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『東方宣戦霊#3』 作者: シ骸中尉
自分は死ねない。
それがディミトリを苛んでいた「悩み」である。
それが彼を苛みだしたのは初めてレズノフと出会ったあの日からだ。
燃え盛る建物の中から飛び降りても彼とレズノフは無事だったし、
ベルリンの戦いにて水没する地下鉄で見事(?)に沈んでも
気がつくとレズノフに助けられていたし、
揚句の果てには旗手になった際、隠れていた敵兵に不意打ちされて
撃たれても死ななかったしオマケにその後旗を自力で刺せたぐらいだった。
しかし、彼はどういう訳か気がつくと死んでおり、
冥界で幽々子に声をかけられ、彼女が指揮する「白玉楼大隊」に参加していた。
そして、現在に至る。
飛行船戦艦・アンビエント(LZ-250AT)
いつの間にか幽々子の頼れる技術者として白玉楼大隊に参加していた
岡崎とかいう学者の指導の下、建造された飛行船。
現代戦に対応する為に、気球部分を格段に強化されている。
また、エンジンなどの重要な機関や部分には増加装甲を取り付けられており、
ブリッジのガラスはハニカム構造の骨組みに加えて強化ガラスとなっている。
よって、一筋縄では破壊されないようになっている。
武装は105mm榴弾砲、40mm機関砲、25mmバルカン、12.7mm迎撃機関銃を装備。
更には「露出遊覧兼通路」にMG3を改良した歩兵銃座を幾つか設けている。
また、対地攻撃として対地ミサイルを装備しており、地上への攻撃力も高い。
そのくせ、最大出力で飛行した際のスピードは軽快で、
時速150kmを出す事に成功している。
では、本編に戻ろうか
[現在地:紅魔館近くの森/アンビエント「弐番艦」ブリッジ]
「おぉ・・・!!此処が幻想郷か!!あれが幻想郷の光か!!」
「エンジンをもっと早く!吹き飛ぶくらい回せ!」
「俺達が先だ!俺達が先にッ!!」
ブリッジは狂喜に包まれていた。
「幻想郷の土を踏みにじるんだッ!!!」
兵士が、その場に居た兵士全てが、アンビエントに乗艦している
全ての兵士が、同じように、狂っていた。
「犯す!壊す!殺す!皆殺しだッ!」
「吸血鬼を!その手下共を!殺せ!喰らえ!皆殺しだッ!!!」
目の前の紅魔館を見て、そこに居るであろう吸血鬼とその配下達に
想いを馳せて、恋心とは違う意味の思いを馳せながら。
「我等が己の為に!我等が西行寺様の為に!!」
自分に課せられた「宿命」を今、もう一度果たすため。
そして、そのチャンスを与えてくれた幽々子の為に、兵士は進む。
席に座っているジャクソンがメガホンを持ち出した。
「傾注!これより我等は二つの班に分かれる!!」
「これより俺と共に紅魔館を「喰らい尽くす」者は船体後部の「出撃用ハッチ」へ!
上空から援護及び支援攻撃を行う者は船に残るように!」
「私とブラックはどうすればいいですかーッ!?」
「お前はいち早く出撃し、門番を陽動しろ!手段は問わん!」
「攻撃目標は!?」
「決まってるだろう!紅魔館正門及び紅魔館!!特に門は徹底的に
破壊しろ!俺達が通れるようにな!」
「「Yes Sir!!」」
「そうと決まれば出撃したい者は出撃準備!完了次第出撃用ハッチへ向かえ!」
「了解!」
「ミラー!ディミトリ!往くぞ!!」
「分かってるぜジャクソン!いっちょかましてやらぁッ!!」
「・・・了解」
「以上!解散!総員は直ちに準備に向かえ!」
ジャクソンは投げ棄てるようにメガホンを投げ、ハッチへと向かった。
その後を、ミラーとディミトリが追う。
そしてホワイトはブラックを起こしに向かい、残された兵士達は
それぞれハッチへ向かったり、船体中に散らばった。
アンビエントの攻撃が紅魔館全域を攻撃できる距離に到達するまで、
残り、5分。
[アンビエント弐番艦:出撃用ハッチ]
そこには既に何百人もの兵士が集結していた。
スペツナズ、SAS、ソ連軍、敵対勢力、海兵隊フォースリーコン、
ナチスドイツ軍、武装親衛隊、旧日本軍、海兵隊が、
