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『ただムラサを傷付けたかった』 作者: おたわ
「やめ、やめて、やめて……。
そんなの、普通じゃないよ。絶対普通じゃない」
何故、私が変人扱いされなければならないのかわからない。
ムラサ船長、私は君の嫌がる姿を見たい。
だから君を密室にて磔にし、ダウジングロッドで体を貫こうとする行為は普通じゃないか。
ちょっと考えれば直ぐに直結する、最も単純で自然な思考じゃないか。
こんな簡単な質問、答えてやる義理もない。
だから私は話す事もなく、今まさに、船長にロッドを刺してやろうかという構えで、淡々と、一歩、一歩、亀の歩みの如くゆっくりと、しかし確実に近づいていく。
「いやぁ……。やめて、来ないで、来ないでよぉ……」
ああ、君がそんなに可愛らしい発言をするから、私は近づいていくのではないか。
君の嫌がる姿をもっと見たい。君の力なく抵抗する言葉をもっと聴きたい。
このまま刺し、使い物にならなくするのも惜しいくらい、君は愛おしい。
だから、少しでもこの幸せな時間を堪能しようと、ゆっくり、ゆーっくりと近づいていくのだ。
しかし、そんな考えとは反対に、昂る胸の鼓動と同期するかのように、歩調が速くなってしまっている事に気付き、平静を保ちつつ慌てて修正する。
「こ、来ないでって言ってるのにいいぃぃぃぃ」
汗と焦りでぐちゃりと赤ちゃんの様に潰れた君の顔は、汚らしいどころか可愛らしい。
しかし船長、ばっかみたいだね、君は。君が反抗心を強めれば強めるほど、私の虐待心も強まっていくというのに。
私が君の表情を見て、心情を読み取るように。君も私の表情を見て心情を読み取り、どうすれば私が近づくのを止めるか考えてみたまえ。
……ああ、そうか。生憎、私は君と違ってポーカーフェイスだった。
ふふふ、心の中ではニヤニヤとした笑みを浮かべているのだけどね。
「ね、ねぇ、私が、何で、こんな事、されなくちゃならないの……?」
そうだね。ブチ殺したくなるほどの可愛らしい容姿で、この世に存在しているからかな。
本当は、こう、即答したいけど、まだだ、もう少しだ。
深い傷心を船長に掘りつける為の最良のタイミングが、まだある筈だ。
「答えて、よぅ……。私は、どんな、悪い事をしたの……」
情けなく目を垂らし、今にも泣き崩れそうな表情で、私に震えた声色で話かけてくる君は、宝塔なんかよりよっぽど強い光と魅力を放っている。
ああ、嬲ってやりたい虐めたい。もっと強く傷付けたい。今すぐに、赤黒い叫喚地獄へと引きずり込んでやりたい。
そんな欲に、私の脳は支配されていく。
「ナズーリぃン……なんで答えないのぉ……」
ああ、答えてやりたいとも。答えてやりたいとも。でも、ここで答えてしまっては意味が薄れるのだ。
この日の為に、私はいかに君を深く痛めつけるか策略を練ってきた。それはそれは、膨大な時間をかけた。
その策略上では、まだ言うべき場面ではないのだ。
しかし私は今、想定以上に興奮している。
心臓は今にも私の胸を突き破り、飛び出してそのまま船長へ突撃しようかとと言わんばかりに激しく拍動している。
体中の毛という毛は逆立ち、まるでハリネズミの様相であろう。
いよいよもってこの昂る精神を隠しきれなくなってきた。
もう襲ってしまおうかな。このままでは船長がおかしくなる前に私がそうなりそうだし。いや、しかし……。
「うっ、くっ、私が……わたじが……」
泣くか? ついに泣くのか?
いやいや、待て。待ってくれ。
今、君に泣かれたら、私は本能むき出しの野良ネズミとなってしまう。
本性を露わにしたネズミは怖いぞ。自分でも何を仕出かすかわからないくらい怖いんだぞ。
「わだじがなに゛をじだっでいう゛のぉぉおお゛おぉ゛おおお゛お゛ぉぉおおぉおおお゛!!」
その、大きな必死の咆哮は私の体中を巡り、私を漲らせる活力となり、
その、小さなヘタれた掠れ声は私の脳内を巡り、私の小さな自我をプツりと切ってしまった。
半年以上もの歳月をかけ、練りに練った構想などもうどうでもよくなった。
もう我慢ならない!
