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『鈴仙・LSD-25・因幡』 作者: sako
永遠亭の竹林に面した廊下。その板張りの上にごろんと因幡てゐは寝っ転がっていた。
寝ているわけではないのは、笹の葉の間から漏れる日の光を眺めていることからも分かる。
ぐで〜、なんて擬音が聞こえてきそうなほど。両手両足を投げ出して、てゐは寝そべっていた。
「ぐて〜」
口に出していた。
どうやらてゐはとても疲れている様子だった。
何かと警戒心が強いてゐが家の中とはいえ、無防備な身体をさらけ出しているのは珍しい。ぽっこりでたおへその周りをぽりぽりと掻いて、また、あ〜と動く腐乱死体みたいな声をだす。
「何? 死体ごっこ?」
と、そこへてゐの同僚の鈴仙・優曇華院がやってきた。
「鈴ちゃん、家の中だからってノーパンはどうかと思うウサ」
「はっ、穿いてるわよ!」
慌ててスカートの裾を押さえて、てゐの視界の外へ逃げる鈴仙。
「で、どうしたの? なんか疲れてるみたいだけれど」
「みたいじゃなくて疲れてるウサ」
はぁ、と大きく盛大なため息をつくてゐ。
「永琳さまに頼まれて山まで薬草を採りに行ってたウサ。けど、思いの外、量は採れないわ、猿に出くわすわ、文屋には追いかけられるわで、散々だったウサ」
その時の光景を思い出しながら、手振りや表情を踏まえて説明するてゐ。臨場感たっぷりの動きで鈴仙はすぐにてゐの苦労を理解したみたいだった。
「それは大変だったわね」
「まったくウサ〜」
ぐで〜とまた身体を伸ばすてゐ。
「ぐで〜」
しばらく、そんな疲労困憊のてゐの姿を眺めていた鈴仙だったが、ふいに何か思いついた事があったようで、そう言えば、と声を上げた。
「師匠にもらった薬学書の中に疲れに効くお薬の作り方がのってたから、作ってきてみるね。ちょっと、まっててゐ」
「期待しないで待ってるウサ〜」
寝転がったまま、踵を返して部屋に向かう鈴仙に手を振るてゐ。
程なくして鈴仙が駆け足で戻ってきた。
「ハイこれ」
と、オレンジ色の液体が入った小瓶を差し出す鈴仙。疑わしげにその瓶を逆さまの視界で眺めた後、ごろりと転がっててゐは腹ばいになった。
「キャロットジュースウサか?」
「うん、もとの薬のままだと効き目がありすぎるらしいから、ちょっとジュースで薄めてみたの。効果は大丈夫よ」
「まぁ、キャロットジュースが飲めるだけでも多少は元気が湧いてくるウサ」
よっと身体を起こし、立ち上がって鈴仙の手から小瓶を受け取るてゐ。コルク栓を外して、瓶に口をつけて、中身をこくこくと飲干す。小さな徳利ほどしかないサイズに収められていたキャロットジュースはものの数秒でてゐのお腹の中に収められてしまった。
「普通のキャロットジュースウサね。美味しいウサ」
「まぁ、薬自体は無味無臭無修正だから」
「ふぅーん。あっ、でも、心なしか元気が戻ってきたような…ウサ」
ぴょん、ぴょん、と兔らしくその場でジャンプしてみせるてゐ。あはは、と鈴仙は薄い笑い声を上げて「そんなに早くは効かないわよ」とてゐをたしなめた。
「まぁ、ありがとうウサ鈴仙」
気持ちの切り替えにはなったのか、お礼を言っててゐは立ち去ろうとする。
「あ、ちょっとまっててゐ。ついでだから何本かまとめて作ったの。これもあげるわ」
後ろに隠していた手提げ袋を持ち上げてみせる鈴仙。中には先ほどてゐがもらったものと同じキャロットジュースが十本ほど入れられている。
「わぁっ、こんなに♥ くれるウサか?」
「ええ、てゐには元気でいてほしいからね」
きゃーお、と両手を組み合わして片脚をあげてポーズをとるてゐ。80’sのセンスだ。
