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『ある夜、晩餐会の一幕』 作者: 原価計算
えー、皆さん。今宵は地霊殿にお集まり頂き、真に有り難う御座います。
本日の宴には趣向も凝らして御座いますので、無礼講、お楽しみ頂ければ幸いです。
* * *
えぇ、ハイ。ごほん。まあ気になっていらっしゃる方も居ることかと思いますので、まずは私の姉・・・そうですそうです、覚えていらっしゃいますでしょう?・・・古明地さとりのことを、御話致したいと思います。
――3週間程まえでしたね。
最初は頭が痛いと言っていました。まぁ地底で流行りの風邪かと思って、放って置いたのですよ。彼女は私より賢かったですし、別段気にかけることも無い・・・と。
それから段々、彼女は部屋に篭るようになりましてね、どうしたものだと思い、会って話をしたのですよ。
そしたらね、地霊殿・・ここですよ、名前覚えて帰って下さいね・・殿内にね、何か得体の知れないモノがいるって言うんです。時々見るんだそうな・・・床とか壁とか這い回ってるらしくて、気味が悪いってことです。どんな形なんだって聞くと、分からないって言うんですね・・・ただ、白かった、ってのは覚えてるって。
仕方が無いのでお燐とおくう連れて探し回りました。殿内隅々まで。
でも、居ませんでしたよ。そんなモノは。彼女、幻覚症状でも表れたのかなってちょっと思ったりしたんですがね。
それからしばらく、夜中になると彼女夢遊病みたくふらふら殿内を歩き回ってるんです。私みたいに無意識であちらこちら、壁や柱にぶつかりながら、よたよた歩くんです。もちろん私は何もしてないですよ。でもなんか気味悪くってねぇ・・・。
そしてしばらくしたら、彼女、寝たきりになっちゃいましてね、ずっと看病してたんですよ。あぁ、八意先生、あの時にあなたと知り合っていれば、こんな結果にならずに済んだんじゃないかと、・・・ああいえいえ、謝らないで下さい。誰のせいでも、無いんですから・・・。
・・・そしてね、看病中に彼女のベッドの下から、白い生き物が這い出てくるのを見つけたんです。あっ、これが彼女が言ってたやつか、幻覚じゃなかったんだなんて思ってたんですがね、不思議なことに、私は今、そいつの形も大きさもまるで思い出せないんですよ。ただね・・・やっぱり、・・・白かった。
そいつは私の方に擦り寄って来て、何か伝えたそうにしてるんです。でも私は瞳を閉じた覚りだから、さっぱり分かりませんでした。でもすごく必死なんですよ。でもこいつが姉をこんなにした元凶かと思うと、憎らしくなって、踏み潰しちゃいました。
その後、姉は遂に狂ってしまいました。話しかけても、何か訳の分からないことをつぶやくだけで、しかも歩けくなっちゃって、這って進むんです。仕方ないので車椅子を用意したのですがね。
そして、その翌日、つまり今日から五日前、彼女は死にました・・・。
灼熱地獄の火口に身を投げて。おくうが何とか探し出してくれましたよ、死体。
でもどろどろに溶けて、顔は分からなかったです。・・・最後に彼女は何を思って死んだのか・・・何も考えてなかったのかも知れません。
* * *
これで姉についての話は御終いです。・・・どうか、死んだ彼女の分まで、今宵の宴を楽しんでやってくださいな。
では、・・・・・・乾杯!
作品情報
作品集:
15
投稿日時:
2010/04/24 06:35:22
更新日時:
2010/04/24 16:38:28
分類
地霊殿
さとり
こいし
得体の知れない脅威に怯えると言うのはぞくぞくする。
普通に考えるとさとりの足をつぶしたのはこいしなんでしょうか
白いもの=さとり?
さとり自身が白い虫のようなものに変化してしまったのかはたまた
さとりの一部、例えば魂だとか。その後の、さとりの言動を見るに理性という話もありそう。
ただ、妙に白い色だった、という所を強調しているのが謎だなぁ。
あと、こいしの『名前憶えて帰ってくださいね』の行も気になる。
むむむ、わからーん!