「妖夢……はじめて河豚の卵巣の糠漬けをはじめて食べた人は誰か知ってる?」
朝食を済ませた幽々子は口元を手ぬぐいで拭き拭きしながらそんな問いを妖夢に投げかけた。皿を下げようととしていた手を止め、妖夢は答えた。
「いえ、存じておりません……」
その答えを聞くや、まってましたとしたり顔で幽々子は言う。
「英雄よ!キリッ(決まった)」 ※えいゆう≠ニ読みますひでお≠ナはありません
「はあ……」
「妖夢、人類の食に対するあくなき探究心にはつくづく感心するわ。うまいものが食べたい……それだけの為に命をかける。素晴らしいとは思わない?」
「ええ、まあ、そういう一つの道を極めんとする志は私も見習いたいですね」
主の質問の意図がみえぬといった感じの無難な返し。その言葉には、早く皿を下げさせろといったニュアンスが含まれている。
「では、行きましょう。グルメ界に」
突如として現れたグルメ界という意味不明な単語に妖夢は小首をかしげる。これは、面倒なことになるぞと妖夢の第六感が訴えかけている。
「え、なんですか、グルメか……」
「紫が伝説のスープ……『ゴールデンスープ』の居場所を突き止めたっていうのよ」
妖夢のセリフをさえぎり、幽々子はズイズイと話を進める。どうやら、幽々子の頭のなかにはその『ゴールデンスープ』のことしかなさそうだ。
「まさか……!」
「そうよ。捜しに行くのよ『ゴールデンスープ』を!」
幽々子の顔は蘭蘭と輝き、期待とよだれが溢れていた。こうなった主人がもう止められないということを妖夢はわかっていた。あきらめという覚悟を胸に幽々子の話に耳を傾ける。
「未開の地“エクストリームジャングル”にそのスープはあるというわ」
「はあ」
「人々を寄せ付けない殺人動植物の楽園……しかし、その環境が人間界では決して育めない数々の絶品食材を産むことになったのよ!」
卓に片足をのせ、右拳を握りしめながら妖夢を横目でチラリと見る。
思わず目をそむける妖夢。現実から
「というわけで、今から行くわよ♪」
「はあー!?」
今からとは予想出来なかった。今語って聞かされた話では“エクストリームジャングル”は危険度極高のやばいところ。何の準備もなしに行けるだろうか?否、無理だろう。
「紫ぃ〜」
妖夢があたふたしている間に幽々子はスープの情報を教えた張本人、八雲紫を呼び出した。
「はぁーい」
ババァーンと空間が裂け紫が登場する。
「じゃあ、行きましょうか」
「ちょ、ちょっと待って下さい!まだ、準備が……」
「準備?必要ないわ。ジャングルは食材の宝庫。刀さえあれば、食うには困らないわよ」
「いや、しかし、えー」
「楽しみだわ♪道中でいろんなもが食べれる上に伝説のスープを口にできるなんて」
完全に旅行気分の幽々子に、妖夢は思わず苦悶する。
「んじゃ、送るわよ。見つかったら迎えに行くから頑張ってね」
こうして、妖夢と幽々子二人は未開の地“エクストリームジャングル”に足を踏み入れたのだった。
見たこともない植物が鬱蒼と生い茂っている。カラフルな怪鳥が囀り、あり得ないほど巨大な節足動物がうごめく。茂みの奥で怪しく光る獣たち瞳は虎視眈々と獲物を見据えている。ここが――
「“エクストリームジャングル”」
「さあ、『ゴールデンスープ』を捜しにしゅっぱーつ♪」
この状況でも変わらぬ幽々子のマイペースっぷり。
はじめての地でおろおろする妖夢をしり目に歩き出す。
「ま、待って下さいよ。幽々子様。スープの場所はわかってるんですか?」
「ええ、紫が地図をくれたわ」
そう言って幽々子が見せた地図はどう見ても子供の落書きにしか見えない糞みたいな地図だった。
(こりゃひでぇ……てか、場所分かってんならそこにスキマつなげろや……)
先行きは不安になるばかり。そもそもこんな目にあっているのも『ゴールデンスープ』などという訳のわからぬ情報を自分の主人に教えたあの紫ばばあのせい……そう考えると沸々と怒りが沸いてくる。
「あーーー!」
前を歩いていた幽々子が素っ頓狂な声をあげる。
