反対の足の太ももの上に乗せ坐るという、仏教において最も尊い坐り方だといわれるものだ。
他にも、手は法界定印と呼ばれる組み方をするなどの簡単な決まりが多数あるが、例を上げ出したら切りが無いので打ち止めとする。



さて、私こそ村紗水蜜はこの座禅が大好きだ。
普段、周りで気苦労が絶えない私にとって、このような精神を集中できる時間は貴重だからだ。
今日だって、ぬえが私に幾ら心労をかけた事やら。
朝起きたら、何故だかぬえの腕に巻き付いている筈の蛇が枕元に忍んでいて、心臓が口から飛び出そうに……っと、これこそ、例を出したら際限ないのでやめよう。
今は精神統一の時。子煩悩は消してしまおう。集中、集中……

ぐぅぅぅぅ

「んえ?」

不意にお腹が鳴った。お陰で変な声を出してしまった。幸い、座禅の際の各々の間は広い為、周りの者には気付かれる事は無い。
しかし、せっかくの集中が途切れてしまった。集中が一度途切れてしまうと雑念が次から次へと湧いてくる。
お夕飯はいっぱい食べた筈なのになあ、別にお腹が空いている訳でもないのに、どうしたんだろう。

ぐぉぉぅぅ


「む」

少しだけお腹の音が大きくなった。
はて、どうしたのだろう。お腹が鳴る原因が思い当たらない。
不審に思いながらも、少しだけ体勢を崩し、なんとなくお腹を擦ってみる。少し、いつもより満腹で膨れている以外は特に変化も見当たらず、より不審さが増す。

やがて、お腹の音は継続的に鳴り始めた。原因が分からず、不明瞭な恐怖が底しれず湧いてくる。どうしたものかと、何度もお腹を擦ってはみるもの、やはりなんの進展もない。
正体不明の恐怖が冷や汗をかかせたか、何か嫌な汗が額から一筋、タラーッと落ちて、少しの不快感を覚えた。
この汗の正体すらも分からず、不吉な予感を示す信号が私の頭の中を支配していく。
どうしたんだろう、私の体は……

「うっ……」

その時、私の不吉な予感が見事的中したのか、ずっしりと深く鈍い痛みが腹部全体を少しづつ伝わっていった。
今まで体験した事のないような強烈な痛み――とまでは言い難いが、鉛がお腹の中でゴロゴロと転がっているような、鈍くとも着実に伝わってくる苦しみが、絶え間なく私を襲う。
余りの痛さに、自らの格好を前のめりにして腹部を両手で押さえる。
本来、体勢は崩してはならないのだけど、今回は例外だろう。周りは全員、目を瞑っている為、気付かれる事もない。

「いだいぃ……いだいぃ……」

痛みを少しでも紛らわそうと、小さな声でぼそぼそと呟いたり、腕をつねってみたり、何か別の事を考えてみたりはするものの、全く効果はなく、気休めにすらならなかった。
むしろ、痛みは雪だるま式にドンドンと膨れ上がって行き、先程流した冷や汗とは比べ物にならないほどの夥しい量の冷たい汗を流す。


……最悪だ。痛みがさらに激しくなったところで、私のお腹の調子が急転直下の勢いで悪くなっていった。
腹痛と共に並列して発生した酷烈な便意に、私の顔は真っ青に染まっていく。
いや、顔どころではない。余りにも急激におかしくなっていく自分の体に、五臓六腑や皮膚全体が青く染まっていくような、そんな錯覚さえ覚えた。

ぐるるるるぅぅぅ

更に激しくなる
お腹の音が周りに漏れていないか、とてつもなく不安になるが、そんな事を気にしているどころではない。
ガクガクガクと、私の意識とは別に勝手に震えだす体に、自由を奪われたような気さえした。
激しくなる音と共に、私のお腹を擦る手の動きも徐々に激しくなっていく。
さする、さする、さする、さする、いくら擦ろうとも痛みが和らぐこともないし、便意が引く事もないのだが、今、自分の身に巻き起こっている現実から逃れようと、必死になってお腹をさする、さする、さする。

「うっ、うううぁ……」

情けない声を漏らしてしまうが、これにも構う余裕はない。
激しくなるお腹の痛み、それに伴いまた強くなる強烈な便意。先程まで、念願のチョコレートを美味しくむしゃぶりついて喜びの有頂天にいたのが嘘のようだ。

なにかおかしなものを食べちゃったのかな……
今日の食事係は聖とぬえ。聖の料理の上手さには定評があり、食材のチェックにも懸念がなく、痛んだ食材を並べるような愚かな方ではない。
ならぬえか、しかし、ぬえはぬえで料理は決して下手でなはく、今までヘンテコな料理はつくって来た事はなかった。
なら、おやつに食べたものなのかな、もしかして昨日食べた卵……