君をどん底まで引きずり降ろしたいという衝動が止まらない!
「あっはっはっはっは! ほんとに、本当にばっかみたいだね君は!!
君は、自分が何故虐げられ、何故こんな目に合っているのか、まだわからないのかい? 君は最もその理由を身近に感じれる筈なんだが。
確かに、灯台下暗しという言葉もあるが……。君は海へ出航する側だ。そしてその光の恩恵を一番に受けて来た者だ。
ならば分かるだろう。その光に照らされた君の顔! 暗がりに浮かんだ君の顔! 可愛過ぎるその顔がいけないんだ!!
毎日鏡やガラスに浮かんだ自分の顔を見ているだろう? なのに何故気付けない! 鈍感にも限度がある。
さあ、そこまで分かったら、後は自分の境遇と照らし合わせれば全てがわかるだろう。
君の一番輝く瞬間! それは君の純潔の白色の服が血や泥で汚らしく染まるとき!! それは君の美しい頬笑みが苦痛で崩れ子宮でプカプカと浮かぶ胎児のようなグチャりとした気持ちの悪い表情を浮かべるとき!! それは気味が押し寄せる恐怖の波に怯えどうする事もできずそのまま溺れゆくとき!! それは君が陰湿な暗がりに独り取り残され泣き叫ぶしかできなくなった境遇に置かれたとき!! それは君が絆やら友情やらの脆さを知って自分の弱さとこの世の万物の儚さを悟り絶望に打明けているとき!! そして! 私が君を痛めつけているとき!!
今まで私は君の苦んでいるとき、嫌がっているときを幾度となく見て来た。蜂やゴキブリといった気味の悪い虫から逃げる君も見たし、約束を破られ落ち込む君も見た。風邪をひいて苦しむ姿。足を挫いて痛がる姿。勝負に負けて情けなく思う姿。大切な物を無くして泣きそうになる姿。うっかりこけて痛さと恥ずかしさで惨めになる姿。お腹を壊して腹部を摩る姿。頭をぶつけて悶える姿。馬鹿にされ内心付いてる姿。
そんなのを見ては若干の興奮と快感を得ていた。
しかし、そんな些細な事ではもう私の欲望は満たされない! だから、私が直接この手でこの世の物とは思えない責め苦を君に与える! 今から君は私のエゴだけの為に存在し苦しみ抜いて貰う!!」
「あの」、「まって」といった船長の言葉を遮り、一方的に言いたい事だけを言いのけてやった私はまさに興奮の絶頂にあった。
頭に一遍に流れ込む快感の量は正に麻薬並み。薬に浸った私は自分ですらも制御できない。
「あぅぁ……。い、意味がわかんない、よ。
ナズ、リン……。あなたは、おか、しく、なっ……」
恐怖に飲まれ、訳も分からず独り置いてけぼりにされ、最後には目の前にある現実からも逃避しようとする君のなっさけない姿は最高に素晴らしい。私をゾクゾクさせる。
ただし、この快感すらも前菜に過ぎないのだ。
私が今から味わおうとしているのは絶頂の上の上。その事実に、私はもう気が気でなかった。
「いやだ、やだ、やだぁ……。お願い、私の言うことを」
船長の言う言葉を遮るように、ロッドのSの部分で腹を一刺し。
「いぎゃぁあぁぁぁっ!」
ロッドは「サクッ」と心地の良い音をたて、実にスムーズに柔らかい腹の肉を突き破って行き、あっという間に磔にしている壁まで到達した。
突き刺したときのドロりとした感触はシルクを触るよりも気持ち良く、傷口から血の溢れだすグジュグジュとした音はどんなオーケストラよりも心地の良い音色を奏でていた。
「くぁっ、あっ、ぐぅぁぁぁ……。ふぅ、ふぅ……」
「おや、もっといい声で鳴いてくれると思ったんだが。これならどうだい」
そう言うと、私は刺したロッドを引っこ抜かず、そのまま一回転。二回転。三回転。
血やら肉やらよくわからない汁やら、船長の腹の中にある物全てが、ミキサーにかけられたかの様に混ざり合う。
料理が完成に近づいていくときのような、そんなワクワク感が頭の中に湧いてきて、更にもう一回転。二回転。三回転。
