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『終・香霖堂の店主が望んだ事』 作者: ND
彼女らがこの世界に来た。
もう二度と来ないといいが。
僕は、この世界が気に行っている。
妖怪も、妖術もない人間だけが過ごしているこの世界を。
それが君達妖怪、魔法使いが来たら、
この世界の秩序が崩れてしまう。
『すまない。霊夢、魔理沙、紫』
僕は、この世界で生きようと決めたんだ。
私は、憂鬱になった。
霖之助さんが私達を拒む事は慣れていたが、
まさか、私達と過ごした所も拒むなんて
『……………………。』
また虚しくなった。
『だから、来ない方が良かったのよ』
目の前には女が居た。
『霖之助さんはもう、この世界の住民なの。あなた達とはもう関係ないの。見たでしょ?あの霖之助さんの反応』
見た。ショックだった。
本当に、あの人とはもう勘当なのだろうか?
いや、血縁は無いのだから勘当とは言わないが、それほどショックだった。
『ふふふふ…………』
大妖怪であろう方が笑っていた。
とても不気味に笑っていた。
『…………あなたの本当の目的は何なの?』
大妖怪は、女に何かを問いた。
しかし、女は答えずに去っていった。
僕は、また翌日に会社に出勤した。
社長室では、秘書のあの子があいさつをしてきた。
昨日とは雰囲気が違く、顔は赤くてもじもじしていた。
しかし、僕は気にせず椅子に腰をかけた。
『あ………あの………………。』
秘書の子が話しかけてきた。
『メール………見てくれたでしょうか………?』
『見た、それよりもお茶を持ってきてくれないか。』
秘書の子は泣きそうだった。
半泣きの顔でお茶を僕の所に持ってきた。
『……………。美味いな。』
僕は、何を言っているのだろうか。
仕事の話をせずに、お茶の感想を言うなど。
だが、その言葉を聞いた秘書の子の顔は、とても嬉しそうだった。
………。なんだかこっちも恥ずかしくなってきた。
今日から、100店舗だった僕の店が、500店舗に増えるらしい。
これは、この会社にとっては異例の出来事らしい。
不思議とあまり嬉しくはなかった。
これは僕が一生懸命がんばった功績だ。だが、
何かが足りないような気がした。
何かが…………………。
今日も仕事が終わった。
何もかもが順調に行っていた。
それは僕にとっては嬉しい事だった。
だが、完全にでは無かった。
今日は、会社の功績を聞いても、何かが足りない気がした。
『あなたは今、幸せですか?』
後ろを振り向くと、あの女が居た。
『どういう事だ?魔理沙と霊夢に僕の事を伝えたなんて』
『紫が感づいたから。あのババア』
女は、少しばかりか不機嫌だった。
『あの秘書の子にどう返事返すつもりなの?』
『さぁね。分からないよ。』
『否定したら最低よ』
女は、強く強調して言っていた。
『あの女の子の人生、教えてあげよっか。』
僕はあまり興味は無いのだが、女は説明をしてきた。
あの女の人生は、2歳のころから勉強を強いられており、親からの虐待もあったらしい。
頭が、他の子と比べて段違いに良いので、友達が一人も居なかった。
僕と共に仕事をしていたから良く分かるが、ドジであるため迷惑もかけていた。
その際、いじめなどが彼女の周りには起こっていた。
あだ名は『疫病神』だった。
14歳の頃、いじめが親にバレて、親はそんな負け犬のような娘を勘当し、娘に自立を強いた。
それで、ずっとがんばって生きてきた。
でも親は娘を完全に捨てたらしく、高校にも入学できなかったためバイトを始めるしかなかった。
しかし、独学で勉強をしていた為、頭は良かった。
その知力が評価され、今の職業に5年の歳月をかけてここまで来たのだと言う。
気が弱い為、いろんな社長からセクハラなども受けていたらしい。
そこで、僕が社長になった時、
僕は秘書のあの子に普通に接しただけだが、秘書の子にとっては生きてた中で一番優しい事をしてくれたらしい。
それで、彼女は僕に惚れた のだと言う。
確かに、そこで僕が彼女を否定したら………彼女はどうなるだろうか。
また、独りぼっちになってしまうだろう。
今日は本を読まずに彼女の事を考えよう。
そう思った。
『紫』
私は、紫にある質問を問こうとした。
『何かしら?』
その質問は、決まっている。
『あの女って、他の目的があったの?』
しかし、もう一つ疑問がある。
『霖之助さんの一番望んでいる事ってなんなの?』
紫は、少し微笑みながら答えた。
『さあね。分からないわ。』