鈴仙からジュースが入ったふくろを受け取り、てゐはスキップを刻みながら廊下を歩いていった。その背中が見えなくなるまで鈴仙は見送った。
暫くの間、鈴仙は自分があげたキャロットジュースを飲むてゐの姿を屋敷の中で何度か見かけた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「開いてるわよ」
それから暫く経って自分の部屋で作業をしている鈴仙の所へてゐがやってきた。
「鈴ちゃん、この前、ジュースありがとうウサ」
開口一番、てゐは満面の笑みを浮かべながら鈴仙にお礼を言った。その素直さに少し面食らって、目を点にする鈴仙。
「いやー、疑ってたわけじゃないウサけれど、あのジュース、すごい効き目ウサね。もらったあの日は元気が出すぎて夜、寝れなかったぐらいウサ」
その後もバリバリ働けて永琳さまとか姫さまに褒められたウサ、と飛んではしゃぐてゐ。
「そう、よかったわ。で、今日は?」
「うっ、じ、じつわ…ウサ」
どうしたのかしら、と鈴仙が問いかけるとてゐの笑顔は一転、夕立前の曇り空のように申し訳なさそうな顔を浮かべた。
「が、頑張りすぎて、もう、全部飲んじゃったウサ…で、次のが欲しいウサ…」
もじもじと、指で遊びながら、視線を背けつつ言いにくそうな言葉を続けるてゐ。ああ、成る程、と鈴仙は頷いた。
「うーん、次のをあげたいのは山々なんだけれど、今、仕事が溜まってて作るのにちょっと時間がかかるのよね…」
鈴仙は視線を机の上に広げられた書類に向ける。永琳に頼まれた研究のまとめ、だった。
「えーっ、明日、裏の納屋の大片付けがあるウサ。それまでには…」
終わるウサか、と訪ねるてゐ。返答は鈴仙が肩を竦めて首を振った事で分かった。
「そんなウサ」
がっくりと絶望の表情をして項垂れるてゐ。
「うーん、あ、でも、それなら…」
そんなてゐをみて助け船をだす鈴仙。けれど、少しいたずらっぽく笑った口はなんだか小悪魔のよう。
「てゐが手伝ってくれればこの仕事、終わるかも」
そう作業を予測する鈴仙。暗に、けっこう明るい暗だけれど、暗に手伝えと言っているのだ。
意図をくんで、うぇー、とうんちでも踏んだみたいに顔をしかめるてゐ。
「どうする?」
「ううっ、背に腹は替えられないウサ。手伝うウサよ」
不承不承、てゐは服の袖をめくりあげる。
「さっ、何をやればいいウサか」
それから数時間。二人がかりで作業に取りかかったお陰で何とかその日の深夜には書類は完成した。
「いやー、疲れたウサね。ああ、でも、これもジュースを飲めばばっちり回復するウサね」
まるで新しい罠を手に入れたから早く猪が畑を荒らしに来ないかな、なんてのたまう農家の人間のような口ぶり。そんなてゐにあきれかえりつつ鈴仙もうーん、と固まっていた身体を伸ばした。
「じゃあ、ちょっと疲れてるけど、頑張って作ってくるわ」
ギブアンドテイクね、と鈴仙は席を立つ。
「お願いウサ〜」
その後ろに手を振って見送るてゐ。
「まぁ、鈴仙もアレを飲めば一発ウサ」
ついでにそんな一言を付け加える。
と、部屋から出て行き、薬品を作るための実験室へ行こうとしていた鈴仙の足が止まった。
「あ、うん、そう…ううん、実はあれは一寸、私の身体には合わないのよ」
そんな言葉をてゐに告げる鈴仙。
てゐはそーなのか、と言って鈴仙を見送った。
てゐは新しく作った五本のジュースもすぐに飲みきってしまった。
その度に鈴仙の部屋を訪れ、その周期は段々と短くなってきたようだった。渡す量は増えているにも関わらず。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「鈴ちゃん…」