何事と妖夢は主の元にかけよった。
「どうしたんですか!?」
「エクストリームナマケモノよ!」
エクストリームナマケモノ(哺乳類) 捕獲レベル3
「エクストリームナマケモノはこのジャングルだけに住む……」
「ちょい、タンマ!」
妖夢はたまらずストップをかける。
「何?」
「なんですか!?捕獲レベルって」
「そのまんまよ、捕獲するのがどれだけ難しいかを表す数値の事よ。チンチン鳥がレベル1だっていえばわかりやすいかしら?」
(チンチン鳥……ああ、ミスティア・ローレライ……)
なるほど、納得と改めて、エクストリームナマケモノを見る。
「しかし、間抜けそうな顔してますね……」
「油断しちゃだめよ。慎重に近づいて一撃で仕留めなさい」
妖夢が近づこうと足を踏み出した瞬間。エクストリームナマケモノの目はカッ見開かれ、その身は宙を舞った。
「は、はえーー!!」
「だから、言ったじゃない!もういいわ。私がやる!」
そういうと幽々子は手から蝶々を放った。放たれた蝶はエクストリームナマケモノにヒットする。
「よし!ノッキング成功よ」
妖夢は思った。
(ノッキングとやらは知らんがなんか違う気がする)
動かなくなった。エクストリームナマケモノは早速いただくことにする。
刀で肉を削ぎ、火を着ける(妖夢の刀はいままで切ってきた人の脂に摩擦で着火することができるのだ)
「うん、うまい 肉ね」
「いかにも肉って肉ですね」
確かにうまいのだが、少し味気ないそんな風に思っていると。
「ああ!」
「んご、なんすか?」
「ちょうどいいのがいたわ♪」
クソミソバッタ(昆虫類) 捕獲レベル1以下
「え、めっちゃ虫ですよ」
「まあ、見てなさいって。このバッタはこうやっておなかを刺激すると……」
ブリョブリョブリョ
「ぎゃあああ!!キモッ!なんか出しよったこいつ!」
「このクソミソバッタは敵に襲われるとこうやってミソの様なものをだして威嚇するのよ。んでもってこのミソがおいしいのよ。マイルドな塩辛さっていうのかしら?」
「いや、でもそれ、ミソのような味のする虫の体液ですやん」
妖夢の突っ込みもお構いなしに虫の威嚇用体液を肉に塗りたくる幽々子。
(うわーありえん……ドン引きです)
「妖夢にも、はい」
「うわっ!なにするんですか(ぎゃーしね!)」
「肉だけだと味気ないでしょう?だから」
「いや、いいですよ!そんなもんつけたくないです!」
「んもぉーおいしいのにぃ。あとで、後悔してもしらないわよー」
妖夢にを横目で見遣る。
「食った後悔より食わぬ後悔ですよ(むかつく表情だ……)」
虫のミソのついた肉は幽々子にあげ、何もついてない肉を妖夢は食らった。
食事を終え、再び歩き出す。
「とりあえず、あのやたら、高い山をめざして進みましょう」
しばらく、歩いていると目の前に小動物の影が
「わ、かわいい///」
ライチモンキー(哺乳類) 捕獲レベル1以下
「ライチモンキーね。集団で暮らしているから、近くにコミュニティがあるはずよ」
「え、そうなんですか?それはみてみたいですね」
妖夢はライチモンキーをひょいっと抱きかかえる。今回の冒険ではじめてテンションがあがった。
「ほらあそこよ」
幽々子が指さす大きな木の上には無数のライチモンキーが……
「わぁ、いっぱいいます!」
「このライチモンキーはね……」
そう言い、妖夢の胸の中でウトウトしかけているライチモンキーをつまみあげる。
グリョ。
幽々子は猿の目玉を抉った。
「目玉がとってもフルーティなのよ♪」
「うぎゃーーーー!!(てめえの血の色は何色だーー)」
ウキャー、キャー
仲間がやられ、木の上が殺気立っている。
「うーん、おいひー❤デザートに最適ね。でも、量が少ないわねぇ」
幽々子は木の上のライチモンキーたちをみつめる。
十分もかからなかっただろう。幽々子は木の上にいるライチモンキーの目玉を全部たいらげてしまったのだ。
(デザートのためにコミュニティー一個滅ぼしおった……)
「なんてことするんですか!かわいそうじゃないですか!」