ぐぎゅるるるるるっ

「あああっ、ひぁぁぁぁ」

原因を探り当て、少しでも気を落ち着かせようとする作戦も全く攻を奏さず、唐突に襲いかかって来た便意の波に、私の思考は為す術なく流れていく。
はたしないとは自分でも思いつつも、どうしようもないと自分に言い聞かせて、左手をお尻の穴に服の上から押してやる。
こうでもしないと、今にも私は決壊してしまってもおかしくない状況にあったのだ。しょうがない、しょうがない……

「じ、じかん、じかん、ううぅ……」

極限状態まで追い詰められた私であったが、希望はある。そろそろ座禅の時間が終わる頃だと見込みをつけたのだ。
この座禅の間は命蓮寺には珍しく時計が設置された部屋だ。すっかり縮こまってしまった頭を、少しづつ上げ、時間を確認する。

「えっ……なんで……」

希望なんてものは残ってはいなかった。まだ座禅が始まって15分、即ち、漸く折り返し地点にやってきたところだったのだ。
よく、腹痛の時は時間が永遠にも感じられるという話があるが、あれが冗談などではなかった事を、この身をもって証明できた。
お腹が痛くなかった時の時間も含めてまだ15分なら、これからの15分、どのくらいの密度を発揮するのだろうか。想像しただけで身の毛が立つ。
私の無間地獄はまだまだ始まったばかりなのだろうか。

突如、ぐるぐると胃の中身が回転しているような、そんな圧倒的な不快感に襲われ、括約筋に力が入らなり、妙な脱力感に襲われた。
恥を忍んで私はお尻に当てた左手の力を更に強める。
不快感はそれだけではない、大量の汗による服のべたつき、何故かかじかんで上手く動かない両腕、様々な要因が私を苦しめ、腹痛と便意の恐怖を強くする。

ぐぎゅう、ぐるるるるる……

「やだ、いやだぁ、ううぅ……」

情けなさとしんどさで涙すらも出て来た。泣いても許してくれない二つの驚異は休むことなく私に牙を振るう。
はぁ、はぁ、とだらしなく口を開けながら激しく吐息を漏らす。

もういやだ、なにもかもを捨てて厠へ直行したい。でも、私の無駄に高い羞恥心やプライドといったものが行く手を遮る。勇気がないだけかも知れない。
こんなつまらないものも捨て払って、今にもこの場から走り出したいのだけど、一線を越える事のできない私は涙目でこの場に留まる事しかできない。

未だしつこく私を狙うぬめっぽい便意に私は体を必死にひねらせて抵抗する。
もう駄目かもしれない。こういう考えが頭に時たま浮かんでくるようになるのだけど、それでも漏らしてしまう訳にはいかず、体をくねくねと運動させる。
そして、必死に抵抗に抵抗を重ねたその時だった。


プピィ


「うあっ!」

私ははっとした。
余りの便意の強さに、ふとした拍子に、その……ガスが漏れてしまったのだ。こんな状況でも恥は僅かに残っているのか、真っ青だった顔が僅かにだが赤くなったように感じられた。
当然、音は小さく誰も気付く筈がないのだが、


「……今の、なんの音?」


よりによって、最悪な奴に何故だか気付かれてしまった。先程の音を聞いて目を開いたのはぬえだった。
お腹の痛さと厠という文字に思考が埋め尽くされ、上手くものが考えられないのだが、絶望という2文字、これだけははっきりと感じ取れた。

「ぎっ、うぐぁっ……」
「うわっ、ムラサ! どうしたの、その汗に格好! 顔も真っ青だし……」

顔が真っ青なのはよりにもよってあんたに気付かれてしまったからだ。さっきまでは火照っていた。と心の中で強気に反論するのだが、事実、私は見るからに何かの病人のように蠢いていた。
更に最悪なのは、ぬえが大声で私の不調を示してしまった事だ。これにより一旦、皆が坐禅をやめ、私に注目を集める事が予想された。
私の頭に浮かんだのは、憐みの目や同情の目といった感情を私に向ける皆の顔だった。そして皆の注目が集まり過ぎて、お腹が痛くて厠に行きたいと羞恥心で告白できなくて、決壊してしまう未来の自分が安易に想像できて……


「いやだ……」
「えっ?」
「いやだいやだいやだ!! うああぁぁうううぁぁぅぅああああああ!!!」
「お、ちょ、ちょい、ちょっと!」


もうヤケクソだった。
急に立ちあがった事で殴りかかるように走る腹痛を堪え、足を一歩踏み出すと一気に出口までやってきたブツの波を、なんとか引っ込めてやり、ぬえの制止を完全に無視しくさって、プライドも何もかも、全てを自分の体から追いやって、皆の痛く鋭い視線を背中に受けてるだろうなという屈辱を感じながらも、勢いよく部屋の外へと飛び立った。

