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『東方楼人形 第1話』 作者: ヨーグルト? いいえ、ケフィアです(笑)
「無い……無い無い……!!!」
ここは魔法の森の中の、アリス・マーガトロイドの家。
ここには誰も近づかない。
そもそも魔法の森自体に好んでは誰も来ない。
「おかしいわねぇ……」
アリスは先ほどからずっと、探し物をしている。
1体の人形。
その人形は、今まで作ってきた中で、最も精巧に出来たものだった。
「もう少しで自律型になったんだけど」
自分の家だというのに、自分の人形が見つからないとは何事か。
と、自分を叱った。
「こんなに汚い部屋だから見つからないのよね。 うん、納得」
家を丸ごと掃除すればなくした人形が見つかるかもしれない。
そう思った。
「さてと、皆! いい?」
アリスは手をパンパンと大きく叩いた。
呼びかけたのはいつもいる人形。
自分の命令でそのように動いてくれるいつもの人形。
人形達は少しざわついた。
「今から家中を掃除するわよ! 準備に取りかかって!」
アリスは命令を入れ終わると、椅子に腰をかけた。
不安が入り混じった溜息を漏らした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「楼人形?」
「そう」
アリスは情報を集めに外に出た。
蝉が、やたらと五月蝿く鳴く季節になっていた。
「どんなものなの?」
アリスが最初に訪れたのは博麗神社。
本人にとっては定番ともいえる場所である。
「一応、10割ではないけどほぼ自律型の人形で」
「そうじゃなくて、見た目がどんなのかという事よ」
霊夢は半分面倒くさそうにも応える。
「いや、自律。 というとこぐらいしか特徴は無いわね……」
「は?」
「あとは、限りなく人間に近いわね」
「少なくとも、ここに来るのは見知った顔の奴らだから、そんな奴は来てないわね」
「そう……」
アリスが今まで作ってきた中で最も自立型に近い人形であった。
「……」
完成度込み、総合的に魔力が一番高かった。
見た目が人間と全く同じだった。
自分が操らずとも、自ら行動し、操らずとも、自分と会話してくれた。
「そこまで来ると危険な人形になってくるわよね……」
「え?」
「限りなく「完全な自立型人形」に近いんでしょ? だったら……」
「だったら……?」
「いつ大変な事をやらかしてもおかしくない」
「つまり、見つからないって言うのも自分で家から脱走したというの?」
「そうなるわね」
霊夢はそれだけ言うと、お茶を足しに台所へ向かった。
アリスはそれを追う。
「ねぇ、協力はしてくれないの?」
「自分の問題は自分で解決するべきよ。 どうしてその人形が脱走してしまったかを考えなさい」
「だって、私は何もしてない……」
「自律にするが故の、人形としての『人』の感情。 外でのびのびとしたい……って」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アリスは霊夢と別れ、神社の階段を1段1段ゆっくりと降りて行く。
溜め息が思わず出てしまった。
自分が作った人形が行方不明。
ましてや、その人形が限りなく完全な自律型に近い人形。
自律型である以上、自分の意志を持っている。
自分の意志を持っている以上、自分で問題を起こしてしまうかもしれない。
「まあ、人形というのだから、人形らしい服装にはしたけどねぇ………」
アリスが今まで作ってきた中での最高傑作………。
楼人形………。
名はまだ無い。
人形自体には名前を付けない。
付けはする。
種類としての名前は………。
「探すの………面倒くさいわねぇ………」
初めての第1話。
短くてごめんねーw
次から長くなるのさ!!
ヨーグルト? いいえ、ケフィアです(笑)
作品情報
作品集:
18
投稿日時:
2010/07/13 07:50:07
更新日時:
2010/07/13 16:50:07
分類
アリス
楼人形
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