やっべタイトルなんも考えてなかった。とりあえず書くことないのでちーんこ☆

　偉い人（妖怪の賢者）は言った。
　百合っていいわよね、と。
　そんなわけで幻想郷ではヘテロセクシャルなアダムとイブの物語ではなく、
　ホモセクシュアルなイブとイブの物語が紡がれることになった。





「紫……もっとぎゅっとして……」
「れ、霊夢……」

　幻想郷の管理者たちによる、蜂蜜の様に甘々な百合物語。
　しかし、そこに登場する人物は総じて女性である。
　間違ってもむさ苦しい男性が登場することはない。

　これに人里の長である亀吉さん（仮名：６７歳）を中心とする、里の男衆の革新派が抗議の声を上げた。
　百合が許されるなら薔薇だって許されるはずだ！　と。
　俺たちも物語の主人公になるんだ！　と。

　そこで革新派の面々は、薔薇に理解の深い方々に呼びかけ、ある一冊の雑誌を作った。
　雑誌の名前は「ROSIER」という。決して現実に存在するルナシーとは関係ない。
　稗田阿求、上白沢慧音など、その方面に詳しい専門家を迎えて作られたこの雑誌は、
　里の重役による会合にて、プレゼンテーションを行うための資料として開発されたのだ。

　まるまる半年ほど掛けて雑誌の創刊にまで至った革新派は、百合に変わる幻想郷のスタンダードとして、三月末の決算期の会合で、薔薇の普及を提唱した。
　だが革新派の提案は、百合のみを唯一神と崇める男衆の保守派の猛烈な反対に逢い、一度は頓挫してしまう。

　途方にくれる革新派の面々。
　だがそんな彼らの前に、救世主が現れた。
　そう、それこそが境界の大妖――八雲紫である。

　彼女は薔薇の存在を褒め称え、一冊の本を彼らに手渡した。
　それこそが雑誌「薔薇族」であった。

　革新派の面々は雑誌を読み終えると、皆感嘆した。
　特にヤマジュンを褒め称えた。

「外の世界でも薔薇の普及に頑張っている人たちがいる。
　私たちも負けてはいられないな！　みんな頑張ろう！」

　そう力強く語った亀吉さんの顔は、とても輝いていた。





　八雲紫の強力な下支えにより、雑誌「ROSIER」第二号が発刊された。
　だが今度は、幻想郷倫理委員会によって検閲が入り、即発禁となってしまった。
　穢れのない少女たちが空を舞い、弾幕による応酬を繰り広げる幻想郷。
　そこではこの本は少々過激すぎる、という委員会の見解のためであった。

　それ以来、幻想郷では薔薇の話を百合よりも前面に押し出すことはなくなった。
　そこで革新派の面々は秘密の場所に集まり、定期的にサバトを行うようになった。

　場所は紅魔館の大図書館。
　隠れ薔薇作家である、ぱこうり・ノーレッジ氏の提供によるものだった。
　稗田阿求・上白沢慧音・八雲紫などの賢者たちも加え、サバトは順調に行われた。

　サバトでは、幾つものカップリングが持て囃された。

　百合で言うマリアリ並に高い人気を誇る「魔理沙の父×霖之助」、
　そして古参の方たちからの人気の根強い「妖忌×霖之助」、
　法界の最大級の禁忌とまで謡われている「雲山×命蓮」など。

　サバトでは同人誌も作られた。
　主にナマモノを取り扱うサバトでは、資料のために実際に合体も行われた。
　亀吉さんも老体にも関わらず「これがワシの生きがいなんじゃ」と無理をしてセクロスに励んだ。

「大変です！　幻想郷倫理委員会がこの場所を嗅ぎつけたみたいです！」
「くっ……この図書館はもう使うことができないわね……」

　風の日もあった。

「はぁっ……はぁっ……そりゃ、出るぞぉっ！　……ぉぉぉおお、お……？」
「た、大変だ！　亀吉さんが俺に中出ししたまま腹上死したぞ！」

　雨の日もあった。

　その他にも印刷費の捻出のために博麗神社の賽銭をパクったり、女房の下着を売り払ったりと、多大な苦労の上に同人誌は作られていった。


　作られた同人誌は、幻想郷のアンダーグラウンド、地下世界で主に出回っている。
　地下世界に浸透した薔薇は、百合に変わる権力獲得を目指し、地下でゆっくりと蠢いている。

　未だ、少女たちの清らかで美しい百合の跋扈する幻想郷。
　だが薔薇は着々と地盤を固め、隙あらば百合の位置を掴もうとしている。



　我々は知らねばならない。
　薔薇が百合の蔓延る世界の真下で、静かに名を上げるのを待っていることを。
　我々は知らねばならない。
　いつか薔薇が、本気で牙を向くその時が来るのだということを。
　我々は知らねばならない。
　別に作者はホモでもなんでもないということを……。