白玉楼大隊に所属している「CoD大隊」に所属する兵士全種類が、出撃用のハッチに集結していた。
マルチプレイの特権とも言える、武装の自由、パークの自由の恩恵を得ている
彼等は、本来は到底不可能な武装からありえない武装をしている。
その前に立つ、三人の影。
ジャクソン「准尉」元海兵隊フォースリーコン所属
ミラー「曹長」元海兵隊所属
ディミトリ「曹長」元ソ連軍所属
三人の背後には、既に解放されたハッチが、外の光景を見せていた。
そして、下から突き出ているのは、ダイナミックエントリー用に開発、設置
された兵士用カタパルトだ。
勿論、普通の人間が使える物ではない。だが、彼等は既に人ではない。
壊れた亡霊の姫君に忠誠を、狂っている己に忠誠を誓った、
悪霊ですらない「化物」となっていた。
何かを待っているように、ジャクソンは呟いた。
「かくして戦場を駆けずり回る準備は整った。後は「狼煙」を待つのみだ。
春告精が「春」しか告げれないかどうか、これでハッキリとなる」
[紅魔館近く:リリー]
「ブラック、今回はとてもヤバそうな大仕事ですよ」
「・・・分かってる」
「だから「何時も」みたいにただ春告げるだけじゃ駄目ですよ」
「今回の春の告げ方は、とても残酷」
二人(?)は今、門から約5メートルの位置で滞空している。
ホワイトはイサカM37と何百本もの銃剣を携えて。
ブラックはMP44ととても短くされたM1ガーランドを携えて。
「ホワイトは粉砕して血の華を咲かせますよ、串刺しにして、
八つ裂きにして、くびり殺して、「春」を告げますよ」
「私は穴を開けて、蜂の巣を作り出す、生命の血を搾り取って、
その地にばらまいて、「春」を告げる」
二人は向かい合い、言った。
「今日も春を一緒に告げに行くですよブラック」
「今日も春を伝えに行きましょうホワイト」
「二人は二人居てこそ初めて「春告精」なのですよ」
二人は進み出した。
何処へ?門へ。
何をしに?「春」を告げに。
どうやって?どうやってでも。
邪魔する者は?誰であろうと、排除する。
相手が強過ぎても?何であろうと。
二人の前を遮る、チャイナドレスの少女。
紅髪で、帽子の星には「龍」と書いてある。
「ストップ。貴方達、もう春は過ぎたわよ?それとも妖精だから
今日が何月何日だか忘れたのかしら」
門番、紅美鈴だ。特に能力らしい能力は持ってないが、
その代わり体術はかなりのモノらしい。
ホワイトがヘラヘラ笑いながら言った。
「いやですね、今日は久しぶりに春の匂いを感じたので此処に来ただけですよ」
同時にブラックも口を開いた。
「ついでに食べ物とか配って貰えないかな、と思って」
「駄目ですか?」
「何時もならあげれるけど、今日は妹様が外出訓練中だから、
悪いけど今度にして」
その言葉に二人は向かい合って笑い、次の瞬間、
ブラックのM1ガーランド改から7.62mm撤甲弾が、
ホワイトの左手から何十本もの銃剣が美鈴に向かって飛んできた。
刹那、銃声と何かが千切れ、飛び散る音。
それは美鈴(そろそろ中国で良いかな)が撤甲弾で左腕と右足を
もぎ取られ、銃剣が彼女の身体をことごとく貫いたからだ。
彼女は、自分が何をされたのか分からないまま、湖に沈んでいった。
恐らくは、即死だろう。
その姿を見て、ホワイトが呟く。
「ほら、春が来ましたよ・・・っ!!あひゃひゃひゃ!」
そして、無線機を取り出して口を開いた。
「ジャクソン!門番は黙らしましたよー!春が存分に告げれますよ!」
<OkOk了解、艦長!門と館に一斉射撃!吹き飛ばせ!>
「ちょ、ジャクソン下手するとホワイト達まで巻き添えになるですよ!」
<喧しい!飛ぶとかどうにかしろ!艦長、構わん、撃て!>
「・・・冗談じゃないのは確か。ホワイト、死にたくなければ離れて」
ホワイトは頭を掻きむしると、苛立っているように吐き捨てた。
「あぁもう、人間の兵士はこんなのばっかりですか?まだ霊夢の方が人間性あるですよ」
ホワイトとブラックが離れた直後、上空に待機していたアンビエント下部の
105mm榴弾砲と40mm機関砲が同時に火を噴いた。
そして、僅か数秒で爆発交響曲が演奏された。
