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『ずっとお屋敷で暮らしてる』 作者: sako

ずっとお屋敷で暮らしてる

作品集: 16 投稿日時: 2010/05/26 14:41:22 更新日時: 2010/05/26 23:41:22
「あれ…」

 バニラビーンズ、シナモン、いちご、お砂糖の甘い匂いにフランはぱちりと目をさましました。
 起き上がって、きょろきょろと自分の部屋を見わたします。

「おいしそうなにおい……あ」

 と、フランはベッドのすぐ横に置かれた荷台の上に沢山のケーキが並べられているのに気がつきました。
 苺のショートにベリーのタルト、クリームたっぷりのミルクレープ。どれも大きなホールのまま。とっても美味しそうです。ちいさなシュークリームもお山のようにつまれています。

「こいし、ちぇん、起きて。ケーキが置いてあるよ」

 そう言って、フランは一緒にベッドで眠っていたお友達の二人の肩を揺すります。

「ううん…どうしたの、フランちゃん…」
 
 先に起きたのはこいしでした。寝ぼけ眼をこすりながら起き上がります。橙もくぁぁぁ、と大きくお口を開けて欠伸。目を瞑ったまま美味しそうなにおいがする、とまだ寝ぼけているみたいです。

「ほら、こいし、ケーキがおいてあるよ」
「わぁっ」

 台の上の色とりどりのケーキの山を見て眠気もどこかにやってしまって、ぱぁぁと笑顔を浮かべるこいし。橙も目を開けてわっ、と驚いた顔をしています。

「どうしたの、これ」
「わかんない、置いてあったの」
「おいしそう…」

 ベッドから身を乗り出してケーキたちをみつめる橙。口からよだれも垂れています。
 と、

「いただきます」

 どうしたんだろう、と目を合わせていたフランとこいしに断らず、橙は手を伸ばしてミニサイズのシュークリームを一つ、つまみ食いしてしまいます。あ、と声をあげるこいし。

「かってに食べていいの?」
「おいしい〜♪」

 こいしのお話も聞かないで、橙はシューのさっくりとした歯ごたえと口いっぱいに広がるカスタードの甘さに顔をほころばせます。

「大丈夫みたい。ホラ」

 そう言ってフランは荷台の上にケーキと一緒に置かれていた一枚の小さなメッセージカードをこいしに見せます。こいしの肩から橙も覗き込んできます。
 懐中時計をあしらった模様が印刷されてるメッセージカードには『eat me』の文字が。流れるような字で書かれています。

「咲夜だよ。用意してくれたの」

 ああ、あの、とこいしは今日、フランのお家に遊びに来たときに玄関で迎えてくれたメイドのお姉さんの姿を思い出します。

「じゃあ、これ、食べていいの?」
「やった♪」

 小さく微笑むこいしと両手をあげて喜ぶ橙。ちぇんちゃんはもう食べたでしょ、とこいし。フランはそんな二人を見てふふふ、とお口に指を当てて笑います。

「早く食べようよ」
「せっかちさんね、ちぇんちゃんは。私たちしかいないんだから、ケーキは逃げないよ」
「でも、早く食べたいわね」

 うん、と頷くこいしと橙。橙はさっき食べたばかりのシュークリームのおいしさを思いだして、ぶるっと震えます。

「でも、ナイフとかフォークとかないね。タルトは切れてるけど、ショートケーキとかはそのまま。どうやって食べようか」
「そのままでいいじゃない」

 そう言って橙はまた、まっさきにベッドの上から腕を伸ばしてベリーのタルトを一切れ、とります。
 普通の12等分じゃなく、8等分に切れたタルトはとても大きく、橙は口の周りをベリーの赤色でべちゃべちゃにしながらもいっしんふらんに食べています。ふだん、おやつと言えばもなかやおはぎみたいな和風の物しか食べない橙にはこういうケーキやシュークリームみたいな洋風のお菓子は珍しいのでしょう。こんな美味しいもの食べたことがないよ、瞳を輝かせながら感想を言います。

 橙ちゃんだけずるい、私も、とこいしも手を伸ばします。こちらはチーズケーキのタルト。チーズの甘酸っぱい味にわぁ、と顔を綻ばせながら小さなお口でぱくぱくと食べます。

 フランも橙が最初に食べたシュークリームを二つ取って、一つずつ、お口の中に放り込みました。バニラビーンズの香りに、両手で落ちそうになるほっぺたを押さえながら、おいしいと満面の笑顔。