申し訳なさそうに鈴仙の部屋の扉を開くてゐ。またか、と鈴仙は怪訝な顔をする。
「てゐ、もう、暫くは作れないって言ったでしょ。それにジュースの在庫ももうないんだから」
キャロットジュースの原材料の人参はてゐの下部の妖怪兔たちのお給料でもある。余っている予備分を使って賄い用のキャロットジュースは作られていたのだが、その在庫を全て使い尽してしまって妖怪兔たちからは不満の声が上がっている。たしなめる役のてゐも自分が原因とあっては面目がたたず、これ以上、人参をジュースにするのは無理な相談だった。
「えーっ、じゃ、じゃあさ、リンゴのジュースでもお酒でも、ああ、そうだ、水でもいいから、アレの元のお薬を溶かした奴をちょうだいウサ」
「仕事中にお酒を呑む気? 一発で馘首にされるわよ」
しかりつけるような口調の鈴仙。で、でも、と引き下がる様子を見せないてゐ。
「あれがないと、最近、仕事が手に付かなくて…ウサ」
また、うつむき申し訳なさそうに口を開くてゐ。放っておけば、ごめんなさいと涙さえ流してきそうな雰囲気だ。
「…はぁ、仕方ないね」
あからさまに大きくため息をついて、鈴仙は立ち上がった。部屋の隅に置いてある箪笥の所まで歩いていき、並べられた薬品瓶の下にひいてあった緩衝材をめくり、その下に隠されていた切手のような赤い色をした紙きれを取り出した。
「…あんまり、こういうのは渡したくないんだけれど、これがあのジュースに入ってたお薬の元よ」
「えっ、紙じゃないのかウサ」
怪訝そうに、鈴仙が嘘をついていると口にするてゐ。違うわ、と鈴仙は反論。
「正確に言うとお薬を溶かして紙に染みこませているの。持ち運びしやすいように。でも、これはてゐに渡したジュース何十本分の量のお薬が染みこませてあるから…」
「効き目も強いウサか」
少しだけてゐの目が光った気がした。
「うん、だから、あんまりオススメできないの。当分、手伝ってもらっても新しく作る余裕はなさそうだし…本当言うとジュースとかに混ぜて一寸ずつ使うのがいいんだけれど…」
「せ、説明はいいウサ。くれるのかウサ」
急かすように言葉尻を荒くするてゐ。仕方ないから、と鈴仙はため息をついた。
「いい、てゐ。絶対に沢山摂っちゃダメだからね。一センチ角ずつぐらい、少しずつ使うのよ。分かった?」
「分かったウサ♪」
鈴仙が説明した時には既にてゐは部屋の扉を開けて、ありがとうウサ、なんていいながらスキップを刻んで帰ろうとしているところだった。
しかし、てゐは鈴仙の言いつけを守らず、また、何度か鈴仙の部屋に薬をせびりにやってきた。もう、ジュースみたいに薄めたものはいらないウサ、といって。
その姿はまるで何日も眠っていないようで呂律もあまり回っていなかった。家の支配人的地位にいる永琳にも「最近、てゐの様子がおかしいのだけれど」と鈴仙は相談されていたが、鈴仙は知りません、と応えていた。
自分の保身のために。
計画のために。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふふふ、こんなに上手くいくとは思わなかった」
自室で一人。机に座って不敵な笑みを浮かべている鈴仙。その顔は悪事を企むギャングのよう。そう、実際にその通りだった。
鈴仙がてゐに渡していた薬というのは実は麻薬の一種で、興奮作用や覚醒作用、神経系の拡張作用、それと強い依存性をもつ薬物で鈴仙が永琳からもらった薬学書にも取扱注意の頁に載せられている類のものだった。