放たれた砲弾が空気を切り裂き飛ぶ音。
門に、館に着弾し発火剤が爆薬を、雷管が発火薬を、爆発させる音。
何も知らないメイド妖精が吹き飛ぶ音、悲鳴。
ある程度砲撃を行ったアンビエントが突然後ろを向いた。
後部のハッチが開いていた。
[アンビエント弐番艦:出撃用ハッチ]
砲撃中、彼等は出撃するために列を作った。
五人ずつ「出撃」する事が出来る為、五つの列が作られた。
しかし、最初はジャクソンとミラーとディミトリの三人から、出撃する事になった。
砲撃の音が止んだ。三人がカタパルトに跨がる。
ブーツにカタパルトの金具が装着される。
三人はまるで手本を見せるように、同時に前屈みになって、出撃態勢をとった。
何処からともなく秒読みが開始される。何故かドイツ語で。
<5...4...3...2...1.........0ッ!!!>
瞬間、三人の足元から火が噴射され、三人はまるでロケットのように
カタパルトを「疾走」すると、パラシュートも着けずにハッチの外へと飛び出た。
しかし三人は何事も無く、まるで獲物を見つけた鷹のように降下していった。
その上では、既に何十人もの兵士が降下している。
砲撃が終わった後の紅魔館は目茶苦茶だった。
門は吹き飛び、花畑は跡形も無くなっており、館はボロボロで、
まるで廃墟のようだった。
至る所で火災が発生しており、館内から悲鳴が聞こえてくる。
その倒壊した門から集団がやって来た。
燃え盛る炎をものともせず、まるで地獄の軍団のように。
彼等がもし武装親衛隊だったらどんなに美しい絵となっていただろうか。
それでも、ある種の恐怖や狂気を感じる事は、きっと妖精でも出来るだろう。
吹き飛んだ妖精だった破片を踏み越え乗り越え彼等は進む。
時には踏み潰して、時には間食のように口にくわえて。
CoD4、CoD4MW2、CoDWaWに登場するマルチプレイ時の
客観結界の外の人間の代理人は進む。
ジャクソンと、ミラーと、ディミトリを先頭にして。
走る、走りつづける。
銃を構え、ロケットランチャーを構え、持ちたかった武器を携えて、
本来なら重過ぎて動けないような装備でも、軽快に、
しかも重装備で、それでも軽快に走る。
その時のディミトリの表情は、とても、とてもーーー
まるで楽しい夢を見ている少年のような笑顔だった。
To be continued...
最近友人と共にクリサリス改をぶっ殺す計画を建てました。
ヘルシング5〜7買いました。武装親衛隊の衣装に惚れました。
あんな軍服着てサバゲーがやりたい。もしくはゆゆ様と踊りたい。
曲は当然「戦争交響曲」で。指揮は少佐殿。
そんな訳でどうも、特に言う事が余り無いシ骸中尉です。
美鈴好きな人、簡単に死なせて(?)申し訳ありません。
後、前回ホワイトが余りにもはっちゃけ過ぎたので少し大人しめにしました。
さて、次回は遂に待ちに待ったであろう紅魔館襲撃。
「戦列を並べたロケラン厨の一斉発射が轟音と共に紅魔館を吹き飛ばす」
事になるでしょう。いや、もうなったか。
え?階級がおかしい?二階級特進(?)とやらによってか、幽々子あたりが勝手にそうしたと
思って下さい。
では諸君、ヴァルハラで会おう。(きっと)
5/17コメント返信
>>1
ネタバレになりますが、幽々子側の「鬼札」はゆゆ様本人で、
幻想郷側の「鬼札」は今の所霊夢か紫です。
>>2
私も好きです。そして今までプレイしたFPS主人公で最も怖い主人公ですw
>>3
次回にご期待下さい!
シ骸中尉
- 作品情報
- 作品集:
- 15
- 投稿日時:
- 2010/05/11 08:36:21
- 更新日時:
- 2010/05/17 17:07:01
- 分類
- 幻想郷
- 東方宣戦霊
- リリー
どんな相手でも一撃で確殺できそうなんで、アサシンブレードで
FPS主人公ではかなり好きだわ、ディミトリ
いやはや最高に勃起モンだわこれは…
というか兵士だけでもやばそうなのに教授まで連れてきたら幻想郷がどうなってしまうのか想像もつきませんw
果たして紅魔館にまだ戦える者は残っているのか?