「ショートケーキはしかたないから崩しちゃうね」

 シュークリームを食べ終えて、フランは二人にそう提案します。大きすぎるタルトを二人で分けながら食べていたこいしと橙はコクコクとうなずきます。

「えい。うわっ、手がクリームだらけだ」

 クリームに指を差し込んで、ナイフの替わりに、フランはスポンジを崩しながらケーキを二つに分けます。今度はそれに直角に交わるように横から。四つにしたところでフランは大きな大きなショートケーキを手で掴んで自分のお口のところへ持って行きます。
 
「ん〜、一回、おっきなケーキをほおばってみたかったの」

 大きく口を開けてがぶり、とケーキを噛み付くように食べるフラン。スポンジやクリームがシーツの上にぽろぽろこぼれ落ちていきますが、気にもしないで一口、二口と。

「あ、フラン。ほっぺたにクリームがついてるよ」

 と、橙。ベッドの上を移動して、まだまだ大きな塊のショートケーキをもったフランに近づきます。

「じっとしててね」

 顔を寄せて、ネコのザラザラした舌でフランのほっぺたのクリームをなめとる橙。フランはもう、と顔を苺みたいに赤くして、唇をとがらせます。

「普通にとってよ。でも、ありがとう、ちぇん。あ、そうだ、お礼に…」

 そう言って、フランはショートケーキのてっぺんに乗っていたおおきなおおきなイチゴをつまみ上げます。
 あ〜ん、とまるくお口をあけて食べる真似っこをして、つまんだイチゴを橙のお口の前まで持っていってあげます。橙はお口を開けるとぱくりと一口でフランが摘んだイチゴを食べてしまいます。ほそくてきれいなフランの指に付いたクリームも舌をのばしてぺろぺろ。フランはくすぐったいよぉ、とベッドの上で暴れます。

「あー、フランちゃん、ずるい。私も」

 こいしがむぅ、とほっぺたを膨らませたあと、とうとつに橙に抱きつきました。そのまま橙と同じように舌を伸ばして、橙のほっぺたについていたベリーの赤色をとってあげます。
 私も、と反対側からフランも。
 両方からお友達に抱きつかれ、ほっぺたをぺろぺろと、橙はされるがままです。

「はい、こいしも、あ〜ん」
「あ〜ん」

 フランがこいしのお口へ小さくなったショートケーキのスポンジを持っていきます。フランの指ごとスポンジを食べてしまうこいし。そのまま、おしゃぶりにしゃぶりつくようにフランの指に付いたクリームを丁寧にとってあげます。

「もっと、食べようよ」
「うん」「私、次はミルクレープ♪」

 めいめい、自由にケーキを手にとって食べたり、これもおいしいよ、と食べさせてあげたりします。

「あっ」

 と、ベリーのタルトを食べていたフランが小さな声をあげます。ベリーが一粒、タルトの上からこぼれ落ちてフランが着ているワイシャツの胸の間に入ってしまったからです。

「早く脱がないとよごれが染みついちゃうってけーね先生が言ってたよ」
「う、うん」

 橙に言われて手にしていたタルトを急いで食べきってしまうと、上から順番にワイシャツのボタンを外していきます。
 まだまだぜんぜんふくらんでいない胸の下、おへその上のところにベリーの粒はひっついていました。それをつまみあげて食べてしまうフラン。ついでによだれで指をぬらして、胸の上に道をかいたみたいに残っているベリーのジャムも拭って舐めます。

