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『満月の夜に。もうひとつの結末』 作者: ギョーザ
・「満月の夜に」のアナザーストーリーなので、そちらを先に見ていないと意味不明
慧音が車を買ってからもう何年経ったのであろう。慧音の教え子が大人になり、死んでいく。そんな時の流れを何回見たのであろう。
しかし妹紅が寺子屋に遊びに来ることは変わっていなかった。
そしてあの朝・・・
いつものように遊びに来た妹紅。しかし寺子屋の中に慧音の姿が見えない。事務所兼自宅になっている部屋に顔を出してもどこにも姿はない。
このようなことは以前にもあった。
こんなときはいつも決まって車庫にいるのだ。
あの車が二百年以上元気なままなのは、スキマ妖怪に物の耐久年数の境界を弄ってもらっただけでなく、河童が作る整備用工具やガソリン、そして何より慧音が日課としている車の点検整備の賜物でもある。
「おーい!慧音ぇ!」
しかしおかしい。返事がない。いつもならすぐに出てくるというのに。
「慧音?」
車庫に入る妹紅。おかしな匂いがする。
車の下から足が突き出ている。しかし時折少しばかりピクリと動くだけでなにも起こらない。
「け・・・・い・・ね?」
ああ、そうか、ジャッキが外れちゃったのか・・・はは・・・どうりで出てこれないわけだ・・・。
・・・・ほら、ジャッキ上げたから、早く出てきてよ、慧音。ねぇ、なんとか言ってよ・・・出てこないならこっちから引きずり出すよ。それっ
あれ・・・なんか慧音の体、薄いね・・・あああああああ・・・こんなに漏らしちゃって・・・・早く起きなよ・・・・下着が濡れて気持ち悪いでしょ・・・
ねぇ・・・悪ふざけはやめてよ・・・慧音・・・
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
若干薄くなった慧音の体を必死に揺らす妹紅。慧音の顔は横を向いているのでほとんど損傷は無いが、口からどろりとこぼれる血が今の慧音の状況を物語っていた。
慧音がジャッキをよくセットしなかったことで、ジャッキが外れ、1.5t程ある車体は車高より高い慧音の体を車高まで押しつぶしたのだ。普段は普通の少女であり、力も姿相応の彼女に抵抗はできなかった。
「すぐに助けてやるからな!慧音」
妙にぐにゃりとする慧音の体を抱きかかえ。車の助手席に乗せ、竹林の道をを突っ走る。
すぐに永遠亭に運びこむ妹紅。何事かと出てきたのは、鈴仙・優曇華院・イナバである。
しかし抱きかかえているものを見て口元を押さえながらすぐに引き返していった。
代わりにやってきたのは月の頭脳――八意永琳であった。この永遠亭で医者をしている。しかし、妹紅が何を抱えているのか分かるとすぐに冷たい態度で言った。
「ここは遺体の安置所ではないのよ」
それはそうだ。なぜなら慧音は明らかに息をしていなかったのだから。顔は赤黒くうっ血し、耳や口や鼻からどす黒い血を流し、胸は肋骨ごとひしゃげていたのだから。
先ほどまで気が動転していた妹紅ははたと気づき、治療など無駄なことを悟った。それと同時に胃の中から何かがこみ上げる。
「うおぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ッ」
嘔吐と同時に慧音の死体を取り落とす。ぐちゃりと音がした後、その体に吐瀉物の雨が降り注ぐ。
「・・・汚いわね。とっとと出て行って頂戴。遺体と掃除はこっちがしてあげるから」
うっとおしいといわんばかりの態度でそう言い放った永琳は後ろに控えていた優曇華院に妹紅をつまみ出させ、妹紅は車の前にべしゃりと転ぶ。
しばらく起き上がらなかった妹紅は車に乗り込むと、目いっぱいアクセルを踏み込む。
ホイールスピンを起こしながら、急加速した車。そのエンジンの咆哮はどこか悲しげであった。
・・・もう慧音はいない・・・もう・・・いないんだ・・・あれは事故なんだ・・・でももっと早く着ていれば・・・
自責の念に苛まれる妹紅。それに呼応するかのようにスピードが上がっていく車。
カーブを曲がりきれずに竹林に突っ込む。竹を数本なぎ倒し、フロントがひしゃげ、ラジエータが破けて水が噴出し、ようやく車が止まる。
「うっ・・・ぐすっ・・・うあああああああぁ・・・」
いつもの気丈さとは裏腹の少女相応の泣き声で泣く妹紅・・・ただただハンドルに突っ伏して泣くだけであった・・・
「満月の夜に」を書いている最中に思いつき、急遽書いてみました。
このあと妹紅は回想を終え、意識はまた慧音の墓の前に戻るわけです。
書いた後に「別に満月の夜にのあとがきに乗せてもよくね?」とか思ったのは秘密です。
車をジャッキアップするときは気をつけましょう。
ギョーザ
作品情報
作品集:
17
投稿日時:
2010/06/30 11:38:44
更新日時:
2010/06/30 20:38:44
分類
慧音
妹紅
寿命ネタではなくなった
あの時の無表情でこっち見てきた瞬間は俺のトラウマです。
妹紅が連れてきたんなら仕方ない
輝夜殺すとか言ってるくせに困った時に縋り付くとか虫が良いにも程がある
良いえーりんでした