「うがぁあぁぁぁぁぁぁあああぁあぁぁあぁああああああああぁああああああぁぁあああああ!!!」
そう、そのくらい良い声で鳴いて貰わないと。
それにしても、君の美しい声色が、どうやったら猛獣の咆哮のような汚い叫び声になるのだか。
その怪物のような叫声を、もっと聴きたい。味わいたい。
そんな気持ちで、ロッドを身体から生やしたままの船長に近づき、少し開いた傷口を、両手で無理矢理こじ開ける。
ミチミチという音をたて、閉ざされた穢れない幽体の身体の扉が開いていく。
「いだいぃっ、いだい゛よっ! い゛だい゛ってばぁあ゛あぁ゛ぁああぁぁあ゛あああああ!!」
気が付けば両手が赤黒い液体でべったりだ。
右手に付いた生臭い匂いを発するそれをペロリ一舐めすると、甘い鉄の味が口の中全体に広がった。
生クリームのように甘く少しねばっとしたそれは、今日の準備の為に空腹だった私には至福の味わいだった。
だから、ついつい勢い余って、その腹の肉をガジり。
「はぐぁ……やめでぇええぇぇぇ、お゛いじぐな゛いか、らぁぁ゛ぁ……」
やめない。
空腹の私を目前に、こんなにおいしい肉と水を蓄えた君が悪い。
幽霊の透き通った血と肉は、普段、寺で大した物を食べてない私にとっては最高級の御馳走だ。
船長の苦しむ声と、ブチブチと筋のような物が切れる音をBGMに優雅な食事。
だが、その優雅さとは反対に、私は無心でガツガツと食べ進めていった。
バイキングのように、永遠に供給され続ける血肉。
食べても飲んでも無くなる気配が一向にみえないので、ついつい調子にのって食べ進んでいたら、船長のお腹に大きな空洞を作ってしまった。
その穴は、体の小さな私なら入れてしまうほどの大きさになっていた。
私はネズミだ。穴を見つけたら……入るしかないだろう。
湧き溢れる好奇心を、私は止めようともせず、船長の体内に侵入していった。
「だ、めぇ……。や、めて、こ、ない、で、やめ、て。
……やめてぇええええええ!」
出る筈もない声を振り絞って出した大きな声は、船長の身体の中で反響し、そこにいる私の耳をキーンとさせた。
ああ、この嫌な感覚すらも、君が必死の形相で出したのかと想像すれば心地良い。
しかし、私の耳を傷付けた事は反省させねばなるまい。
君はただやられるだけで良いのだ。
無残に散っていくだけで良いのだ。
その様が、一番美しい。
ネズミの長い爪を、ブヨブヨとした赤い新鮮な肉へ一刺し。
「ふぐっ」
一刺し。
「ぎぅぅぅぅ……」
また一刺し。
「ぁぁあぁぁ……」
そして刺さったままだったロッドを引っこ抜いて、これでもう一刺し。
「がぁぁあぁっ!?」
……これで十分に反省しただろう。
しかし、君の腹の中は本当に居心地が良い。
余りに良いので、私の第二の住処として活用してやっても良いのだが、魂が抜け次第、肉体は腐敗していき、あっという間に使い物にならなくなるであろう。
ならば今、使ってやった方が――グチャグチャに傷付けてやった方が君とて本望であろう。
しかしこの心地の良さの源は何だろうか。船長の体内をまじまじと観察する。
赤く新鮮な肉壁は小刻みに振動を繰り返しており、傷付き開いたところからは少し泡立った血がチビチビと流れ出ている。
心臓のドクドクという音が間近に聞こえるこの小さな空洞は、この世とは思えない、まさに異空間であった。
よくよく考えてみれば、なんとも気味の悪い場所だ。しかし、私は妖怪。このくらいおどろおどろしい方が気分が良い。
そして、これら全てが、あの可愛らしい船長を動かすパーツになっているのだと思えば、美しくとも、もっと傷つけたくとも思えた。
ああ、船長、君は体内まで可愛らしいのだ。それは何と憎たらしく見事な事だろう!