「とれたかな?」
「う〜ん、いまいち」

 ワイシャツの前を広げてみせるフラン。けれど、こいしも橙も首を傾けています。フランの真っ白なお腹の上にはまだまだベリーの赤い色とよだれが付いていたからです。

「もう、脱いじゃったほうがいいかも」

 と、橙。わかった、と頷いてフランはワイシャツを脱いで可愛らしい深紅のリボンが付いたローライズのショーツと同じデザインの靴下だけの格好になります。

「あとで咲夜にお洗濯してもらおう」
「シーツもね」

 三人が体をのせているシーツもところどころ、クリームやスポンジくずが落ちています。
 三人は顔を付き合わせて笑いました。

「甘いものばっかりで喉がかわいちゃったね」
「牛乳があるよ。でも、コップがないみたい」

 こいしの言葉に橙が相づちをうちます。その言葉どおり、荷台の上にはミルクがなみなみと入れられたデキャンタがあるだけでグラスもコップもありません。

「う〜ん、じゃあ、それでいっか」

 少し考えたけれど、いい案が思いつかなかったのでこいしはそのままデキャンタを両手でもって、下の唇を支えに傾けます。
 こくこくとこいしの喉が鳴ります。デキャンタに浮いていた露がこいしの指を伝わってシーツに染みを作っています。
 デキャンタは口まで大きく、あまりにも一辺に牛乳が流れてきたので、こいしは口の端っこからミルクを溢してしまいました。
 喉を伝わって、こいしのキャミソールがミルクで濡れてしまいます。絹地の薄いキャミソールがべったりと肌に張り付いてこいしの胸のぽっちを浮きだたせてしまいます。

「こいしちゃん、私にもちょうだい。コレに入れて」

 ミルクを飲んでいたこいしにお皿を一枚、差し出す橙。お皿は食べ終わったケーキの物です。スポンジかすが少し、お皿の上に残っています。
 わかった、とこいしはデキャンタから口を離しました。そのまま、デキャンタをお皿の方へ傾けてとくとくとミルクを移します。

「ありがとう」

 お礼を言ってお皿をシーツの上に置きます。そうして、橙はお皿に顔を近づけるとちろちろと舐めるようにミルクを飲み始めました。肌襦袢の襟の隙間から鎖骨がみえます。

「ちぇんちゃん、ネコみたい」
「ネコだもの」
「にゃーにゃー」

 軽く握ったお手々を胸の前で曲げてみせて、猫真似をするフラン。そのまま、ヒゲをこする物真似をして、にゃにゃー鳴きながら四つん這いで橙の隣まで移動します。

「にゃーにゃー(私ものんでいい?)」
「にゃー(いいよ)」

 猫語で会話して、にゃー、と一際大きくお礼を言って、フランも橙に倣ってお皿のミルクを舐め始めます。

「あーっ、私も」
「だめだよ、こいし。ネコ語で言わないと」

 顔を上げてそう注意するフラン。橙がにゃーにゃ(フランちゃんもだよ)と続ける。

「にゃーにゃー(そっか)にゃー(これでいい?)」
「にゃー(うん)」
「にゃにゃー(じゃあ、どうぞ)」

 ぺろぺろと三人は一つのお皿に頭を寄せ合いながらミルクを飲みました。












―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「え、何、マジ天使ちゃん? マジ萌ゑるんですけど」
「ああ、成る程。たった今―――たった今、理解した。私は、私は今、この瞬間を写真に収めるためにジャーナリストになったんだ」
「ちぇん可愛いよちぇん」
「あ、明日、私、死ぬかも」

 フランとこいしと橙の三人がケーキを食べていた部屋の隣、普段は物置に使われている狭く埃っぽい部屋にそいつ等四人は肩を寄せあい、一心不乱に壁に開いた穴を覗き込んでいた。
 薄暗い部屋、埃が舞い、蜘蛛の巣が張っているこんなところで一体何を、と訝しむがなんら不思議ではない。古今東西、悪人と下衆は薄暗く陰湿な場所で人の道を踏み外した行いをするものと相場が決まっているからだ。

 そうして、悪人の一人がテカテカと顔を脂で輝かせながら壁から離れた。

「いいものを、見せてもらったわ」

 何処か遠く、具体的に書くと怪獣墓場がある辺りを悠然とした表情で眺望しているのは怨霊も恐れ怯む覚り妖怪の少女、古明地さとりだ。ああ、と胸の前、サードアイの隣に指を組み合わせて祈りを捧げている。千匹の仔を孕みし森の黒山羊あたりに。

「ふふ、礼にはおよばなくって、マインドリーダー。こちらこそ…こいしちゃんを提供してもらって心の底から感謝しているわ」
 
ああ、こいしちゃんと絡んでる妹様マジ萌えGJ、と親指をたてて見せたのは完璧で瀟洒なメイド長、十六夜咲夜だった。鼻から忠誠心という名の血を流しつつもテニスにいそしんでおられるお嬢さまに清潔なタオルを手渡すさわやかさ満ちあふれる笑顔を浮かべている。
 さとりからティッシュぺーパーを箱ごと貰い、縒りを作って鼻の穴に詰める咲夜。瞬く間にティッシュは赤黒いじゃ悪な液体に染まってしまったが。

