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『空白の時間 始まり的な……』 作者: 殲滅戦型殺戮人形S
銀髪にメイド服を着た、メイド長こと十六夜 咲夜は、主であるレミリア スカーレットの寝室へと足早に向かっていた。
ノックをし、中から返事が返ってくるのを確認し部屋に入室する。
「お嬢様、お客様がお見えになっておられます。」
「そう。着替えたら行くから、館中に案内しなさい咲夜。」
「わかりました。では応接室に連れて行きますので。」
その次の瞬時には咲夜は部屋にいなかった。 また能力を使ったのだろう。
「まったく、もう少し寝ていたかったというのに。訪問者が誰かは知らないけど、話の内容が詰まらなかったら今晩のオカズにしてやるわ。」
愚痴を零しつつも身嗜みを整え、応接室へ
「お客様ってお前のことか……」
「お前とは酷いんじゃない?私にだって名前くらいあるのに。」
来客は風見 幽香であった。優雅に紅茶を飲みながら椅子に座っていた。 レミリアとは表立った親交関係は無いが、紅魔館の庭にある花畑を気に入ったのか、度々来ては話をするようになった。
咲夜が淹れてくれる紅茶を他人に飲まれるのは腹立たしいが、実際こうやって誰かと紅茶を飲む機会が少ないレミリアにとっては嬉しい事だったりする。 博霊の巫女は抹茶や煎茶、時々麦茶程度しか飲まない、一度紅茶を飲ませてみた事があったが、口に合わなかったらしく二口ぐらいで後は残してしまっていた。 他も似たり寄ったりで結果的にティータイムを共に味わえるのは数えるくらいしかいなかったりする。
「それで? また貴様のお花の豆知識教室に付き合わねばならないのか?」
「あら? したいのなら構わないけど?」
「結構だ。それに庭の手入れは美鈴がしてくれている。私などではなく美鈴に講義してやればいいだろう。」
「あの子に教えることは何もないわ。優秀な花職人になれたかもね。」
「まぁ門番だけどな。」「門番ですけど。」
「才能の無駄使いってこの事を言うんじゃないかしら……。」
ご主人様にもメイド長にも庭師並みの才能を見てもらえない門番。
「話が脱線したわね。 話せば長くなるから手短に言うわね。」
幽香の表情が著しく変化し、部屋一面に異様な空気が流れる。流石のレミリアも只ならぬ雰囲気に身を固めていた。
「私……実は追われているの。」
「よし、咲夜! コイツを直ちに館から追い出せ。厄介事は勘弁だ。そして私はもう寝る。」
「かしこまりました。では風見様こちらへ。」
「いやいやいやいや! 助けてよ! そこは少しでも助けようとしてよ。」
咲夜に連れられて{引きずられて}部屋から出されそうになった幽香がレミリアに向かって叫んだ。
「じゃあこれだけ聞くわ。一体誰に追われているの?」
「スキマの妖怪よ。」
「何をやらかしたら追われるようになったのよ……。」
「ほら、あそこには橙とかいう式がいたじゃない?」
「そういえばそんなのがいたわね。」
「その子をね……殺しちゃったのよ。いや、違うわね気がついたら私の目の前で死んでいた。」
「……。」
「その子は、時々私の庭園に来ては遊んでいたのよ。穴を掘って私が大事にしていた球根を取り出して遊んでいたときは流石に半殺しにしてあげたけど、それでも次の日には、また来て綺麗な花を見つけては喜んでいたわ……可愛いものだわ。」
幽香は一度話を止め紅茶を口に含んだ。 風味も熱も飛んでしまった紅茶は正直美味しくなくなっていたが、今の幽香には関係ないことだ。
「時々、藍という式とあのスキマと三人で来たこともあったわ。 橙は一人で走り回っていたけれど、二人はお礼を言ってきたわ、橙を楽しませてくれてありがとうとね。式とはいえ家族も同然やはり心配だったのだろうね。けど、その感謝を私は踏みにじってしまった。」
「でも、お前は橙を殺してなどいないんだろう?」
「分からないのよ。気がついたら橙が死んでいた。これに偽りはないわ。けど、スキマは私の言い分など聞く耳持たずですぐに宣戦布告を申しだしてきたわ。」
「で? 貴様は私に何を求めている?」
幽香は少し躊躇っている素振を見せたが、何かを決心したのかこう告げた。
「八雲家が押し寄せて来ても自分の潔白を証明させるだけの時間を作るためにレミリア、紅魔館の戦力が必要なの。」
初投稿です。 誤字がありましたらすいません。
キャラの設定を変えつつ話を進めていくので、所々で変な所があります
長編の物語にしようと考えていますが、見てくださる方の評価が悪かったりネタが尽きた場合は静かに消滅します。
キャラは、レミリアは最初の段階で導入が決まっていましたが、風見は何故か執筆中にポンと浮き出てきたので入れてみました。
それでは、次回が出来上がり次第出現します
殲滅戦型殺戮人形S
作品情報
作品集:
16
投稿日時:
2010/05/29 14:23:22
更新日時:
2010/05/29 23:29:42
分類
レミリア
咲夜
幽香
この1.5倍ぐらいの量のものを複数話投稿するか、まとめて一つにして投稿したほうがいいかもしれない。
長すぎるものを読むのは苦痛だけど、短い話を読んでお預けされるのも同じぐらい苦痛なんです。
とりあえず、身内を殺されたら切れるのに半殺しだったら特に切れない八雲一家w