「ぇぁ……で、てって……よぅ……」
言われなくても出て行くさ。
なんたって、私の次の狙いは、君の最も美しい部分。
顔なのだから。
さようなら、麗しき血肉の狭き赤黒い世界。
そしてただいま、不穏な空気感漂う広き純白の世界。
ああ、さっきまでいた世界と比べたら、涅槃の何と住み心地の悪さよ。
「ふぅー……ふぅー……ふぅー……」
もう船長からは威勢なんて言葉は微塵も感じられなかった。
そりゃそうだ、ここまでしたんだから。これくらい衰弱して貰わないと、逆に困る。
腕を組み、ズタズタになった船長を見上げる。
ふふふ、活路を失い失望の深い青色に染まった君の目は美しい。
それでも何かを渇望するかのようにだらしなく開いた君の口は美しい。
赤色の斑点のグラデーションを付けた君の髪の毛は美しい。
自分の境遇と歩調を合わせるかのように青くなった君のほっぺたは美しい。
更なる暴虐と酷遇に怯え大粒の汗を浮かべる君の鼻は美しい。
……だが、まだ足りないのだ。
だから、私の手で、もっと君を美しく――――
「ふひゃあぁぁぁぁぁああ!」
キィンという金属音と船長の叫び声が部屋に響いた。
……ロッドを槍の如く投げ、船長の顔に直撃させるつもりだったんだが、何故外れたのだろう。コントロールには自信があるのだが。
仕方が無い、もう一回だ。
私は船長にスレスレで外れ、壁に跳ね返り真下に落下したロッドを拾いに歩く。
「……おぉ?」
ロッドを拾おうとする自分の手を見て、外れた原因がわかった。
――私とあろう事が、手が震えているのだ。
良く見ると手だけではない、全身、全てがガタガタという音をたて震えているのだ。
くっ、自分でも不思議なくらい冷静であったつもりなのだが……。
賢将の私であろう事が、興奮と緊張にさいなまれているのだ。
くふ、くふふふふ、今から君の顔を真っ赤なグチャグチャにすると想像したら……もう震えが止まらない。
くふふふ、震えよ止まれ……くふふ、ふふふふふ……。
その時、チョロチョロという清流が流れる音がした。血が噴射した時のような濁った音ではない、美しい小川の流れのような音をたてていた。
何だろうと思い前を向けば、赤い液体に混じって黄色い液体が床を流れている事に気付いた。
「うあぁぁぁぁ……ぅぁぁぁぁ……」
そして、その黄色い液体が船長の股から流れている事にも、また気付いた。
ふふふ、おかしい。
恐らく、私の投げたロッドが船長の頭スレスレを通っていった際に、余りの恐怖に失禁したのだろう。
なんという情けなさ、なんというやるせなさ。
ああ、そういったリアクション一つ一つが可愛らしいというのだ。
「ぅく、ぃあぁぁ……」
「は、はは、あーっはっはっは!」
張りつめた私と、情けなく尿を垂れ流す船長との空気のギャップに、思わず私は笑い転げた。
そうしている間に緊張の糸は解れ、体の震えも止まっていった。
「あっはっはっはっはっは……。
いやいや、最後までエンターテイメントに富んだ事をありがとう、ムラサ船長。
これは、そんな君への感謝の気持ちだ。是非とも、受け取ってくれ」
そういって、私の投げたダウジングロッドは、一寸の狂いもなく、ムラサ船長の顔へと引き込まれていって――――
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血の池地獄に、生きし時代に積んだ善行を評価され、一本の救いの糸を垂らして貰った鼠がいた。
しかしあろう事か、彼女はその糸を掴もうとすらもしなかったのだ。
そして、幾らかたったある時、ある地獄の鬼が訊いた。
何故、あのとき糸を掴もうともしなかったのかと。
鼠は躊躇せずニマっとした表情でこう答えた。
「だってここに居ればあの娘の苦しむ姿を毎日見れるんだ。
そう考えれば、ここ以上の極楽はないさ」
鼠が指を差した先には、死後の罪を指摘され地獄に落ちた元緊縛霊がいた。
……彼女の幸せは遠い。
ナズによるムラサ虐め。
やっぱりムラサは虐められている時が一番輝いてるし可愛い。
そういえば10作目でした。
コンペの作品をいれれば11作目ですが。
おたわ
作品情報
作品集:
18
投稿日時:
2010/07/12 18:59:03
更新日時:
2010/07/14 03:39:21
分類
村紗水蜜
ナズーリン
グロ
鼠による舟幽霊虐待の瞬間特撮
普段→鼠ぶち殺す
食い物が無い→鼠ちゅっちゅ
これはいいSS