「あら、そんなこというの?じゃあ、あなたが普段食べている牛さんや豚さんはかわいそうじゃないっていうのね?」
「いや、その……」
「私は、そんなこと思わないわ。食べたいものは食べる、それだけよ」
二人は再び歩き出す。
「あ、あのー幽々子様……」
「どうしたの?」
「ちょっと喉が渇きまして……水とかないんですか?」
「うーん、ちょっと待ってね」
幽々子は辺りをキョロキョロ見回して、何かを発見したのか妖夢を手招きした。
「みつけたわ。これよ」
ビラビランテ(植物) 捕獲レベル1以下
(まんこだ……まんこにしか見えん……)
「その、なんか、見た目が卑猥ですね。ハハハ」
「まあ、ぶっちゃけまんこよ」
「ブッ」
「この花は女性器の形を模しているため野生動物がオナホールとして使用するわ。そうやって、受粉を行っているのよ。あ、植物同士のよ。動物の精液では受粉しないから」
(わかっとるわ!)
「で、この花がどうなんですか?(はよ水よこせー)」
「この花は刺激を受けると蜜を出すのよ。まあ、潤滑油ね。この蜜は栄養価が豊富なミネラルが含まれていてオススメよ。根から吸い上げて濾過されてるから非常にきれいだしほんのり甘くてジュースのように飲めるわ」
「へー、それじゃあ、早速」
妖夢はビラビランテをつかむと自分の口の上に傾けた。
「あ、妖夢待って」
「ほえ?んが!?」
花からはどろりとした白濁色の液体が滴ってきた。
「こ、これって……」
「さっきも言ったでしょう?これは、野生動物たちのオナホだって」
「うえ、ペッッペッ(ちょっと飲んじまったーーーー!)」
「飲む前に確認しないと。いい?中にザーメン入ってないのを確認したらこうやって……」
幽々子は器用に舌を使って花を刺激している。
するとどうだろう。トプトプと蜜が溢れてくるではないか
(おーエロいエロい)
「んちゅ、レロ、プハッ……どう?わかった?」
「はい……ところで、この花ってユリ科ですか?」
「そうよ。よくわかったわね」
「いえ、そんな気がしたんです(まじでユリ科なんか……)」
しばらく、野生のマンコに舌を突っ込み蜜を啜った。
「ハー、めっちゃおいしいですね」
「でしょう?ジュースにして持ってかえりたいんだけど酸化が早いから、こうしてじかに飲まないとこの味は味わえないのよ」
その時だった。のっしのっしと何かとてつもなく大きなものが近づいてくる。
ヴォーーー!!
シェルトロール(巨大甲殻獣類) 捕獲レベル26
「どわー!でかいのきた!」
「シェルトロールだわ!傷を負っていることから、メスを巡る戦いに敗れてたまった性欲をビラビランテで処理しようとしているのよ!」
「悲しいな!おい!」
「気が立ってるから危険よ気をつけて」
幽々子が注意を促した直後。シェルトロールが妖夢に襲いかかる。
ガキンとその攻撃を二本の刀で受け止める。
「ぐああ(なんてパワーだ)」
「妖夢ーシェルトロールの鎧の様な殻を切るために脱力するのよ!」
「ぬわーーー!?だつりょくぅ?(今脱力したら押し切られるわボケェ!!)」
「ぬぅん!!」
妖夢は刀の向きを変えシェルトロールをいなす。バランスを崩したシェルトロールはその場で盛大にこける。そこにすかさず妖夢の二本の太刀があびせられる。
前の別のオスとの戦闘で追ったであろうわき腹の傷の上から切りつけた。シェルトロールの悲鳴が辺りに響き渡る。大量の血液をまきちらしのたうち回る。
その傷が致命傷となり、シェルトロールは暫くして動かなくなった。
「やったわ!妖夢」
「はぁ、はぁ、相手が手負いでなければなかなか厳しかったかもしれません」
「じゃあ、早速、調理開始よシェルトロールは食べれるところが少ないから私の指示に従って切り分けて頂戴」
幽々子の指示通りに妖夢は刀を振るう。
「そこ、いらないから切って捨てて」
「えい!」
「ここも、かたくて食べれないわ」
「やあ!」
「こっから下全部いらない」
「とう!」
幽々子の的確な指示と妖夢の刀さばきで物の数分でシェルトロールは切り分けられた。
