ナズをおんぶして延々と歩き続けるSS

「どこに向かってるんだ」
「さあ」
「さあ、じゃないだろう！　大体君はいつも無計画で――」






草原に敷かれたレール






「どこだっていいじゃないか」
「散歩なんて、本来目的地が無いものだよ」

「確かにそうだが、でも、それにしても、いつまでこの散歩を続けるんだ」


「……さあ」


「……やはり、君は、馬鹿なんだな」








歩く
歩く
僕は歩く

日が昇って、沈んで
また昇って、沈んで

昇って、沈んで
昇って、沈んで
昇って、沈んで







「で、目的は」
「うーん」
「自分でも分からないのかい」
「うん」
「そんなのに私を付き合わせたのか」
「うん」
「……」








歩く
歩く
僕は歩く

疲れを忘れて
何を探し回るのか分からないまま

レールは続く







草原は変わる

花が咲き乱れ
草が背伸びし
虫が乞い鳴き
雪が舞い散る






変わらない２人






「君は疲れないのか。私だって、そこまで軽くは無いだろう」
「そうでもないよ」
「む……」
「ごめん嘘」
「……はあ……君はもう少し、デリカシーというものを知った方が良い」








冷えた手のひら








歩く
歩く
僕は歩く

彼女を背負って
探したい何かを探して








「なあ」
「？」

歩く

「私を置いていってもいいんだぞ」
「なんで」

歩く

「…………こんな姿になって、君に背負われて、これじゃあ君に……」
「……」
















(無音)













歩く
歩く
僕は歩く

彼女の代わりに
足の代わりに






巡る
巡る
季節は巡る







うねる
うねる

うねって
うねって











その中には何がある？




















(無音)

















「だって、私は……私は……」


































(無音)
































歩く
歩く
僕は歩く

うねりの中を
何かを求めて









「ナズーリン」
「　」

歩く

「君を、置いて行くわけないだろ」
「　」

歩く

「どこへだって、一緒だ」
「　」








そうだろう？







歩く
歩く
僕らは歩く

疲れを忘れて






歩いて
歩いて
僕らは歩き続ける







流れて
流れて
僕らは今うねりの中を
泳ぎ回る













終わらせる意味を探して