ある日、その頁を読んでいた鈴仙はこれを妖怪兔やてゐたちに飲ませて中毒にさせれば、後は人参よりも優秀な報酬になるのでは、と考えたのだ。最初こそ、その馬鹿馬鹿しい上に非道い計画を自分自身で笑っていたものだが、あの日、偶然、疲れ果てて廊下でぐったりとしているてゐを見かけてついに計画を実行してしまったのだ。最初に渡した時は「用法用量を守れば安全な薬物です」という本の内容を信じて、半ば以上、疲れたてゐの為に作ってあげたのだが、余りにあれよあれよとてゐが計画通りに薬を求めてくるので、つい、調子に乗って計画を進めてしまったのだ。そうして、もはや後戻りはできないと原液を紙に浸しててゐに渡していたのである。
「ふふふ、これでもうてゐは私の意のまま。あー、さって、今まで散々、遊ばれた分、散々にこきつかってやろうっと」
取り敢ずは肩たたきでもやらせようかな、それとも庭の草むしりか、などと幸せそうに計画を立てる鈴仙。
と、また、部屋の外からてゐの申し訳なさそうな声が聞こえてきた。
にやつく顔を正すと鈴仙は不機嫌そうな表情を作り、開いているわよ、とぶっきらぼうに応えた。
「あ、あの…れ、鈴チャ…鈴仙、さん」
おどおどした様子のてゐ。むぅ、これはやり過ぎたかしら、と鈴仙は内心でほぞをかむ。渡す薬の濃度を調節しないとこき使う前に廃人になっちゃう、と消耗品の耐久度を考える技術者の思考をしてみせる。
「何? もうダメだって…」
「あ、うん…今日は、そのちょっと違って…」
そう言っておずおずとてゐは後ろに隠していた何かを鈴仙に差し出してきた。何、とそれを受け取り、包装紙になっている大きな笹の葉をひもとく鈴仙。中から出てきたのは…
「わっ、人参のゼリー? 美味しそう」
砂糖で煮詰めた甘い人参を寒天で固めた菓子の一つ、鈴仙の好物であった。
「その…今まで沢山、お薬くれたからお礼にと思って…で、それで、それでね、鈴ちゃん…その…新しいのを…」
お礼とはいっても結局はソレか、と鈴仙は心の中である種の侮蔑の視線をてゐに投げかける。
「はぁ、仕方ないわね」
それでもゼリーのお礼に、といった風を装って投げやりに応えてあげる。やった、と少しだけてゐの顔が明るくなった。
「ありがとう鈴ちゃん。ささ、ゼリー食べてよ」
「ええ、頂くわ、てゐ」
気の利くことに用意してあった竹を切って作った楊枝でゼリーを切り分け、ぱくぱくと食べる。
鈴仙が食べ終わるまでてゐは部屋の隅で手持ちぶたさげにしていた。
「で、鈴仙、次のお薬は?」
食べ終わるのを見計らってからてゐは鈴仙に問いかけた。ああ、もう、余韻を楽しんでるのに、と鈴仙は顔をしかめて箪笥の一角を指さした。
「そこに入っているからかっへに…アルぇ?」
ぶっきらぼうに言おうとして自分の舌が回っていないことに気がついた。どうして、と顔に手を当てようとした瞬間、心臓が跳ね上がり、酷い目眩に襲われる。
一瞬で陥る視野狭窄。意識がホワイト/ブラック/パープルアウトしかける。拙い、と机に手を突くがまるで力が入らず鈴仙は為す術もなく椅子から転げ落ちてしまった。
「はっ…はっ…はっ…にゃ、にゃにきょれ…」
激しく胸を上下させるがまるで空気が入ってこない感じ。ごうごうと耳の中に自分の血が流れている音を聞く。瞳孔が広がってものすごく部屋が明るく感じられる。
「なひふぉ…」
ゆっくりと手を伸ばす鈴仙。その手を、
「てゐ!」
てゐが蹴りとばした。
瞬間、雷に打たれたような衝撃。ビリビリと背骨に電気が走ったように鈴仙は痙攣し、呆けたように開けた口から涎を流す。瞳からも涙腺の蛇口でも捻ったように涙があふれ出してくる。そうして、
「あ、あ、あ…おひっほが…」
部屋に充満する微かなアンモニアの匂い。見れば鈴仙のスカートが濡れていた。漏らしたのだ。
「うわっ、そこまでクるんだ。アレだけ一編に摂ると…」
危なかったウサ、と胸をなで下ろすジェスチャーをしてみせるてゐ。