「少な!」
「でしょ。ほとんどのお肉は堅くて食えたもんじゃないのよ」
「しかし、予想を大きく下回る少なさです。妖精の脳みそでももうちょっとあるんじゃないですか?」
「妖精の脳みそよりは多いわよ?まあ、文句ばっかいってないでさっさと食べましょう」
シェルトロールの肉は熱したシェルトロールの殻の上で焼いて食べた。
「おお、コリコリしててこれはおいしいですね!」
「歯ごたえが最高ねこれで量がもっとあればいうことないんだけど」
肉はあっという平らげられた(ほぼ幽々子に)
二人ははまた、歩き出す。
「しかし、幽々子様は博識ですね。いろんな動植物の食べ方とか知ってますし」
「本で、読んだことがあるのよ。この“エクストリームジャングル”をはじめて探検して生還した美食家であり魔法使いであったマラダスとその親友で冒険家のペニィ、二人が残した著書を読んでいつか行きたいと思ってて……その本に詳しく書いてあったのよ。だから本に出てきた動植物なら大体わかるわ」
「へぇ、そうだったんですか」
「ただ、『ゴールデンスープ』についての記述だけはあいまいで、このジャングルでの冒険の最後に出会えた最高のスープ……親友との友情が起こした奇跡。としか書かれていないの」
二時間ほど歩いた頃だろうか。ようやく河が見えてきた。
距離的にはそんなに歩いてはいないのだが、幽々子が本に出てきた動植物を見つけるたびにとって食べるので随分時間がかかった。
「やっと、半分まできましたね」
「そうね」
「はやく渡りましょう」
「いや、だめよ、ゆっくり行きましょう」
幽々子の指示通り、河の上をゆったりと飛ぶ。
「なんで、ゆっくり飛ぶんですか?」
「し、いいから、下に神経を集中して飛びなさい」
「?」
あと少しで河を渡りきるというところにきて、そいつは現れた。
ゴアーーー!!
コブワニ(爬虫類) 捕獲レベル29
「こいつを待ってたんですか?」
「そうよ。せいっ、ノッキング!!」
コブワニは一瞬にしてその命を奪われた。
「捕獲レベル高くても幽々子様の能力使えば一発ですね……」
「まあね。じゃあ、早速いただきましょう」
「正直、見た目キモくて食欲わかんのですが……こぶだらけだし」
「何言ってるの?このこぶを食べるのよ。このコブワニは産まれた時にはつるつるなんだけど、成長して他のワニと争ううちに皮膚に傷ができるの。そこに菌が入り込んで、こぶになるのよ。コブワニの肉は本来堅くておいしくないんだけどこぶの部分だけは柔らかくて味もおいしいのよ」
「うん、なんか説明きいて食う気なくしました」
「ええー、食わず嫌いは人生そんするわよ?このこぶは高級なイチジクを彷彿とさせる味でとっても美味よ」
「いやぁ、だったら自分イチジク食いますわ」
「もぉ、わかってないわね。彷彿とさせるのだけどイチジクだはないのよ。肉なのよ。一度食べればきっと好きになるわよ」
妖夢もたべましょーよという幽々子の勧誘をかたくなに拒み続けた。断るたびにこぶを一つ、これ見よがしにおいしそうに食べてアピールするので、何度か断っているうちにこぶは全部食べられてしまった。
「あー。妖夢が食べないから、全部たべちゃったじゃない!」
自分が食べたくせに、幽々子はプンスカ怒りはじめた。
「次にあった動物は絶対食べてもらうからね!」
「えーー」
妖夢が次の動物はゲテモノでないようにと祈りながら歩いていると、目の前にシカのような動物が現れた。
カレー・ザ・ジカ(哺乳類) 捕獲レベル1
(やった。哺乳類キタ!これで勝つ(ry)
「カレー・ザ・シカだわ!ついてるわね。あれは、かなりおいしいわよ」
「名前からして、カレー味のお肉なんですか?」
「ううん、そうじゃないのよ。あっ、やばい!」
幽々子は近くにあった大きな葉っぱをちぎると、カレー・ザ・シカの後にヘッドスライディングした。
すると、カレー・ザ・シカはモリモリと糞を垂れ始めた。幽々子はそれを、葉で受け止めている。
「ふう、危なかったわ」
「……(ヤバイ、私の直観が逃げろと言っている)」