絶対に分かっている。私はそう感じた。
『それじゃあ行くわよ。』
紫は、何かを口走った。
『行くってどこに行くんだ?』
『霖之助さんの所よ。』
答えは予想していた通りだった。
大妖怪たるものがこんな事であきらめるはずがなかった。
私は、呆れるふりをしながら、心の奥底から紫を頼りにした。
紫は またスキマを作りだし、霖之助さんの部屋に向かった。
僕は、彼女の事を考えた。
彼女は、思えば20代とは思えないほどの童顔であり、
20代とは思えないほどのプロポーションだった。
だが、そんなには意識していなかった。
僕は、生まれてから一度も恋という物をした事がない。
だから、彼女の事をどう思っているなんて分からなかった。
僕は書類を手に延ばそうとすると、書類の置いてあった机が蹴っ飛ばされた。
『おい香霖』
また、あの3人だった。
『いい加減にしろ。今度は警察を呼ぶぞ』
3人は、いままで見た中ではかなり真剣な顔だった。
『霖之助さん、私達の事 嫌い?』
霊夢が、何やらよく分からない質問をしてきた。
『嫌いではない。』
『それじゃあ、私達の事はどうでもいいって事?』
霊夢は、続けて質問してきた。前に、僕が外の世界の仮説をつらつらと説明していたときの事を思い出した。
その時の霊夢の想いが良く分かった気がする。
『いい加減にしてくれ』
僕は、そう言った。
僕の手のひらに、何か雫が落ちてきた。
それは、
大妖怪とあろう方の涙だった。
彼女が泣いている姿は、初めて見た。
それ故、少し動揺してしまった。
『霖之助さん………』
なんだか怖かった。だが、それ以上に彼女が可哀想になってきた
『霖之助さん………。あなたは分からないかもしれない………。』
大妖怪ともあろう方は、僕の服をつかみ、僕の胸の中で泣き、語っていた。
『大妖怪だって泣くわよ。重くて大きい悲しみがあったら泣くに決まってるじゃない。
大妖怪だって恋はするわよ。私だって女の子なのよ………。馬鹿ぁ………霖之助さんの馬鹿ぁ…………』
恋
僕は、その言葉を聞いて一つ分かった。
恋と言うのは
悲しくもあり
嬉しくもあり
そして自分さえも変えてしまう物。
彼女は、その恋という物を持っていた。
大妖怪ともあろう方を、ここまで変えてしまうものだったのだ。
幻想郷一強い御方がこんなにも弱く感じてしまうものだったのだ。
『霖之助さん、
どうして言わなくちゃいけないんだ。僕たちはそこまで親しくないだろう。って
言ってたわよね。』
今度は、霊夢が語りだした
『私は、私達は、そこまで親しくないなんて思った事は無い。
私は、霖之助さんはとてもとてもとてもとても 親しいと思っていた。』
霊夢は、僕の顔を睨みながら喋っていた。
『言わなくても良い事だと思っていたんじゃない。あなたは心配をかけたくなかったから言わなかったの。』
霊夢は、正直で素直で嘘など無いというような目で僕を見た。
『私のジジイがあんたを見ても、褒めてはくれないぜ。』
魔理沙のその言葉を聞いて、僕は何かが砕けた。
今の僕を見ても霧雨の親父さんは褒めてくれない
だが、不思議と少しも疑問に感じなかった。
『私のジジイは見抜くぞ。お前の足りない所を、致命的に足りない所を。』
魔理沙でも分かる僕の致命的に足りないもの
…………………………………………。
僕は、ある決心をした。
『霊夢』
『……………………。』
『魔理沙』
『………………。』
『紫さん、すみませんがどいてくれませんか?』
紫にそう言うと、紫は僕の服から手を離し、後退していった。
『少し…………行ってきます。』
僕は、彼女らにそう伝えた。
まあ、言っても勝手について来るだろうが。
僕は、携帯で番号を打ち、通話した。
ここは、僕がバイトしていた時に来た店の屋上だ。
今では、外見が結構変わっている。
繁盛していたときに、リフォームという物をしたのだろう。
その屋上に、彼女、秘書の子が居た。
秘書の子は、不安に混じった笑顔をしながら僕を見た。
僕は、彼女に近づいた。
彼女の顔は、綺麗で白かった。もう春なのか、店の隣には桜の木が生えていた。
彼女の顔は、その桜の色とあまり変わりないくらい色が白かった。
『森近社長…………。』
彼女は少しうつぶせになりながら、僕に話しかけてきた。
僕は、心が痛んだ。
この子は、可哀想な人生を歩んで来ていた。
そこで、やっとオアシスという物を見つけたんだ。そのオアシスから追い出すような事を、僕はする。
でも、言わなくてはならない。
僕は………。この世界が好きだ。