「鈴ちゃん、甘いウサ。そのゼリーより甘いウサ。人を騙すことに駆けては伝承級。この因幡の白兎であるてゐを騙そうなんて百兆光年遠いウサ」
胸を張って、不遜に唇を歪めてみせるてゐ。
その言葉の通り、鈴仙の企みは全ててゐには承知済みだったのだ。
気づいたのは一回目、ジュースを貰いに行った時。あの時、手伝いを終え薬を作りに行こうとした鈴仙はてゐの自分も飲まないの、という言葉に何故がどもりながら言い訳がましい言葉を返してきたのだ。その事に不信感を憶えたてゐは独学でジュースの成分を調査。中に麻薬の一種が含まれていることを突き止め、鈴仙は自分に故意に危険な薬を飲ませようとしていると踏んだのだ。
その後は鈴仙の思惑通りに事が運んでいると思わせる演技を続け、もらったジュースは全てばれないように棄て、次に渡された原液を染みこませた紙は使うようなことはせずため込み、そして、お礼と称して作ったゼリーの中にこっそりと混ぜ込んだのだ。
効果は見ての通り。全ててゐの思惑通りに事は進んだ。
「ふふぅん、すごい気分いいウサ、鈴仙。あのジュースでも結構、ハイになったウサから、原液クラスのものを摂ればそいつはもう最高にハイ!ってヤツウサ」
指でピストルの形を作ってポージングするてゐ。けれど、鈴仙はもう殆どてゐの言葉を聞いていないみたいだった。
涎や涙、鼻水に尿を垂れ流しにしながら恍惚の表情を浮かべてガクガクと震えている。もう、精神は有頂天か或いは彼岸の側か、兎に角、遠いところにあるようだった。
「にひ、でも、それだけだと刺激が足りないようウサから、もうちょっと気持ちよくなるよういいモノをあげるウサね」
そう言ってサキュバスの表情を浮かべ、鈴仙の足下に回り込むてゐ。
小水に濡れて重くなったスカートを持ち上げ、バケツに張った水に浸したようなパンツ(ライトグリーンのストライプ。十二状、右回り)をずらし、鼻や口周りのように生理反応分泌液を滴らせる秘所を露わにさせた。
蠢くようにひくつくそこを指先でつついて遊び鈴仙の反応をみるてゐ。爪がその柔らかく熟れた密林に触れる度に鈴仙は小さくうめき声を上げ身体を強く痙攣させる。
「うわっ、すごい感度ウサね。これだと…膣に入れたらどうなるウサかね」
キシシ、と口元を手で覆い笑うてゐ。ごそごそと自分のポケットをまさぐるとてゐは台所からくすねてきた一本の太い人参を取り出した。
「兔の大好物ウサ。これもプレゼントするウサ」
濡らす必要もない、とてゐはソレを鈴仙の秘裂にあてがい、躊躇いなく一気に根本まで押し込んだ。
「―――ッ♥」
刹那、身体を仰け反らせ声にならない悲鳴をあげる鈴仙。
「痛かった―――訳はないウサね」
鈴仙の顔を覗き込み、そこに牝の愉悦を見いだして、てゐは口端をゆがめた。
ぷしゅ、ぷしゅ、と間欠泉よろしく鈴仙の股の間から尿ではない別の液体が噴き出してくる。
「潮吹くぐらい喜んでもらえて嬉しいウサ。じゃあ、暫く一人にしてあげるからゆっくり楽しむといいウサ」
あ、この薬ももらっておくから、とてゐは最後に鈴仙が指し示した箪笥の一角からちゃっかりと薬を盗み取り、それからバイバイと手を振って鈴仙の部屋を後にした。
「ッ―――あー♥ あー♥」
快楽に精神を蝕まれながら鈴仙は必死に床を張って進む。
小水や涎、潮の蹟を残しながら進む姿は蛞蝓じみている。
僅か数歩でたどり着けるはずの扉までの距離が千里に匹敵するように遠く感じられ、軽く絶望する。
と、残り半分の所まで進んだところで、神経拡張された耳に声が届いてきた。
「てゐ、鈴仙を知らないかしら」
エコーがかって聞こえる声は師匠の永琳のものだった。やった、あとは師匠が来てくれれば解毒剤を作ってもらえると、地獄で蜘蛛の糸を見つけたカンダタのように淡い希望を抱く鈴仙。