「このカレー・ザ・シカは主食が香辛料でね。それが、腸内で熟成されて出てくるのよ。とってもおいしいカレーとなって」
「うん、アホか(最悪だ!)」
「でもでも、ホントにカレーなのよ」
「いや、ウンコじゃん!」
「カレー味のウンコなのよ!!」
「ウンコじゃねーか!」
最悪のカードを引いてしまったと、嘆く妖夢。幽々子は着々と食べる準備を進めている。
「カレーといえば、ゴハンよねーたぶんこの辺に……」
幽々子は狙いをつけて地面を掘り起こしている。
「ご飯なんて、ジャングルにあるんですか?」
「いたー!」
「いた?」
ライスアント(昆虫類) 捕獲レベル1以下
「このライスアントのタマゴはお米のような触感なのよ。その味は、魚沼産コシヒカリを思わせるわ」
「ぎゃーーー!!キモい!」
「一杯あるわー♪ご飯三合分はありそうね」
アリのタマゴにシカの糞をぶっかけて、料理完成。
(今回の料理で一番キツイわ、これ、見てるだけで吐き気が……)
「さあ、妖夢にも食べてもらうわよ。うっふっふ」
「いや、マジで勘弁して下さい!」
「だめよ。食べるの!」
「無理、むーり、むりむりむりむりかたつむりですっ!!」
「いいから、食え!」
幽々子はアリの卵オン鹿ウンコをつかみ、妖夢の口にねじ込む。
「ふもも!!(うわーーーいっそ殺せー!!)」
「さあ、咀嚼なさい」
「ん、んぐ(じいじ助けてぇ〜)」
涙を浮かべながら咀嚼する。
「ん、おいひい……?すごくマイルドで口当たりもいい。辛さも調度よくて、それでいて……フギャアアアーーーーー」
少女嘔吐中
「くさッ!くっさーーーー鼻から抜ける臭いがもろウンコじゃねぇーか!!ああくさい、くさくさ、くっせぇええ!!」
「もう、しょうがないわね。これ食べなさい」
フレッシュミント(植物) 捕獲レベル1以下
「フレッシュミントは強烈な口臭を一瞬にしてフレッシュなミントの香りに換えてくれるわ。ただ強力だから、しばらくミントのせいで、鼻がスースーしてたいへんよ?臭いのキツイ料理を食べた時や、食糞のあとによく使用されるわ」
「まさか、後者の用途でこれを食むことになるとは、思いませんでした」
「じゃあ、そろそろ、行きましょうか」
「その前に幽々子様もこれ食べて下さいよフレッシュミント」
「え、なんで?」
「しゃべる度にウンコの臭いが漂ってくるからだよ!たのむから食べてください!」
幽々子は渋々フレッシュミントを口に入れる。
「フガッ、鼻で息できん!」
「だから、いやだったのよぉ」
しゃべるとキツイので、しばらく黙って移動していた。
「あー、なんか、さっき全部戻してお口の中もリフレッシュさせたらおなか減ってきました。」
「私もおなか減ったわ」
ようやく、ミントの呪縛が解け、話せるようになった二人は、そんなことを言い合っていた。
「あら、小腹がすいたときに便利なのがいたわ」
エビゴキ(昆虫類) 捕獲レベル1以下
「Gじゃねぇか!」
「でも、味はエビなのよ」
幽々子はバリバリとエビ味のゴキブリをほおばる。
「妖夢もいる?」
「いや、いいです!ほかに、ないんですか?」
「んー、あ!アレなんていいんじゃない?」
ワタガシグモ(節足動物類) 捕獲レベル8
「この、蜘蛛は糸がとっても甘くて綿菓子にたいなのよ♪」
「普通の綿菓子食べたいです!」
蜘蛛はノッキングされ、巣は幽々子の口に吸い込まれていった。
「わお、ハムカデよ!」
ハムカデ(節足動物類) 捕獲レベル15
「えいや、ノッキング完了!」
「食べませんが、一応きいときます。何なんですかそのばかでかいムカデは?」
「ハムカデはその身がハムのような味だからこういう名前がついたのよ」
巨大なムカデも、ものの二、三分で幽々子の胃袋に収まった。
「なんで、こんな虫率たけぇーんだよ!!死ね!」
「まあ、妖夢ったら、おなかがすいてるからそんな怒りっぽくなるのよ。あ、あれなら、妖夢も食べれるんじゃない?」
モイモイ(サイレントヒ類) 捕獲レベル4
(ケツ妹子だ……ケツ妹子がおる!わんさかと!)