「神の国―――そう、私は今、神の国を見ている…一点の穢れも淀みもない、天上の、遙か彼方…御仏の後光に照らされる、エンゼルハイロウ、ああ、ああ、光り―――あれ」
 恍惚とした表情で壁の穴を覗き込み、手にしたファイバースコープのシャッターを絶え間なく切り続けているのは幻想郷の伝統ブン屋の烏天狗、射命丸 文だ。瞳孔が開ききった目で瞬きもせずシャッターを切り続けている姿は栄養剤だと偽されて向精神薬を打った後、ナパームをたんまりと乗せた爆撃機に意気揚々と乗り込んでくヤク中のアフガン帰還兵みたい。この後、見方の頭の上に爆弾をばらまいても不思議ではない顔をしている。

「こっ、このラグナロクの…アポカリプス・ナウの示唆をした使徒は…神の意を授かりし聖者はどちらですか!?」
 がばちょ、といきなり振り返り、えがったえがった、と頷き合っているさとりと咲夜の二人に問いかける文。瞳からは涙が堰を切ったようにあふれ出している。「これが涙。泣いているのは私?」と、自分が流しているものに指で触れて初めて気がつく。

「いえ、我々ではありません」
「場所を…そう、私はせいぜい、この神聖なる儀式を執り行うための場所を提供したに過ぎませんわ」
「では、誰が…」

 そっと指を指す咲夜とさとり。最後の、一人、未だ、壁に向かって一心不乱に、ふけっている仲間に。

「はぁはぁ、ちぇぇぇぇん! ちぇぇぇぇん! (くちゅくちゅくちゅくちゅ)うっ…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ふぅ」

 賢者のような面持ちでかるく吐息を漏らしたのはすきま妖怪の式、九尾の妖孤、八雲 藍だ。やりとげた漢女の顔をして、ふぅ、と額の汗を拭っている。

「あ、ティッシュ、私にも貸してもらえます。 パンツ、汚れちゃったんで」

 何故か粘液に濡れた手を差し出してくる藍であった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――













「美鈴、灯油持ってきて灯油。あ、パチェ、あと火種作ってくれる。ナパームでもいいわよ」


END
今日も休肝。このままではアルコール分が不足して
死んでしまうのでは?何てことをだらだらと
考えながらフロへ行ってる途中に思いつきました。
関係ないけどリーサルに体調が悪かったぜ、今日は。
やっぱりアルコールを定期的に摂取しないと駄目みたい。
某アイアンマンのトニー社長みたいに。
って、マジでどうでもいい話題ですね。
これは駄目だもう、いろんな意味で駄目だ。
あー給料日がめがっさ待ち遠しい
お酒呑ませろ!!
sako
作品情報
作品集:
16
投稿日時:
2010/05/26 14:41:22
更新日時:
2010/05/26 23:41:22
分類
フラン
こいし
ケーキ
1. 名無し ■2010/05/27 00:13:29
もうお菓子に発情薬なり媚薬なり混入させておけばよかったのではないですかお代官様方
そしたら酒池肉林できますぜ。ぐへへへへ。あ、こいしちゃんは私がもらっていきryああ!なんだあの黒く泡立つ触手は!液晶に!液晶に!
2. 名無し ■2010/05/27 00:19:34
*お菓子には血がたっぷり
3. 名無し ■2010/05/27 00:35:47
ふらんちゃんぺろぺろしたいおハァハァふらんちゃんふらんちゃん ふぅ
4. 名無し ■2010/05/27 00:52:00
変態はウェルダンにかぎる
5. 名無し ■2010/05/27 09:01:58
ときめきと背徳感と萌えが溢れて溢れて生きているのが辛い、後こいつらなら死んでもむしろ四季様お持ち帰りして戻ってきそうで怖いw
6. 名無し ■2010/05/28 23:53:32
しかし獣は捕らえられ、またこの獣の前でしるしを行って
獣の刻印を受けた者とその像を拝む者とを惑わしたにせ預言者も獣と共に捕らえられた
そして、この両者とも生きながら硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた…

アポカリプスなう
第19章20節
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