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『紅魔館殺人事件』 作者: 名前がありません号
私は小悪魔って言います。名前はまだないです。
パチュリー様が名前をつけてくれないので、ずっと小悪魔です。しくしく。
まぁそんなことはどうでもいいのです。
ああ、パチュリー様というのは、読書中毒で本の虫の我が主です。
いつも暇そうにしていますが、こう見えても紅魔館のトラブルシューターなんです。
トラブルメーカーでもありますけど。
さて、いつもの席で私の珈琲を待っているパチュリー様ですが、
今日は殆どの妖精メイドの皆様は出払っております。
レミリアお嬢様が盛大なパーティを行っている為です。
別に特別な日ではありません。
何でも霊夢様の提案で、次の宴会を何処でやるかをじゃんけんで決めた結果、
こうなったそうです。
レミリア様いわく、稀に運命が自分の思わぬ方向に転がる事があって、
見事、初戦完敗だったようです。
まぁ全員チョキで、一人グーを出したら完敗としか言いようがないですよね。くす。
さて、我が主ことパチュリー様は相変わらず読書に夢中です。
パーティなど何処吹く風と言ったところです。
パチュリー様の興味を惹く方はいらっしゃらないようです。
まぁこの所、色々と慌しくはなりましたが、
新しい方々は様々な事情から、
宴会には参加されない傾向にあります。
小悪魔には最近の情勢など分かりませんが、
まぁ気にしてもしょうがないという事はわかります。
さて、上のパーティ会場も大分盛況のようです。
パーティ会場から持ってきたパンを出すと、無造作に手を取って食べ始めました。
お腹が減っても、本は手放さない辺りは、筋金入りですね。何故か関心します。
すると、上の方が慌しくなりました。
何か悲鳴のようなものが聞こえてきます。
「五月蝿いから様子を見てきなさい」と、パチュリー様が言います。
断る理由はないので、私は上のパーティ会場に急ぎました。
パーティ会場は騒然としていました。
ざわざわとしています。
美鈴さんが居たので、事情を聞く事にします。
「美鈴さん、何があったんですか?」
「ああ、小悪魔ね。それが……」
そういうと、ホールの奥の扉を開けて十六夜咲夜さんが現れます。
「美鈴、門を閉じて。断りなく門から出ようとする連中は全員倒しても構わないから」
「はぁ? いや、それは構いませんが、何かあったんで?」
「厨房で手伝いをしていた妖夢が何者かに襲われて重体よ。今、永琳が処置しているわ」
「厨房って……また大胆な犯人ですねぇ。まだ捕まってないんで?」
「だから、貴方に門から出る連中を監視しろって言ってるんじゃない」
咲夜さんと美鈴さんが話し合いをして、
しばらくして、門の詰所の方に美鈴さんは向かいました。
門番隊の方に連絡して、門を封鎖するのでしょう。
私は咲夜さんに詳しく話を聞きに行きます。
「あの、咲夜さん。妖夢さんが重体って一体……」
「ん? ああ、小悪魔。詳しくは後で話すけど、妖夢が誰かに襲われたみたいなのよ」
「妖夢さんが?」
妖夢さんについては私は良く知りません。
この図書館に来館したのは一度二度ほどだったと記憶しております。
その時も、「洋風料理の本」や「庭師の極意」と言った風な本を借りた程度でした。
白玉楼のお手伝いさんか何かかと思っていました。
それにしては刀なんて物騒な物を持っていたりしていて、少し怪しかった程度の印象しかありません。
咲夜さん曰く、一応剣術指南役だそうです。一応と付け加えられた意味は分かりませんが。
咲夜さんは、懐中時計を取り出すと、次の瞬間には消えていました。
恐らくレミリアお嬢様に報告に行ったのでしょう。
とりあえず私もパチュリー様に報告に行くとしましょう。
そしてパチュリー様に報告をしました。
「ふぅん……」と言って、しばらく考え込むような顔をします。
それでも、やはり本を見たままです。
「小悪魔。貴方、事件を解決しなさい」とパチュリー様は言いました。
私はいつものようにはいと言おうと……へ?
「へ? じゃないわよ。事件って事はつまりしばらく五月蝿いのが長引くんでしょ? 本に集中できないじゃない」
それはそうかもしれませんけど、私に事件を解決することなんて……。
「貴方に探偵の真似事なんて出来ないのは知っているわ。貴方は私に情報をくれればいい」
えっと、つまりそれは……。
「貴方は肉体派。私は頭脳派。よろしい?」
パチュリー様は一歩も動く気がないと。
「貴方は私のようなか弱い女を歩かせようというの?」
か弱いっていうより、脆弱ですけどね。わかりましたよ、行ってきます。
さて、咲夜さんに許可を貰って早速、厨房に入ります。
うわぁ……血生臭い匂いです。
まぁ当然ですね、床が血塗れですし。
しかし、これだけ血を吐いて果たして彼女、無事なんでしょうか。
それはともかく、何か無いですかね……っと。
これは包丁っと。
肉を切っていたみたいですねぇ。
とはいえ、咲夜さんが言っていた凶器とは違いますね。
咲夜さん曰く、“腹を貫通するほどの長い刃物”だそうですし。
これは……。
なんでしょう? “花”ですかね?