しかし、嘘つきの名人はぬかりなかったようだ。
「あ、鈴ちゃんなら白玉楼の庭師の所へ遊びに行くって言ってたウサ。みょドンゲはジャスティスってけーねが言ってたウサ」
てゐがせせら笑う声が聞こえる。
更に程なくして部屋の外からカギをかけたような重々しい音が聞こえてきた。逃がすつもりもないのだろう、てゐは。
もう、ダメだ。どうなってもいいや、と鈴仙は精神を化学物質が作る快楽の並みにゆだねることにした。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それから半日。
閉ざされていた鈴仙の部屋の扉が開いた。
非道く、緩慢な動作で鈴仙が顔を上げるとそこにはてゐが立っていた。
「うわっ、水たまりができてるウサよ。どんなけイったウサか…」
鈴仙の痴態に軽くひきつつ、それでもその結果に満足げな顔をするてゐ。
「鈴ちゃん、キモチよかったウサか?」
返事をするまでもないといった様子の鈴仙。
胸元ははだけ、ブラウスのボタンが千切れている。外すのがもどかしくて引きちぎったのだろう。露わになった胸は頂を鋭く尖らせている。赤くなって所々、ひっかき傷が見えるのは激しい自慰のせいか。昂揚した柔肌に赤い裂線が引かれている様は何ともなまめかしい。
てゐが人参を突っ込んだ秘所はぽっかりと孔を広げて、今も、浅ましくもひくついている。人参はというと菊座の方へ押し込まれ、てゐが来ているにもかかわらず鈴仙はソレを出し入れしている。もはやとまらないといった様子。
自らの淫液と小水、汗、あらゆる体液でできた水たまりの上に身体を横たえる鈴仙の精神はもはや尋常のソレではなかった。
「さて、もっとお薬、欲しいウサか?」
問いかけに首が外れるのでは、と思えるほど激しく頭を振るう鈴仙。その浅ましさは餓鬼道に匹敵する。
仕方ないウサねぇ、と慈悲を思わせるが、本心、真逆の顔つきをして、てゐは鈴仙からもらってため込んでおいた薬の内の一枚を取り出し、小さく千切った。その様を餌を与えられた飢えた動物の面持ちで眺める鈴仙。
そのままてゐはかがみ込み、鈴仙に紙片を与えようかとしたところで、ふと思い立ったようにそれを自分の足の指の間に挟んだ。
「あー、歩き疲れたからマッサージしてくれると嬉しいウサ。ああ、もちろん、口でウサ」
にやり、と加虐の悦びに満ちた笑みを浮かべるてゐ。
はい、わかりましたてゐさま、と鈴仙はてゐの足下に顔を近づけ、指の間に挟まった紙片を咀嚼。そうしてそのまま塩味のするてゐの小さな足の指に舌を這わせ始めた。
鈴仙は薬物の暗黒面に堕ちいってしまった。
END
野菜スティックでもろみをディップしたものを肴に、ジンライムの呑みつつ書き上げました。
…正直、駄作。
筋肉痛の身体ではいい文章は書けんか…次頑張ろう。
10/05/02追記
>>5さま
薬学の知識はないものでタイトルは適当に思いついたものを…
っていううか、そいつは次の話のタイトルだー
sako
作品情報
作品集:
15
投稿日時:
2010/05/01 14:19:07
更新日時:
2010/05/03 00:01:00
分類
鈴仙
てゐ
ドラッグ
キャロットジュース
ただの妖怪兎ならまだしも、てゐを騙そうとするのは無謀だったという。
だが、永琳が発見したらどっちが悪い事になるだろうな
鈴仙もてゐも恐ろしいのう…
これじゃあ鈴仙・アンフェタ院・因幡じゃないですかー
鈴仙の拙い演技と結末が可愛かったです
あーあ、もうちょい嘘うまければ逆転されなかったかもなのにw
このうどん好みすぎる!!
後スカトロがあれば3000円は出せる。
瀬戸内海の海老をふんだんに使っております