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『見るな』 作者: 名前がありません号
魔理沙が博麗神社に遊びにいった時のことである。
賽銭箱の中身を覗こうとすると、霊夢がいきなり『見るな!』と怒鳴ってきた。
珍しく怒った顔をしたものだから、驚いているうちに賽銭箱の前に陣取られた。
鬼気迫る顔でそう怒鳴るものだから、魔理沙は怖気づいて、そのまま帰ってしまった。
「何だよ霊夢の奴、賽銭が入ってないからって『見るな!』っていうか、普通?」
ぶすっとした顔をして、魔理沙は帰っていった。
しかし賽銭箱の中身はとても気になった。
今日は少し隠れた場所で、にとりから借りた双眼鏡で博麗神社を見る。
流石に昨日の今日では、警戒されてしまうので遠目から覗く事にする。
すると東風谷早苗がやってきた。
キョロキョロと周りを見渡しながら、賽銭箱の方に近寄る。
しかし、私の時と同じように賽銭箱の前に霊夢が現れて、何か叫んでいる。
恐らく私と同じく、『見るな!』と言われたのだろう。
そして、しばらくして早苗も諦めたのか、神社から出て行った。
魔理沙は双眼鏡を袋に戻すと、早苗の後を追った。
早苗は早くに見つかった。
といっても、急いで帰る様子でもなかったので、問題ないのだろう。
「よぉ、早苗。賽銭箱の中身は拝めなかったか」
「あら、魔理沙さんですか。その口ぶりですと、魔理沙さんもあの賽銭箱の中身を見ようとしたんですね」
「ああ、早苗は二度目っぽいが」
「三度目です。今度こそ気配を消して、警戒しながら進んだのに気付かれてしまいました」
「まぁ霊夢は気配とかそういうのには鋭いからな。でもまぁ、少しおかしいな」
霊夢は、普段からそこまで鋭いわけではない。
普段は境内の掃除して、まったりして、茶を飲んで過ごしている程度だ。
異変が起こったり、妖怪退治をするときぐらいだ。
それぐらいでなけりゃ、そこまで強いわけじゃない。
つまり、そんな霊夢がそこまで見るなというもの。
得体の知れない物への恐怖感よりも、好奇心が魔理沙の中で勝っている。
その点は早苗と同じなのだろう。
得体の知れない物を抱えている霊夢を、守矢神社としても見過ごせはしないだろうが、
早苗個人であれば、霊夢があそこまで執着するものに対する興味が強いのだろう。
「なぁ、早苗。あの賽銭箱の中身、見てみたいよな?」
「えぇ、まぁ、出来れば……」
早苗はそう言いはするものの、心強い協力者の登場は喜ばしいものだった。
「それじゃあ、協力しようぜ」
「分かりました、協力しましょう」
そしてそんな早苗が、魔理沙の提案を呑まないはずもなかった。
魔理沙が博麗神社で宴会をしようと霊夢に持ちかけた。
このところは守矢神社を貸し切って宴会を開いていたが、
あまり頻繁に妖怪が出入りするのを、二柱が嫌がっている所もあり、
久々に博麗神社で宴会を、というのが魔理沙の提案であった。
命蓮寺の面々も呼び、歓迎会を兼ねた宴会を行うとのことだった。
例によって幹事は、魔理沙が取り仕切る事となった。
霊夢も特に悩む様子も無く、二つ返事でOKを出した。
魔理沙の案はこうだ。
霊夢に宴会を持ちかけて盛り上がってきた所で、
それとなく理由をつけて、賽銭箱の中身を見ようというのである。
意外なほど、霊夢がOKを出した事に違和感を覚えつつも、宴会は始まった。
このところ異変も無く、これといって新しい何かがあるでもなく、
宴会をする機会もまばらであった。
それもあってか、思いのほか人妖がたくさん集まった。
久々の宴会に皆、心が躍っているようにも見えた。