でも、これ。造花?
妖夢さんの持ち物でしょうか?
ふむ。
鍋の中身はビーフシチューですか。
おいしそうです。
ちょっと味見してもいいかn<ダメよ>
うわぁ! だ、誰ですか!?
<貴方の主、パチュリーよ。現場の物を取って食うなんて前代未問よ、やめなさい>
い、いいじゃないですかっ。
私、お菓子くらいしか口にしていなくて、お肉とか殆ど食べてないのにっ。
<食べてくればよかったじゃない。事件が起こる前に時間はあったでしょ>
そ、それはですね。
パ、パチュリー様を思ってですね。
え、えと、私ッ!
パチュリー様のことが大好きなんです!
だからお願いします、t<魂なんかやらないわよ>
即答されると悲しいです……。
いいじゃないですか、一つや二つ。
「くだらない事してないで、報告なさい。何か見つかったの?」
あ、ああ。
えーとですね、妖夢さんを襲った犯人は“長い剣のような物”で妖夢さんの腹を刺したようです。
あと、床に“造花”が落ちてました。何でしょう、これ。
「その“造花”は妖夢の刀の鞘についてた奴ね。“楼観剣”と言ったかしら。咲夜に確認しなさい。彼女の持ち物で刀が無くなっていないか」
あ、はい。
そうします。
咲夜さん。咲夜さーん。
そういうと、こちらに気付いて歩いてきてくれるメイド長。
「何かしら、小悪魔」
「妖夢さんが発見された時、何か無くなっていませんでしたか?」
「……そういえばいつも腰に挿していた刀が一本無くなっていたわね、長い方が。まさかそれが凶器?」
「パチュリー様が言うには、その可能性があるみたいです」
「なるほど。となれば、そうそう隠し持てるような物じゃないわね。わかった、他の妖精メイドにも伝えるわ」
そういうと、咲夜さんはまた消えていきました。
正確には時間を止めて移動しているだけなんですけど、傍目から見れば瞬間移動にしか見えませんよね。
ともあれ、咲夜さんの言うとおり刀ともなれば隠し持つ事は出来ないはず。
となれば、この事件も早々に解決かも。
前言撤回です。
妖精メイド達の捜索でも、楼観剣は見つかりませんでした。
代わりに見つかったのは、首から夥しい量の血液をぶちまける、椛さん。
いかに妖怪といえど、これほどの出血では助からないでしょう。
<二人目の犠牲者ね。随分派手にやるものね>
ですねぇ、メイド長やメイド妖精達も居るのに。
普通に移動していたら、見つからないはず無いのに。
“壁でもすり抜けてるんでしょうか?”
<さぁ? それは犯人に聞いてみましょう>
ですよねぇ、はぁ。
私も殺されるんじゃないかと、心配ですよ。
<どうかしらね。三人目の犠牲者が誰かで、貴方が殺されるかどうか決まるかもしれないわ>
と言うと、もうある程度の目星がついてるんですか?
<でも、証明するにはまだ足りないわ。さぁキリキリ歩く>
はぁい……。
しかし椛さんはかなり頑張ってたみたいですねぇ。
盾が傷だらけです。
そういえば妖夢さんは“何故、応戦しなかったんでしょうか?”
幾ら料理をしていたとはいえ、後ろに気配があれば気付きそうなものですけど。
<そこは心配しなくてもいいわ。大体分かってるから>
それだけ目星がついてるのに、どうして証明が必要なんです?
<そういう事がありえるかどうか、その実証がなければ、憶測の域を出ないわ。憶測では合格できない。まぐれ当たりは合格点じゃないわ>
はぁ。
知識人の考える事はよく分かりません。
そういえば、この辺りは、妙に冷えますね。
今日は少し暑いくらいなんですけど。
<どれくらい冷えるの?>
いやまぁ、“気持ちひんやりとしている”程度ですが。
<そう、ならその冷えていると感じる所に向かって歩きなさい>
はいはい、もう何も言いませんよ。
まったく悪魔遣いが荒いですね、もう。
とりあえず、私は冷気を感じる辺りを進んでいきます。
なんでしょう?
今何か、人の姿をしたようなものが……。
<そいつが犯人よ。追いかけなさい>
え、あ、はい!
はぁ、はぁ、はぁ!
な、何なんですかあれ!
全然早いんですけど! ていうか疲れないんですか!
<何で馬鹿正直に走ってるのよ、飛びなさいよ>
あ、そうでした。
「この部屋に逃げ込んでいきましたね。
もう逃がしません。
さぁ、観念して出てきなさい!」
そして私は扉を開けます。
と、同時に弾幕の準備をして。
眼前に、ツインテールの鎌を持った女の人が心臓を一突きにされて、
口から血を吐いて壁に横たわっていました。
例の人影の何かも見当たりません。
部屋は少し寒気がしました。
<三人目の犠牲者ね。さて、これで犯人の狙いは把握できたわ>
へ、何なんです?
