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『もこうがいろいろともやしてあたまパーンってなるSS』 作者: アルマァ
あ、燃やせばいいんだ。
私こと藤原妹紅はそんな簡単な事にすら気付かなかった。
かねてよりあの糞以下というか、カスゴミクズにも劣るあの竹林に呑気にも屋敷構えて姫気取りな馬鹿女を殺したい、とは常々思っていたのだ。
だがしかし、アレは殺せない。蓬莱の薬で不死身となっているからだ。
それは自分も同じであるが。
故に私と輝夜・・・おっと、名前、汚い。
あの肥溜以下と言うか、両生類の糞にも劣るこれまた不死身の医者抱えていい気になってるどうしようもなく阿呆な女は失うことの無い命を張った戦いをかなり長いこと続けている。
そして今日もまた私は竹林のど真ん中であの生ゴミ以下と言うか、二週間放っておいた生の野菜ジュースにも劣る部下にもなりきれてないウサギ引き連れてカマトトぶってる(略)を殺すための作戦を考えていたのだが、まあとにかくそんな名案を思いついたのだ。
もちろん、わかっている。炎なんかじゃあのその辺のカビ以下と言うか、周囲の生きとし生けるもの皆死滅させるような(略)は死なない。というか私が炎を扱える以上、そんなことは何度も何度もやってきたのだ。
では、何故私がそこに思い至ったのか。
時間は少し遡る。
私は娯楽も兼ねて、外の世界の「漫画」とかいう戯画を読み漁っていた。
最近外の世界から入ってきた戯画には不死身だとか超再生だとか、そういった者への対処法がたくさん描いてある。
所詮絵空事ではあるが、ここは幻想郷。絵空事、つまり幻想は現実に起こる。
そんなわけであらかた読み終えた私は、実用的な方法を地面に棒で書いていった。
「生きている以上殺せるはず。魔眼で観える敵の死の線を斬れ」・・・そんなの私には無い。却下。
「永遠にエネルギーを吸い取り続ける樹木の苗を植えつけろ」・・・・そんな物は見たことも無いが、あの花の妖怪なら持ってそう。△。
「スタンドを倒して太陽に当てろ」・・・これは条件からして間違ってないか。却下。
「宇宙空間に送り込んで考える事をやめさせる」・・・宇宙ってなんだ。よくわからないので却下。
「生きることに絶望させて生きていないのと同じ状態にするほど精神を叩きのめす」・・・これも非現実的。が、実行の価値アリ。△。
ここまで挙げて決定的な案0、なんとかなりそうなのが二つ。
少しがっかりしたが、そう簡単に落ち込む私ではない。
とりあえずは、植物案。
あの花の妖怪のところに行ってみるか。
私は向日葵畑に向かった。
『貴女、馬鹿でしょう』
だろうな。そんな都合のいい植物なんかあるわけ無いとは思っていた。
でも、まだ希望はある。
魔法の森には忘れられがちだが何でも屋がいる。
魔法生物くらい簡単に作れるのではないか、と思った。
次は魔法の森へ向かうことにした。
一応は霧雨魔法店の店主である霧雨魔理沙に自分の望みを全て正直に話した。
魔理沙は暫くうーん、と考えた。
『いいけど時間がかかるぜ。まず無限エネルギー吸収だー、なんてのが度台無理な話なんだ。養分として吸収した分以外は必ずどこかに流してやらなきゃいけない。植物なんてそんな沢山の養分なんかいらないんだ、パンクしちまうからな。でもそんなみすみす取り入れた養分を捨てるような生物なんかどこの世にも居やしないんだ。だいたいな、詰まる所はそんなものあらゆる生命体の本能に組み込まれてないんだよ。生き物は大体死にたくないって思うもんだからな。まぁお前ら蓬莱の薬で不死身になったお前らのことなんか知らんがな。・・・・。―――研究させてく・・・いや、後にしよう。そもそも嫌だろ?まぁつまりだな、単なるキメラを造るのとは訳が違う。ただでさえ面倒な植物種だってのにな、そういうアルゴリズムを持った生物を造るところから始めなきゃダメなんだ。しかも人に寄生するとなるともっと複雑な構造が必要になってくる。しかもそれ投げつけるんだろ?だったら驚異的な成長の初速度も必須。更に悪夢を見せ続けるとなると魔法的な薬の調合を○○した限界ギリギリの△×生物に施して・・・・・・・・』
もういい、わかった。無かった事にして欲しい旨を伝える。
『そうか、分かったぜ。』
案外あっさりと引き上げた。
私は魔法の森を後にした。
しかし植物案は諦めざるを得ない。
となれば残るは「精神攻撃」。
良く考えるとこれは盲点だったかもしれない。
今まで何十万回もあの虫ケラ(略)と戦って来たが、そんなことは数える程しかやらなかった。
しかもその悉くがあの医者―――永琳だっけか。あいつに阻止されている。
しかし、阻止されると分かっている以上、その作戦は失敗に終わるのは目に見えている。
永琳を殺そうにも、それもまた不死の人間なのだ。
そもそも永遠亭に侵入する事自体が――――
ん?
