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『積み木の家が崩れるとき』 作者: エイエイ
幻想郷の長い歴史の中の一時期、博麗神社の巫女が妖怪に襲われて亡くなりました。
彼女がいなければ博麗大結界が維持できず、つまりは幻想郷の存続そのものに係わります。
そこでスキマ妖怪は人間の里から一人の子供を連れてきて、その女の子を代わりに巫女として育てる事にしたのでした。
しかし、ただの子供を一から育て上げ、幻想郷一の実力者にする事が簡単なはずがありません。
事態は一刻をを争うのに悠長な事を言ってはいられませんでした。
スキマ妖怪は降霊術を行い、彼女の肉体に死んだ先代の巫女の魂を降ろし、人格と霊力を一気に引き上げる事にしたのです。
儀式は成功し、博麗神社に新しい巫女が誕生しました。
それから数年が経ち少女が巫女の仕事を何とかこなせるようになって来た頃、ある問題が起きます。
もともと少女の体にあった魂が自己主張を始めたのです。
一つの体に二つの魂は異常な事ですから、しだいに少女は精神的にも肉体的にも衰弱していきました。
本当はすぐにでも入れた魂を引き離さなければならなかったのですが、彼女には大切な巫女の仕事がありますから勿論そんな事は出来ません。
二つの魂は強く結びつき記憶と感情は混ざり合い、最早少女にまともな人格を与えてはくれませんでした。
彼女は困り果て、新たな魂を肉体に宿し、まさにその者になり切ろうと思ったのです。
だけどそう簡単に魂が定着するはずがありませんから、すぐに肉体を離れてしまいます。
そのかすかな残留思念のような物にすがり付き、どうにかその振る舞いをましなものにしようと演技を始めたのです。
まさにピエロさながらです。
当然のことながら本物には遠く及びません。
こうして多くの者の魂の残骸らしき物を積み上げて、彼女の魂は、今にも崩れ落ちそうな積み木の家の様な姿になりました。
そして何時しか自分が何者か分からなくなったのです。
人が彼女を見る時、その人間が一番望む魂の形を見るようになりました。
彼女を好きだと言う時も、嫌いだと言う時も、少女は自分の事として捕らえる事が出来ませんでした。
それは酷く少女を傷つけ、周りの者達も困惑させました。
こうして博麗神社の巫女は酷く人に会う事を恐れるようになり、異変が起きた時以外は殆ど外出もしなくなったのでした。
おしまい
作品情報
作品集:
15
投稿日時:
2010/05/16 15:58:56
更新日時:
2010/05/17 00:58:56
分類
哲学的なもの
どっかでそんなんあったな・・・オシンとかいう名前だったっけ・・・いや違うな