プリズムリバー三姉妹の演奏などを聞きつつ、
宴も盛り上がってきたところで、魔理沙が口を開く。
「さぁ霊夢の賽銭箱の中を覗いてみようぜぇ!」
「「「おぉーーーー!!!」」」
魔理沙の発言に同調するように、幾人かの人妖が歓声を上げる。
魔理沙は霊夢の表情を見る。特に変わった様子がない。
不審に思いつつ、魔理沙が賽銭箱を持つ。
妙に重いジャラジャラと音がする。まさか。
「今日の霊夢の賽銭箱の中身は……!?」
聞こえてきた音と、目の前に少しだけ撒かれたそれは間違いなく賽銭だった。
他の人妖達も驚愕している。
流石に少しは入っているだろうと思っていたが、予想を大きく裏切るものだった。
賽銭箱一杯に詰められた大量のお金。
「おいおい、霊夢。幾らなんでも戦利品を中にぶち込むのは止そうぜ」
「何言ってるのよ、まごうことなき賽銭よ?」
「んな馬鹿な。お前のところに参拝客なんて殆ど来てなかったじゃないか」
「あんた達が見てないところでやってきてるのよ」
皆、霊夢を怪しむが、箱の中の賽銭は本物である。
妖怪からかっぱらうにしても、これだけの量の賽銭をあちこちの妖怪を襲って得られるとも思えない。
妖怪退治の報酬にしても、この数は少しありえない。
流石に霊夢が盗みを働くとは思えず、魔理沙達は眼前の現実を信じざるを得なくなった。
宴会が終わった後、魔理沙と早苗が神社の縁側に座っていた。
霊夢に言われ、二人とも片付けを手伝わされたのであった。
「もしかすると、あの賽銭を見せびらかす為に見るなって言ってたんですかね」
「あの様子だとそうかもなぁ」
霊夢の「どうよ?」といった顔を見た時、魔理沙はしてやられたと痛感した。
それならあの二つ返事のOKにも納得がいく。
「それじゃあ、私はそろそろ帰りますね。明日の神事がありますので」
「そうか、じゃあな。」
そういって早苗は二柱の待つ神社へと帰っていった。
そして、魔理沙も帰ろうとした時、賽銭箱を神社の本殿に持って行く霊夢の姿が見えた。
しばらくすると、本殿から出てきた霊夢はそのまま母屋の方に戻っていった。
少し気になった魔理沙は、神社の本殿に入っていく。
戸を開け、本殿に入るとそこは薄暗かった。
目の前に賽銭箱が見える。
少しずつ近づくと、賽銭箱から何かの匂いを感じる。
霊夢に気付かれぬように、ゆっくりとゆっくりと歩いていく。
そして、賽銭箱の蓋を開けたその時。
“何か”と目が合った。
……理沙……魔理沙!」
「ふぇ?」
目を開けると、霊夢の母屋だった。
目の前には霊夢が居る。
「はぁ、大丈夫みたいね」
「あれ、私、確か」
「あんた、神社の本殿から出るときに足を滑らせて、頭ぶつけて気絶してたのよ」
「あ、そうだっけ」
魔理沙は手でおでこを摩る。
おでこには絆創膏が張られていた。
「まぁしばらく眠ってなさい。じゃあ、私は少し外に出てくるわ。結界は張っとくから安心しなさい」
「ああ、いってらっしゃい。ごめんな、手間かけて」
「いいわよ別に。それじゃ行って来るわ」
そういって霊夢は母屋から出て行く。
この時間だとおおかた、妖怪退治か何かだろう。
しかし、本殿で何かを見た気がするのだが、
思い出そうとすると頭が痛くなる。
確認しようにも身体がとてもだるく、足にいたっては全く動かない。
しばらくは休んでおこう。
魔理沙はまずいな、と思っていた。
催し始めてきたのだ。
早く厠にいかないと……。
そう思っても身体は動かない。
それでも気力を振り絞って、立ち上がろうとする。
このまま漏らしたら、霊夢に笑われちゃう。
その一心で、両手を支えにゆっくり起き上がろうとして。
ある違和感に気付いた。
