Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『椛の日常』 作者: 名前がありません号
私の名前は犬走椛。種族は天狗。主な仕事は哨戒任務などです。
まぁこの私記は、ちょっとした暇潰しみたいなものです。
なにせ、哨戒任務というのは基本的に暇なものですから。
実際、妖怪の山と知って襲撃を掛ける輩はそう居ませんし、
そうでない連中もそれとなく追い払う程度です。
聞き分けの無い方には、“相応の手段”に出るのは仕方の無いことです。
今日も一人処理しましたしね。
まぁやりすぎると、事後処理の方々に迷惑が掛かるので、
丁重に処理するように心がけています。
最近は、迷い人がこっちに迷い込んでくる為、
それとなく追い払う事が多いです。
基本的に天狗社会は閉鎖的ですから。
※ ※
天狗というのは、地位と格付けの激しい種族です。
妖怪は基本的に単一で行動するのが主であるのに対し、
我々天狗は、集団での行動“も”こなします。
“も”が重要です。だけではないのです。
そういった組織行動をするに当たって、
そうした格をつけて、管理を楽にしようという狙いがあるそうです。
上の考える事はよく分かりません。
私は中の下くらいの位置だそうです。
正直、微妙な位置だと自分でも思います。
一番下よりはましですが、かといって上というわけでもないです。
まぁ中間管理職、というんでしょうか。
ああいう立場の方の仕事を見ていると、下でよかったと思ってたりします。
まぁ、自分のストレスを私達に当り散らされるのは勘弁ですけど。
今日もとばっちりで殴られました。
顔はやめてほしいなぁ。
※ ※
山の方から鐘が鳴りました。
交代の時間のようです。
天狗に限らず、妖怪という種族は肉体的な疲労はほぼ感じません。
その一方で、精神的な疲労には酷く弱いです。
単純作業や、哨戒任務のような単調で暇の多い仕事の場合、
体力面より精神面での問題から、仕事の能率を上げる為に定期的に交代をします。
重要な仕事ではありますが、基本的にそんなに大きな事態は幻想郷では稀なことです。
そのレアケースの一つが、守矢神社の一件での巫女の襲撃くらいでしたから。
もっともあのクラスが相手だと私では歯が立たないので、
時間稼ぎをしたら、後続に任せるのが常套です。
長生きしたければ、余計な手柄は欲しがらないもんです。
ちなみにあの時、手柄欲しさに突っ込んだ妖精の隊員が死にました。
まぁ妖精だから、いいか。代わりなんて幾らでも居るし。
※ ※
交代した後はしばらく自由な時間となります。
将棋や囲碁などで暇を潰しつつ、休憩をします。
哨戒任務は暇ではありますが、殆ど休みがないので、休める時に休みます。
一応、私は哨戒部隊の一つを受け持っていますが、
リーダーと言っても、大した事はしていないので、
他の隊員と同等の扱いです。
哨戒部隊全部を統括している部隊長には適当に機嫌を取っておきます。
クビを切られるのは御免です。
適当な菓子折りでも送っておきましょう。
ついでにやる気の無い隊員の一人をクビにしてもらいましょう。
次の日、隊員の一人が除隊しました。
※ ※
射命丸文様がやってきました。
恐らく、いつもの新聞配達の手伝いでしょう。
あまり気は進みませんが、敵に回すには余りにも分が悪すぎるので従います。
この方もそれなりの地位にいて、結構忙しいはずなのですが、
新聞を作成して、人里などに配るだけの余力を残している辺り、流石と言うべきなのでしょうか。
最近は、あんまり真実報道とか追及とかという事は余り言わなくなりました。
他愛の無い情報を適当に乗せたり、数年前に書いた新聞を混ぜたりとやりたい放題です。
本人はいたって真面目なので、余計に反応に困ります。
文様に習って、適当に人里の窓を割るように新聞を投げ込んでおきました。
バリーンって音、気持ちいいなぁ。
※ ※
今日も今日とて哨戒任務です。
久々に人間がやってきました。
なにやら、道に迷った、助けてくれと言っています。
帰れ帰れと、追い払いますが、聞く耳持たずと行った様子。
それとなく挑発して、あちらから襲ってくるように仕向けた後、
隊員全員で“暇潰し”をして、処理しました。
こういう仕事はストレスが溜まりますので、たまにはいいですよね?
