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『霊夢と海』 作者: ROCK on the 黒猫
紅い巫女装束を纏った少女がそこにいた。霊夢は綺麗な海が見える崖に立っていた。その腕には魔理沙の遺骨の灰が入った箱がぎゅっと抱きしめられていた。
「見て、魔理沙……海が綺麗ね……あなた、ここから見えるこの海の景色が好きだったものね」
霊夢は心地いい海の風を浴びながら魔理沙に話しかけるように言った。
「でも、あなたはもうこの美しい景色を見ることは出来ないのね」
「魔理沙……。魔理沙……。魔理沙あああああああああああ! なんで死んじゃったのおおおおおおおおお!
ねぇ、なんで! 教えてよおおおおおおおおお 魔理沙あああああああああああああああああああああ」
そこにはもういつもの霊夢の姿はなかった。ただ親友の死に、打ち拉がれ、大粒の涙を流している少女だった。
霊夢は膝をつき、声が枯れるくらいに泣いた。涙は霊夢の頬を伝い地面に落ちた。
「霊夢! 見ろよ、この海綺麗だな!」
「霊夢! 霊夢! 霊夢!」
霊夢の頭の中に、魔理沙との思い出がフラッシュバックしていた。笑っている魔理沙。泣いている魔理沙。怒っている魔理沙。
楽しかった魔理沙との思い出。そんな美しき日々が霊夢の頭に駆け巡ったのだ。
霊夢は自分の涙が止まっていることに気づいた。今日のこの海の景色は色あせることなく綺麗だった。
夕日が海に映り、ゆっくりと雲が流れ、カモメたちが空へと昇っていく。
「そうか、もう魔理沙はいないのね。吹けば飛ぶような夢はもうお終い」
霊夢は固く目を閉じ、魔理沙を少しだけ想った。風が気持ちいい。
霊夢は自分の頭につけているリボンを外し、魔理沙の遺骨の灰が入った箱の蓋をとった。
「魔理沙……これで本当にさよなら。ありがとう、本当に楽しかったわ。永遠におやすみなさい」
霊夢はそういうと、海に……魔理沙の灰とリボンを……ぱっっと……放って……夕日に反射して……きらきらと輝いて……。
それは数秒の出来事だったが霊夢には永遠とも思える時間だった。魔理沙が海に還っていく。
霊夢はもう振り返らず、魔理沙が好きだった海を離れる。紅い巫女装束を纏った少女は二度とその海を訪れることはなかった。
「愛しているわ、魔理沙」
初投稿です。
松屋で牛丼食べてたら思いつきました。拙い文章で申し訳ないです。多分幻想郷の設定と一部そぐわないこともあるかと思いますが、ご了承のほどお願いします。
こういうお話があまりなかったので思い切って書いてみました。皆様、どうぞよろしくお願いします。
ROCK on the 黒猫
作品情報
作品集:
13
投稿日時:
2010/03/30 06:21:41
更新日時:
2010/03/30 15:21:41
死なない人間は生きていないといいますしいろいろ考えさせられました。面白かったです。
白玉楼で元気に盗みを働く魔理沙の姿が!