足に全く力が入らない。
というより、足の感覚が全く無い。
まるで無くなったようにすら、感じられる。
魔理沙は汗をだらだらと流しながら、
恐る恐る布団を捲っていく。
そして、上半身が全て見えきったところで一気にまくると。
そこにあるはずの脚は存在しなかった。
「なななななななな」
「あーあ、気付いちゃったか」
「!?」
ふと後ろを振り向くと、霊夢が居た。
声を上げようとするが、金縛りにあったかのように声が出なくなる。
両手も動かなくなってしまう。
「折角だから教えてあげるわ。魔理沙、貴方がこけたのは事実よ」
「でも、一つだけ違う。貴方は足を滑らせたんじゃなくて、足が無くなってこけたのよ」
カタカタと魔理沙の身体が震える。
構わず霊夢は続ける。
「貴方が見たのは、うちの神社の神様なの。博麗神社のね。ああ、勘違いしないでね。元からあんなだったんじゃないのよ?」
「ただね、神社は壊れるわ、信仰されないわでさ。ちょっとおかしくなっちゃったのよね」
「神と妖怪って似たような物なのよね。どっちも人間に依存するでしょ? 神は信仰。妖怪は恐怖」
「だからうちの神様も、次第に妖怪みたいになっていっちゃってさ。見たでしょ? 賽銭箱の中の神様」
魔理沙は思い出した。
目のついた肉塊。
それが大きな口を開けて、魔理沙の足を食いちぎったのだ。
魔理沙は必死に這って、本殿から脱出してきたのだ。
「でも今のじゃ、どうしてうちの神様に襲われたか分からないよね?」
「さっきもいったけど、神は信仰、妖怪は恐怖を人間から糧として得て、自分の力をつける」
「もう分かるんじゃない? つまりあんたはあの神様の餌として足を食われたってわけ」
「だから、見るなって言ったでしょ? 見たら怖がって食われちゃうんだから」
「じゃあ、何で外に出すのかって? 外来人なら足がつかないじゃない」
魔理沙の顔が青く染まっていく。
霊夢の淡々とした口調にただただ恐怖を感じて失禁してしまった。
「ああ、もう汚いわねぇ」
「でもまぁ、あんたをこのまま帰してやれないのよね」
「だって、あんた見たでしょ?」
「誰かにばらされると困るのよね。ただでさえ信仰されてないのに」
「もっと信仰されなくなるじゃない」
「だから、あんたは当分ココに居なさい」
「世話はしてあげるわ。でも誰かに神様のことを喋ったら、神様の生贄にするからね」
表情一つ変えず、そう言ってのける霊夢。
「大丈夫よ。神様が元に戻るまでの間だから」
「そうしたら紫とか永琳に頼んで足を治してもらえばいいでしょ」
「それじゃ、しばらくよろしくね、魔理沙」
そういうと部屋に結界を張り、霊夢は部屋を出た。
魔理沙はただ、自分の自由を奪われた事だけを理解した。
好奇心は猫を殺す。
太攻防さんのSSを見て、つい。
博麗神社の神様ってどんな姿してるんだろう。
やっぱ少女なんかね。神主的に。
あと試しに背景を変えてみた。どうだろうか。
名前がありません号
- 作品情報
- 作品集:
- 14
- 投稿日時:
- 2010/04/08 18:13:16
- 更新日時:
- 2010/04/09 03:19:20
- 分類
- 見るな
- 魔理沙
- 霊夢
なるほど信仰されずに狂った神...
やはり人間最強
足だけで済んでよかったな魔理沙
※欄が見えない。どうやらルーミアに占拠されているようだ。
して早苗さんはどうなったのだろう…丸呑みだろうか
あれ、ネチョ展開は?
黒に赤は映えるしね
コメントが見えないのが玉に傷
魔理沙が戻れる日なんて来るのかしら。
東方の河童は異国から渡来した技術屋集団の側面と、芥川龍之介創作の河童モチーフだけれども。