「やだぁ! でちゃう、でちゃう! 駄目、駄目、やだぁああぁぁぁ!!」

半ば狂乱状態で、私はひたすら厠を目掛けて走り行く。ガスが漏れようがもはやおかまいなし。とにかくこの歳になって、やってしまいたくはないとい一心で無我夢中に廊下を駆けた。
そして長い廊下に入ったところで、その行き止まりに厠が見えた。

しかし、そこまで来て――私は人生において最大ともいえる失態を演じたのだ。

「ふぇあっ!?」

あろうことか、廊下の端っこに申し訳ない具合に置かれていた置物に、躓いてしまった。

ビダァァン

「あぐぁああぁっ!」

その瞬間、私は体の力がスッと抜けて行くのが分かった。


ブジュッ、ジュビビビィビビィビイ、ブジャアアァァアアアアァッ……


「うあっ、あああ、ああぁぁ、いああぁあぁぁぁぁ……」





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「ムラサぁー、何処にいるのー? 皆心配してるよー? って、なにかしら、この鼻につく悪臭……」
「ぬ……ぬえぇぇ……」
「!? きゃあああああああっ!!」



ぬえが見た光景は、茶色い泥水の中に、枯れた様に全身がこけた姿で倒れこんでいるムラサの姿だった。




「輝夜様が配っていたチョコレートに一つだけ、お師匠様の部屋にあった強力な下剤を入れてやったわ」

「ちょ、ちょっと、そんな事して大丈夫なの? もし万が一の事があったら永遠亭全体の信頼に関わるのよ?」

「大丈夫よ、見るに低級妖怪が引き当てたみたいだから」

「ううむ、それでも心配ね……念の為、師匠にほうこ……」

「これあげる。輝夜様のお部屋にあったチョコ、一つ掻っ払って来たの。これで結託してくれるでしょ?」

「え、あ、ありがとう。じゃあ、この事は二人の内緒にしときましょうか。でも、師匠にバレた日にゃ、恐ろしいわよ? まあバレる事はないだろうけどさ」

「……聞いてたわよ? お二人ども?」


〜〜〜


見事に大遅刻だよ! 本当にごめんなさい……

初めてのスカトロで四苦八苦。自分は我慢描写に重点を置くので、脱糞の細かい描写を期待された方には申し訳ない
導入部分が長すぎた感もありますが(実に作品の3分の2、もはや導入ではない)、とりあえずは完成できて満足
また、カップリング表明が必要との報告があったのはプロットを組み立てた後でしたので、カップリング要素は見受けられないかもしれません。重ね重ねごめんなさい

ムラサとスカトロの組み合わせはカレーと福神漬けの組み合わせ並みに素晴らしいと、書いてて実感しました
ささ、皆様、祭りの余韻をしばしお楽しみくださいませ

【コメ返し】
コメントありがととととと

1. うらんふ氏:自分の命蓮寺象はこんな感じです。紛争は絶えないもの、捻くれ者なぬえやナズも含めて皆仲良く微笑ましい
        ほんと、微笑まし過ぎてぶっ壊したくなります

2.:ぬえだって根は優しいのですから、心配しつつ後始末も手伝ってやったのではないでしょうか

3. ぐう氏:置物「ニヤッ」

4.:いい子だからこそ、その笑顔をつい崩してしまいたくなりますよね。ああ、ムラサかわいい。ちゅっちゅした後、頬を思いっきり平手で叩いてやりたい

5.:バレンタインデーの度に腹痛を起こしてトイレに籠るムラサとか可愛いなぁ]

6. 泥田んぼ氏:うぎぎ、前半グダグダすぎたのは認めざるを得ない
        しかし汚泥の海に浮くムラサを抱擁するのは覚悟がいる……
おたわ
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2010/02/15 16:44:28
更新日時:
2010/02/24 03:49:34
分類
東方スカ娘
村紗水蜜
封獣ぬえ
命蓮寺
1. うらんふ ■2010/02/16 03:28:15
前半のやり取りに、思わずほっこりとしてしまいました♪
命蓮寺はいつもこんな感じなんでしょうね〜
2. 名無し ■2010/02/16 04:41:18
この後のぬえの対応が気になるな
3. ぐう ■2010/02/16 07:56:07
置物「計画通り」
4. 名無し ■2010/02/16 15:43:39
気にするな村紗!君はいいコだから!
5. 名無し ■2010/02/18 10:25:11
こうしてバレンタインがトラウマとなった村紗は
毎年この時期になるとひどく暴れるようになり・・・
6. 泥田んぼ ■2010/02/23 22:05:10
ここがスカ娘だって事を忘れて読んだ前半戦

とりあえず、この後必死で村紗を介抱するぬえまで幻視してみた
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