「ほら、妖夢あのモイモイの群れを追い立てるわよ」
幽々子に言われ、二人でモイモイの群れに特攻をしかける。
「ガオー食べちゃうぞー」
「しねしね。日本刀の攻撃力なめんな!」
すると、一匹だけ、あきらかに足のおそいモイモイがにげおくれている。
その一匹からは、なんとも言えないおいしそうな臭いするのだった。
「モイモイは逃げる時なぜかこうして囮になるような形で一匹群れからはぐれるのよ。そうしてはぐれた一匹の肉は格別で、群れを追っていた肉食獣たちもこの囮にまっしぐらなの」
はぐれたモイモイは妖夢に足の腱を切られ地面に倒れてもがいている。
「近年の研究でストレスあたえればあたえるほど肉のうまみ成分が増えるとされているわ」
「マジッすか?いじめていいんですか?」
「あら、うれしそうね。ライチモンキーの時はあんなに怒ってたのに」
「いやあ、こいつはなんかすごいいじめてオーラ出してるっぽいですし、キモいですし」
「じゃあ、やっちゃって」
妖夢は足もとから、五ミリずつスライスしていった。
「ホントだ。はじめのほうにスライスした肉より、絶命寸前の肉の方がはるかにおいしいです!」
「でしょでしょ」、
モイモイを堪能した二人はまた、『ゴールデンスープ』めざして出発した。
「もうすぐ、スープのあるところにつきますね」
「そうね……」
幽々子はどこか落ち着かない様子だった。
「どうしたんですか?」
「まだ、あいつとであっていないのよ。あれだけは食べておきたいって思ってたんだけど……」
「へぇ、どんな奴ですか?」
「えっとねぇ、名前は……あ!いた!あいつよ、あいつ!」
フランクコング(哺乳類)捕獲レベル40
「フランクコングこのジャングルでもっとも捕獲レベルの高い動物よ!」
「そうなんですか、じゃあ、とっととノッキングとやらをしていただきましょうよ」
「だめよ。フランクコングのもっとも美味な部分……それはオチンポなのよ!」
「んじゃ、スルーしてスープいきましょ。スープ」
オチンポという単語を耳にするや否やフランクコングには目もくれず先に行こうとする妖夢のスカートに幽々子がしがみつく
「やーん、まって。あれだけはたべたいのよ」
「なんすか!?そんなチンコ食いたいんスか!?」
「……うん」
幽々子はポッと頬を赤らめて応える。
「っで、なんで、あのゴリラにノッキングできんのです?(ええい、頬を赤らめるな!!)」
「フランクコングのオチンポが一番おいしい時それは、オチンポがフル勃起の時なのよ」
「はあ、じゃあ、おっきしてる時にノッキングすればいいんですね?」
「ノッキングじゃあ、だめなの。生きた状態でオチンポ切断しないと真のフランクコングを味わえないの!」
「じゃあ、どうすりゃいいんですか?」
「私にとっておきの作戦があるわ」
「く、くそ……なんでこんなことせんにゃあいけんのんじゃ!」
妖夢は全裸でフランクコングの前に立っていた。
幽々子の作戦はこうだ。全裸でフランクコングの前に立つ。
襲いかかってきたところでチンコをカット!