でも…………。
『…………ごめんなさい。』
僕は、無意識にか、それとも詫びにか、マフラーを彼女にかけていた。
彼女は、予想以上に悲しそうな顔をしていた。
僕は、彼女には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
彼女は、うつぶせになりながら、必死に涙を流すまいと震えていた。
僕は、彼女の頭を撫でた。
すると、彼女の震えが止まった。
『………………。』
僕は、彼女に言葉を贈った。
今はとても傷ついている彼女に。言葉を
『君は疫病神かい?』
彼女は答えた。
『………やっぱり……森近社長に……とっても…………?』
『違うよ。』
僕は、即答した。
『君が疫病神なら、もうとっくに僕の会社はつぶれている。君がいたから、僕は仕事も充実できた。
君が入れてくれたお茶は、とても熱いお茶は、美味しかった。そして熱かったよ。特に膝。』
彼女は少し笑った。
でも、すぐに黙った。
『君は疫病神なんかじゃない。』
僕は、彼女にそう言った。
そして、彼女に微笑みをかけた。
彼女は、
涙
ひとつひとつ涙を流した。
その姿を見た霊夢達は、
申し訳ないような顔をし、少しだけ暗くなっていた。
『あなたは、幸せになります。私より良い人が、他の人が、きっと』
僕は彼女にそう言うと、彼女は完全に黙ってしまった。
彼女には、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、これで良かったのだ。
だって僕は……………。
僕たちは、広場に出た。
『おい香霖ー!!お前の荷物とか全部まとめといたぜー!!』
おおきな袋を担いだ魔理沙は、どう見ても泥棒にしか見えなかった。
しかし、皆もそんなには喜んでいないようだ。
いや、喜びを隠しているだけか。
少し、申し訳がなさそうに見えた。
紫さんが、一つ提案を出してきた。
『あなたがここに居た記憶も、あなたがここに来た事も全て抹消しますけど、よろしいでしょうか?』
それが、一番の最善方法だろう。
僕が初めからこの世界に来なかったら、ただそんな世界に戻るだけだ。
特にそうなっても誰も困りはしないだろう。僕は本来この世界の人間ではない。
秘書の子も、不幸な目に会いながらもここまで頑張って来ていた。
彼女もきっと救われる。そう信じよう。僕はそう思った。
しかし、そう思うと少し寂しい思いがあった。
『おい香霖!!金は全部引き出して来たんだろうな!!!』
途端に魔理沙は大きな声を出した。
そんな声を出したら近所迷惑だろうが。
『あーあー。ちゃんと引き出してきたよ。』
僕は返事をしながら、金の入ったキャッシュバッグを4つ持ちあげた。
霊夢が輝いた目でそのバッグを見つめていた。
鬱陶しいので霊夢からそのバッグを離れさせた
『霖之助さん、楽しかったでしょうか?』
紫は、そう質問してきた。
ああ、楽しかった。
質問するまでも無いだろう。
紫が、僕の記憶を消そうと僕の頭に指を近づけさせた。
その瞬間、頭とは関係の無い腹が熱くなった。
腹を見ると…・…・・…血で染まっていた。
熱いものが下まで移動した。
硬いものが僕の腹から引き出された。
僕の腹の傷口から管みたいなものが出てきた。
あの拷問された時と同じだった。
魔理沙が絶叫した。悲鳴を上げた
僕の腹をえぐったのは、あの女だった。
『いかせないよ』
女はそう言って、僕の頭を刺そうとした。
が、紫が逆にスキマに女の腕を入れて、スキマを閉じて女の腕を切り落とし、女の腕はスキマの中に消えていった
『ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!』
女は、初めて叫んだ。
『あんた、ついに本性を現したわね。』
紫は怒っていた。負のオーラが彼女の周りに囲んでいた。
『てめえ一体何が目的なんだよ!!一体何が!!』
魔理沙は、少し取り乱しているようだ。
『恩返し………恩返し…・………?』
最後に恩返しと言った時には、なぜか疑問形になっていた。
『何の恩返し?何の恩も返せていないじゃない!!これ以上仇を返すな!!!!!』
霊夢がそう言った瞬間、女は笑った。
高らかに笑った。
『だってしょうがないじゃぁぁん!無理!!霖之助さんが一番望んでいる事をすぐに叶える事は無理なんだもぉぉん!!』
女は、笑い、泣き、そして叫びながら答えていた。
『人に借りを作るなんて気持ち悪いじゃない!!この野郎が私の家を壊す前に妖怪を斬ってくれたこと!!それは感謝しているわ!!