永遠亭
姫気取り
竹林
あ、そうか。燃やせばいいんだ。
私はこんな名案が浮かんだ嬉しさに小躍りしたくなった。
確かに「殺すのは」難しい。
と言うより不可能だ。
なら死んだのと同じ状態にすれば良いだけの事。
まあそれに随分苦労させられて来たのではあるが。
好都合な事に、永遠亭は竹林に存在している。
竹というものは、内部に沢山の密閉された空洞がある。
では、それを燃やせばどうなるか。
そう、中の空気の圧力が上がり、やがては破裂する。
その破片を凄まじい速度で爆散させながら。
では、竹林に、永遠亭周辺に火を放てばどうなるか。
いつぞやかは竹林の火事を止めた事もあったが、そんな事は考えた事もなかった。
なんだか高揚してきた私は、早速準備に取り掛かった。
とりあえず、大量の油。
半端な燃え方をされては困る。
後は・・・人気の無い状況。
それから・・・あ、黒焦げで這い出た二人をとっ捕まえる罠もかな。
いくら(略)でもまっ黒焦げなら力は出ないだろう。
私は夜半まで考えを進めていた。
―――よし。これならいける。
私は作戦の成功を確信して、来たる実行の日のために眠りにつく事にした。
翌朝。といっても日の出はもう少し先だが。
私は今、永遠亭の前にいる。
案の定、ここの兎は朝方になると軒並み眠りはじめる。
医者が日の出と共に起きる数分間はこの永遠亭は物言わぬ要塞と化すのだ。
周囲に人や妖怪が居ないのを確認してから、仕事を始めた。
とりあえず、罠はありがちに竹槍付き落とし穴。
拘束も攻撃も同時に出来る、と考えたからだ。
材料だってたくさんあるし。
長い事生きているからか、はたまた蓬莱の力なのか。力には自信がある。
力任せに掘り進み、あっという間に永遠亭の出入口前全てに落とし穴は完成した。
次に油を永遠亭周辺の竹に撒く。
せっかくなので、不死鳥の翼を摸した形に撒いた。
結局燃え広がるので元の形は関係無いし。
あっさりと下準備は整った。
後は、火を通すだけ。
料理のようだ、と。自分で思い付きながら、小さく笑いが漏れた。
油を撒いた竹の一つに近寄る。
これに火を放つだけで、永遠亭の中の何人―――何匹もの兎は焼け死ぬ。
罪なんか何一つ背負わない者が。
だが、それがどうした。
なんの躊躇いも無く、火を付ける。
その、一瞬前。
「そこまで」
背後に半端じゃない殺気を感じた。
なんだ、医者か。寝ていた訳でもないらしい。
「姫様に劣る不死が何する物ぞと黙って見ていれば・・・」
「永遠亭を直で狙う、そういう事されるのが一番困る。数千年の時を経てやっと知恵が回ったみたいね。とは言っても、落とし穴なんて稚拙なモノで私たちを生け捕れると思わないことね、蛮族」
よく喋る医者だ。
「でも、そういう事は一番困るの。だから私は今一つの切り札を持ってるわ。なんだと思う?」
知ったことか。
「あら、動かないで頂戴。振り向くのも駄目。貴女にこの『切り札』を確認する権利は無いわ。させない、って意味もあるけど。さて、もう一度聞くわ。この切り札は、なんでしょう?」
だから、知った事では無い。
「じゃあヒント・・・って言っても、一つの推測、ヒントにすら劣る代物だけれど。貴女の『大切な人』を薬で『蘇らせた』。そう言ったら、どうする?」
何を言ってるんだ。
私は蓬莱の薬を飲んだ。私は永遠に生きることを約束されたようなものなのだ。
つまりそれはあらゆる生き物より永く生きるということで。
あらゆる生き物の死を見届けるのだ。
あの医者が言いたい『大切な人』とは恋人の事だろう。
何をバカな、と一蹴する。
私にとってあらゆる生き物は、ただ永劫の命の中で過ぎ去るだけの存在にしか成り得ないのだ。
そんなモノ、永劫に生きると解っている私に居るはずがナ