実にシンプルな作戦。なお、妖夢はビラビランテを使った作戦を提案したが、ここら辺にビラビランテが生えていないので断念せざるをえなかった。
「妖夢ー手広げないとマンマンが見えないわよー」
「う、うるせー、今やるよ!!おらっ」
ぐぐ、ぐぐぐっ!
そそり立っていた。圧倒的でかさのフランクフルトがそこに
「おっきい!おっきいわ♪」
「陰茎がでかいことに対して喜びをあらわにしないで下さい!!」
もーう、がまん、でーきーなーいーと聞こえないでもないような鳴き声をあげフランクコングは襲いかかってきた。
「チェイサー!!」
横一文字に刃が閃く!チンとつばが鳴るとスルリとフランクコングの体は一物ごと上下に分かれた。
「まだ、手に感触が残っている(刃がチンコに食いこむ感触が……)」
「やったわ!ありがとう大好きよ妖夢♪」
チンコは軽く火であぶってから頂いた。
「ん……おいひいわぁ〜」
「もう、遊んでないで早く呑み込んで下さい!」
フランクコングも食し、いよいよ残りは『ゴールデンスープ』のみとなった。
「ここら辺よね。地図にも開けた場所って書いてあるし」
「そうですね」
「楽しみだわぁ『ゴールデンスープ』はどこかしら?」
「泉みたいに湧き出てるんじゃないですか?」
「そうね、私もイメージとしてはそんな感じよ。しかし泉らしきものはここにはないわね」
「ん?なんかありますよ?」
いかにもといった具合に石がデンとおいてある。近寄って見てみると何か書かれている。
「えっとなになに……」
ここまでたどりついたら至急連絡されたし八雲紫
「??」
「っと、どういうことでしょうか?」
「さあ……」
「とにかく連絡してみましょう」
陰陽玉を起動すると、ノイズのあと、紫の声が聞こえてきた。
「お疲れさん二人とも。今から迎えにいくわ」
「ちょっと、ちょっと待ってよ紫。まだ『ゴールデンスープ』を飲んでいないわ」
「ふふ、大丈夫よ。帰ってくれば『ゴールデンスープ』飲ませてあげる♪」
「ホント!?じゃあ、かえる〜」
「ああ、やっと帰れるのかー」
くぱぁと空間の割れ目が現れ、二人はスキマに飛び込んだ。
「ねぇ、はやく『ゴールデンスープ』!『ゴールデンスープ』を出してよ!」
帰ってくるなり幽々子は紫にスープを出せとわめきはじめた。
「まあまあ、あせらないの。藍!持ってきて!」
はーいという紫の式の声を聞き幽々子もやっと黙る。スープの登場を今か今かと待ち望む。
「持ってきました」
「ありがと」
持ってこられたのは洗面器だった。
まさかこれに“ゴールデンスープ”が入っているのか!?とのぞいてみるも、中は空。
幽々子は手を突っ込んて洗面器に何も入っていないことを確認すると、すごい剣幕で怒り始めた。
「なによ、これ!からかっているの!?いい加減にしてよ!いくら友達だからって流石にキレるわよ!」
「まあ、待ってったら、スープはこれから出すわ。この洗面器はその受け皿よ」
「じゃあとっとと……」
「その前に、“ゴールデンスープ”の正体について説明しなければならないわ」
紫はいらだつ幽々子にゆっくり語ってきかせる。
「マラダスとペニィの話は知っているわよね?」
「ええ」
「二人は動植物を食べることに夢中で本来の予定していたコースからはずれてしまったの。その結果ジャングルの中で迷ってしまったわ。三日ほどだ迷ったみたいね。魔法使いであるマラダスは水も食糧も必要ないけど、人間だったペニィは見る見るうちに衰弱していったわ。食べ物は豊富なジャングルだけど水となると雨かビラビランテくらいしか摂取する方法が無かったのよ。しかも、不運なことに三日間雨は降らなかった。まわりにはビラビランテもない。ペニィは死を覚悟したわ……」
「それで?」
「そんなペニィをみてマラダスはこういったのよ。いいことをおもいついた。おまえ、俺のションベンを飲め。と」
唖然とする妖夢。
「ま・さ・か……そんなはずないですよね。ハハハ」
「いい?魔法使いは本来食事によって栄養を摂取する必要がないの。だから体内にはいってきた栄養は全部、そのまま排泄されるわ。大抵のものは便として。残った。僅かな水分と栄養素は膀胱に蓄積される。“エクストリームジャングル”の様々な食材を食べてきたマラダスの膀胱にはジャングルのすべての味が凝縮されていたのよ!それを飲んだペニィはいったわ。こんなうまい液体をのんだのははじめてだ。ってね」
今明かされる伝説のスープの正体……それは、冒険者のおしっこだった!