犯人の狙いって。
<被害者は皆、“得物を持っている”って事よ。>
え、それだけですか?
他に何かあるのかと。
<それだけで充分よ。“腕試し”の積りかしらね、犯人は。となると次は咲夜が危ないわ。早く咲夜を探しなさい>
は、はい。
幸いにも咲夜さんは直ぐに見つかりました。
「咲夜さん! 大丈夫ですか?」
「え? 大丈夫だけど? どうかしたのかしら」
「さっき小町さんが部屋で殺されていました。パチュリー様が言うには次は咲夜さんが狙われると……」
「……それで?」
<詳しくは私が話すわ。小悪魔、結界の準備をしなさい。犯人を誘い出すわ。咲夜にも手伝ってもらう。いいわね?>
「わ、分かりました」
「はい。それで私は何をすればいいのですか?」
<図書館に誘い出すわ。咲夜は犯人を誘導してもらう。危険だけど、やってくれるかしら?>
「勿論でございます。お嬢様の館で好き放題やられているのです。協力させていただきます」
<助かるわ。それじゃあ、小悪魔。これから説明する事をよく聞きなさい。まずは……>
紅魔館、地下室付近の通路。
咲夜さんは通路で神経を尖らせて、犯人が来るのを待ちます。
私はそれを、通路に設置した物見の魔法で見ています。
犯人は“壁を平気ですりぬけてくる相手”ですから、
まともに立ち会う事は不可能です。
おまけに“剣術に優れている為”、まともに接近戦を挑んでも咲夜さんに勝機は無いでしょう。
すると、物見の魔法にうっすらと白い人型が映ります。
「咲夜さん、来ました。まっすぐそちらに向かっています」
「わかったわ、ありがとう」
私は魔法でそれを咲夜さんに伝えると、
咲夜さんもそれにあわせて動き始めます。
逃げる咲夜さんを追うように、白い人影もかなりの速度で追いかけてきます。
そして、咲夜さんは図書館へと飛び込んできます。
それとほぼ同時に白い人影が咲夜さんに手に持った、楼観剣を突き刺そうとします。
<今よ、小悪魔!>
私はその声と同時に、結界の発動の為の呪文を詠唱しました。
ほどなくして結界が起動し、白い人影を捕縛します。
「ウアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
頭に響いてくるような叫び。
耳ではなく、脳を揺さぶられるような気持ち悪い感覚を覚えますが、
結界で縛られるにつれ、徐々に叫びが小さくなり、
とうとう白い人影は何も言わなくなりました。
「成功ね」とパチュリー様が言います。
しかしこれは何なのでしょうか。
「……! これはまさか、“妖夢の半霊”? これが犯人なのですか?」
「ええ」と、パチュリー様は言います。
私も先ほどパチュリー様から聞かされた時は何事かと思いましたが、
確かによくよく見れば、所々面影があります。
「以前弾幕ごっこをした際に、彼女が半霊を自分の姿に変化させたことがあって、もしかしたらと思ってね」
しかし咲夜さんは、まだ疑問が残っているようです。
「しかし、何故得物を持った相手ばかりを? しかも最初は自分自身だったではないですか」
「文字通り腕試しの積りだったんじゃない? 恐らく半霊の方がなんらかの形で自我を持って、妖夢がコントロールできなくなるほどに強くなったのかもしれないわ」
「はぁ……」
「どっちにしても私にはもう興味が無いけどね」と、パチュリー様は言います。
3人(一名自殺?)殺されてるのに、興味無いで片付けるとは流石です。
まぁ私も、正直興味無いですけど。
「で、この半霊はどうしますか?」
「充分に封をして、幽々子のところに送り付けておきなさい。賠償請求も一緒にね」
「かしこまりました、お嬢様にもその旨を伝えておきます。それでは」
そういって、咲夜さんはまた消えました。
忙しい方ですね、本当に。
「これでようやく静かになったわ。さて、私は一眠りするわ。結界その他の片付けお願いね」
「はーい」
ふわぁ、とパチュリー様が欠伸をすると、いそいそとベッドに向かいます。
私も後片付けをしたら、適当に一休みしよう。
あちこち歩いたりして、精神的に疲れてしまった。
たまには運動した方がいいのかもしれないと思う、私、小悪魔でありました。
推理物で大失敗したので、リベンジの為に書きました。
……推理物ってなんだろう。
※追記
意味もなく、タグをシンプルに
※1
なるほど。
やはり簡単に手が出る物じゃないか。
無理めなジャンルは、他の人にまかせておこう。
おれ、覚えた。
名前がありません号
作品情報
作品集:
16
投稿日時:
2010/05/26 19:30:59
更新日時:
2010/05/28 00:06:39
分類
パチュリー
小悪魔
かわいい。