かたり
蓋をして
駄目
見えなくして
栓をして
ずるっ
聞こえなくして
やめて
遠ざけて
感じなくしたものが
溢れる
湧出る
駄目
近付いて 急速に
もう、
『藤原、妹紅』
爆ぜて、燃やした。
火は拡がり、不死鳥の翼を模る。
「ッ!そんだけ生きて精神面は未熟なの!?見誤ったわね・・・うどんげ!?」
「はいッ!」
「姫様を連れて!南側の隙間なら埋まるまで時間がある!!」
「わかりました!」
来ないでよ。
やめて。
踏み込まないで。
荒らさないで。
来るな
「くっ!予想外に火の回りが・・・!?」
医者、すらもにげだ。した。
追いかけ追い付き捕まえて。
なんて。ブカッこ、う。
あぁ、おかしい。
なん 、 。
頭の欠損が、気にならない。
ワタしシ ない死。
コれも、シナないし、 いよね。
とても、お しい。
ヤルこ おわ 。
ふらふらう ろに。
細い何 にぶつ って。
ぱぁん。
あ まがハジ て
ジメん いき り起き が 。
何 被さ 動け 。
首 に 重 ぎ 。
な 熱 っ き た。
熱 足 も 熱 炎 る と に。
熱 熱 熱 熱い 熱い 熱い い熱 熱い
助 い。
― ― ――― ―『 』。
「おーい、アレ届いてるよ」
「ん?あー、また号外か、その辺にうっちゃっておけばいいぜ」
「はいよ。さ、今日こそ完成させるよ、早いとこ山にも戻りたいし」
「まあ私はすることないがな」
「あ、そ。ならこいつの動作テスト頼むよ、盟友様?」
「なんだこれ?見たことないぜ」
「新型の通信機。今度は地底どころか天上まで届く設計だよ」
「ほー、すごいな。でも会話は一方通行なんじゃないか?」
「大丈夫、先に竜宮の使いに受信機は渡しといたから。それに適当に喋っといてくれれば問題無いよ」
「分かった。じゃあ―――とりあえず新聞でも読み上げるか」
「またも竹林で火事!!永遠亭はどこへ!?」
昨日未明、竹林で大規模な火災が発生。
火元は永遠亭周辺とみられ、早期に広範囲へと拡大、竹林はほぼ全焼した。
中心地であった永遠亭の住人は現在行方不明であるものの、永遠亭で医療を行っている八意永琳が傷だらけで竹林から離脱する姿も目撃されており、現在の竹林には生き物と呼べる物はほとんど居ない。
なお、以前の火災騒ぎの際には藤原妹紅や蓬莱山輝夜が鎮火に一役買っていたが、今回は双方とも現れず、居所は不明。
竹林には所々に竹炭の山が出来上がっているが、皆面倒臭いようで復旧作業は一切行われていない。
誰かが生き埋めだろうがお構い無し、といった様子か。
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「ところでこんなの何に使うんだ?」
「魔理沙・・・こういうのは『作る過程』が大事なんだ。後は天上とかで異変が起これば『こんな事もあろうかと!』って言えるだろ?」
「よくわからんぜ」
「エンジニアの夢なんだよ、『こんな事もあろうかと!』っていうのはさ」
「よくわからんぜ」
お久しぶりですね、アルマァです。これで4作目・・・なのかな?
初期2つを入れてよいものやら。いや入れましょう。4作目です。
でも次はそんな感じのをまたやりたいなぁと思っています。
あとニトマリはとても好きです。
でも地で使うのは萃霊夢・・・くやしいっでも回収便利ビクンビクン
もちろん妹紅も大好きです。
アルマァ
http://twitter.com/ilsaber
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2010/03/05 14:29:33
更新日時:
2010/03/05 23:29:33
分類
藤原妹紅
竹林炎上