でも!!そのおかげで借りができてしまった!!!』
彼女は、今までの彼女とは信じられない程発狂していて、ヒステリックになっていた。
『私はすぐに借りを返す為に霖之助さんを拉致った!!そして情報を手に入れようと霖之助さんと接吻までしたのよ!?』
紫は接吻という言葉に反応して、女の4体をスキマで切り刻み、だるま女にした。
『ぎゃあああああああああああああ・………あああ・………あああああああああああああああああああ!!!!』
女は、狂っていた。とても狂っていた。
『外の世界に行く事なら…………叶えられた…………。だから私は………霖之助を殺した………』
つまり、僕を拉致った時にはまだ僕が望んでいる事は知らなかった訳だ。
『妖怪とか人間の望む事なら…………すぐに望む事を叶えられた………。でも半妖は・………何を考えているのか分からなかった…………』
僕は、なんだかだんだん痛みが無くなって来ていた。
『借りなんか大嫌いだった………だから私は妖怪も人間も居ない樹海の真中で過ごしていた………
人にも妖怪にもほとんど会った事は無かった。だから、どれだけ借りを返せばいいか分からなかった。』
『逆に仇で返してるわよ!傷つける事が恩になるとでも思ってるの!?』
『この場所で幸せに過ごせば自然に埋め合わせができると思っていた…………あなたの顔を見ずに私も借りを気にせずに
幻想郷で平和に過ごせると思っていた…………。』
つまり、僕をこの世界に送ったのも。自分の為、自然に埋め合わせもできて、僕の顔も見なくても済んで一石二鳥という事か。
『でも、それは私達に借りができたと言うのよ?』
霊夢は、女にそう言った。
『やめろ………………』
『私達は霖之助さんが居なくてとても寂しい思いをしたのよねえ。それを我慢したのはあなたのせいなの。つまり、逆にとんでもない借りを私達に作っていたのよ。』
『やめろ……!!やめろ…………!!!』
『香霖は私の家族同然なんだ!!お前は家族と言う者を私達から引き離したんだ!!』
『うるさい!!うるさい!!やめろやめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』
女は、ヒステリックになり、自分の舌を噛み切った。
噛み切った舌は、女の口から離れ、コンクリートの地面にべチャっとついた。
噛み切った舌から、大量の血が流れていた。
『ヴァタ………ヴァタシハ………シヌ………コレデ………コレガサイコウのワビ…………』
女は、まだ生きる執念があるようだが、それを全て断ち切った。
それが詫びなんだそうだ。
『シヌ………ヴァタシ………シヌ……………………ネエ………ゴレデ………ユルシテ………クレルヨネ……………?』
『絶対に許さない』
彼女たちは、一斉に同じ返事をした。
女は、目を見開きながら、泣いて、そして呼吸をしなくなった。
僕も女を許すつもりは無い。
こいつのせいで彼女に失恋をさせたのだから。
紫が、僕の元へかけよってきた。
紫は、優しい顔で僕の頭に触れようとしていた。
すると、僕の携帯からメールが来た。
僕は、携帯を取り出す為にポケットに手を突っ込んだ。
もうすぐ紫の手が僕の頭に触れる。
それまでに僕は携帯の画面でメールを見た。
そのメールには、こう書かれていた。
『森近社長。急にこんなメールをしてごめんなさい。
お言葉ありがとうございました。私は、あなたの言葉を信じて幸せになろうと思います。
でも…………でも私は
あなたに幸せにしてもらいたかったのです。』
とても長い夢を見ていたような気がした。
しかし、それがどんな夢かは覚えていなかった。
でも、目覚めは何か悲しい感じがした。
横を見ると、その悲しい理由が即分かった。
僕の隣で紫が僕の寝顔を見ていたのだ。
『……………何をしているのですか』
『あら?起きちゃいましたわね。』
『そりゃあ起きますよ。僕に何かしたんじゃありませんよね?』
『いいえ、何もしておりませんわ。』
相変わらず、不吉な笑顔をする妖怪だった。
『香霖――!!起きてっか―――!?』
魔理沙が僕の家の扉を珍しく普通に開けた。
『ああ魔理沙か、どうしたんだ?』
魔理沙は僕の顔を見ると、急に笑顔を止め、急に泣きだし、僕に泣きついてきた。
『香霖〜〜〜〜〜。』