※ ※
今日は久しぶりの休暇です。
珍しく長めに休みが取れたのは好都合です。
にとりとの将棋の続きをやりに行くとしましょう。
にとりの工房に行ったのですが、どうやら留守らしいです。
ガラクタ集めをしているか、もしくはあの白黒のところにでも行っているのでしょう。
ガラクタ集めをするもの同士、共感するところがあるのですかね。
まぁどちらにしても、出かけたばかりのようなのでしばらく帰ってこないので、
適当に暇を潰しておきましょうか。
ふと適当にぶらぶらと散歩していると、天狗の子供達が泣き顔で森の方からやってきました。
服をボロボロにして、酷い顔です。
「どうしたの」と声を掛けると、虫達に襲い掛かられて酷い目にあったというのです。
なるほど、虫ね。
「じゃあ、私がなんとかしてあげる」と言って、子供達に言って聞かせました。
子供達の身なりを整えてやった後、私は森に歩を進めます。
※ ※
森をしばらく進み千里眼を使うと、やはりそれはありました。
虫の蛹があちこちに見受けられます。あまり気味のいいものではありません。
恐らく、ここをあの子供達が悪戯をしたので、懲らしめる為にあんな風にしたのでしょう。
そしてそれを出来るのは虫の妖怪です。そして私が知る限り、一人だけ該当者が居ます。
蛹達の隣に見えるのは、リグル・ナイトバグです。
ああして、蛹を守っているのでしょう。
彼女からしてみれば、悪戯をする天狗の子供達の行為を許せるはずもないのでしょうけど。
しかしだからといって、たかだか虫の妖怪にここまでされて、こちらも黙っているわけにはいかないのです。
私は蛹のある場所を記憶すると、そのまま妖怪の山に戻り、専門部署に報告をしました。
数日後、妖怪の山付近の森の一角で火事が起こったんです。
幸い火は小規模だった事や、途中から降った雨で直ぐに鎮火されましたけどね。
ただ、あの虫の蛹のあった場所は綺麗に灰になりましたよ。
前々から嫌だったのよね、あの妖怪。
結局、にとりが帰ってきたのは火事の次の日でした。
何でも仲間の河童と共に、地下の炉のメンテナンスをしていたらしいんです。
詳しいことは分からないですけど、仕事なら仕方ないですよね。
※ ※
先日、虫達に酷い目にあわされた天狗の子供達がお礼を言いに来てくれました。
私は報告をしただけで、大した事はしていないのだけど、
感謝をされるのは心地がいいです。
ふと子供達が気になって、千里眼で見てみると、
妖精の羽をちぎったり、風を起こして木に叩き付けてみたりと、
自分の力を制御する訓練を行っているようでした。
将来を担う有望な子供達だなぁ、と関心しきりでしたよ。
妖精? 死なないからどうでもいいでしょ?
※ ※
哨戒天狗の日常なんてこんな物です。
他愛の無いものですし、大して面白みもありません。
でもまぁ、この仕事は好きですよ。
権力闘争に巻き込まれるのは御免ですし、
身の程を弁えてさえ居れば、ここほど居心地のいい場所はありませんから。
おっと失礼。
死にかけの貴方には辛い話でしたか?
じゃあ、せめてもの慈悲をあげますよ。
さようなら。
ズシャッ
椛がずっと私記を読んで聞かせていたのは、“暇潰し”の相手。
意味不明ですね、わかります。
※ちょっと加筆修正。
名前がありません号
- 作品情報
- 作品集:
- 12
- 投稿日時:
- 2010/02/20 17:04:57
- 更新日時:
- 2010/02/21 03:52:03
- 分類
- 椛
気に入ったよ!
そのうち人間も集落を文明化させようと、天狗社会を真似し始めて
一部の妖怪以外住みにくい世界になってくな。
本当は孤独なんだな
殺すのは一番最後にしてやる。
で。
妖怪の山に攻め込むにはどうすればいいんでしょうか?
もみもみもみもみ
映画「レオン」のジャン・レノばりに手榴弾のピンを渡してぇ
てか、山焼きてぇww
それか天狗狩り
蛹を焼くとはけしからん