「栄養を必要としないのは幽霊とて同じ……もう、『ゴールデンスープ』がどこにあるかわかったでしょう?幽々子」
「私の……膀胱の中……!」
「さあ、じゃあ、とっとと『ゴールデンスープ』を洗面器に出すのよ!」
幽々子の前に洗面器がセットされる。
「み、みんな後向いてて……恥ずかしいわ」
「わかったわ」
ジョロ、ジョボボボボボボボボオボ
洗面器にスープが注がれる音が部屋中に響き渡る。
「で、出たぁ〜」
皆が振り返ると洗面器には黄金色の液体が並々と注がれていた。
「じゃあ、早速味見してみたら?」
「うん、でも、その前に今回の冒険に嫌々ながらも付き合ってくれた妖夢にこのスープをのんでもらいたいわ」
(感謝してんならそんなもん進めないでくれ!!)
「よかったわね妖夢。幽々子の『ゴールデンスープ』を一番最初にのめるのよ」
「おめでとう、妖夢、主人がこんなことを言って下さるなんて君は幸せ者だな」
「妖夢、お願い飲んで」
もう、断れる空気ではなかった。
「では、その、いただかせてもらいます……(なんで主のジョンベン飲まないといけんのじゃー!歯を、歯をクラゲに変える程度の能力をくれぇーーー!!)」
意を決して、一口飲む。
「ああ、なんだろうこの味……まずはじめにくるのはさわやかなミント。そこにフルーティーな甘みと酸味がやってくる。そして、肉の旨味がゆっくりと姿をあらわす。ジャングルの生態系のヒエラルキーを下からじっくりと登って行くような感覚。それは命の連鎖、自然の偉大さ。互いが互いの味を阻害せずにまるで列でもないているような統率のとれた味。ジャングルの動物たちが舌の上をふみしめる大パレード!!幽々子様の食べた動物や植物だけでない、その食べた動物が食べた物の味までを想像させるほどの奥深さ。スープを嚥下してもなお列は続く。やがてそれらのパレードも終わりをむかえる。口に広がって残るのは、パレードがくれた楽しい思い出。そして鼻を抜けていくウンコのかおり゛ぃぃぃいいい゛」
「おげえええええろろろろろろろろ」
妖夢は盛大に嘔吐した。
―おわり―
なんつーか…幽々子ノッキングできるのか?;
ハンバーグ食べたい・・・
とりあえず租借→咀嚼では?他にも誤字あったような
→調理開始よ
ではないでしょうか。
しかし妖夢の真面目でおばかな可愛らしさを描くのがうまいですね……
ゴールデンの時点で嫌な予感はしましたが、良くまぁこれだけエログロギャグをww
1匹だけ種族が・・・ww
しっかしいくらうまくても虫は嫌だなぁ
けど妖夢のスープならビラビランテ飲みしたい
100点じゃ足りない
本気で面白いです!!!!!!!!!!!
本家のトリコよりも好きです☆
話もだが挿し絵がいいな。ケダモノ達が実にいい表情。
後挿絵の絵上手いな、絵柄も妖夢の体とか肉肉してて超好みだった
次回作も期待してます
カレーの方じゃなくて本当によかった
登場する奴等は皆個性的だし妖夢と幽々子のやり取りもとても良かった。
二人の冒険家がなぜかマリパチェで再生される
というか挿絵上手いな。
ライスアントは本家トリコに出てきても
不思議じゃないような気がする・・・
続きたのしみにしてます
あとトリコ最高
挿絵も上手い
続きがもしあるなら楽しみ