『どうしたんだ?魔理沙。誰かに泣かされたのか?』
『うっせーバーカ!!どうせ知らねえくせにいい加減な事言うんじゃねえ!!』
そりゃあ知らないだろう。どうして君がそんなに泣いているのか。
誰かに泣かされたのは、さすがにありえない事だとは思ったが、
そこには、霊夢も姿を見せていた。
霊夢も、大体魔理沙と同じ反応を見せた。
『………全く、君達にも手に負えない妖怪でも来たのかい?情けないなぁ。』
『うるっさい!!!』
霊夢は、大声で怒鳴り、言葉の弾幕を作った。
だが、怒鳴った後はさっきまで泣いていたとは思えないほどの笑顔だった。
『懐かしい香り…………。』
霊夢は、子供みたいに僕にじゃれあってきた。
いきなりどうしたと言うのだろうか。少し気持ちわるかった。
『ところで霊夢。あなた霖之助さんにツケを払わなくてもいいのですか?』
霊夢は、少しギクってなった。
『…………え?どういう事?』
『だってあなた、最近大金を手に入れたらしいじゃないの。』
その言葉を、僕は聞き捨てなかった。
『なんだと?ならば今までのツケの分を返して貰おうか。』
すると霊夢は、少し慌てだした
『ちゃっちゃんと払ったわよ!!ほら!霖之助さん!押し入れの中を見て見て!!』
霊夢に指差した押し入れの方を見ると、そこにはキャッシュケースが入っていた。
用途は『大金を入れる為の道具』
『あら?それは私達均等に分けあった時のお金じゃない。』
『いいじゃないのよ!!どうせ覚えていないんでしょう!?霖之助さん!』
僕は、紫さんの方の言葉を間に受けた。
『つまり、これは僕の金であって霊夢の金ではないのだな。』
『まぁそう言う事ね。』
紫がそう言うと、霊夢はまた怒鳴った。
しかし、紫はそれを軽く流した。
確かに霊夢は怒鳴っているのだが、なぜだが少しうれしそうだった。
ところで、このかけたカレンダーに少し違和感を感じたのだが、
良く見ると、そのカレンダーは1年進んでいた。ようだった。
僕は、カレンダーを見ながら紫に問いた。
『紫さん、僕はどのくらい寝ていたんだ?』
『さぁ………?1年くらいじゃないかしら?』
1年!?
『どうしてそんなに長い期間僕は寝ていたんだ?』
『さぁ?妖怪は寝る事を必要としない人種だけど、少し変わっているのかも。私なんか1日のほとんどが寝る時間よ』
『1日のほとんどを僕の店で過ごしているように見えるのだが』
『あら、寝る時間を省いてまであなたのお店に来ているとは考えられないのかしら?』
『寝る時間を省いてまで僕に嫌がらせをするのか君は』
そう僕が言うと、紫は愉快そうに笑った。
僕は全く笑えないのだが、
『なぁ香霖。』
魔理沙が、僕の服をつかみながら質問をしてきた。
『どうしたんだ?』
『香霖が一番望んでいる事って、なんだ?』
僕が一番望んでいる事?
『どうしてそんな事を聞くんだ?』
『別にいいじゃねーか。とっとと教えろよー。教えろよ―。』
魔理沙がなんだかねだってきた。
なんでだろう。こんな子だったっけか。
『そうね、そういえばなんなの?』
霊夢も聞いてきた。
紫は…………ただ微笑んでいるだけだった。
しかし、それを応えるのは難しくなかった。
僕の一番望んでいる事は、
『この幻想郷で、この香霖堂で君達と過ごし、ずっと店をやることかな。』
本心何だが、なんだか言うのが少し恥ずかしかった。
そういえば、今までこんな事を考えた事はあった。
今のところ、これが一番望んでいる事なんだが、
『ところで霊夢』
『どうしたの霖之助さん。』
僕は。お茶の葉を探している霊夢に言った
『お茶を入れるなら、僕にもお茶をくれないか?』
なぜだか急に、熱いお茶が飲みたくなったんだ。
終劇
これでお終いです。
また、何か書くかもしれませんが、よろしくお願いします。
秘書の女の子が救われる事を信じて、
さようなら。
ND
作品情報
作品集:
16
投稿日時:
2010/05/22 14:27:23
更新日時:
2010/05/22 23:27:23
分類
霖之助
魔理沙
霊夢
紫
女
グロ
メインヒロインはヤンデレでも東方キャラでもなく、秘書さんだったのか…!
逆にバッドエンドも見てみたいかもw
普通に
秘書の娘にも幸せになって欲しいですが、女もなんだか少し哀れなので来世で良い人生を送れる事を祈りたいと思います。